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Microfinance

FinTechとマイクロファイナンス

FinTechマイクロファイナンス

「FinTech」という用語を目にする機会が増えて来たように感じます。日経新聞の説明によれば、FinTechとは以下のとおり。

「金融(ファイナンス)と技術(テクノロジー)を組み合わせた造語。金融とIT(情報技術)を融合した技術革新を指す。ITに秀でたベンチャー企業の技術を生かし、便利な金融サービスを創出する。ゲームで優待ポイントを獲得できるスマホ用アプリを配布し、銀行が来店者増を狙うような使い方が想定できる。」

IBMやNTTデータがこの分野のアプリ開発に乗り出したとか、日本の金融機関(みずほ銀行)も乗り出したとか、日本の金融庁が法整備に動き出したetc. 色々な記事が日経新聞で出ています。

一昔前は、P2Pレンディングとかソーシャル・ファイナンスといった用語でKivaに代表される個人がマイクロファイナンスへ出資出来るWebサイトが呼ばれていたけど、その後、ケニアのM-PESAをはじめモバイルバンキングとか最近はもっと広い範囲でICTを金融に活用する仕組みが普及してきたってことで、FinTechなんて用語が出て来たんだろうと思います。

と、ここまでが前振りでこっから本題。「Living in Peace」という途上国でのマイクロファイナンス事業を展開しているNPOが、10月25日(日)に千駄ヶ谷で「マイクロファイナンスフォーラム2015」というイベントを開催します。そのテーマがまさに「マイクロファイナンスとFinTech」というもの。以下、Living in Peaceのサイトからの引用です。

“フォーラムでは、Fintechの概要や開発途上国での導入の状況、実際にその導入に取り組んでいる当事者の声などをお届けし、Fintechをマイクロファイナンスに活用することによる利点や課題、今後の展望等を考えます。

最終的には、Fintechが開発途上国のみならず金融分野全体に活用されることを通して、「既存サービスがテクノロジーに代替されることにより見えてくる世界の形」についてまで議論を広げられればと思っております。”

そして、このフォーラムでありがたいことに自分も「途上国開発とICT」というテーマで登壇させて頂くことになりました(ちょうど10月下旬に日本に一時帰国するっス)。根っからの経済音痴で金融って分野にはかなり縁遠い人生を歩んで来たんですが、途上国開発におけるICT利活用の現状や課題について発表させて頂きます。これを機に、自分も他の登壇者の方々から、勉強させてもらおうお思ってます。もし、関心ある方は、Living in PeaceのWebサイトをチェックしてみて下さい。

ガーナ携帯電話事業者TigoがIFCとMasterCard Foundationの支援を受けモバイルマネー普及促進

MDG Tigo sign in Accra, Ghana

本日、ガーナの新聞を読んでいたら、面白い記事があったのでご紹介。

ガーナの携帯電話事業者Tigo(Tigoはガーナでは3番手のシェア(約15%)を占めている携帯電話事業者)が、世銀グループのIFCとMasterCard Foundationの支援を受けて、モバイルマネー普及促進活動に力を入れるとのこと。支援金額は2百万USDで、IFCがTigoに対してビジネス展開のためのアドバイザリーサービスも提供するという。IFCのWebサイトにも載っていました。

新聞によると今回の支援は、IFCとMasterCard Foundationが実施するサブサハラアフリカにおけるマイクロファイナンスとモバイルマネー(貧困層でも利用可能な金融サービス)を促進させるジョイントプロジェクト(総額37.4百万USD)の一部ということ。

ガーナにおいて成人の29%しか銀行口座を持っておらず、低所得者層においてはその数は15%だという。今後、より多くの人々が金融サービスを使えるようになることが期待される。

ふと、Tigoについて調べていたら、もう一つ面白い話があった。

globaldevelopmentというサイトによると、Tigoは携帯電話利用者に対する保険サービス提供を始めたパイオニア的存在である。どいうことか?

シャア争いに鎬を削る携帯事業者は、顧客離れを防止するため・新規顧客獲得のために、様々な策を打っているわけですが、なかでも利用者に保険サービスを提供するという手法をTigoが2011年ころに始めたという。顧客は、保険料を払うことなくTigoの携帯を使うというだけで、自分自身及び家族1名までの生命保険に入れるというもの。同サイトの記事によると、死亡時に受け取れる金額は104USDから520USDでその額は顧客が毎月使っている通話料に比例して決まる。

スイスの会社等と連携してこのサービスを始めたところ、好調だった様子だが、MTNなど同業他社も同様のサービスに乗り出して来ているという。

こうしてみると、携帯電話を通じての送金サービスから保険まで、組み合わせの可能性は沢山あるのだと気づかされる(e-sokoのような農業情報提供や母子保健情報提供なども)。GoogleやFacebookがプラットフォームとしての位置を確立して儲けているように、携帯電話も途上国開発におけるある種のプラットフォームになっているのだと改めて思う。次はどんなサービスが始まるかな?

本の紹介「グラミンのソーシャル・ビジネス」

グラミンのソーシャル・ビジネス

大杉卓三、アシル・アハメッド著「グラミンのソーシャル・ビジネス」という本の紹介です。大杉先生とは神戸情報大学大学でお会いして、そのときにこの本を頂きました(どうもありがとうございます!)。大杉先生といえば九州大学などで日本でグラミンとの連携を牽引する第一人者として知られていますが、流石、いろいろと「グラミン=マイクロファイナンス」だけじゃない視点から興味深い情報満載でした。

グラミンの取組は、ICTに絡まない活動(例えば、グラミン・ダノン(ダノンヨーグルトの仏ダノン)とか、日本との連携で言えば、グラミン・ユニクロやグラミン・雪国まいたけ等)も多くありますが、自分自身の備忘録的に、この本からICT関連の取組を以下まとめてみました。

  • グラミンフォン

言わずと知れた携帯電話事業。グラミンフォンはテレノール、グラミン・テレコム、丸紅、ゴノフォンが出資して誕生した。この本を読むまで、ノルウェーのテレノール(←最近はミャンマーの通信事業者に参入するって話題で良く耳にします)や日本の丸紅が出資していたということを知らなかった。しかも株式の61%をテレノールが保有しており、グラミン・テレコムは38%だったとは。
グラミンフォンの取組は「ビレッジ・フォン・プログラム」や「ビレッジ・フォン・レディ」、このブログでも以前紹介されている「インフォ・レディ」など良く知られているので説明は不要かと。面白いのは、「ビレッジ・フォン・レディ」の発送は、牛を携帯に置き換えたという点。マイクロファイナンスで資金を借りて牛を購入し、牛乳を売って返済するというモデルの牛が携帯になったということ。ICTを使ったサービスといっても「牛→携帯」の置き換えがアイデアになっている。他にもこういう視点で新しいICTサービスが出来そうな気がする。
その他にも、「コミュニティ・インフォメーション・センター」というテレセンター的な事業もやってる。(グラミン・テレコムとグラミン・コミュニティも共同で「グラミン・インフォメーション・キオスク」ってのをやっている)

  • グラミン・シャクティ

太陽光発電システムなどの販売をしている。1464支店を持ち1万1000人を雇用している。また、グラミン・テクノロジー・センターでは、女性を対象に太陽光発電システムの部品製造やメンテナンス等の技術指導を行い雇用創出を実施している。ソーラーパネルには日本の京セラ製品が使われているという。
知らないところで日本企業の製品が頑張っているんだなぁ。

  • グラミン・インテル・ソーシャル・ビジネス

CPUメーカーの米インテルとの合併企業(2009年設立)。インターネットや携帯電話を使ったソーシャル・ビジネスをインドとバングラで展開。母子保健のプロジェクト等を実施しているという。
インテルといえば、Classmate PCとかOLPCからの撤退(Classmate PCと競合しちゃうからね)といったようにICT4D分野でのアクターの一者であるものの、あまりパッとしないイメージでしたが、グラミンとの合併企業もやっていたとは。

  • グラミン財団テクノロジー・センター

ICTを活用した貧困削減についての研究所。AppLabというプロジェクト(Application Laboratoryの略)をウガンダ、ガーナ、インドネシア、ラテンアメリカ、カリブ海地域で展開。AppLabは、モバイル・アプリやサービスの開発を行って、地域の開発課題へのソリューションを提供しようとしている。以前、このブログでもウガンダのプロジェクト例「Community Knowledge Worker」を紹介してましたが、農業分野以外にも、モバイル・マネー、ヘルスケア、マイクロフランチャイズ(小規模企業支援)、といった4分野でプロジェクトを行っている。
特にヘルスケア分野では、今度自分が行くガーナの例が取りあげられていたので紹介したい。
MOTECというプロジェクトで、妊婦を対象とした情報配信&カルテ情報管理を行っており、USAIDやゲイツ財団などの支援を受けている。また、ガーナでは世銀の母子保健プロジェクト「Every Woman Every Child」の助成金で、携帯を活用した母子保健ソーシャル・ビジネスモデルの開発も行っているという。

以上、本からの情報をICT4D絡みでまとめてみました。
これからガーナに行くので、意外とガーナでも活動されているというのが個人的には最も関心が高いところ。こういう取組がどういう結果になっているのか実際に知ることが出来たら面白そうです。

しかし、知れば知るほどグラミンの凄さをに驚きます。この本を読んでみて、自分もそれになり知っているつもりでいたのですが、それでもかなり知らないのだということに気づかせてもらいました。

Grameen Applab

CKW-Project-Ag1

マイクロファイナンスで有名なグラミン銀行がGrameen Applabといういう取組を実施している。Gates Foundationから資金を得たり、マイクロファイナンス研究機関のCGAPや各国の携帯事業者と協力してウガンダ、ガーナ、インドネシアなどで、農業、保健、マイクロファイナンスといった分野のプロジェクトを行っている。へーっと思ってWebを見ていたら、ウガンダのCommunity Knowledge Workerというプロジェクトを紹介するYoutube動画を発見。閲覧回数がまだ2回(少なっ!)だったのでご紹介したい(結構面白い動画で良く出来てると思いうのですが、可哀想なことに閲覧回数が2回とは・・・)。

見てもらうとわかるように、このプロジェクトはウガンダの携帯事業者MTNやGoogleと協力して、農村部の人々に農業関連情報を提供するというもの。具体的には、Community Knowledge Worker(CKW)と呼ばれる情報提供担当者を各地において、彼らにスマートフォンを提供する。場合によっては携帯充電用太陽光パネルのキットも供与しているようだ。村人は牛が病気だとか困ったことがあったら、CKWのところに行って質問すると、CKWはスマホで関連情報を調べて教えてくれる。スマホで情報を調べるときには、CKW用に開発されたデータベースシステムを使っている。データベースには、35種類の農作物、家畜7種類、天気予報、市場情報、交通機関情報、モバイルマネー取扱店の場所などに関する35,000以上の事項に関する助言がリアルタイムに蓄積されている(この動画後半では、実際にスマホの画面でどうやって情報を検索していくのか見られるので、イメージがつかめます)。2010年から開始され、現在は800名のCKWがいるという。

一昔前、バングラデッシュで携帯電話を貸し出すためのグラミン・レディ(テレフォン・レディ)という取組が始まったけど、固定回線がないような村で携帯電話を貸すことが中心だった。そこから、一歩進んだのがCKWのような取組だろう。依然、このブログでもKnotが紹介したバングラのInfoladyも似ている。グラミン・レディは2006年位に始まったが、携帯端末が行き渡った現在は活動をやめている。携帯貸し屋さんから情報屋さんへの変化。次は何屋さんが出てくるだろうか。

小型のモバイルプロジェクターなんかも安くなったので、携帯とモバイルプロジェクターで移動紙芝居屋さんならぬ、移動映画屋さんとか、オープン教材を使った移動塾・家庭教師など、なんか色々と可能性がありそう。と、書いていたら、モバイルプロジェクターが欲しくなってきた、台風も弱まって来たので電気屋さんに行ってこうようかな~

モバイルバンキング神話は本当?

マンチェスター大学でICT4Dを学んできた知人(Takano氏)の修士論文を、この年末年始に読ませて頂きました。いやー、英語の長文を読むのは久しぶりだったのですが、非常に面白かったので苦なく読むことが出来ました。その論文はモバイルバンキングについてのものであり、とても示唆に富んでいると感じたので、内容について以下ポイントをご紹介したいと思います。

ケニアのM-PESAによってモバイルバンキングが注目を浴びたのは、ご存知の方も多いと思います。実際、ケニアで2007年3月にサファリコムがM-PESAサービスを開始してから、グングンと普及していき、2010年には利用者は1千万人を突破し、人口の40%が利用していることに。さらに、2012年にはケニアのGDPの約15%にあたる金額が同サービス上でやりとりされているといった統計もある。そして、M-PESAで火がついたモバイルバンキングサービスは、他の国へも波及し現在は世界で140を超えるサービスが存在する。なかでも特にアフリカ諸国への波及効果は大きく、世界のモバイルバンキングサービスの約半数がアフリカ諸国を対象としたものである。

モバイルバンキングによって、これまで金融サービスを利用することが出来なかった貧困層(銀行口座を開くために必要な身分証明書がなかったり、口座を保有するためにかかる費用が払えなかったり、そもそも銀行が近くになかったり…といった人々)も送金や貯金といったサービスを簡単に利用することが可能になった。送金により海外や都市部の親類から支援を受けられることで、身内の不幸などで急にお金が必要になったときに高利貸しに金を借りたりしなくて良くなったなどといった直接的なメリットに加え、送金履歴が定期的収入の証明になり、そこから小額融資を受けられるようになるなど、そのメリットは大きい。

と、ここまでの話を聞いていると、アフリカにおいて携帯電話の普及率が劇的に伸びている背景なども考慮すると、「いいね!」を押したくなる感じ。ケニア以外のアフリカ諸国でもモバイルバンキングが普及して、貧困層の生活向上につながるのだろうと思われる。しかし!「そんなに楽観的じゃないんじゃない?」というのが論文の問題提起。いわゆる「モバイルバンキング神話」に疑問を投げかけている。
そして、モバイルバンキング普及の成否要因を分析するためのフレームワークをとして、Access Frontier Model(Porteous 2005)とDiffusion of Innovation Theory(DOI)(Rogers 1983)をミックスしたフレームワークを提案している。

Access frontier model
Access Frontier Model

Source: Adapted from Porteous (2005) by Takano (2012)

Explanation of m-banking influential factors

Explanation of m-banking influential factors

Source: Brown et. al. (2003)

まず最初の「Access frontier model」が意味するのは、MARKET CAN REARCHというエリアが上に広がって行けばいくほど、サービスが普及しているということ。一方、下の表「Explanation of m-banking influential factors」ってのは、モバイルバンキングサービス普及の成否に影響する主な要因を9つに整理したもの。この2つをミックスした以下のフレームワークを論文では提案されており、これにはとても感心・共感出来るものがあります。

Conceptual Framework of the Research

Source: Developed from Porteous (2005) and Brown et al. (2003) by Takano (2012)

そもそも携帯電話の普及度合いがある程度進んでいないとビジネスとしてのモバイルバンキングは成功しないという要因は誰でもすぐ見当がつくもの。ただ、Complexity、Risk、Self-efficiencyといった要因に関しては、現金の送付や銀行へ行って依頼する送金でなく、「携帯電話で送金するという仕組みそのもの」を理解出来るか(信用できるか)に関連しており、その理解力は教育レベルや以前に金融サービスを利用した経験があるかによるとこが大きい。提供されるサービス種類や料金形態についても同じことが言えるだろう。M-PESAでは送金受取人は代理店(キヨスクのような小さい商店)で現金を受け取るが、代理店にたまたま現金がなかった場合に、M-PESAというサービスそのものやサファリコムが苦情の対象になったり、信頼度が落ちるということはなく、あくまでも準備が悪い代理店への苦情に留まるらしい。こいうったブランド力・信用力をどう普及出来るかといった点もサービス普及の要因といえる(Facilitating conditionの観点)。また、ユーザ(貧困層)がどういった金融サービスを必要としているのかといったニーズを把握し、ニーズにあったサービス展開が必要である(Compatibirityの観点)。例えば、送金サービスに特化して開始したM-PESAに対して、南アフリカのモバイルバンキングサービス「Wizzit」は銀行が提供するように幅広いサービスメニューを用意したものの、貧困層はそんな幅広いサービスを欲していない(利用するほど貯金がない)という現実との乖離があった(→ビジネスとして上手くいってない)という調査結果もある。

このように見て行くと、単純にモバイルバンキングサービスが開始されれば、これまで銀行口座を開けずに金融サービスにアクセス不可能だった貧困層も金融サービスが利用可能になり、且つ、携帯電話会社も儲かるといったBOPビジネスの成功事例が築ける・・・といった「モバイルバンキング神話」は簡単には実現しえないことがわかる。実際、ケニアのM-PESA以外にモバイルバンキングが大成功しているという事例はあまり聞かないし(ロールモデルがないという指摘もある)、モバイルバンキングを対象した調査の多くが、携帯電話会社や支援した援助機関関係者が調査に参加していることから十分な証拠や検証なしのまま、その効果を肯定的に結論付けているという指摘もある(Duncombe and Boateng 2009)。

以上、紹介させて頂いた論文では、モバイルバンキングというと、ついつい携帯電話というテクノロジーに注目してしまうが、そもそもモバイルバンキングは金融サービスというビジネスであるのだから、金融サービスとして成功するのか否か、そしてその成否の要因は?といった観点からも分析・検証が重要であるということを示唆している。「ICTはあくまでもツール」という視点は常に意識しておかねばと、改めて感じました。

最後に、論文の内容をブログに掲載することに快諾頂いたTakanoさん、どうもありがとうございました。非常に興味深い内容を共有して貰えて感謝しています。

【Reference】
Brown, I., Cajee, Z., Davies, D. & Stroebel, S. (2003) ‘ Cell phone banking: predictors of adoption in South Africa – an exploratory study ‘, International Journal of Information Management, vol. 23, no. 5, pp. 381 – 394.

Duncombe, R & Boateng, R (2009) ‘ Mobile Phones and Financial Services in Developing Countries: a review of concepts, methods, issues, evidence and future research directions ‘, Third World Quarterly, vol. 30, no. 7, pp. 1237 – 1258.

Porteous, D.  (2005) ‘ The Access Frontier as an Approach and a Tool for Making Markets Work for the Poor ‘, DFID Policy Division [Online].

Rogers, E. (1983) Diffusion of Innovations, Free Press, New York.

Takano, M. (2012) The potential of mobile banking to expand access to financial services for the unbanked in Africa: Case study in Malawi, A dissertation submitted to the University of Manchester for the degree of MSc in ICTs for Development.

世界銀行が提供するマイクロファイナンスの遠隔研修

もう結構前(2000年)に世界銀行のイニシアチブとして始まったグローバル・デベロップメント・ラーニング・ネットワーク(GDLN)というのがある。世界中(120以上の拠点)をテレビ会議でつなげて効果的な研修とか援助関係機関の情報交換などを実施ている。そのなかでアジア太平洋地域の中心拠点は日本にある(東京開発ラーニングセンター(TDLC))。

このGDLNを活用したマイクロファイナンスの研修コースがあるのでご紹介。TDLCの方に聞いた話では、途上国からの本研修の参加者は、このCertificateを武器に結構出世したりするケースもあるらしい。ICTを活用した遠隔教育・遠隔協力の好事例とも言えますね。日本でも受講出来るのでご興味ある方は申し込んでみてはいかがでしょうか。11月12日まで受付中とのこと。以下、TDLCのWebサイトのコピペです。

マイクロファイナンス・トレーナー・コース 8 (MFTOT 8) 受講登録受付開始

ビデオ会議、オンライン指導など組み合わせ学習

2011年12月 – 2012年4月

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アジア開発銀行研究所(ADBI)、東京開発ラーニングセンター(TDLC)、そして新しいパートナーの中国国家開発銀行(CDB)のコラボレーション・プログラム、第8回マイクロファイナンス・トレーナー・コースが平成23年12月~平成24年4月に開催されます。

2005年2月に始まったマイクロファイナンス・トレーナーズ・コース (MFTOT) は、マイクロファイナンスの実務家の研修を通じて、アジア大洋州地域のマイクロファイナンス機関の能力強化を目指すユニークなプログラムで, 過去7回で総計51カ国から694人のトレーナー資格認定者を生み出しました。 本コースでは国連資本開発基金(UNCDF)が開発した教材(CD-ROM、テキスト)を使用し、学習管理ソフトの Moodle上でトレーナーとして認定されたチューターによるオンライン指導と共に、国際的なマイクロファイナンスの専門家によるビデオ会議での講義を組み合わせたブレンデッド・ラーニング手法を取り入れた効果的な学習方法で、 UNCDFが開発した学習教材Microfinance Distance Learning (MFDL) Courseのトレーナーを育成します。

このコースは、学習管理ソフトの Moodleを活用し、以下の媒体を組み合わせて実施いたします。

MFDL テキスト、CD-ROMによる自習
UNCDFが開発した教材で、マイクロファイナンス事業の成長、低所得層に対する持続可能な融資の手法などについて解説しています。アジア、南米、アフリカで成功した事業者を例に、最適な運営方法についても学びます。

チュターによるオンライン指導とウェブを介したディスカッション
本コースでトレーナーとして認定されたチューターが、コースの期間中オンラインで個別指導にあたります。

国際的な講師陣のビデオ会議による講義
ビデオ会議による3時間の講義が計4回行われます。会場はコース参加各国のGDLN センターです。 講師は国際的なマイクロファイナンスの専門家で、最近の動向を交えた実務的な内容に焦点をあてます。また、当日の模様はウェブキャストでもご視聴いただけます。

コース終了時には、受講する目的や課題の成績に見合ったトレーナーの資格認定書、またはコース完了認定書が受講者に授与されます。

コース内容、参加対象者、参加費、スケジュール、登録方法などの詳細は、TDLCウェブサイト上にある MFTOT 8英文プログラムページおよび Moodleコースウェブページ(英文)をご覧ください。

11月12日までオンライン参加登録受付中です。

【本紹介】アフリカビジネス入門

最近、仕事環境が変わったため、なにかと忙しくブログ更新をサボっておりました。久々の投稿です。
アフリカビジネス入門」という本を読んだ。著者は以前このブログでも紹介した東アフリカ・ソーシャルベンチャー・プロジェクトを展開している芝陽一郎氏。Rising Africaというアフリカの今を伝えるWebサイトもやっている方です。昨年実施したオフ会でお会いしたときに、そのうちアフリカビジネス本を出版すると言っていたので、発売後、早速買って読んでみました。

アフリカ滞在経験があり、さらにアフリカビジネスに興味がある自分にとっては非常に面白くためになる内容でした。特に、ICT分野に関する情報が多く、
“IT大国インドのインターネット利用者数8100万対して、アフリカは1億1093万人と、利用者数はアフリカ全土の方が多く、利用者の成長率もインドを上回っている。(p47)” とか、
“情報通信分野については民間資金からの流入も相次いでおり、同分野の民間の投資割合は46%と他業種に比べて圧倒的に大きい。(p158)”
といった分かりやすい記述で、様々なデータを用いてアフリカの可能性を説明しているところが素晴らしい。色々なメディアで、アフリカの可能性や携帯電話の急速な普及に代表されるアフリカのICT分野の可能性といったことを耳にしているけれど、まとまったかたちで裏付けとなる最近のデータとともに分かりやすく説明されている本は日本語ではなかなかないんじゃないだろうかと思った。

もう一つ読んでいて共感出来た&勉強になった点としては、アフリカでビジネスをやる「厳しさ」についてだ。ケニアナッツカンパニー創業者からの「絶対に騙されると思え!」という言葉や、著者自信がケニアでのビジネスに取り組むなかで経験した厳しい現実(→“アフリカで投資をする場合に考慮しなければならないのは、貧しさゆえの底なし沼的な恐怖だ。(p192)”という表現が印象的だった)についての内容だ。

自分はビジネスをしたことはないけれど、エチオピアにいた頃にエチオピア人にお金(現地人にしては高額)を貸したり(勿論、まだ返ってこない)、土地を購入したり(役所への賄賂や前地主との交渉で揉めたり)、家(現地的な家ですが…)を立てたり(仕事を依頼した現場監督と揉めたり)、とお金に絡む難局(本に書かれているような規模と比べれば、かなり小さな話ですが…)を経験したことから著者の主張に非常に共感出来たし、そこで成功をおさめるためには相当の覚悟が必要なのだと改めて感じた。

この本を読んで、もっと考えさせられたことは沢山ある。例えば、(この本のオビにちょっと前に読んだ「援助じゃアフリカは発展しない」(ダンビザ・モヨ著)という本の紹介が書いてあったこともあり、)アフリカの発展にとって援助とビジネスのどっちが重要かやそれぞれの役割、関係性などについてなど。でも、自分のなかでも整理が出来ておらず書くととりとめがなくなってしまうので、この辺で。

最後に、援助でも全く同じことが言える点が2つあったので、ご紹介。
“相手とは前提を共有していないという事実を理解し…(p228)”
“自国のサービスモデルを持ち込むのではなく、徹底的に顧客の声に基づいたボトムアップでビジネスをデザインすることが重要(p224)”

大変ためになる本でした。