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開発援助のオープンデータ化

以前、「オープンデータと途上国開発」という2015年3月の投稿で、途上国の開発援助関係データのオープンデータ化の動きについて書いたことがありました。オープンデータって何?という方には、上記の世界銀行の動画が分り易いです。

そして、つい先日、国際開発ジャーナル(2017年4月号)で「データに基づき開発を支える 〜援助動向の“見える化”に挑む〜」というタイトルで3つの援助データを公開しているWebサイトの紹介があったのでご紹介します。

紹介されていたのは以下3つのWebサイト(以下、簡単な説明を抜粋してますが、詳しい説明は国際開発ジャーナル見て下さい)。

アメリカの大学等が共同で2009年に立ち上げたもの。90以上の援助機関が1945年から現在までの間に実施してきた150万近くの援助プロジェクトに関する情報をデータベース化。

経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)と世界銀行の協力により2010年に立ち上げられた。データのビジュアル化が特徴。

ドイツの開発コンサルティング企業が2011年に立ち上げたサイト。2015年からビル&メリンダ・ゲイツ財団から助成を受けて運営。

以上、3つのサイトの紹介でした。

机の前に座っていてもネットでここまで途上国の情報が分るって、マジで凄いなと思います。こうなってくると、例えばどの国のどの分野のどのプロジェクトを支援するか?という判断をデータに基づいて行ったりすることが正しい方法として加速しそうですが、個人的にはそこまで簡単じゃないと思ってます。判断の際には、そのプロジェクトを実施する際に関係者の協力が得られるかとか(反対勢力がいないかとか)、熱い思いの良いリーダーがいるかとか、あの政治家の奥さんはあの土地の出身だとか、データに現れない要素も考慮しないといけないから。また、データを沢山集められるようになっても、それをどう解釈して使えるかという能力(仮説と立証的な能力)が必要で、その能力は言い換えると、「いかに多くの人が賛同出来るストーリーを作り上げれるか」という能力だと思います。結局、データを有効活用できるのは、人間力みないなものを持つ人なんだろうと。

ただ、上記で述べた関係者の協力が得られるかとか(反対勢力がいないかとか)、熱い思いの良いリーダーがいるかとか、といったデータまでもがデータベース化される未来が来る可能性もありえるかも…。

ICT4Dの教科書

ICT4Dを勉強したい人はICT4Dの教科書を探したことがあるかと思います。でも、これまでそれらしい教科書はなかったんじゃないでしょうか。ところが近々に教科書が出版されます!僕が書きます!!

というのは嘘です。

マンチェスター大学大学院のICT4DコースのRichard Heeks教授がICT4Dの教科書を出版するそうな。amazonで見ると10月下旬の出版予定。そして、Heeksのブログにそのコンテンツの一部がDraftとしてアップされてました。以下のサブタイトルで全9回の講義用パワーポイント教材がダウンロード出来ます。

– ICT4D Course Introduction

– Session 1: Understanding ICT4D

– Session 2: Foundations of ICT4D

– Session 3: Implementing ICT4D

– Session 4: ICTs and Economic Growth

– Session 5: ICTs, Poverty and Livelihoods

– Session 6: ICTs and Social Development

– Session 7: e-Governance and Development

– Session 8: ICTs and Environmental Sustainability

– Session 9: The Future of ICT4D

ありがたいことに先生用に、生徒に課す課題や演習のインストラクション的なことも書いてあったりします。ただ、パワーポイントだけあって基本的にはフレームワークやモデルやグラフなどのビジュアルな教材なので(読んで理解するには、出版後に本を買って文章も一緒に読む必要アリでしょう)、見ただけでは理解出来ない点も多いと思いますが、「これからICT4Dについて勉強したいけど、実際どんなこと勉強すんだろ?」と思っている人には参考になるかと思います。ICT4Dというかなり幅広いテーマを今の途上国開発や技術革新に沿って多面的な切り口から解説・分析している点がわかるだけでも結構参考になるかも。

ちなみに、ICT4Dの教科書的な本としては、以前このブログで紹介した外山健太郎氏(このブログの管理人Knotの指導教授)の「Geek Heresy」やTim Unwin氏の「ICT4D」などがあるけど、それらと比較してHeeksの本はよりフレームワークやモデルといった理論に重きがおかれている感じです。上記の2冊はいずれも読んでみた感想として、理論的でありつつも、そこに著者の想いがより込められている感じ。読み物としての面白さはそっちの方があるかもしれないですが、Heeksの本は実際のプロジェクトをどう理論に落とし込むか、という点に重きが置かれている感じ。

日本にいると英語力落ちるので10月に出版されたら自分も読んで勉強せねば…。

「【最後のフロンティア-アフリカ】Start-Upセミナー:ICTを活用した最新ビジネス」開催のお知らせ

博多で行われるイベントの紹介です!
前回の投稿で紹介したJICAの民間連携スキームをつかってザンビアでドローンによる物流革命を起こそうとしているエアロセンス社や、このブログでも紹介させてもらったことがあるルワンダでオフショア開発をしているレックスバート・コミュニケーションズ社が登壇します。

以下、JICAのWebサイトからコピペです。

  • 日時:
    2017年7月18日(火曜日)
    (セミナー)16時-17時30分(開場:15時30分)
    (交流・名刺交換会)17時30分~18時
  • 会場:
    The Company
    (福岡市博多区祇園町8-13 第一プリンスビル 1F)【会場地図
  • 主催:
    JICA九州

21世紀最後のフロンティアとも言われるアフリカにおいて、ICT等の最先端技術を活用したビジネスが目まぐるしいスピードで発展しています。日本からは遠いイメージのアフリカですが、「10億人市場」とも言われ、世界からも新たな市場として注目されています。特に、携帯電話・スマートフォンが急速に普及したことから、金融をはじめ携帯電話を活用した新たなサービスが多く開発される等、アフリカにおけるスタートアップも盛り上がりを見せています。もちろん日本においても、活況を見せるアフリカで新たな市場機会を獲得しようと進出している企業も増えています。

今回、「グローバル創業・雇用創出特区」であり、イノベーション・ハブ「FUKUOKA Growth Next」設立で更に創業・起業が加速化している福岡において、特にICTを活用した海外での新規事業を検討したいと考えている企業等を対象に、ICT分野のスタートアップでも注目されているアフリカについて、その市場の魅力やビジネスの可能性を紹介するセミナーを開催します。

今回のセミナーでは、アフリカですでに事業化に着手している日本企業2社より、これまでの取り組みやアフリカならではのビジネス事情について、またアフリカにおけるICT分野の専門家からは現地のICTビジネスの最新動向や特徴等について紹介します。また、アフリカの魅力を更に身近に感じていただけるよう、パネルディスカッションでは参加者の方々とも双方向で意見交換する機会も設けています。

日本からでは情報が得にくいアフリカにおけるICTをとりまくビジネス環境や現地ニーズ等について詳しく知る絶好の機会ですので、関心のある多くの方々のご参加をお待ちしております。

【プログラム】
15:30     開場
16:00~16:05 開会挨拶
16:05~16:25 JICAから概論プレゼンテーション 「アフリカのICT関連ビジネス動向(サブ・サハラアフリカ諸国を中心に)」
JICA国際協力専門員 内藤智之

16:25~17:05  ICTを活用した事例紹介
エアロセンス株式会社
「日本のドローン技術でザンビアに物流革命を起こす!」
取締役 嶋田 悟氏

レックスバート・コミュニケーションズ株式会社
「アフリカのICTハブを狙うルワンダで起きている最新のムーブメント」
代表取締役社長 田中秀和氏

17:05~17:25  発表者によるパネルディスカッション
17:25~17:30  JICA民間連携事業の紹介
17:30~18:00  交流・名刺交換会

【定員】30名
【参加費】無料
【申込締切】2017年7月11日(火)
【申込方法】JICAのWebサイトをチェックして下さい

JICAの民間連携スキームからICT4Dプロジェクトをピックアップしてみた

ども、ガーナから帰国してから日本のスピード感についていけず、ここ最近ブログ投稿をさぼっていたTomonaritです。今、ルワンダにいるKnotに負けじと投稿しようと思います。

さて、上の動画は、日本の会社「エアロセンス社」のドローンを用いた物流サービス普及促進事業(ザンビアでの保健医療分野の新たな物流インフラの構築)の一コマ。ドローンが飛んで行くことろは何故か興奮しますね。これ、JICAの民間連携スキームという制度を使っているものなんです。民間企業からのアイデアを募って、その中からいくつかアイデアに資金援助をする「民間連携」スキームなるものがJICAにあります。「資金援助っていくら?」とか「どういう条件なの?」いう点については、JICAのWebサイトを見てもらうことにして、ここでは「ICT4Dプロジェクトはどれくらい採択されているのか?」という点に注目。以下、複数ある民間連携スキームの毎に、どんなICT4Dプロジェクト(中には太陽光発電の案件も含めちゃってますが)が採択されているかをJICAのWebサイトからピックアップしてみました。

民間技術普及促進事業

BOPビジネス連携促進

中小企業海外展開支援事業-基礎調査-

中小企業海外展開支援事業-案件化調査-

中小企業海外展開支援事業-普及・実証事業-

以上、5種類の民間連携スキームにおいて採択されたICT4Dプロジェクトをまとめてみました。正直、自分が思っていたよりも多くのプロジェクトが採択されており、どれもタイトルを見る限りはとても面白そう。遠隔教育とかe-Learningって昔から永遠のテーマなんだなぁ…と感じたり、やっぱりアフリカは少ないなぁと感じてます。エアロセンス社のように、イノベーティブな取り組みを途上国で行う企業が増えたら面白いですね。

情に報いると書いて「情報」=information

今日、とても面白い話を聞いたのでわすれないように。

まずは、前段。

これまでの投稿で何度か、dataとかinformationは受け取る人の教育レベルや経験によって、その人にとって有益にもなるし無意味にもなる、というようなことを書いてきた。だからICTを使って情報を配信しただけでは、必ずしも全員が恩恵を受けられるわけじゃない。このコンセプトは、Heeks教授の”4A model”というモデルが分り易い。

A4 Model

Source: Heeks, R. (2002) “iDevelopment not eDevelopment:Special Issue on ICTs and Development”, Journal of International Development, 14(1), 2002, 112, which has been published in final form at: http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jid.861/abstract

Dataは単なる数字や単語の塊であり、それだけでは意味をなさない。そのDataにアクセス出来て(←例えば、スマホでインターネットを使ってアクセスするには、スマホというデバイスやインターネットを使えるだけのお金やスキルが必要)、Assessすることが出来て(←その数字や単語の塊が何を意味するのか?を分析・理解するためには教育や経験が必要)、Apply(Adapt)することが出来て(←自分の仕事や生活に当てはめて、そのDataを有益に活用するアイデアに気づくためにも教育や経験が必要だし、さらに、それを「有効活用しよう!」と考える意識・思いが必要)、そこまで出来て初めて単なる数字や単語の塊であるDataが有益な意味を持つInformationになる。そして、その有益な情報に基づいて、自分にメリットのあるActを取ることが出来る(←そのためは、時としてお金や時間や体力などが必要)。ということを上記の4A modelは示している。

要するに、受け取り手側の教育レベルや経験、能力によりけりということ。これは、「結局、アナログ・コンポーネントが重要」という世銀のWorld Development Report 2016の内容とも同じ趣旨だ。

んで、今日聞いた面白いこととは、日本語でInformationは「情に報いる」書いて情報ということ。Informationにこの日本語訳を当てはめた人は、上記で述べた「有効活用しよう!」と考える意識・思いが必要」という点を理解していたのだろうと驚き。

Informという単語は、「知らされたもの→知識、考え→情報」というような語源を持つらしいのですが、informという情報発信側主体の単語の名詞形に、情報の受けて側の視点から日本語に訳した方はスゲーなーと感心してしまいました。

ソマリアを知ろう ~元通信大臣が語るICT事情、迫りくる飢饉そしてソマリアの未来~

かなり急なお知らせですが、3月30日(木)に、DMM.Africaにて「ソマリアを知ろう ~元通信大臣が語るICT事情、迫りくる飢饉そしてソマリアの未来~」というイベントがあると友人から聞きまました。あまりにグッと来たので、もう日がないながら以下、紹介しちゃいます。

 ソマリアと聞いて皆さんなにを思い浮かべるでしょうか? アフリカの角とよばれる場所に位置するソマリアは、多くの日本人にとって馴染みが深いとは言えない国です。あたらしい政権が発足し、日本との正式な国交が樹立し、様々なソマリアと日本を結ぶビジネスが始まっている昨今、みんなで一度ソマリアの人の話を聞いてみませんか?

 ソマリアのICT事情のこと、ソマリアの干ばつと飢饉のこと、そして何よりも大事なソマリアの未来のこと。ソマリア政府の通信大臣を務め、様々な立場からICTによってソマリアを活性化しようと尽力してきたモハメド・イブラヒム氏が緊急来日。皆さんの好奇心に真摯に答えます。

  • 日時:3月30日(木)15:00〜17:00 (開場は14:30〜)
  • 場所:〒106-6224 東京都港区六本木三丁目2番1号 住友不動産六本木グランドタワー DMMグループ総合受付24階

    地図 – https://goo.gl/maps/m3W5ZBn7XoJ2

  • 参加費 :無料
  • 参加登録 :以下のフォームから

https://docs.google.com/a/kcgrp.jp/forms/d/e/1FAIpQLSda2yp_LMjY3b4iIGlWPlC5ESuuBQQ-NJQ8gNkSjub2AJjHRw/viewform

  • 諸注意 :通訳のご用意はございません
  • 当日は名刺2枚をご持参ください
  • 1Fの受付にて、担当者が入館証をお配りします

ご関心のある方、行ってみてはいかがでしょうか?

ちなみに、「あのエロ動画のDMM.comが、ソマリアって…?!ん、よく見ると”.Africa”になっとる?」という方は、こちらのニュースを見てみて下さい→アフリカ市場で事業を創造せよ!あのDMM.comが新プロジェクトに挑む若者を募集中!

JICA監修アプリ「Jhappy」

Jhappy.png

JICAがSNSアプリをリリースしているのでご紹介。
以下、JICAのWebサイトからのコピペです。

JICA監修SNSアプリ「Jhappy(ジェイハッピー)」のAndroid版をリリース致しました(iOS版は2016年11月に先行リリース)。

本アプリは、世界各地で途上国開発に関係する様々な人々(日本に来ている途上国の留学生、途上国のカウンターパート、日本の開発専門家、コンサルタントetc)や、国際協力やボランティアにご関心のある人々にご利用いたただける情報交換のプラットフォームです。誰でも無料でダウンロード、情報発信・閲覧等ご利用いただけます。インターネットで検索するよりも簡単に国際協力やボランティアに関心のある世界中の人々や情報と出会い、対話することができます。世界の課題解決のためにご尽力いただいているみなさまの対話・学びあいの促進にご活用ください。

また、日本含め世界各国が抱える社会課題は多様化しており、問題解決のためには、今後も益々多くの方々の事業へのご参画を必要としています。JICAは、このアプリを通して、事業の成果にかかる情報発信や、日本に招聘している途上国からの留学生との交流強化に一層努めます。

これまで国際協力事業とはご縁のなかった方々にも、Jhappyを通して、世界で起きていることを、より身近に感じていただけますと幸いです。

以上がJICAのWebサイトの紹介文。うーむ、か、カタい。かなりおカタい感じの紹介文だ。でも、万博関西弁バージョンのようにくだけ過ぎするよりは良いか。

紹介文の賛否はさておき、関心がある方は、iOS版はここから、Android版はここからダウンロード出来ます。

そう言えば、大分昔(2009年)の投稿「SNSの可能性」の中でも紹介していたのですが、ドイツのGIZ(ドイツのJICAみたいな組織)が「Alumniportal Deutschland」というSNSサイトを2008年からやっており、2009年時点では約2500人だったユーザー数が、現在は15万人近くまで拡大していました。

SNSが成功する(盛り上がる)のか否かのポイントは、ICT4Dプロジェクトの成否のポイントと類似点が多い気がする。SNSサイトを立ち上げたり、アプリをリリースするだけでは何も起らない。例えば10年位前、mixiが流行った時代には、自治体の多くが自治体SNSサイトを立ち上げたものの、成功した例はかなり限定的だった。「ICT=Solution」的な発想でシステム導入だけしても、その効果が出ないという明快な例だったと思える。

SNSについては、それを使うユーザーへの動機付けや、ユーザーを巻き込むことが必要。更に使い勝手にも気を配る必要がある。一方、負の面を考慮すると、ユーザーのマナー(リテラシー)や、英語以外のマイナー言語(例えば、スワヒリ語とか)で不適切が書き込みがあった場合に、誰がどうそれを発見して削除するのか?や個人情報の取り扱い、セキュリティといった難しさもある…。

と思いながら、とりあえずダウロードしてみました。