新興市場戦略としての”インパクト・ソーシング”

先週に「インパクト・ソーシング(以下、IS)」関連調査等を含めインドに出張しました。先の投稿でも言及あったRualshore社を含め大〜小規模のIS事業者にお会いしました所、折角なので(相当久々なのですが)投稿させて下さい。

4年前、このブログで投稿した際「ソーシャル・アウトソーシング」と呼んでいたけれど、最近は「ソーシャル」でなく「インパクト」というらしい。そこで改めて、「インパクト・ソーシング」とは、、??

この2ー3年でこの単語を積極的に使っているのは、米最大級の慈善団体ロックフェラー。その定義では「十分な機会に恵まれない農村部の若者や社会的弱者へ、職業訓練とBPOセンタでの持続的な雇用を提供すること」とある。

出所:ロックフェラー財団HP

米BPO大手コンサル、Avasant社の予測では、2020年時点でISは世界BPO産業の約17%、554億ドルの規模になる可能性があるという。

話はインドに戻ると、BPO発祥地でもある同国では2014年4月1日に施行された新会社法で一定規模(例:売上100億ルピー以上(170億円程度))以上の企業に税引前利益の2%をCSR活動へ支出することを義務化した。その対象は「食糧、貧困、教育、ジェンダー、乳幼児死亡率、母子保健、感染症・マラリア等、環境、雇用と職業訓練、ソーシャルビジネス、首相特別ファンド、差別カースト」への支出と記される。

「IS業界への追い風かも?」と思い、現地でIS事業者に聞いたが、各社の統一見解は、「単純なIS事業者へのBPOは、単なるコスト削減策で、『顧客自身のCSR』とは言えないだろう。」とのことだが、IS事業者のインフラへの寄付や職業訓練への協力等も含めた活動であれば、CSRとしても認められる、とのこと。同国ソフトウェア業界団体(NASSCOM)傘下の財団では、こうしたCSRの潮流が、IS拡大の起爆剤となる可能性を管轄省庁と議論中である。

ISを活用する顧客事例も多く聞けた。産業に応じた差異はあるが、大きく以下の3つの中長期的な顧客の目的が見えてきた。

第1に、現地での企業ブランド確立。訓練と雇用の提供する農村部BPOセンタにIS事業者と共同投資し、その周辺に自社プラントを建設する顧客もいた(途上国によくあるプラント設立反対運動等はなかったとの事。)。

第2に、ローカル人材資源獲得。特に金融、保険、消費財業界等の営業・マーケ部門においては海外や都市部から人材を送り込むよりもBPOセンタの資源を活用した、マーケットアクセスが可能だ。

第3に、新興市場で戦える自社人材の育成。BPOセンタの立ち上げ時期にはISを活用する顧客の本社も管理、教育を行うことが多く、顧客企業における一種の人材教育になっている、という。

世界のBPO市場の中心的労働力はこの数年はインドからの供給が多いこと、そして、同国の新会社法によるCSRの潮流によって、同国のIS事業の拡大とその活用は今後さらに増えていくと思われる。

 

新興市場戦略としての”インパクト・ソーシング”」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: インパクト・ソーシングの形態 | ICT for Development.JP

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中