カテゴリー別アーカイブ: Development 2.0

マーク・ザッカーバーグの目指す世界 〜インターネットは人権の一つか?〜

インターネットへのアクセスは、もはや基本的人権の一つなのだろうか?

FacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグの「Building Global Community(世界コミュニティの構築)(2017/2/16)」を読んだ。概要は後ほど紹介するが、もはや彼の視点はFacebookを越えた世界の通信へと広がっていて、起業家を越えて思想家に近づいている気がする。彼が以前発表した論文「Is Connectivity A Human Right?(コネクティビティは人権の一つか?)」と合わせて彼の目指す世界を考えてみたい。

以前の投稿「途上国開発におけるGoogle,Facebookの存在感」でも取り上げた通り、彼はFacebookとは別にinternet.orgという組織を立ち上げており、「世界中の人にインターネットを」といったスローガンで活動をしている。この活動(インターネットユーザの増加)は長期的にはFacebookの利益にもなりうるので、完全な社会貢献事業とは言えないのでは?とその投稿で指摘はしたものの、彼の目標は高く、何よりそれを実行できる力(お金・サービス)がある。

インターネットは友達や家族、コミュニティを繋げるだけではなく、グローバル知識社会への基礎となるものであり、全ての人にアクセスする権利がある。[1]

全ての人にインターネットに接続する機会を提供することは、知識社会に参加する基礎となる。それは我々がすべきことというだけでなく、根本的なこととして必要なステップである。[1]

この発言から感じることは、彼はインターネットへの接続はいまや、電気・水道などと同じレベルで世界中の人がアクセスできるべきもので、それによってこのグローバル社会への参加が可能になると考えている。そして彼はFacebookを、そのグローバル知識社会にアクセスする最初のステップとして使ってもらいたいということも述べている[1]。

今回のザッカーバーグ氏の投稿では、繁栄と自由、平和促進、そして貧困削減のためにコミュニティがどうあるべきかと論じている。そしてそのためのFacebookの役割として、以下のように述べている。

Facebookができる最も重要なことは、全ての人々がグローバル・コミュニティを構築できるようにする社会基盤を作ることである。[2]

さらに具体的には、以下のようなコミュニティの構築しうる社会インフラとなることを目指しているとのこと。

  • 世界中で弱まりつつある伝統的な組織を強化できるSupportive communitiesを構築するのをどのように支援しうるか。
  • 世界の人が接しうる危害を防ぎや危機で助け合えるSafe communitiesを構築するのをどのように支援しうるか。
  • 人々が新しいアイディアや共通認識を共有できるInformed communityを構築するのをどのように支援しうるか。
  • 世界中で投票率が5割に満たない現状を踏まえ、世界のCivically-engaged communityを構築するのをどのように支援しうるか。
  • ローカル・グローバル、文化、国・地域を問わず人間性や大衆の意見を反映するInclusive communityを構築するのをどのように支援しうるか。[2]

私個人的な見解としても、インターネットへのアクセスは、このグローバル化された社会で競争力を発揮して行く為に、水や水道と同じく必要不可欠なものになりつつあると思う。特に、これまでチャンスがなかった人にチャンスを与えうるという可能性は、非常に大きいものがあると思う。私自身も、インターネットやPCに大学時代にハマった経験が、今のキャリアに大きく影響している。情報にアクセスさえできれば、私のように勝手にハマって勝手に学んで行ける可能性があるわけで、インパクトは大きいと感じる。

その一方で、大半の情報は英語で書かれており、このインターネット社会が進めば進むほどアメリカ・ヨーロッパなど英語に近い言語の人たちの優位性が高まってしまうような気もしないでもない。この辺りは翻訳技術などが解決してくれるのだろうか。

いずれにせよ、マーク・ザッカーバーグやビル・ゲイツなどはもはやその辺の援助機関よりも資金力・影響力を持っているため、今後もウォッチしていこうと思う。

最後に、マーク・ザッカーバーグの投稿で、ビル・ゲイツの言葉を「好きな言葉」として紹介していたので、それを引用して締めたいと思う。

我々はいつも、2年間でできることを過大評価している。しかし、10年間でできうることを過小評価している。 – Bill Gates –

[1] Zuckerberg, Mark. (2013). Is Internet connectivity a human right?. Internet.org.
(写真もこのサイトより引用)
[2]Zuckerberg, Mark. (2017). Building global community. Facebook.com.

遊びでスマホを使うことの開発効果って??

みなさんデジタルデバイス(スマホ・タブレット等)は普段使ってますか?ほとんどの方は使ってますよね?

では、そのデバイスを勉強など自己研鑽や生活の質改善のために使ってますか?多分大半の方は何かしらそういった目的でも使ってます・・・・・よね?

では、その自己研鑽等に使ってる時間って使用時間のうち何パーセント程度でしょうか?

この回答はおそらくみなさんせいぜい10-20%程度、どんなに高くても50%程度ではないでしょうか?つまり、何が言いたいかというと、デジタルデバイスに費やしている時間のうち、半分以上は遊びなどの目的(ネットサーフィン、SNS情報発信、メッセージ、Youtubeなど)で使われているということです。

では、世の中の「携帯電話が途上国開発に貢献!」の類で取り上げられるテーマというのは何でしょうか?保健情報提供、送金サービス、学習アプリ、、、、等々。いずれも遊び目的以外のものについてです。

もちろんこういったテーマの効果を測ったりすることが大事ではあるのですが、50%を越える時間を費やしている「遊び目的」のデジタルデバイス使用が人間形成や開発に与える影響、ってこれまであまり考えられてきていないのでは??

こういった問題提起をした論文があります。オランダErasmus大学のArora氏とMicrosoft Research IndiaのRangaswamy氏の2013年の論文「Digital leisure for development: reframing new media practice in the global South」です。

内容はまさに上記の問題を指摘していて、デジタルデバイスが開発に与える影響って、真面目な使い方(教育・保健)などより遊び目的の使い方(Facebook, Youtube等)の方が圧倒的に費やす時間が多いため、実はこちらの方が大きいのではないか。なのに、その遊び目的の使い方は研究対象などにこれまでされてこなかった。もっと研究すべきだ。といった内容です。

個人的に「うーむ、確かに・・・」と考えさせられました。確かにこれまで見過ごされてきた視点ではという指摘はその通りと思います。デジタルデバイスの開発への影響という点では、特定アプリ・特定サービスの効果だけではなく、もっと広い視点を持たねば、と反省させられた論文でしたので、紹介させていただきました。

UNDP人間開発報告書2015からのICT4Dトピックス(その2)

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前回の投稿に続いての「その2」です。

技術革新が仕事におよぼす影響について特に途上国の視点から、UNDP人間開発報告書の内容を拾っていきます。

まずは、技術革新(とくにICT)による大きな変化について。

  • 世界のフローにおいて知識集約型の財・サービスが中心を占めるようになり、資本集約型・労働集約型の財・サービスを上回るペースで増加している。現時点で前者は世界のフローの半分に達し、さらにその割合を増している。知識集約型財のフローは知識集約型財のそれの1.3倍のペースで増加している。(P101)
  • その結果として、財・サービスのデジタルなフローも増加している。実際、「アプリ経済」という言葉が示すように、今や多くの財が完全にバーチャル化している。(P101)
  • 調査研究によると、2013年時点で米国だけでもアプリ経済が75万人に何らかの形の仕事をもたらしていた。(P105)
  • 近年、知識が生産に対して中心的な意味を持つようになった。製造業でも組み込まれた知識によって最終製品の価値が決まる度合いが増している。例えば、スマホ最上位機種の価格は、部品と組み立てコストよりも高度な設計と技術に要したコストのほうが大きな部分を占めている。(P107)
  • 2012年の数字で知識集約型の財・サービス・金融の取引のほぼ半分において、その価値の大きな部分を研究・開発と熟練労働が占め、その価値はほぼ13兆米ドルに達している。そして、知識よりも労働力・資本・資源を集約した製品・サービスの割合が下がる一方で、知識集約型の製品・サービスの割合は着実に増している。(P107)

そして、デジタル化されたサービスの特徴について。カッコ内は自分の補足説明です。

  • (デジタル化されたサービスを一旦開発すると、その複製は極めて楽チンになるとう話)ローコスト、あるいはゼロコストでの複製は仕事の成果に対するアクセスを広げるが、新たな雇用はほとんど生み出さないかもしれない。(P105)
  • (新たな雇用を生み出さない例として)ツイッターの月間アクティブユーザー数は、2015年3月時点で3億200万人に達し、1日5億件のツイートを通じて情報やニュースが生成・拡散される一方で、ツイッター社の従業員数は、3900人にすぎる、その半数を技術者が占めている。(P105)
  • デジタル経済の第2の特徴として、人々が消費する財・サービスの一部は消費者自身によって生産される。つまり消費者が「プロシューマー(ProducerとConsumerの合成語)」になる。(P105)←これはWeb2.0とかICT4D2.0の話と同じ。
  • その最も直接的な事例が、7万3000人超えのボランティア執筆者を擁するウィキペディアだろう。無料オンライン百科事典のウィキペディアは、2012年に244年続いた活字出版の幕を閉じた「エンサイクロペディア・ブリタニカ」などの有料情報サービスと直接的に競合している。(P105)
  • いくつかの形で仕事のプロ化に逆転が起きている。(P106)

最後に最終的に仕事にどういう影響があるか?AIやロボットの能力が上がっていくと、それに取って変わられる職が沢山あるよね、という話。

  • これまでに多くの国が、利益率の低い労働集約型の製品から電子機器の組み立て、そして高度な製品や設計、管理への移行を果たしてきた。開発プロセスが遅れて始まった国々は、「早すぎる脱工業化」さらには、「無工業化」にも直面している。今や製造業が多数の職なき人々を吸収することはできない。(P108)
  • 新技術がもたらす真の影響は、低技能の労働者の需要減と高技能の労働者の需要増である。(そしてそれが)仕事の機会の二極化を引き起こす。中間部分ではオフィスと工場で多くの職が着実に空洞化していくことになる。(P116)

上記の指摘は、以前の投稿「IoT、ビッグデータ、AI、3Dプリンタ、ドローン、新たなテクノロジーは途上国を豊かにするのか?」でも記載したように、自分もまさに同じことを考えていたのですんなり頭に入って来た。特に、東南アジア諸国が発展したような、日本など先進国の工場を誘致して、雇用を生み出すとともに、そこで働く労働者がスキルアップして行き、スピンオフして起業したりしながら、国の産業レベルが上がって行く…といった開発モデルは、途上国の工場ロボットをIoTで先進国から遠隔監視する仕組みやAIの活用、データだけ送れば3Dプリンターで製品が出来てしまう…という技術革新によって、成り立たなくなりつつある。アフリカなどのこれからの国は、これまでの開発モデルに代わる新しい開発モデルを模索する必要があるのだろう。この報告書では、以下の点がそれに関連している。

  • デジタル・リテラシーの重要性が増している。(P108)
  • デジタル革命とグローバルなつながりを人間開発の向上へと導くためには、市場の機能だけでは不十分なはずである。このような機会をより良く活かすために、国レベルと世界レベルでの公共政策と施策が必要とされている。(P121)

上記が、この章のまとめになっているのですが、以下、「仕事の機会の二極化」に関連して、個人的に驚いた点も追加します。

  • 世界でも最も裕福な上位1%が世界の富全体に占める割合は、2009年の44%から2014年の48%へ増加し、さらに2016年に50%を超える見通しにある。(P119)
  • 例えば、米国のCEOの報酬と一般労働者の報酬の対比は、以下のとおり(P120)
    • 1965年   20:1
    • 1978年   30:1
    • 2000年 383:1
    • 2013年 296:1

この数字を見ると、「途上国支援の問題は、上位1%の人達でどーにかして下さい」と自分の仕事の意味に疑問を感じてもしまいますが、これが現実。テクノロジーの発展がこれに拍車を掛けるというなら、ますます途上国に課せられた課題は大きいものだと感じます。

ちなみに、

  • デジタル革命はあらゆる種類の革新を安く速く可能にしている。このことは、過去数十年間の特許登録件数の増え方に映し出されている。1970ー2012年の間に、米国特許庁に認められた特許の件数(米国と他の国の総計)はほぼ5倍に増加した。コンピュータとエレクトロニクス分野における革新がこの増加の中心を占めた。特許登録全体に占めるその割合は、1990ー2012年の間に25.6%から54.6%に増加した。(P110)
  • 2013年の特許登録件数の上位12カ国は、以下のとおり。(P110)
    • 1位:日本
    • 2位:米国
    • 3位:中国
    • 4位:韓国
    • 5位:ドイツ
    • 6位:フランス
    • 7位:ロシア
    • 8位:英国
    • 9位:イスラエル
    • 10位:インド
    • 11位:イラン
    • 12位:シンガポール

おおっ!日本が1位になってる!
と言うことで、日本がICT4D分野(←狭いプロジェクトという意味でなく、むしろ上記のような途上国が直面している課題に対する解決の支援の方で)で途上国支援をしていく意義って、結構あると改めて感じました。

ICT4D研究がアジアからアフリカにシフトしつつある??

たまには自分の研究について書いてみたいと思います。国際学会ICTD2016でポスター発表した内容で、JICAのYoutubeサイト「ICT and Development」でも取り上げていただきました。

以下は論文の概要です(動画内容とほぼ同一です)。

世界銀行のWorld Development Reportやアフリカ開発会議(TICAD)でのICT立国ルワンダの存在感など、ICTの役割が認められてきた昨今ですが、ICTと開発(ICT4D)の研究フィールドはどのようなトレンドを描いているのでしょうか?特定の地域や国に寄っているのか、それとも満遍なく広がっているのか?そして地域や国のトレンドに変化はあるのでしょうか?

こういった興味から、過去10年間のICT4D関連の論文525本を地域・国でタグ付けし、傾向に変化があるのかを調べてみました。なお、ここでいう地域・国は執筆者についてではなく、研究対象となった地域・国のことを指しています。

  1. 国別トレンド
    以下のグラフは国別の論文割合で、上位6カ国をプロットしたものです。

    slide3

    この10年間はずっとインド(青線)が首位になっています。確かに私もインドというと、貧困という開発途上国のイメージと、IT人材を対象に生み出すIT大国というイメージの双方があり、ICT4Dの研究対象としても選ばれてきたのも納得できます。

    その一方、2010年くらいから伸びてきて、2014年にはインドに追いついている国があるのに気がつきましたでしょうか?この辺りを見るべくインドを除く5カ国を拡大したのが次のグラフです。

    slide5

    この一気に論文数を伸ばしているのがケニアです。私がポスター発表を行った国際学会ICTDでも、2012年に初めてアフリカ(南アフリカのケープタウン)で開催され、アフリカの勢いを感じていたところでした。上位6カ国のうち4つがアフリカ、2つがアジアと、アフリカの勢いを感じるところです。

  2. 地域別トレンド
    次に地域別の比較です。

    slide6

    このグラフにある通り、アジアとアフリカで8割以上を占めています。面白いのが2014年に初めてアフリカが論文数でアジアを上回って一位になったということです。先ほどの国別傾向でインドが下がりケニアが伸びている影響も受けていると思いますが、ICT4D研究全体のトレンドとしてもアジアからアフリカに移りつつあると言えるのではないでしょうか。

  3. 多様性
    これまで地域と国の傾向を見てきましたが、特定の国に偏った状態なのか、色々な国で研究が行われているのか、シャノンの多様性指数を用いて比較してみました。

    slide7

    このグラフがその結果なのですが、徐々にですが指数が向上しているのが見て取れます。これは対象国が広がってきている(多様性が増加している)ことを示すもので、これまでインド一国集中だったものがインフラ発展の成果もあってか色々な国にICT4D研究が広がっているということになるかと思います。

では、これらの変化がなぜ起きてきているのでしょうか。今回の論文においてはそこまでは検討できてないのですが、考えられる仮説としては、例えば以下のようなものがあります。
・地理的な多様性はIT政策やインフラの発展に相関がある。
・一部の国(インドなど)で研究が終わってきたため、他の国にシフトし、多様性が増加している。
・誰かが新しい国で研究を始めると他の研究者も興味を持ち始め、多様性増加に貢献している。

これらについてはまた次の研究で調べてみたいと思いますが、インフラの発展もあってか、ICT4D研究もアジアからアフリカに少しずつシフトしつつあり、色々な国で行われるようになってきているようです。

 

ICT4DからDigital Developmentへ

マンチェスター大学Heeks教授のブログにて、ここ最近頻繁に使われるようになっている「Digital Development」とこれまで使われて来たICT4Dという言葉について、途上国開発におけるICTの立ち位置(期待、役割、課題等)がまとめられており、とても興味深かったので以下、紹介したい(詳細については是非、Heeks教授のブログを直接読んでもらえればと思います)。

ICT4D時代(これが今までの途上国開発におけるICTの立ち位置:便宜上ICT4D時代と言ってみます)とDigital Development時代(こちらが最近(最新)の途上国開発におけるICTの立ち位置::便宜上ICT4D時代と言ってみます)といった感じで捉えてもらうと分かり易いかと。そして、以下がその2つを比較し、どう変化したかを示す表(ICTs for Development Blogからの抜粋)。すこしボリュームがありますが、一見の価値有り。何となくは気づいていたという程度の概念が文字に落とされてより明確になった感じがします。

META-ISSUE ISSUE ICT4D DIGITAL DEVELOPMENT
Development Development goals MDGs SDGs (Inclusion, Sustainability, Transformation)
Nature of development International Development (global South) Global Development (universal)
Technology Infrastructure Partial (individually-connected ICTs; global North dominant presence) Ubiquitous (cloud-based “digital nervous system” of converged ICTs; global South dominant presence)
Key technologies PC, internet, mobile phone Smartphone, broadband, sensor, 3D printer
Focus Conspicuous artefacts, devices Data, information (artefacts become unobtrusive, tacit in life)
Data Text-dominant Audio-visual-dominant
Development Application Development role Tool for development Platform and medium for development
Development models “Development 1.0”: digitising and improving existing development processes

 

“Development 2.0”: redesigning development processes and systems (users as digital producers, the power of the crowd, digital participation, network structures, data-intensive development, and open development)
“Intensive development” and discrete digital economy “Extensive development” and pervasive digital economy
Innovation model “ICT4D 1.0”: inclusive pro-poor (laboratory), semi-closed, linear “ICT4D 2.0”: inclusive para-poor/per-poor (participative, grassroots), semi-open, agile & iterative
Development Systems Development geography Places and nodes Spaces, hybrid places, relations, and flows (breakdown of time/space barriers)
Development structures Linearity: hierarchies and chains Complexity: multi-scalar, interconnected (but still hierarchical) networks and ecosystems
Networks: local, national; simple and loose-connected; physical Networks: transnational, global; complex and inter-connected; physical and virtual
Generic impacts: stability, development Generic impacts: volatility, ripple of shocks, uncertainty, precariousness, potential regression
Development processes Human (decisions & actions) Smart (algorithmic decision-making; automated action)
Development logics Closed-dominant Form (models/structures) and practices (processes) change but still closed-dominant
Development Agency Capabilities Digital immigrant Digital native
Technology usage Partial, intermittent Digital immersion
From physical collective to individual use (introspection) From individual to virtual collective use (performance)
Development Impacts Economic development Enhanced capitalism Frictionless capitalism
Political development Accelerated liberalism Accelerated pluralism
Impacts worldview Positive Positive and negative
Development Policy Policy structures Feudal: partly-mainstreamed (cells within sectoral silos) Federal: fully-mainstreamed (foundation to all sectoral policy/strategy) & sidestreamed (cross-cutting coherence)
Development issues Inclusion: digital divide (absolute exclusion) Inclusion: network position (relative exclusion and adverse inclusion)
Sustainability: of ICT4D projects Sustainability: of development; resilience
Transformation: only digitisation and improvement as potential impacts Transformation: redesign and transformation as potential impacts
Value chain focus Readiness to Uptake as constraints to positive impacts Impact: positive and negative
Development Informatics Research Research issues Incremental impacts: digitisation and improvement of traditional development Disruptive impacts: redesign and transformation, including digital economy and digital politics
Readiness and adoption Political economy and digital harm
Technology and context Agency, institutions, and structural relations
Conceptual models Traditional disciplinary conceptions Network models, complex adaptive systems
Digital divide models Political economy models
Technology acceptance model Institutional logics

そして個人的な気づきの点を以下、いくつか書いてみます。

途上国でのICT普及は先進国のICT企業を太らせるためのものなのか?

上記の表のDevelopment Applicationの中のDevelopment Roleを見ると、これまでのICT4D時代には「Tool for Development」となっていますが、それがDigital Development時代には「Platform and Medium for Development」となっています。このPlatformという点について、先日、ICT4Dに絡むコンサルタントの方と話していた時、以下のような話がでました。

途上国でICTが普及しても、その利活用のプラットフォームを押さえているのは先進国(特にアメリカ)の企業。Google, Facebook, Twitter, Amazon, etc.。途上国においても誰もが簡単にICTサービスを活用して便利になるのは確かだけれども、それで特をしているのは先進国企業であり、その規模に比べて途上国側のメリットは(勿論、あるけど)非常に限定的なのでは?そして、IoT、AI、ビッグデータ等の新たなテクノロジーによって、より一層その傾向(つまり、プラットフォームを制する者しか得しない)が強まるのではないか?

最近、IoTはこれでもかという位、ほぼ毎週日経新聞に記事が出ています。有名なのは建機のコマツがセンサー付き建機を販売し、部品交換などの時期を把握して適切なメンテナンスサービスを提供するビジネスをやっています(KOMTRAX)。別の例では、製造業では途上国の生産工場をIoT技術でリモート監視・コントロールすることで世界中の工場を効率よく運営することが可能になり、人件費削減にも繋がるといったことを日本や欧米企業がやっています。このようなIoT技術でのリモート監視・コントロールは、製造業だけでなくあらゆる分野(運輸交通、電力、水道などの公共インフラ分野など)でも導入されていくでしょう。そうなると、途上国でも機材のメンテや公共インフラの運用がより適切に実施出来るというメリットがある一方で、その国における技術者のレベルアップや技術の底上げが出来にくくなるというデメリットも生じるのではないかと思います。

世銀のWDR2016に述べられているように、ICT技術は既存の能力を増幅させる効果がある。だけども、それは、そもそもの既存の能力が高い国に低い国がいとも簡単に負けてしまうという構図。これまでは通信環境がイマイチ故に、現地の技術者育成が必要だったのに、通信環境やテクノロジーが発展すればするほど、現地の技術レベルが関係なくなり、途上国は先進国企業が提供する便利なサービスを購入するユーザという位置に固定されてしまうのではないか?

FocusがDeviceからData, Informationへ!とも言い切れない?

上記の表のTechnologyの中のFocusを見ると、これまでのICT4D時代には「Device」となっていますが、それがDigital Development時代には「Data, Information」となっています。この点は確かにそのとおりと納得感もあるものの、一方で、広い意味でのDeviceとしては、ウェアラブルデバイスやドローン、ロボットなんかもあり、必ずしも「Data, Information」のみにフォーカスが移っているとも言い切れないと感じます。

先日、このブログでも紹介したJICAがやっている「オープンイノベーションと開発」という研究成果をまとめた報告書ドラフトを読んだところ、会津先生の書かれた章に「シリコンバレーでは、「ソフトやネットにはもう飽きた・つまんない」、「リアルが面白い」とよく言われる」という一文がある。要するに、ネットやソフトのビジネスで成功した起業家達が、次はモノ作りに走っているそうだである(この報告書の会津先生の章はとても面白いのは別の投稿で改めて扱いたいと思います)。Fablabや3Dプリンタの普及ということを考えると、Digital Development時代に必ずしもDeviceが軽視されているわけではないだろう(むしろフォーカスされていると感じる)。

Research Issueの変化

上記の表のDevelopment Informatics Researchの中のResearch Issuesを見ると、これまでのICT4D時代には「Readiness and Adoption」や「Technology and Context」となっていますが、それがDigital Development時代には「Political economy and digital harm」や「Agency, institutions, and structural relations」となっています。

この点は非常に納得&重要な課題になると思います。これまでは、ICTを途上国開発プロジェクトで使うために、「ユーザのスキルは十分か?インフラは整っているか?とか、政治的、文化的にICTを活用することがちゃんと受け入れられ普及するか?」をプロジェクトが実施される個々の国や地域のコンテクストに合わせて考慮するというのがICT4Dの大きな課題の1つでした。それが、これからは、もう一つ上段に構えて政治経済とか法規制とか、そっちの観点でも考えないとならないという変化。

例えば、これまた最近流行のFinTech分野のサービスが途上国にも波及していく場合、途上国側の法規制はどうなるのか?また、最近自分やガーナに住みつつも、Amazon.ukで買い物したりしています。思いのほか早く品物がちゃんと届きます!ふと、Amazon.ukとかってガーナ政府に税金払っているのかな?と思ったりします(←このあたり詳しい方、教えてもらえるととてもありがたいですっ!)。途上国でも通信環境や決済手段が発展すればするほど、ネットで外国から商品を買う人って増えると思うけど、そうなったときに途上国側では、どう税金をとることが出来るのだろう。

という単純な疑問とともに、IoT技術によって色々なデータ(例えば上記のような公共インフラ運用に係るデータなど)が他国に送られる場合に、政府はザルで良いのか?とか、情報セキュリティとか、色々な点で途上国側も先進国側もこれら整備しないとならない法規制があると思われる。

結局上から目線のTechnology-drivenなのか?

このオリジナルのHeeks教授のブログポストにサセックス大学IDSの先生がコメントをしている。「そもそもICT4Dって言葉は、好きじゃないんだよね。だって、なんだか上から目線でTop-downじゃん。ICT with Development とかby Developmentみたないほうが自分は好き。そういう意味では、Digital Developmentって言葉は悪くないね。」的なコメントである。

「用語はなんでもイイっしょ」というのが個人的な意見だが、このコメントをきっかけにちょっと考えてみた。ICT4DからDigital Developmentという流れがそもそもTop-downなんだろうと感じる。良く言われることだが、ラジオやテレビが出現したときには、そのテクノロジーを途上国開発に活用することが期待され、これで途上国開発のスピードが促進される!と誰もが思ったはず。そして、パソコンとインターネットが普及したときも同様。モバイルもブロードバンドも同様。そして今はIoT、AI、ビッグデータ、3Dプリンタ、etc.。結局、新しいテクノロジーが出現したら、それをどう途上国開発に活用しようか?という点は普遍的である。その意味で、新しいテクノロジーが開発される先進国側からの目線になるのは仕方ないのだろう。

ただ、振り返ってみると、途上国開発におけるラジオやテレビの利活用はもう100%有効に出来ているのか?ICT4D時代の課題(端的に言えば、どうすれはICT4Dプロジェクトを100発100中で成功させられるのか?)は解決出来ているのか?という問いがある。間違いなくこの問いの回答は「いいえ、まだです・・・」となるのだが、次々と出現する新しいテクノロジーの波は無視出来ず、また、新しいモノのほうが注目が集まる(=お金も集まる)ということで、どんどん途上国開発に活用すべきテクノロジーも最新化されていくわけです。この構図は、Technology-drivenということで、「課題・問題があってそれを解決するためにテクノロジーを利用する」ではなく、「テクノロジーを使いたいから課題・問題を発見する」というものではないか。

最後に

以上のように色々と考えてみました。新しいテクノロジーの波は無視出来ず、それを途上国開発にどう活用するか?は自分が最近常に関心をもっているテーマですが、Technology-drivenにならないように気をつけなくては、という自戒にもなりました。迫り来るテクノロジーの波に対して、単なる消費者とならず、自国の発展にどうテクノロジーを取り込んで活用していくのか?途上国側に課せられた課題は結構ヘビーですね。関係ないけど、一昨日まで居たシエラレオネの写真を載っけます(折角撮ったので)。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

シエラレオネの町中には携帯電話会社の看板ばかり

ポスト2015年におけるICT4D

MDG(ミレニアム開発目標)の目標年2015年はもう間近。ポストMDGとしてどんな開発目標が国際社会で掲げられるのか?というのは、言わずもがな開発業界ではホットな話題。

一方、ICT4D関連の大きな会議といえば、WISIS(世界情報サミット)が思いつく。でも最近ICT4Dに興味を持った方々のなかには、馴染みが薄いかもしれない。第一回WSIS2003@ジュネーブ、第二回WSIS2005@チュニスは、2000年頃からICTの途上国開発における役割に期待が高まってきて、同時にデジタル・デバイドという用語が頻発されるようになり、良くも悪くもICT4Dバブル的な風潮を象徴する国際会議だったと言える。そのWSISの第三回目が2015年にロシアのソチで行われる予定そうな。

ポストMDGにおけるICT4DおよびWSISの位置づけがどうなるか?というテーマで書かれたマンチェスター大学のワーキングペーパー「ICT4D 2016: New Priorities for ICT4D Policy, Practice and WSIS in a Post-2015 World」を読んでみた。これは、以前このブログでもポストMDGsのICT4D研究優先課題としてKnotが紹介していたワーキングペーパーの続編的なペーパーなので、重なる部分もあるもの自分なりに理解した内容(以下4点)を紹介したい。

1.POTENTIALLY WELL-COVERED ICT4D AREAS

このペーパーはICT4D関連文献とポスト2015年(ポストMDG)関連文献を対象に、どういう言葉が使われているか?を分析し、そのギャップを明確にすることで、ICT4Dアジェンダと開発アジェンダのギャップを発見するというもの。下のグラフで0より下に伸びている線は、ICT4Dアジェンダとしてはあまり議論されていないがポスト2015年開発アジェンダとしてはよく議論されているというテーマ(数字の大きさがそのギャップの差)。逆に、0より上に伸びている線は、ポスト2015年開発アジェンダとしてはあまり議論されていないがICT4Dアジェンダとしてはよく議論されているというテーマ。例えば、Infrastructureというテーマは、ICT4D分野では良く議論されるけど、ポスト2015年開発アジェンダとしてはそれほど議論はされていないということ。逆に、Environment and Sustainabilityというテーマはポスト2015年開発アジェンダとしては良く議論されているけど、ICT4D分野ではそれほど議論はされていないということ。言い換えると、このグラフで真ん中あたりのものは、ICT4Dとポスト2015年開発アジェンダの両方で同じ位議論されていてギャップはないのも。Knotの投稿にもあるように、テーマごとのギャップ大小がわかる。この詳細はKnotの投稿を参照して下さい。

ICT4D 2016: New Priorities for ICT4D Policy, Practice and WSIS in a Post-2015 Worldより

ICT4D 2016: New Priorities for ICT4D Policy, Practice and WSIS in a Post-2015 Worldより

2. INFORMATICS-CENTRED ICT4D PRIORITIES

ICT4Dという用語が示すとおり、Information and Communication “Technology”がどう開発に寄与するかという観点で議論されることが多いが、重要なのはTechnology(技術)だけじゃなくて、データと情報、コミュニケーション、社会影響等を含むより広い意味でのICTの効果、即ちInformaticsの観点でICT4Dが議論されるべき、というのが「Informatics-centred」の意味。ICT4DじゃなくてInformatics4D (I4D)にするということ。

この「Informatics-centred」の観点から面白いなと思ったのは、途上国開発にデータを有効活用するという観点がポスト2015年には重要になろうというもの。途上国での携帯電話の利用からとれるデータや途上国政府がICTの活用によってリアルタイムに取れるようになるデータ等をどう活用するか?という観点。このD4D(Data4Development)はかなり可能性がある領域と思う。民間企業の途上国進出においても、この領域への参入はとても有望なのではないかと個人的には感じる。

また、 「Informatics-centred」の観点からは、ICTの正の効果だけでなく負の影響も視野に入る。サイバー犯罪やICTの人体への悪影響、ライフ・ワークバランスへの負の影響といった、ICT4Dの負の部分にも留意が必要であるが、これまではあまり議論がされていない。ポスト2015年においては、この観点も軽視してはならないだろう。

3.NEW DEVELOPMENT-ORIENTED PRIORITIES FOR ICT4D AND WSIS

ポスト2015年において優先度の高いICT4D分野を、ICT4Dアジェンダと開発アジェンダのギャップから導き出したのが以下の16分野。ワーキングペーパーでは各分野のさらに細かい内容まで書いてある。例えば、EnvironmentならGreen IT Innovationやe-wasteなど。

ICT4D Prioprity

ICT4D 2016: New Priorities for ICT4D Policy, Practice and WSIS in a Post-2015 Worldより

4.TRANSFORMATIVE DEVELOPMENT AND DEVELOPMENT 2.0

これまでの段階的な(順序を1つずつ踏んでいくような)開発ではなく、ポスト2015年ではもっとスピードのある開発が求められるだろう。そして、途上国の開発スピードなり方法なりを、これまでとは劇的に変化させることに活用出来るのがICT。具体的に「どう変わるのか」については、まだ明確なビジョンは誰も示していないものの、変わるはずという期待感は大きい。例えば、HeeksのいうDevelopment 2.0は、ICTによって変わる(変わった)途上国開発のあり方(モデル)を示唆している。

5.THE FUTURE OF ICT4D AND WSIS: STRUCTURE, PROCESS AND VISION

ICTのメインストリーム化についての話。2000年のICT4Dバブルを過ぎたころから、ICTを開発アジェンダのメインストリームにしようという動きが続いていた。例えば、援助機関においても、ICTタスクフォース的な特別部隊や部署をもうけて、それに詳しい人達だけで議論しているのではなく、ICTをどの分野でも使える当たり前のツールとしていこうということ。

一見、「うんうん。そうだ」と思うのですが、裏を返すと、「ICTタスクフォース的な特別部隊や部署はもう解散します。あとは各部署でうまくICTを活用してね!携帯電話やパソコンは、もう当たり前に使うツールですから」ということ。これだと、ICTの専門知識がないにも関わらずICT利活用をまかされた各部署では、ICTの活用方法について良いアイデアはでない。そして、ICT利活用が廃れていく…。なので、やっぱりメインストリーム化じゃなくて、ICTのことが良くわかるタスクフォースなり部署なりを作って、そこがICTの各分野での活用を牽引していかないといけない。要するにICT4Dオタクがいないと、ICT4Dプロジェクトは上手くいかないということ。それを国連機関の体制に落としてみると以下のようになる。ICT4DオタクがUNGIS Secretariatで、ITUが技術屋さん。そして、それら2つの機関の支援を受けつつUNDP等がICT利活用を実施するようなイメージか。

Structuring ICT4D Within UN System

以上、自分自身の備忘録的な意味も含めて、長々と書いてしまいました。でも、このワーキングペーパーはとても勉強になったと思うので、興味がある方はオススメします。ポスト2015年とICT4Dがどうなるか、まずはソチでWSIS2015が本当にあるのかをウオッチングしていこうかと思います。

Broadband Strategies Toolkit

世界銀行のICT Sector UnitとinfoDevがBroadband Strategies ToolkitというWebコンテンツを発表した。資金を出したのは韓国(Korean Trust Fund)だそうで、コンサルタントとしてTMG社が情報収集等を行ったようである。

Broadband Strategies Toolkit
http://broadbandtoolkit.org/en/home
Webベースでの公開となっているが、PDFとしてもダウンロードできるようになっており、以下のようなコンテンツで構成されている。

1. Building Broadband
2. Policy Approaches
3. Law and Regulations for a Broadband World
4. Universal Access
5. Infrastructure Strategies
6. Driving Demand
7. Global Footprints

HPによると、このToolkitは政策決定者や規制を作る人などブロードバンドの推進に関わる人たちに向けて作成されたもので、途上国を中心とした読者が課題を特定し解決することを促し、まだ見えていないソリューションを検討するためのものとのこと。ベトナム・トルコ・ブラジル・スリランカなどの実践的な事例も提示している。

また、この開発には日本人も一人絡んでいるようでMasatake Yamaichiさんという名前がクレジットされていた。

まだじっくりと読めていないが、そのうち読んでバングラデシュなどで参考になりそうなものか検討してみたいと思う。