青年海外協力隊訓練所①

あけましておめでとうございます。Tomonaritです。
お正月ということで、実家に帰省しています。食べて寝る!といいう正月を過ごしていたところ、母から「これ捨てても良い?」と、青年海外協力隊の訓練所にいたときに書いた昔のレポートを見せられました。2003年1~3月、二本松にある青年海外協力隊の訓練所で語学訓練(←これが中心)や異文化理解や途上国開発に関する講義を受けたりしてました。当時、いくつかの講義を受けた後に、その内容に関する感想文的なレポートを提出していたのですが、どういうわけか未だに、そのいくつかが実家に保管されていたのでした。

読み返してみると、10年以上前にも関わらずやはり今の自分の考えていることの根っこになっているようなことが書いてあったり、一方で忘れかけていた思いや視点が書いてあったりと面白かった。ICT4Dとはあんまり関係ないのですが、「コンピュータ技術」という職種であったこともあり、これから協力隊に行ってみようかなとか、興味あるという方の参考になればと思い、いくつか紹介したいと思います。ってことでタイトルに①とつけてみました。そいでは、以下、「青年海外協力隊事業の理念」っていう講義についてのレポートです。

1月10日、金子局長から貴重なお話をいただくことが出来ました。主な内容は、「青年海外協力隊を支える環境」、「開発援助における国際的な歴史」、「実際に我々が任国に行きやってほしいこと」、「協力隊の成果について」、「任国での環境の厳しさ」、「任国での安全の問題」等でした。私はその中でも特に、「実際に我々が任国に行きやってほしいこと」についての話に感銘を受け、自分なりに改めて考えることとなったので、この点について、以下、考えをまとめてみました。

「エチオピアに行き、現地の高校でコンピュータの使い方を教える」ということが、私の要請内容でした。去年8月に要請内容を初めて見た時から、12月の補完訓練、そしてここ二本松訓練所に来るまで、その要請内容にいかにきちんと応えるかが、私にとっての目的でした。12月の技術補完兼研修で「学習指導計画」というものを作成したのですが、そのときも、やはり私の関心はどうやったら効率良く生徒に操作指導が出来るかや、生徒の技術レベルを計るためにはどうしたら良いかという点であり、上記の要請内容に応えることが最大の目的でした。

しかし、金子局長の話を聞き、考え方が少し変わりました。正確には変わったというよりも、新しい視点からも任地での活動目的を考えられるようになったという感じです。金子局長は、我々が実際に任地に行ったときにやってほしいこととして、「住民と生活・労働を共にすることで社会の一員となる」ことを重要視していました。そして、任地の社会の一員となることで、実際の問題点、その解決方法が見えてくると教えてくれました。また、「教えに行くのではなく、一緒に働きに行くのだ」という言葉にも考えさせられました。

確かに、今まで自分が考えていたように要請内容に応えることは大切だと思います。しかし、今の自分が持っている知識・常識をベースに活動してみたところで、それはあくまで日本での常識にすぎず、それは日本という整った環境の中でしか通用しないことであると改めて気づかされました。さらに、「何事にも必ず根拠がある」、「Working with people, not for people」という言葉も非常に参考になりました。

具体的に考えてみますと、私の派遣先の高校では、IT教育用としてコンピュータが21台あるものの、教師の技術力不足のため使用しておらず、授業は紙テキストのみで行っているという状況です。これを単純に「教師の技術力不足」が原因と考えて、教師の技術力UPを目指した活動をすることは簡単に思いつきます。(今までの自分がそうでした)しかし、本当は理由ではなく、「教師は公務員で給料が安いのでITスキルをUPしようとするモチベーションが低い」とか、あるいは「21台のコンピュータを同時に起動出来るだけの電源設備が整っていない」とか、考えられる要因は数多くあると言えます。

そう考えると、「本当の問題点、それに対する解決方法」というものは、実際に任国の人々と一緒に生活・労働してみないとわからないものなのだと気づきしました。また、現地の住民と共に生活・労働するためには、コミュニケーション能力が重要なので、これから残りの訓練期間に語学の勉強には特に注力したいと強く感じました。

私はこれまで3年間ほどコンピュータシステムの営業をやってきました。コンピュータ業界では、一昔前までの「売るだけ」の営業は生き残れなくなり、今はソリューション(問題解決)提案が出来なければ営業としても良い成績が出せなくなってきています。金子局長の話にあった「問題が何かを発見できた時点で、すでに問題の半分は解決出来ている」という言葉には、共感出来るところが多いです。お客様と真剣に向き合って話し、お客様の環境・現状・将来の希望等総てを正確に把握できなくては、問題点を発見することは出来ないし、さらに、その問題点に対するソリューションを提供することも不可能です。このことと任国での協力隊としての活動は同じなんだなと感じました。自分にとって任国での問題発見→問題解決という活動は、これまで目指してきた営業スタイルと同様なので、「教える」ということではなく、一緒になって生活・労働することから本当の問題点を探し出し、その解決方法を提案し、一緒になって実行していくといった活動をやっていきたいと思います。

まずは、どんな風にすれば任国でも社会の一員となれるのか、コミュニケーションが上手く出来るのかという点をこれからは念頭において学習指導計画や活動計画を考えていきたいと改めて感じました。

最後に、「青年海外協力隊を支える環境」、「開発援助における国際的な歴史」、「協力隊の成果について」、「任国での環境の厳しさ」、「任国での安全の問題」等のテーマについても、自分では知っているつもりでも、あまり良く理解していなかった点もあったので、この訓練中にきちんと理解し、任国で、あるいは日本国内(家族や友人、会社の方)でも他人に正確に説明できるようにしたいと思いました。

読み返して見て驚いたのですが、こういうことを書いたというのを全く覚えていませんでした…。そして、「Working with people, not for people」って言葉に改めて「そうありたいな」と感じました。今年は海外転勤となりそうなので、改めて協力隊に参加したときの思いを想い出して、初心に帰るつもりで新しい環境に臨みたいと思います!

青年海外協力隊訓練所①」への6件のフィードバック

  1. Ozaki Yuji

    あけましておめでとうございます。

    『一緒になって生活・労働することから本当の問題点を探し出し、その解決方法を提案し、一緒になって実行していくといった活動』って面白いですよね。
    協力隊の活動では、それを見いだしたところで任期終了後に伝える先がない(故に自己満足と揶揄される)、という辛い場面がありますが、「中の人」の立場ならそれを生かす方向はたくさんあるでしょうねー。

    話は変わって…
    途上国援助を手がける組織に携わっている人たちって、個人レベルの教育水準や社会階級、経済的には(普及学(Diffusion of innovations)で言うところの)アーリーアダプターやイノベータ階層に属するのに、職務上の(とりわけ現場担当者的に)手を動かす領域ではレイトマジョリティやラガード階層でもがいている、ように見えるようになりました。本来持っている能力と、求められる手の動き方が剥離していて苦労しているのかな、と想像を膨らませています。

    個人的には、今更ながら電子出版ネタ(Epubとか、ReViewとかHTML5とかTeXだとか)が面白く感じられつつあるのには困りモノです。商売のニオイが全然しない(苦笑)。

    返信
    1. tomonarit 投稿作成者

      Ozakiさん、本年もよろしくお願いします。
      普及学の話、なんともですね。今日丁度、友人の鮫島弘子さんが手がけるエチオピアの革製品ブランド「andu amet」がカンブリアっ宮殿で紹介されていました。http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20140109.html
      途上国援助に関わる機関では到底出来ないようなチャレンジングな事業を実施していて、凄いなぁと改めて思います。
      途上国開発のための手段は色々ありますが、ゼロからイノベーションを起こすような取組と、イノベーションじゃなくありきたりだけど大きな事業、ってのがあるとすれば、そのアクターはやっぱ別ですね。その前者に憧れつつも、後者の枠組みでどうにかしようとしているというのが、「本来持っている能力と、求められる手の動き方が剥離していて苦労しているのかな、」ってことなのかなぁ・・・と解釈しました。
      また、今年も色々とコメントお願いします!

      返信
      1. Ozaki Yuji

        近頃は子供の夜泣きに悩まされているOzakiです。妻は育児版@2chの「それは(その年頃の子供の)仕様だから(悩んでもしょうがない)」の言葉を見つけてからは、ちょっと楽になっているみたいです。

        「ありきたりなこと」を言い換えるとパッケージ化されている、ってコトじゃないかと。インフラが整ってくると、その上に(先行者のベストプラクティスが反映された)パッケージを導入し、サッサと事業を走らせたくなるのは、後発者としては当然の態度かと。そのかわり、使い手がパッケージに「合わせる」ってコトが求められる、と。
        パッケージにまつわる費用が「単価×数量」で見積もることができるくらいに枯れているならば、導入の敷居はさらに低くなるでしょうね。
        でも、「個人的趣味を含めたユーザー様へのきめ細かいカスタムメイド製品の提供」を高らかに謳う世界では、共通項目を論理的に整理するなど、パッケージ化って相当に意識しないと進まないんですよねー。

  2. ピンバック: 青年海外協力隊訓練所② | ICT for Development.JP

  3. Sachiko

    突然のご連絡失礼します。とても面白い記事だと思ったので、ぜひと思いコメント書かせていただきました。

    現在私も青年海外協力隊(コミュニティ開発・旧村落)でマラウイに来ています。Tomonaritさんのように、私も前職ICT営業をしており、最近は物売りじゃなくなってる現状を実感します。

    もともと国際協力的な分野に関心が強かったのですが、今後ICTDの話はこれからとても重要になってくると思います。日本語でのリソースはまだまだ少ないと感じているので、ぜひこれからも本HPを通して勉強させて頂ければ幸いです!

    返信
    1. tomonarit 投稿作成者

       Sachikoさん、こんにちは。コメントどうもありがとうございます。
      ICT業界から国際協力業界への転身をしている人は、自分の感覚だと結構いる気がします。協力隊はそのキャリアチェンジの良い機会だと思いますし、まず最初に途上国の生活を2年間体験するというのは、その後、国際協力の仕事をする上でもとてもいいベースになると思いますよ。
       「ICT×途上国開発」についてご質問等あれば、気軽にご連絡下さい。
      そういえば、JICAマラウイ事務所には自分の仲良い同僚(カワベさんという方)がいるので、もし話す機会が、このブログのネタでも話してみて下さい。

      返信

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