カテゴリー別アーカイブ: Environment

Class for Everyone

先日、縁あって「Class for Everyone (C4E)」というNPOの代表高濱さんとお会いすることが出来ました。C4Eの活動はその名からも分かるように、一言で言えば日本で不要になったPCを途上国の学校等へ提供するというもの。

企業等から不要だけど使えるPCを供与してもらい、リユースに必要な作業(再インストールとか)を行った後で、途上国へ輸送するという事業を主にやっている団体です。

最初、ハードの提供を中心に行っている事業という点で、正直、その活動にちょっとネガティブなイメージを抱いていました。というのは、このブログでも何度か取り上げているように、ICT4Dプロジェクトではハードだけ提供してもダメで、むしろICTよりも”4D”の部分(for Educationとかfor Agricultureとか)の根本的な問題を的確に捉えた上でICTを「どう使うか?」が重要というのが自分の根っこの考え方だから。

しかしながら、高濱さんと会ってすぐ分かったのが、そういう点はきちんと理解した上で、「どう使うか?」を教えられる人材がいる学校等(例えば、青年海外協力隊が活動している学校とか)にのみPCを提供しているということ。そして、単なるハードの提供が目的じゃなく、その先にもっと大きな視野を持っているということでした。細かくは書かないですが、高濱さんとお話させてもらった中でも特に面白いなと自分が感じた点があったので書いてます(あくまでも自分が感じた内容なんでC4Eや高濱さんの方針や考え方と必ずしも同じゃないかもしれません…)。

それは、「PCを使って◯◯をする」ということ(例えば教育とか)を支援するという目的ではなく、「PCを使える環境を作る」という大きな目的を見据えている点。

「PCを使える環境を作る」とは、まるで当たり前のインフラの1つとして誰もがPCを使えるような環境を作るということ。

ICT4Dと一言でいうと、そういう分野が確立しているような感じですが、結局は「for ・・・」の部分が重要で、ICT4Dという分野のなかに教育や農業というサブセットがあるんじゃなく、教育とか農業といった分野のなかに「ICTを使う」というサブセットがあると言えます。だからこそ、PCを学校に配るだけじゃダメで、むしろPCを使った教授法を教師が身に付けたり、カリキュラムをきちんと整備するといったソフトコンポーネントの部分が重要というような議論が多いです。

一方、ICTインフラというと通信網に目がいくけど、「PCを使える環境」ってのもインフラなんだと気づかされました。それをどうつかうか?は勿論重要だけど、そもそもインフラがないんじゃ話が始まらん、というのが途上国の厳しい現実。そして、「for・・・」の部分という限られた分野を支援するのではなく、リユースPCの提供を通じてどの分野にも裨益する事業を行っているという点が新鮮でした(今は教育機関へのPC供与が主だけども、その対象は広げて行く可能性を語られていました)。確かに、今はPCなしには出来ないことだらけで、教育に限らず、どんな分野でもPCが必要。20年前にはPCがない職場が当たり前だったけど、今はあえりえない。そいう視点でインフラとしてのPC供与という発想に、共感出来るものがありました。

さらに、電力共有をどうするかという視点やリユースPCが利用された後の廃棄処理やリサイクルについての構想や無料でリユースPCを提供するのではなく、供与先にも一定の負担を課すというシビアな姿勢なども含めて、C4Eの活動は、単純に日本で不要になったPCを途上国へあげるという安直な事業とは全く違う!ということを知ることが出来ました。もっと広い視野で電力共有から使用後の処理までを含めた「PCを使える環境を作る」という事業スケールでした。

また、高濱さん本人の熱い思いが伝わってくるようなお話の仕方も印象的で、お会いして色々と教えてもらったり刺激を貰うことが出来たので、忘れぬように書いてみました。

 

ポストMDGsのICT4D研究優先課題

たまには固いタイトルでの投稿を。

途上国支援に携わっている方はご存知と思うが、ミレニアム開発目標(MDGs)という開発分野に関する国際社会の共通目標の達成に向け各国・援助機関等がプロジェクト等を行ってきている。2000年にまとめられたもので、8つの目標分野がある。

現在国際社会では、これの更新版、ポスト2015年開発目標(ポストMDGs)の策定が進められている状況である。

さて、このポストMDGsではICTはどのような位置づけになるのだろうか。おそらく具体的な名称として目標分野に入ることはMDGs同様ないのだろうが、各開発課題の達成に向けてICTの活用がキーとなることは変わらない。

前置きが長くなったが、そういった視点から、ポストMDGsにおけるICT4Dの優先研究分野について、最近の116本のICT4D論文から傾向を分析した結果が、マンチェスター大学のHPにRichard Heeks教授名で掲載されていた。

まずは以下の図。現在検討されているポストMDGsとICT4D研究のギャップを示したものである。中央線を越えているものは既に研究結果がある程度現れている分やで、下回っているものは研究数に不足があるものとのこと。

di-research-gaps-chart

更に分かりやすい図はこちら。

di-research-priorities-map

開発分野とギャップをマトリックス上に示したものである。こう見ると、確かにこれまで研究も多かったであろうMobile, Social Media, e-Health, e-Learning, e-Governanceなどはそれなりにギャップは少ない。一方で、e-EnvironmentやICTs and Povertyやe-Agriculturなどがギャップが大きく、今後の優先的な研究分野として検討できるのではと締めている。

グリーンITと国際協力

CEATEC JAPANというIT・エレクトロニクス展に参加した。最先端技術の展示会ということで、国際協力とは一見関係なさそうだが、最近気になっていたグリーンITというキーワードで講演や展示が複数あるということで、参加してみた。

ちなみにグリーンITとは、ITを使って温室効果ガスの削減や、環境に役立つ事をしようという取り組みであり、世界中に関連団体がある。
日本だと、経産省系のグリーンIT推進協議会
などがある。

グリーンITの分類としては、大きく2つ「of IT」と「by IT」がある。
「of IT」とはIT機器自体の省エネ(例:省電力エアコンなど)のことであり、「by IT」とはITによる社会の省エネ(例:電子カルテなど)である。

講演では、日本のグリーンITの事例紹介に加えて、アジア各地での取り組みの紹介など、興味を引く内容だった。途上国だと思っていたアジアで省エネやエネルギー効率などに本気で取り組んでいることも驚きだった(排出権取引などで削減メリットがあるからかもしれないが)。

ただ、日本及びアジア地域のグリーンIT事例として挙がっていたのは、現時点ではCO2削減のための取り組みというのが大半であり、省エネ取り組みの紹介がメインであった。

個人的には国際協力との関連としての情報収集という目的で参加していただけに、もっと「by IT」寄りの話が聞きたかったが、今回の講演トピックでは多くはなかった。(配布された事例集には、日本国内の事例ではあるが、TV 会議や道路交通改善策、電子カルテ、e-Learningなどが載っていた。)

もう少し具体的に書くと、同じ環境×ITでも、例えば津波予測や災害情報システムであったり、アマゾンの森林保全・管理システムだったり、水関連だったりといった話が今後のICT4Dの選択肢として増えていくのかなと思っているので、そういう話が聞きたかったが、今のグリーンITは省エネ技術が中心であり、ちょっと方向性が違うのかもしれない。

地球温暖化対策のためのIT活用という大目的としては、そういった案件も対象となってしかるべきと思うので、ぜひどんどん広げていって日本の技術力を活用して欲しいものである。