電子政府による透明化は万能か

最近自分の中で熱いトピックとして、電子政府(公共サービスのIT化)による透明化のメリットとデメリットというのがある。というのも、バングラデシュのICカード導入プロジェクトでは料金徴収の透明化に成功したわけだが、それと同時にいろいろなものが見えてきて、ITによって手続きが大きく変わることの正負のインパクトに頭を悩ますことが多かった。

そんな中、University of ManchesterのRichard Heeks教授が面白い投稿をブログにしていたので取り上げたい。タイトルは「The Curse of Hyper-Transparency」である。日本語にするなら「行き過ぎた透明化によるツケ」といったところか。投稿の内容は以下のようなものである。

透明化や見える化はよいことだと思うが、より進めればもっとよくなるのだろうか?否である。ITを使った透明化は色々な効果をもたらすのは事実であるものの、行き過ぎた透明化は公共サービスの破綻をもたらす。以下の図は透明化の推進と政府の利点についてであるが、逆Uカーブを描いており、透明化が進みすぎると逆に政府のメリットはなくなるということを示している。

inverse-u-transparency

例え話をすると、遠くで恋人を眺めているとそんなに興奮することはない一方で、近くで見るとその表情や肌感などですごく興奮することになる。しかし、さらに近づいて毛穴や肌が見えるところまで来てしまうと、逆効果になり興奮は薄れてしまう。

つまり、公共サービスのIT化によって、一定程度まではサービスの見える化などによって公共サービスの信頼性は大きく向上する。その一方で、透明化が進みすぎてしまうと、オフィサーのミスや怠慢を含む多くのプロセスが見えるようになってしまい、逆に信頼を失うことになってしまうということが起きる。実際に政府に対する政策信頼度はEUもアメリカも低下傾向にある(IT化だけが問題ではないと思うが)。

信頼性を高めるために導入した透明化が逆に信頼を失うことになるとは皮肉なことではあるが、ただやみくもにIT化することでは汚職の削減や信頼性の向上にはつながらないということはその通りだと思う。

そしてこれは一見当たり前のことに思えるが、カイゼンが好きな人は実際に多く、ついユーザ満足度などが上がるとさらに推進してみたくなってしまうものであるので、そこには「適度」があり、「過度は逆効果」ということはメッセージとして伝えたい。

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