ソーシャルアウトソーシングによる 貧困削減と雇用創出

前の投稿に関連して、以前社内で書いた記事から一部抜粋&追筆しています

“ソーシャルアウトソーシング”という単語は、そこまで広く知れ渡った表現ではない。Heeks and Arun (2009)によれば、「社会貢献的な観点でモノやサービスを外注すること」、「Workfare Outsourcing とCommercial Outsourcingのハイブリッド」という定義がされている。

今回、開発分野の重点課題でもある貧困削減、そして雇用創出に関し、この“ソーシャルアウトソーシング”の仕組みを上手く活用しているインドのDatamation社(D社)と、同グループ財団であるDatamationFoundation(DF) の事例を取り上げる。
D社はインド国内の中堅IT企業であり、その業態もシステム開発、ソフトウェア開発、データベース構築などごく一般的な業態である。しかし、その特筆すべき点は、全従業員(フルタイム)約3000人のうち、約85%(2006年時点)が、宗教・カースト・出生で差別されてきたり、BelowPoverty Line(*)以下の生活下にあった女性達であるという点だ。

彼らのビジネスモデル(下図参照)は、“Train-Hireプログラム”と称し、これまで差別的状況にあった女性達に英語、ビジネスマナー、コンピューター等の職業訓練の機会を供給し、成績がー定以上のものを雇用するという仕組みだ。もちろんビジネスとして継続させるために、教育費用と雇用費用(給料)がペイするように設定されている。では、具体的に彼女たちがどんな仕事をして賃金を稼いでいるのか。一概にICTセクターといっても全員が高度な技術を要するソフトウェアのエンジニアであるわけでない。彼女たちが実施している仕事は、主にデータ入力が多い。例えば、カード会社の申込用紙に記入され送付されてきた内容をPCに入力するといった内容だ。しかし、つい一年前まで働いて稼ぐことのできなかった人が文字を読みPCを打ち、収入を得ているということは物凄いことだ。

※D社のビジネスモデル

こうしたDatamationグループの取組みは、貧困削減と雇用創出と組み合わせたプログラムとして、民間企業の開発分野の参画を促進させるよい事例といえるかもしれない。一方で、やはり、低賃金の労働力の搾取という人もいるかもしれない。けれども、少なくとも当時バンガロールで出会った女性からはそんなネガティブさは見えなかった。
出典:R.Heeks and S. Arun “Social Outsourcing As a Development Tool: the Impact of
Outsourcing IT Services To Women Social Enterprises In kerala” Journal of Internationall Development, 2009

(*)(インドでは貧困に対し、独自の指標と定義を持つ。収入面だけならば、家族の一人当たりの月収が都市部560、農村部368ルピー(1ルピー=約2.2円)以下ならBPL(Below Poverty Line/貧困線)と設定し、それを貧困と呼ぶ。(参照)

ソーシャルアウトソーシングによる 貧困削減と雇用創出」への4件のフィードバック

  1. ピンバック: ICTと雇用: ソーシャルアウトソーシングPart2 « ICT for Development.JP

  2. ピンバック: インドのソーシャル・アウトソーシング事例 « ICT for Development.JP

  3. ピンバック: 新興市場戦略としての”インパクト・ソーシング” | ICT for Development.JP

  4. ピンバック: オンライン・アウトソーシングの現状と課題とは? | ICT for Development.JP

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