青年海外協力隊訓練所②

先日紹介させてもらった、青年海外協力隊の訓練所で聞いた講話に関するレポート紹介その②です。「適正技術と協力手法(総論)」というテーマの講話についてのレポート。

2月7日、龍谷大学教授の中村尚司先生から「適正技術と協力手法(総論)」というテーマで貴重なお話をいただくことが出来ました。中村先生の第一印象としては、大学教授によくいる、つまらない話をするご老人かと思いきや、なんとも痛快な話しっぷり、歯に衣着せぬ物言いの、非常に尊敬できるお方でした。なかでも、「死ぬのが怖いなら、生まれてこなければ良い」などという台詞は私たち若者からみても素敵だと思えるものでした。現在、中村先生はスリランカのゲリラ団体と政府の間を行き来しているとのことでしたが、そのようなエキサイティングな仕事・生活を出来るように私も見習いたいと思います。

中村先生のお話になった内容は、多岐にわたっており、なかなかひとつのテーマに集約することは難しいと思ったので、講義中に出たテーマから特に私が感銘を受けた点を選んで、以下、私なりの意見をまとめてみました。

・科学者と技術者のどちらが偉いか?

科学者と技術者のどちらが偉いか?という話に関してですが、中村先生のお話では、科学者は自分の興味の探究のみを目的としているが、技術者は何かを生み出すこと、もしくは誰かに技術を伝えることを目的としている点で、技術者のほうが偉いとおっしゃられていました。私も中村先生の意見に同感しました。しかしながら、日本では(もしくは世界でも)どちらが偉いといえば、科学者のほうが偉いと思われる風潮が現実にはあるように感じます。それはそれで悪いこととは思いませんが、これから開発途上国に行き協力隊として現地に根ざした技術支援活動をしてくる身としては、注意しなければならないと感じる点がありました。

私も現地に行き色々なことを経験し時に悩んだりすると思いますが、そんなときに、頭で考えた理屈にこだわり、「どうせ自分が技術を教えてみたところで、開発途上国の問題は政治的な問題と複雑に絡み合っているから、大した成果には繋がらない」とか、「この国の人達には、自分の教える技術よりも、明日の食料の方が大切だから、自分のやっていることは無意味だ」とか、そういう理屈を重ねて、活動のモチベーションを下げてしまうことが十分に考えられます。しかし、それは現実から離れた場所で、自分の頭の中だけで物事を考えている科学者と同じになっているということであり、自分に求められている技術者としての活動とは違うものです。現地の人達が欲しているのは役に立たない科学者でもなく役に立つ技術者であり、自分の仕事も技術教育であるという点を見失わないようにしたいと思いました。また、中村先生のお話は、なにかあるとすぐ科学者になりたがる人々に対するアンチテーゼとしても受け取ることができ、さりげなく日本社会そのものを皮肉っているのかも?と感じました。

・開発⇒発展⇒交流 (対立⇒戦闘⇒平和)

「開発⇒発展⇒交流」についても、中村先生のお話は興味深いものでした。「開発」とは自分以外の人に対して行う行為であり、発展とは自分に対して行う行為であると中村先生は区別しておりました。言葉の定義に関してもなるほどと思いましたが、それよりも、開発⇒発展⇒交流の順番に私は興味を覚えました。まずは「開発」があり、次に「発展」、そして最終的な目的が「交流」となっています。開発途上国への援助ということを考えると、「開発」が最終的な目的のようにも思えますが、最終目標は「交流」というのが中村先生の意見です。

自分は開発途上国への援助を目的に協力隊として派遣されます。しかし、「開発」(すなわち、他人を教育する。あるいは、他人を指導する)を目的としているうちは、本当の成果を上げることは出来ないと思います。自分を含め、協力隊や先進国の人間が偉いわけではないにもかかわらず、「開発」するという姿勢で活動に臨んでしまうことがあります。これでは現地の方達から見れば、ありがた迷惑という風に受け取られてしまう可能性が大でしょう。前回の金子局長による講話でも感じましたが、現地の方と一緒に生活をする、一緒に仕事をするという行為が開発途上国への援助には必要であると私は考えております。中村先生の考えも最終目的が「交流」となっています。やはり開発途上国の問題は、技術支援や金銭的な支援ではなく、「交流」(すなわち、お互いをよく理解すること)によって、初めて解決出来るのだと改めて感じました。

・JOCVについて

 最後にJOCVについて、中村先生のおっしゃっていたことに関しての感想です。中村先生は、「JOCVは今まであまり日の目を見ていない、その理由は、①女性が多い、②年功序列ではない、③終身雇用でない、④企業組合的団体がない」との4点を挙げておりました。また、「これからの日本では、JOCVのような活動がもっと評価されるはずだ」ともおっしゃっていました。

 私も中村先生の意見に同感です。これまでの日本では、男社会、年功序列、終身雇用といった戦前・戦後の常識が通用してきました。しかし、時代が変わり今やその常識は崩壊しつつあります。私自身も今回JOCVに参加するにあたり、今の仕事を続けていたほうが良いなどと反対されもしました。私はそういった忠告を十分理解した顔をしながらも、内心では、中村先生と同じように、今更そんな古臭いことを言っても仕方ないと思っておりました。私たち平成14年度3次隊が帰国するころには、JOCVの社会的評価がもっと上がっていることを確信しつつ、自分も評価に値する活動をしてきたいと思っております。中村先生のお話だけでなく、生き方(危ないと言われてもスリランカで活動を続けている、声帯を失っても障害者手帳をもらわずに自分の道を進んでいる)そのものが、これから協力隊として開発途上国に行く私達には良い刺激となった、そんな講話だったと思います。

以上

読み返して見て、「開発 ⇒ 発展 ⇒ 交流」って点になんか忘れていたものを思い出しました。あと、自分はこのブログでもICT4Dについてかなり「科学者」的なことばかり書いているなぁと反省…。いかんいかん。

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