インパクト評価とIoTの可能性

今週、国連で開催されていた世界情報化サミット(WSIS)では、2005年の前会議からの10年の間にICTがもたらした貢献について、国連事務総長から言及があった。次のWSISによるレビューは10年後の2025年ということだが、ITUはその頃までには全てのものにインターネットを、と言っている。今年のITのトレンドキーワードになったIoT(Internet of Things)であるが、全てのものがインターネットにつながる世界など先進国だけかと思いきや、実は途上国にこそ可能性があるらしい(インドと中国が含まれるなら当たり前かもしれないけど)。

ITUが2015年に発行したMeasuring the Information Society Report, では、IoTの経済的価値は様々な条件が整えられることが要するものの、その活躍が期待されるのは主に新興国であるという。また、Mckinseyの予想では2020年までに世界のIoT市場の40%の市場価値は新興国から産み出されることが想定されており、その大半のインフラは国連のSustainability goalsの実現にむけたプロジェクトの一部として構築されるだろう、という。

新興国でIoTが実現される世界においては、国際開発プロジェクトにもいろいろな影響はあるだろうが、まずはインパクト評価の視点で考えてみた。

近年の公共政策(国際開発含む)ならびに民間投資の分野では、ヒトモノカネの資源を投入した事業に対し、社会的インパクトの評価・分析を行い、その成果を測定し、投入によって得られたリターンが本当に見出されているのかという証拠の提出と説明責任が求められている。いわゆる社会的責任投資(SROI: Social Return on Investment)の潮流だ。一つ前のtomonaritの投稿で記載あったナイジェリアの事例もにもける成果の見える化もその流れの一つだろう。

今後、ITUが目指すIoTの世界が実現すれば、そうしたインターネットインフラを活用してこうしたインパクト評価の流れはよりデータの収集・評価・分析の精度があがり、一層活用が進むんではないかと思う。

既にマニュアルで集めたデータを分析しグラフィカルにそのアウトプットやアウトカムを見える化することは世界のどこでも行われている。でもこれからはデータを集めるところから自動化できるようになれば、アウトプットやアウトカムだけではなく、より説得力のあるインパクトの測定につながることができるのではないか。

例えば、「中国のある工業地帯における集塵装置の設置による大気汚染の削減」、というようなプロジェクトがあった場合、本事業のロジックモデルはごくシンプルにすれば以下と考えることができる。

   インプット   事業への資源投資(ヒトモノカネ)
   アクティビティ 事業の実施
   アウトプット  集塵装置の設置
   アウトカム   大気汚染の削減
   インパクト   周辺住民(受益者)の健康被害の改善

beijing-articlelarge-v3Source:nytimes

これまでもアウトカムの測定については一定程度のデータ収集は行われているが、この場合このインパクトを図るのに、もしも対象地域の住民の健康データがリアルタイムで収集できれば、本事業の投資効果や改善に向けた継続的なアクションが取りやすいのではないか。

現在の世界のインパクト評価の測定にはインタビュー等を通じた定性的データの取得と専門家の判断が一般的だとは思う。それでも今後の技術の進展でセンサーや無線の技術が安価に提供できるようになれば、インターネットに常時接続された環境から取得される受益者の 定量、定性のビッグデータが、インパクトの分析に使われるようになっていくのでは。国連や世銀がICT企業と一緒になってそんなシステムつくったら面白いのにと思う。

 

 

 

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