参加型開発とICT4Dプロジェクト(その1)

途上国開発プロジェクトを成功に導く為には、被益者となる人々の参加を促すことが重要といわれている。
いわゆる、参加型開発という考え。彼らがプロジェクトに参加すれば、本当のニーズもわかるしオーナーシップも生まれやすい。結果的には役に立つプロジェクト、持続性のあるプロジェクトになると考えられる。

一方、ITシステム開発プロジェクトでも、ユーザー参加が重要という話もよくきく。本当にユーザーのニーズにあったシステムを作るには、エンドユーザーに聞くのが一番というわけだ。

となると、ICT4Dプロジェクトでもやはりこの「参加」が大事だと考えられる。例えば、田舎の村にテレセンターを設置するようなプロジェクトなら、村の住民が被益者であり、またユーザーでもあるからだ。村の住民をプロジェクトに巻き込んでニーズを把握することが出来れば、ニーズにあったサービスやシステムを提供するテレセンターが実現するだろう。

と、考えたくなるものの、Heeks氏が言うように「参加」はそんなに簡単ではない。
それは、Low Self-Efficacyの問題があるからだ。Self-Efficacyとは簡単にいうと「自分の能力についての自信」みたいなものといえる。

それがLow(低い)ってことはつまり、ICT4Dプロジェクトの被益者となる人々は、「このシステムの使い勝手どうですか?」とか、「どんなサービスがほしいですか?」と聞かれても、「使い勝手悪いです!」とか、「こんなサービスじゃ役に立たない!」と、ハッキリ、キッパリ主張出来ないというわけだ。確かに、ITについての予備知識やPC使用経験のない人達が、ITを活用して何がしたいとか、システムの使い勝手について、批判的なことは言い難いのはよくわかる。また、手の届かないと思っていたコンピュータが身近に設置されるだけで、なんとなく満足してしまう人達もいるかもしれない(たとえそれが実際には役に立たないとしても)。
しかも、新しいPCやシステムを持ってくるのは欧米のNGOだったり、政府の偉い人かもしれない。そしたら、たとえ「使い勝手が悪い」と感じていたとしても、なかなか本音は言えないだろう。「こんな自分が文句を言うのもおこがましい」と。

こうなると、「参加」を促した結果、本音を得られず、逆に「みんな不満がない=みんな賛成してる」といった、むしろ間違った認識をプロジェクト実施者達は持ってしまうかもしれない。そして、「みんな賛成してたのに、誰もテレセンターを使わない」みたいな残念な結果に・・・。

このような「参加」の難しさをHeeks氏は、The Tyranny of Participation in Informaion Systemsで主張している(もっといろんな要素が盛り込まれてます)。自分もこの意見にものすごく共感出来るのですが、それは自分のエチオピアでの経験から。
エチオピアでの経験は、また次回にまとめたいと思います。

参加型開発とICT4Dプロジェクト(その1)」への5件のフィードバック

  1. Tomonari

    参加型開発に疑問を投じる書き物は結構あるみたいで、住民参加がいわゆる「押し付け」になっているという主張が多い様子。Manchester大学のワーキングペーパーもその1つかな。
    そんな中、それでも「参加=押し付け」と簡単に考えるべきではないという主張も。例えばこの本「変容する参加型開発」。

    http://www.amazon.co.jp/gp/product/images/4750327131/ref=dp_image_text_0?ie=UTF8&n=465392&s=books

    「参加」も奥深いね。

    返信
  2. ピンバック: Top-downアプローチが悪いのか? « ICT for Development.JP

  3. ピンバック: Web2.0, ICT4D2.0, BOP2.0 « ICT for Development.JP

  4. ピンバック: ICT4Dプロジェクト成功のための9つの鍵 | ICT for Development.JP

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