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今更ガラケーは売れないんじゃないか?

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11月18日の日経新聞に、「パナソニック、アフリカで「ガラケー」1月発売 知名度向上 スマホ普及へ布石」という記事があった。アフリカで低所得層をターゲットに1500〜2000円でガラケーを売るという。「家電のブランド力で新興国メーカーに先行して市場を押さえる」という狙いらしい。最初にこのニュースを見て、正直、ずれていると思った。

既に新興国メーカーが遥かに先行しているにも関わらず、今更感ありありだ。どういうガラケーなのかは分らないが、本当に普通のガラケーじゃ、低所得層も食いつかないと思う。以前の投稿で、ガーナではガラケーのことを「ヤム(やむいものこと)」と呼んでいる事を書いた。「ヤムを捨てて、スマホに変えよう!」という看板が町に立つくらいだ(上記のような看板です)。勿論、田舎ではスマホを持てる人は非常に限られているけど、1500〜2000円でガラケーを買うなら、5000円出して中古のスマホを買いたいというのが消費者の思いじゃなかろうか。

ちょうど、DMMの面白いニュースを見た。「DMMがあの「CASH」を70億円で買収するワケ」という東洋経済の記事だ。DMMが「CASH」という中古品買い取りを行うサービス(ユーザに負担をかけずに、商品の写真等を送れば、その場で即買い取りしてくれるサービス)を展開するバンクというスタートアップを70億円もの金額で買収したという内容。詳しくはリンクの記事を見てもらいたいが、このCASHというサービス、あまりにユーザがバンバンものを売るために買い取り資金がショートし、そこにDMMが買収を持ちかけたという。DMMがDMM.Africaとしてアフリカビジネスに積極的に出て行っているのは、ご存知のとおり。この記事で一番面白かったのは、「(DMM社長の)亀山さんは「CASHで買い取ったスマホをアフリカで売るぞ~」と張り切っています。」という一文。パナソニックとのアプローチの違いが鮮明過ぎる。

低所得層が今更ガラケーを購入するのは、ある意味興味深い実験的取り組みだと思うが、せめて、機能はガラケーでも外見はスマホに見えるような、そんな工夫をしないと売れないんじゃなかろうか。もう10年近く前に、インドでは「外側はスマホ、中身はガラケー」という携帯が町の電気屋で売られていた。やっぱり、カッコいいから携帯はここまで普及したと考えると、ふた昔前のノキアのガラケー的なのじゃ売れないと思う(ノキアのやつは懐中電灯機能が付いており、それはそれでとても便利だったが・・・)。

Work with People, not for People

 

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どうでもいいですが、左手は自分の手です(笑)

もう1年以上前ですが、「消費者からプロデューサーになる道とは?」というタイトルで投稿したように、”Handbook on ICT Policy for developing countries“という本(コペンハーゲンのAalborg UniversityのProf Knud Erik Skoubyなどが編者)のchapter募集に応募したら、選考にとおりまして、やっとこさ5月末にその本が出版されました。そしてその第9章に自分の論文が載っています(初期段階から相談にのってくれたこのブログの共同運営者のKanotとMaki、サンキューです〜)。

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内容は、IoT、AI、ビッグデータ、3Dプリンタなどの新しいテクノロジーがアフリカの発展に及ぼす負の影響にフォーカスしたものです。便利にはなっても、最終的に一番の利益を得るのは先進国の企業であり、途上国はお金を払うお客さん&お金になるデータを提供するユーザー、という立場にしかなれない可能性が高いという点や、先進国のメーカーの工場を誘致しても、工場そのものの遠隔操作やロボット活用によって、そこからの技術移転が望めない(=中国や東南アジア諸国のような製造業の発展モデルは成り立たない)という点などのリスクに言及してます。「じゃ、どうすれば良いの?」って点については、インターネットの世界やアプリ経済においてアフリカ独自のマーケットを確立すべく自国の起業家育成(←ルワンダみたいな)や、隣国との(一国ではパイが小さすぎる国が多いので)地域経済共同体としての独自マーケット確立に注力することが重要だろうといういう意見を、インドや中南米諸国のビジネス・インキュベーション政策やイノベーション促進支援政策を引き合いにしつつ書いてます。

例えば、Nollywoodと称されるナイジェリア映画を見るためのAfrinollyというアプリがあります。Youtube等でHollywood映画が無料で見れる時代でも、やっぱりナイジェリア人はNollywood映画も見たいってこと。こんな風に新しいテクノロジーについても、独自のマーケットへのユニークなサービス展開を促進する政策あれば、負の影響ばかりではなくなるだろうという意見です。

そう言えばつい最近、(信憑性はさておき)ガーナ大学の学生がYouTubeに競合する可能性のあるサーチエンジンを開発したというニュースがガーナの新聞(「19-year-old Ghanaian student builds search engine to rival Google」)に載りました。アフリカ諸国が先進国企業へお金を払うお客さん&お金になるデータを提供するユーザーという立場ではない、別の未来を期待したいです。

また、もう一年前に書いた内容なので、今となっては例示で使った事例等にちょと古い情報が多いなと思ったりしています。そして、今から付け加えられるなら、日本のODAでも「新しいテクノロジーをどう活かすか?」について途上国支援をするべきという論点を加えたいなぁ、と思ったりしています。

日本のODAの一つの主流として「日本の経験や得意分野の技術を途上国へ!」という方向性があると思います。「質の高いインフラ輸出」はその代表。それはそれで否定はしないですが、そろそろ「日本の経験」とか「日本の技術」が活かせない課題が増えて来る気がしています。そもそもOne fits all的なソリューションが上手くハマる課題はないし、誰も経験したことのない課題に直面している(これからする)のが途上国なんだと思います。なので、必要とされているのは誰かのお古じゃなくて、自分達に合ったソリューションを一緒に考えてくれるパートナーなんだと。そして、自国の経験や技術を他国に当てはめるのではなく、ゼロから一緒に考えることの方が、面白いんじゃないかと思います。まだインフラ分野でなら「日本の経験」が必要とされる国があるけれど、将来的には状況が変わるだろうと考えると、ICT分野で誰も経験したことのない課題について一緒にソリューションを考えるというスタイルの援助をやっていくことは、援助スタイルのオプションを増やす意味でも重要かと思ったりしています。

10年以上前、青年海外協力隊の訓練所で、「Work for PeopleじゃなくWork with Peopleが大切」という話を誰かから聞いたのですが、特にICT分野ではそいうスタイルの援助に途上国のニーズがあると感じています。

せどり@ガーナ

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どうもTomonaritです。ガーナ生活がピッタリ3年経ち、とうとう今日、日本へ帰国する日を迎えました。折角なのでガーナ生活の最後はガーナネタで締めたいと思います。

ちょうどここ最近、日本への引っ越しで色々と荷物を整理をしていました。同様に帰国などで不要品を整理する同僚や友人と話していたら面白いことを聞いたのでご紹介。

ガーナに住む外国人が不要品を処分するときに良く使っているのがaccraexpat.comというWebサイト。いわゆるヤフオク的なサイトで、使わなくなった家財道具、洋服、車などを希望販売価格、連絡先、写真等とともに掲載し、サイトをみて欲しい人が直接売主に連絡して交渉・売買を行うというもの。結構多くの外国人が利用してる。

最近、このサイトを利用している知り合い何人かに聞いた話では、アイテムを掲載するとガーナ人からの問い合わせがガンガン来るらしい。時には掲載して数分以内に来る問い合わせも。問い合わせ内容の多くは「んで、いくらまけてくれるの?」というもの。しかし、中には「何でも買い取るから、何かあれば今後、優先的に連絡してくれませんか?」的な人も。

一方、外国人ではなくガーナ人が主に利用している同様のWebサイト(例えば、tonaton.comなど)もある。興味深いのは、外国人御用達のaccraexpatよりもガーナ人が主に利用しているWebサイトの方が全体的に掲載されているアイテムの価格が高いという点。同様のアイテムでもガーナ人が主に利用しているWebサイトのほうが何故か高い値段が付けられているというのだ。

この理由は、外国人は基本的に価格交渉なしという前提で価格を付けたり、また、引っ越しで不要なので二束三文でもOKという価格を付けているのに対して、ガーナ人は価格交渉をされる前提で価格を決めているから。

そして、ガーナでも「せどり」で設けている人達がいる様子。前述したように、「何でも買い取るから、何かあれば優先的に連絡して下さい」的な人達は、自分が欲しくて買い取るのではなく、外国人が使用しているアイテム(自国から持って来ているモノなど結構良いものもある)を二束三文で買い取って、ガーナ人向けのWebサイトで利益を乗っけた価格で販売しているようなのだ。

ガーナの首都アクラに住んでいると、町ゆく人達の多くがスマホを使っているし、ネットもサクサクなので、こういう話を聞いても非常に納得感がある。でも、ガーナに来る前に聞いたら結構ビックリしただろうなぁ、などと思う。アフリカのICT普及の波は多くの日本人の想像以上に拡大・深化しているんだと改めて感じた、という話でした。

全然関係ないですが、冒頭の自画像は職場のガーナ人同僚が記念品としてくれたもの。どっからどうみても中国人だなぁ…(笑)でもありがとう(涙)

m-Agriculture成功の鍵は、どれだけ人が介在出来るか?

先日、ガーナのグラミン・ファンデーションが実施しているm-Agricultureプロジェクトの話を聞く機会があった。実際にプロジェクトを担当している方からの話が非常に興味深いものだったので紹介したい。

Achieving Impact at Scale through ICT-Enabled Extension Services (AIS) projectという名前のついたプロジェクトの話。グラミン・ファンデーションの他、カナダのIDRC、インド発祥のDigital Green、Farm Radio Internationalが連携して実施している。

携帯電話を使った農民支援というとパッと思いつくのが、農作物の市場価格や天気予報といった情報をテキスト等で農民に提供することで、農民が仲買人に作物を買い叩かれないようになったり、天候によるリスクを軽減出来たりというメリットがある、という話だ。しかしながら、今回聞いた話は、そういう取り組みと一味違った内容で面白かった。

グラミン・ファンデーションがいわゆる農業情報配信システムを開発し、市場価格や天気予報などの情報を配信するという点は同じ。ただし、単純に農民に情報を配信するのではない。

農民から農作物を買い付ける仲買人(Agent)に対して、プロジェクトから情報配信用のアプリが入ったデバイス(スマホ、タブレット)を提供し、仲買人が農民に対して情報をセレクトして配信する仕組み。仲買人は最初に各農民と面談し、農民の情報(氏名や性別等の基本情報、育てている作物、農業スキル、欲しい情報、等)を聞き取りシステムに登録する。仲買人は定期的に各農家を訪問しアドバイスを提供することが義務付けられ、訪問時には写真を取ったりメモを取ったりして、その情報はデバイスを通じて、サーバーにアップされる。各シーズンにいつ頃、誰を訪問するべきか?というタイミング(種まきの前とか、収穫の前とか)はアプリで知ることが出来る。アプリには、登録された農民情報から農民をグルーピングして「米を作ってる農家」、「メイズを作ってる農家」、のように作物で分類したり、「経験抱負な農家」、「経験が浅い農家」のようにスキルで分類したりする機能があり、仲買人は配信される情報の内容を見て、それが必要なグループに配信する。沢山の情報を一斉に全員に配信するのではなく、各農家に合った情報を提供する。アプリの言語は英語のみだが、農民の中には英語が出来ない人もいる。その場合は、仲買人は定期訪問時に現地語でアドバイスしたり、ポータブルのプロジェクターで動画を見せて説明したりする。

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農家→仲買人→大手バイヤーの全体にメリットを提供出来る仕組み作りが上手い!

 

仲買人は50件の農家を管理しており、このプロジェクトではガーナ中で約200名の仲買人を対象としている。つまり、200×50=10,000ということで、一万件の農家を支援しているわけだ。当初は仲買人は100件の農家を管理する想定だったそうだが、実際にやってみると定期訪問が大変で数を50に変更したとのこと。

「どうやって対象とする仲買人を選んでいるのか?」と聞いたところ、仲買人を選ぶのではなく、複数の仲買人から作物を買い取る大手バイヤーのなかから農民への一定の支援に協力的なバイヤーを選び、その下にいる仲買人が対象になっているということだった。農民が作る作物の質・量が向上することは、大手バイヤーにとってもメリットであり、また、大手バイヤーは肥料販売やトラクターのレンタルなどもやっているケースが多く、そいうサービス業の繁盛にも繋がる。仲買人にとっても農民が作る作物の質・量が向上することは、安定した買い付けが出来る点でメリットがある。より安くて質の高い作物を探して遠方まで買い付けに行くコストよりも、地元の農民を支援してニーズにあった作物を育てさせる方が効率的である。つまりAISプロジェクトは、農民だけを直接支援しているというよりも、「農民→仲買人→大手バイヤー」という農作物の買い取りシステム全体を支援しているような印象。

アイデアとして「質の良い作物を大量に買い取りたい」という大手バイヤーを巻き込んだところが、秀逸だと感じた。政府系の農業普及指導員を巻き込んでこのような取り組みをしても、農民のスキルは向上したとしても最終的に質・量が改善した作物を「誰が買い取ってくれるのか?」という出口が不明瞭だ。一方、このプロジェクトでは最初にその出口を確保し、そこから支援の対象となる農民が選ばれている。農民のセレクションではなく大手バイヤーのセレクションからという逆のアプローチは秀逸だ。さらに、政府系の農業普及指導員よりも、仲買人の方が利害関係から「農民に良い作物を作らせる」という目的に対してモチベーションが明確である。

また、プロジェクトは農民への直接的なトレーニング等は行わず、仲買人に対してのみ各種トレーニングを提供している。ダイレクトに農民に情報配信をするのではなく、農民と仲買人という既存の関係性の上に情報配信をプラスするという方法をとっている点や、情報配信をするだけでなく実際はフFace to Faceで仲買人が農民に現地語でアドバイスをしたり定期訪問したりする点は、「ICTはあくまでツール。ICTそのものがソリューションではない。」ということを具現化したようなプロジェクトだ。いくつかm-Agricultureプロジェクトの事例を見ると、やはり「どれだけ人が農民とICTの間に介在出来るか?」が成功・失敗の分かれ目になっている。ちなみに、ガーナのグラミン・ファンデーションには、何度かこのブログでも紹介した外山健太郎氏が活動していたインドのマイクロソフト・リサーチで働いたいたガーナ人がいました。そういう繋がりから、Digital Greenとも連携しているのかもと憶測。

気になるのは、この農業情報配信システムの利用料金を「誰が払うか?」だ。現時点ではIDRCの援助で成り立っているため、誰からも利用料金は取っていないとのこと。この援助がストップしたときの持続性はどうなのか?

この質問については、いつくかの案があるということだった。例えば、農民は現金を払うことに付いて非常に抵抗感が強いため、仲買人が作物を買い取るときに、作物の量を増やす等の方法でモノで払い(使用料金をさっぴいた買い取り価格にする方法も)、仲買人が現金で使用料金を支払うという方法が考えられる。また、別の案としては、最終的に質の良い作物を手にする大手バイヤーが使用料金を肩代わりする方法も。さらに、このプロジェクトは携帯電話での情報配信だけでなく、ラジオでの情報配信も行っていることから、トラクター貸し出し業や肥料販売などをしている会社(大手バイヤーと被ることもある)の宣伝をラジオに載っけて、その広告料でシステムの利用料金を賄うといった方法もありえる。

持続性については今後も色々と考えて行くという話だったが、上記の案はいずれも悪くないように感じた。ただ、これが援助でなくビジネスとして成り立つ場合、仲買人は自分が管理する農民をよりシビアにセレクトすることになる。例えば、肥沃な農地を持っている農民や一定のスキルのある農民を対象にした方が良いに決まっている。言い換えると、より恵まれない環境にある農民は、この仕組みに入れずに、お隣さんがより質の高い作物を作っているのを羨ましそうに見て、より格差が広がる…ということに。このプロジェクトでは、そういうことを避けるためにラジオを通じた情報提供を分け隔てなく行ったり、仲買人が農民をセレクトする際にバランスのとれたセレクションをするようにしているとのことだが、援助がビジネスに切り替わると、弱肉強食の世界にならざるを得ないだろう。まぁ、この手の話はまた別の機会に書きたいと思います。

今回、グラミン・ファンデーションの方から話を聞いて、人を支援するという視点ではなく、システム全体にメリットのある支援を考える視点の重要性を強く感じた。いやはや、とても勉強になりました。

最後に、Achieving Impact at Scale through ICT-Enabled Extension Services (AIS) projectの紹介がされているWebを見ると、もっと色々な情報が掲載されており、一部上記の話とも違う点(例えば、プロジェクトが対象としている仲買人は200ではなく220との記載)もありますが、生で聞いた話を元に上記は記載してみました。

消費者からプロデューサーになる道とは?

先日、ICT4D関連の本のChapter募集があったので、2〜3ページのプロポーザルを書いて応募してみた。デンマークの大学教授が編者となるこの本のタイトルは”Handbook on ICT Policy for developing countries”というもの。5Gに代表される最新テクノロジーが特にアフリカを中心とする途上国にどういう影響をもたらすのか?恩恵をうけるにはどんなICT政策が必要なのか?という結構大きなテーマの本。

ここ最近の自分の関心は、以前の投稿「IoT、ビッグデータ、AI、3Dプリンタ、ドローン、新たなテクノロジーは途上国を豊かにするのか?」で書いたように、ますます世の中を便利になる最新技術は、能力の高い個をエンパワーする一方で、相対的に能力の低い国そのものは期待ほど豊かにしないんじゃないか?という点。テクノロジーが発展し国境によるハードルや物理的な制約がなくなればなくなるほど、シンプルな競争が起きて、途上国は先進国の大企業の市場にしか成り得ず、自国の自力(技術力とか創造力とか)が発展しなくなってしまうのではないか?という懸念。

例えば、Googleは途上国での携帯電話やネット利用の普及のために、Android Oneという製品を展開している。これによって途上国の人々も手の届くスマホが販売されネットが使えるようになり、人々の生活は便利になるのだろう。そしてそれと引き換えに、途上国の携帯メーカーがAndroid Oneと組むことによって、自国でのAndroidにとって代わる製品が出て来る可能性はかなり薄くなるのかもしれない。

Amazonやアリババでネット越しに海外から何でも買えたり、データを購入すれば3Dプリンタにデータを流すだけで製品が作れるようになれば、途上国でも生活は便利になるが、消費者の立場から這い上がることはとても難しくなる。途上国でもIoTやビッグデータによって農業生産性や漁業の生産性が向上すると期待されているが、そのデータ分析ツールは先進国企業のクラウドサービスを使い、データは先進国のデータセンターに保存されるだろうか。

勿論、テクノロジーによって途上国の人達も先進国の人達と対応に競える同じ土俵には立ち易くはなった。AndroidやiPhoneが普及したからこそ、途上国の人達も簡単に自分達で作成したアプリを世界市場に向けて販売出来るようになったし、AMP Musicの取り組みのように、途上国発のプロダクトが世界市場にアクセス出来るようになった。

それでもApp Annieの調べによると、2015年に世界で売れたアプリTOP52のうち、日本・中国・韓国の企業が28社を占めており、その他は米国やヨーロッパで、いわゆる途上国の会社は入っていない。あれだけ人口の多いインドの会社もない。

自分が大学院で学んでいた当時(今から約10年前)、ICT4Dの失敗事例の多くは、先進国のソリューションを環境が全く違う途上国に持ち込んだことによって生じている、といった分析・主張をしている文献を多く読んだ。だから途上国には途上国に合ったソリューションが必要だという意見。それは正しいと思う。

でも今後は、というか既に、先進国の企業は、先進国でも途上国でも利用出来るソリューションを生み出し、それが世界中で使われるようになっている気がする。Facebook, Twitter, What’s up, などなど。ちなみにUberも2012年に南アフリカで使われ始め、その後、ラゴス、ナイロビ、カイロでも利用できるようになった。

当時の失敗事例の原因の1つに良く指摘されていた問題に識字率や現地語の問題がある。途上国のユーザは現地語を主に使っており英語があまり出来ないのに導入したICTシステムは英語にのみ対応していたとかいった問題である。しかし、今スマホを買えばかなりマイナーと思える言語まで対応しているし、FacebookでもGoogleでも相当な数の言語に対応している。動画やスタンプなど言葉がなくても通じるコミュニケーションもかなり発達してきた。そのうち途上国の環境に合うようにカスタマイズされたソリューションはそれほど重要じゃなくなるのかもしれない。そうなると途上国はますます消費者・ユーザの立場に落ち着いてしまう。さらに、得意の労働集約型のビジネスもロボットやAIに取って代わられてしまうのかもしれない。

そこで思うのが、「じゃ、どうしたら良いのか?」ということ。自国の技術力を高めるために人材育成に投資するとか、イノベーションを起こす為に産官学連携を促進するとか、そういった地味時な努力は重要だろう。そして、もう一つのアプローチとしていかに「独自の市場を確立するか?」という点じゃないかと思う。

M-PESA、Ushahidi、e-sokoなどに代表されるような途上国発のソリューションを生み出すのは簡単じゃないが、アフリカでは既になかなか個性的なアプリが誕生している。例えば、ガーナ発のmPedigreeというアプリは、偽物の薬か本物の薬かを見分けるツール。処方された薬についているシリアル番号を入力すると、製薬会社のデータベースに照会されて、それが本物かどうかがわかる。偽物が蔓延るアフリカにおいて、偽物を掴まされたくない消費者と偽物が流通することによって利益を損なう製薬会社のお互いのメリットをマッチさせた上手い仕組みだ。また、ナイジェリアのAfrinollyというアプリは、Nollywoodと称されるナイジェリア映画を見るためのアプリだ。いくらYoutube等でHollywood映画が無料で見れる時代でも、やっぱりナイジェリア人はNollywood映画も見たいってことなんでしょう。

単純にニーズといってしまうとシンプルすぎだが、文化とか嗜好とかを汲み取って、独自の市場を掘り起こし自分達にしか作れないサービスを発展させていけば、単なる消費者からプロデューサー(クリエイター、イノベーター)になる道が残されるのかもしれない。さらにECOWASとかEACなどの地域経済共同体としてそういう独自市場を発展させるというもの面白いかもしれない。

と、上記のような自分の関心をプロポーザルにして応募してみたら、嬉しい事に「じゃ、Full Chapter書いて見て。8000語!」という返事が来ました。嬉しい反面、8000語にチャレンジするのはかなり大変・・・(汗)。でも頑張ろうと思います。ということで、コメント、ツッコミ、有益情報など、何でも大歓迎ですので、こんな視点もある、あんな事例もある、というネタをお持ちの方、是非コメント下さいまし!

ガーナのオレオレ詐欺!?

ここ最近、ガーナの新聞で立て続けに携帯電話やモバイルバンキングに関する記事が載っており、なかなか興味深かったので紹介します。

ガーナのモバイルバンキング市場は?

そもそもどんくらいガーナで携帯電話やモバイルバンキングが浸透しているの?という点について、CGAPの調査でガーナとその他アフリカ諸国のモバイルバンキング市場状況が比較されてました。結果は以下のとおり。

モバイルバンキング口座登録者の割合(人口に対しての割合)

ガーナ:20%
ケニア:63%
タンザニア:38%
ルワンダ:23%
ウガンダ:33%

残念ながらガーナはイマイチです。そしてリーディングはやはりM-PESAのケニア。納得。ただ、ケニアやタンザニア等の国よりもガーナでモバイルバンキング利用者数が少ない背景には、ガーナは比較的多くの人が通常の銀行口座を持っているという事情がありそう。以下が成人の銀行口座保有者割合。

銀行口座保有者の割合(人口に対しての割合)

ガーナ:34%
ケニア:28%
タンザニア:21%
ルワンダ:16%
ウガンダ:14%

モバイルバンキング普及度が劣るガーナですが、モバイルバンキング口座登録者数は4.4 million、代理店は44,000あり、毎月380 million GHS(=約105億円)のトランザクションがあるとのこと。そして、こういうサービスが普及すると、それを利用した悪もはびこるようで、次の記事が新聞に掲載されていました。

ガーナ版オレオレ詐欺

偽造IDカードを使って登録・入手したSIMカードを使った犯罪が増えているそう。2016年2月4日のガーナ新聞「Daily Graphic」に、その中でも「ガーナ版オレオレ詐欺」と名付けたくなるような犯行についての記事があった。具体的には、知らない人からいきなり電話がかかって来て、「◯◯さんですね。◯年前に◯◯大学を卒業されて、◯◯企業でXXのお仕事をされていると聞いていますが・・・」と、何故か相手は個人情報を知っている。そして、ある会社からの仕事のオファーや引き抜きを装って、仕事が欲しければ紹介料として金をモバイルバンキングで送金しろと言う。しかし送金後に相手に連絡すると、「この携帯番号は現在使われておりません・・・」状態になっている。個人情報の入手方法は色々とあるようだが、組織的な犯行の場合も多く、仕事に困っていたり良い仕事を欲している者達は、ついこの手の詐欺に引っかかってしまうらしい。

国際電話料金のちょろまかし

不正に登録・入手したSIMカードを使った犯罪として、国際通話を国内通話にすり替える方法もある。自分は技術的なことは詳しくないのだけれと、SIM Boxなる装置を用いてそういうことが出来るらしい。実際、ガーナの新聞でもSIM Boxを用いて国際通話料金をちょろまかしている会社が摘発されたという記事が掲載されていた。SIM Boxは遠隔操作も可能なため、警察としては犯人探しが大変で、2010年から2015年7月までの国際通話の損失は52 million USDにものぼるとのこと。ちなみに警察側もこのような犯行を調査するために特別な装置を使っているとのこと。アフリカといえど、なんだがサイバーな感じ。この記事を見たときに「SIM Boxってなんだろ?」とWikipediaを見てみたら、国際通話料金のちょろまかしに使われる事もあると書いてあり、その例示でガーナの名前が上げられてました。なんか不名誉な感じ。

以上3つの記事の紹介でした。便利になるのは嬉しいけれど、それに絡んだ犯罪も増えて来るとは先進国も途上国も万国共通の課題。法や規制の整備とか、それを管理監督する機関の能力向上、そして、通信業者や町のモバイルバンキングサービス提供エージャントといった上から下までを含めた対策が必要になってきてます。

サイバーセキュリティ in Africa

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ガーナの首都アクラでサイバーセキュリティに関するシンポジウムがあるという話を友人に聞いて、行ってみることにしました。

このシンポジウムはFIRST (Forum of Incident Response and Security Teams)が主催するもので、2日間のトレーニングのあとに最後にセミナー1日というもの。自分は最後のセミナーに参加してみようと思います。なんでまたガーナなのかな?と思ったら、「アフリカのインターネットの父」と呼ばれるNii Quaynor教授はガーナの人なのでした。

嬉しいことにこのシンポジウムを運営しているコアメンバーは日本のJPCERTの小宮山功一郎氏なのです。アフリカのサイバーセキュリティに関して実は日本が協力しているとは、知る人ぞ知る的な分野じゃないでしょうか。Africa CERTのWebサイトを見てみるとパートナーとしてJPCERTの名前がのっており、そして、小宮山さんのアフリカでの活躍は以下のWebなどでも取り上げられています。

サイバーセキュリティ・アフリカ(4)セキュリティ外交ことはじめ

以前もこのブログで書いたことがあるけれど、サイバーセキュティ分野は、宗教色や民族色、政治色が薄い日本だからこそ他の国々から頼りにされる分野なんじゃないかと思います。あまり知られてないかもしれないですが、JICAでもインドネシアで情報セキュリティ能力向上プロジェクトという技術協力を行ったりしてます。

今、ガーナにいるとこっちではある程度大きな会社のWebサイトとか、政府系機関のWebサイトなんかでも閲覧することでウイルス感染しちゃうような事情もあり、意外なことに日本にいるときよりかもサイバーセキュリティの重要性を感じることが多くなりました。

ここ最近、日経新聞では金融とテクノロジーの融合による新たな可能性として「FinTech」に関する記事が良く取り上げられていますが、ICTが金融をはじめとするより重要な分野に使われて行くことを考えると、とりわけ途上国ではサイバーセキュリティがネックになっていくのではないかとも。M-PESAをはじめアフリカで普及しているモバイルバンキングについても、ある日システムがハッキングされて大きな被害が出たら、あっと言う間に廃れちゃうかもしれないと感じます。

そんなわけで、9月30日はこのシンポジウムで色々と勉強して来たいと思います。