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貧困層への支援は現金支給がいい?

こんにちは、Kanotです。今回は途上国の貧困層の支援は援助機関・NGO経由ではなく現金(ベーシック・インカム)支給が効果的である!という議論を呼びそうな活動を行っているNGOを紹介したい。

実施しているのはGiveDirectryという組織で、具体的な仕組みとしては、まず途上国の極度に貧困なエリアを探す(現在はケニアの農村部のみ)。次に支援対象の住民を選び、賄賂等にお金が使われなそうか一定期間モニタリングする。支援対象に決まったら1,000米ドル(ほぼ1年分の収入!)をM-PESAで携帯送金する。そしてその後、そのお金が有効に使われているかをモニタリングする、というものである。借金ではないので返済義務は生じない。

これまでの途上国での貧困層へのアプローチというのは、たいてい政府や援助機関やNGO経由で行われてきた。基本的には現金は避け、蚊帳や保健・教育サービスなどの支援が多かったと思う。一方で、寄付金などで集められた資金が貧困層にきちんと届いているかというと、当然ながら援助機関やNGO職員の人件費や広報にある程度使う必要があるため、貧困層へのサービスに使われる前に目減りしてしまう。

「目減りするくらいだったら、途上国の貧困層に直接現金を送ったほうが効果的なのではないか?」と考え、政府・援助機関・NGOをすっ飛ばして、ケニアの住民に直接現金を送る活動をしているNGOがGiveDirectryである。Chairmanは若手の経済学者でアドバイザーに教授職の人たちが名前を載せるなど、ややアカデミック色の強い印象がある一方で、Googleなどからも資金援助を受けている。

現金(ベーシック・インカム)支給については、日本でも生活保護という現金支給について賛否両論あり、フィンランドやスイスでもベーシック・インカム導入に関して様々な議論が行なわれている。これらに関する主な批判的なコメントとしては、現金をもらえてしまうと勤労意欲が減少し、経済的にはマイナスである、というものである。

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GiveDirectlyでは、現在の資金援助の仕組み・非効率さに疑問を投げかけており、上図のように、これまでの援助機関やNGOが間に入って目減りするくらいであれば、携帯電話を使った送金で直接送ってしまったほうが実は経済開発に与える効果は大きいのではないか?というものである。(上図のgifアニメがうまく見れない方はこちら

実際に1年分の現金を無償で受け取った住民はどのような行動をとるのであろうか?酒やタバコに使ってしまうのだろうか?店を開いたりするのだろうか?何かに投資したりするのだろうか?

この効果の検証にはRCT(Randomized Control Trial:ランダム化比較実験)という手法が用いられている。RCTは開発経済学では現在よく使われている手法であり、統計や計量経済学を学んだことがある人は聞いたことがあるかもしれない。簡単に説明すると、効果測定のバイアスを小さくするために、一定規模のエリアでランダムに(これがミソ)被験者を選び、その中で2つのグループ(現金支給グループと支給しないグループ)に分けて効果を比較するというものである。Googleなどが新サービスの検証に使っているA/BテストもRCTの一種である。

さて、GiveDirectlyに話を戻すと、HPに効果も説明されていて、34%が収入増、52%が資産増、42%が子供に食べさせられない日が減少、そしてタバコやアルコール消費が増加した世帯は0%、という結果が出ているという。従来の性悪説(もらったら使ってしまうに決まってる)に基づく援助概念から見るとにわかに信じがたいデータだが、正しく使いそうな人だけにあげている(選定のバイアス)や、開始数年ということで長期的データがないことなどから、本当に効果があるかの検証にはもうしばらく時間(モニタリング)が必要と考える。

ただ、私は彼らのHPと彼らの論文を見た時に、ちょっとした憤りを感じた。彼らの「直接支援のほうが効果が高いのでは?」という思想に反対するつもりはないが、やり方が実験的すぎる。つまり研究として興味深いのは事実だが、社会実験の度を越えているのでは?、という懸念である。まず、1年分の収入を携帯送金で送ってしまうというのは、その人の生活を壊してしまう可能性がある。例えば、タバコ・酒・ギャンブルなどに浪費して生活が変わってしまう可能性、一時収入に喜んで仕事を辞めてしまう可能性、などは十分にリスクとして想定できる。そして支援を得た情報を周辺住民が得た時に、(日本でも宝くじのケースで聞くが)周りとの人間関係がおかしくなってしまう可能性だって十分にありうる。特に人間関係に悪影響が出た場合のインパクトは、途上国のコミュニティでは致命的である。彼らの論文を読むと、現金を一度に送る場合と複数回に分けて送る場合も「比較実験」していて、意義は分かるものの「なんだかなぁ・・」という疑念は拭えない。

現時点では負の影響は出ていないと言っているので、すべてただの杞憂なのかもしれないが・・。そしてこれまでの援助の常識が非常識で、彼らの仮説が正しいのかもしれないが・・。いずれにせよ、非常に興味深い活動ではあるので、今後も注意深く見ていきたいと思う。

追記(2016/4/24)
いただいたコメントの中で、「アメリカで社会保障を唱える人の論理で多いのは、貧困そのものを問題視するよりも、能力があるのに貧困にとどまってしまっている人が存在することへの問題意識のほうが大きい気がします。この取組の背景にはもしかしたらそうした考えがあるのかなと思いました。」というのがありました。このコメントを受けて気づいたのが、私がリスク回避(負の例を出さないこと)を最重視してこの投稿を書いていたということです。まさにこの辺りは日本とアメリカの違いな気がしています。落ちこぼれをなくす教育を重視する日本、優秀な人間を伸ばす教育を重視するアメリカ、こういった差が考え方の違いに出ているのかもしれません。

 

外山健太郎氏のGeek Heresy出版記念講演

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ICTDに関連する研究者である外山健太郎(Kentaro Toyama)氏(ミシガン大学のAssociate Professor)の著書「Geek Heresy: Rescuing Social Change from the Cult of Technology」の出版記念講演が2015/10/28にミシガン大学であった。外山氏は米国Microsoft Researchでの勤務やガーナでの教員経験後にMicrosoft Research Indiaの設立メンバーの一人として2004年からインドに駐在し、その後カリフォルニア大学バークレー校の研究職を経て今に至る。著書「Geek Heresy」についてはtomonaritが以前レビューしている。

講演の内容を簡単にまとめると以下のとおり。

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まず、ICT(情報通信技術)は貧困削減に貢献しているのか? というシンプルな問いを考える。アメリカの例を考えてみる。インターネットの導入後、Google, iPhone, Facebook, Twitterなど社会の仕組みそのものを変えうる技術が出てきている。実際にこれらの技術は人の生活を変えるインパクトを与えてきた。では、その貧困削減へのインパクトはどうだったのか?

実はアメリカの貧困率はここ45年程度は変わっていない。このことから、実はICTは貧困削減に貢献していないのではないか、という仮説が出てきた。技術が社会を大きく変えたことは間違いないが、技術で人を変えることはできない。

2004年にMicrosoft Research Indiaを設立するためにインドに行った。そこで見たICT活用事例の実態は、埃をかぶったPC、パーツを盗まれて動かなくなった供与機材、メンテナンスをすることができず放置されたPCなど、実際に期待されていた教育目的には使用されていないものが大半であった。

その反省もあり、PCからtext messageなどのシンプルな技術を活用するようにシフトすることなども行った。新しい技術を住民レベルに入れるには研修などが不可欠であり、なかなか持続的なものとはならない。

そこから出た結論は、技術自体はソーシャル・チェンジは起こせない、というものである。では技術は無意味か?それは違う。技術は人間に実力、そして意志のある活動をamplify(増幅)させるものである。

例えば、ある会社の活動を改善したいといった課題があるとする。解決方法として思いつくのは、リーダーを変える、技術力を高める、財務状況を改善する、などが思いつく。いずれも正解になりうる。それでは、この課題解決の方法として、iPadを支給する、データセンターを構築する、といったものはどうだろうか?それは解決にならない、というのは皆容易に想像がつくであろう。しかし、そのロジックに近い形で途上国のNPOや学校などにICTの供与が行われてきた例は非常に多い(そして今も続いている)。

次に、インターネットを例にあげる。例えば、インターネットという世界のどこからでもアクセスできる技術が民主化を進めたと言えるのであろうか?

まず、北朝鮮ではインターネットはあるものの、国外のサイトへのアクセスは難しく、孤立している。中国でも30万人が監視の仕事をしていて、ロシアでも似たような状況である。これらのことから言えるのは、(政府がその意思を持たない限り)インターネットが民主化を進める原動力にはならないということである。逆に民主化するという意思を政治が持っている場合は、それをamplifyしていくということは十分あり得る。(意思を持った国民が政治を変えることも可能)

コンピュータ科学の研究者としてこれまで関わってきたが、技術はガバナンスを改善しないし、民主化も進めない。不平等も改善しない。MOOCsなど教育を根本から変える技術が出てきたと話題になったが、主に恩恵を受けているのは貧困層ではなく大学を卒業したサラリーマンなどの上位層である。

私が信じるのはPositive human forceがある前提で技術を活用することである。ただし、ICTの世界は民間企業が引っ張っていることも忘れてはいけない。Facebook, googleなど、素晴らしい活動もしているは事実であるが、彼らの第一目的は利益であり、開発ではない。

エジプトの革命がFacebookがきっかけになったのは事実。でもそれが根本的な原因だったのか?その後シリアやリビアではネットを遮断したが、革命派は戦い続けた。逆にサウジアラビアやバーレーンでは抗議をFacebookなどで起こそうという活動があったが、市民社会が成熟しておらず、革命には導かなかった。やはり技術はamplifyしかできないと考える。では技術では不十分なら、どうやって革命を起こしていくのか。そこにはPositive human forceなど、意思を持った人たちが必要である。

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技術ありきでそれを開発に当てはめようとするとうまくいかない、そんな当たり前のことが世の中では日々起きすぎている。ということへの警告と理解しました。

また、ICTは民間主導と言いながらも、企業は長期的に顧客になりうる層を当然狙ってアプローチしてくるわけで、民間ではアクセスできない部分も必ず出てくるんだろうと思う。そういったところに対しては、Positive human fourceがある前提で国際機関や二国間援助機関、そしてNGOなどが技術を用いて住民の意思をamplifyすることが重要なのだと思う。

Sustainable Development GoalsとICT

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9月25日の国連総会にてSDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)が最終合意されました。MDGsに代わって2016年1月から2030年までの15年間、これが国際社会の大目標になるってものです。MDGsが8つのゴールだったのに比べてSDGsは17つのゴールを設定しており、より包括的になっている点(環境問題など途上国だけじゃなく先進国も取り組むべき事項が含まれてる)が特徴でしょうか。

17つのゴールは以下のとおり。

  • 目標1:あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ(End poverty in all its forms everywhere)
  • 目標2:飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する(End hunger, achieve food security and improved nutrition and promote sustainable agriculture)
  • 目標3:あらゆる年齢のすべての人の健康的な生活を確保し、福祉を推進する(Ensure healthy lives and promote well-being for all at all ages)
  •  目標4:すべての人に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する(Ensure inclusive and equitable quality education and promote lifelong learning opportunities for all)
  •  目標5:ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る(Achieve gender equality and empower all women and girls)
  •  目標6:すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する(Ensure availability and sustainable management of water and sanitation for all)
  •  目標7:すべての人に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する(Ensure access to affordable, reliable, sustainable and modern energy for all)
  • 目標8:すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する(Promote sustained, inclusive and sustainable economic growth, full and productive employment and decent work for all)
  •  目標9:強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を図る(Build resilient infrastructure, promote inclusive and sustainable industrialization and foster innovation)
  •  目標10:国内および国家間の格差を是正する(Reduce inequality within and among countries)
  •  目標11:都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする(Make cities and human settlements inclusive, safe, resilient and sustainable)
  •  目標12:持続可能な消費と生産のパターンを確保する(Ensure sustainable consumption and production patterns)
  •  目標13:気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る(Take urgent action to combat climate change and its impacts)
  •  目標14:海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する(Conserve and sustainably use the oceans, seas and marine resources for sustainable development)
  •  目標15:陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る(Protect, restore and promote sustainable use of terrestrial ecosystems, sustainably manage forests, combat desertification, and halt and reverse land degradation and halt biodiversity loss)
  • 目標16:持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する(Promote peaceful and inclusive societies for sustainable development, provide access to justice for all and build effective, accountable and inclusive institutions at all levels)
  • 目標17:持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する(Strengthen the means of implementation and revitalize the global partnership for sustainable development)

ゴールそのものの中でICTに直接関連した記載がないけど、逆に言うとツールとしてのICT活用はこれらのどのゴールについても期待出来るってことだと思います。「これら17つのゴールを達成するためにICTがどう活用出来るのか?」という点について、NetHopeというアメリカのNGOがMicrosoftやIntelといった企業の協力のもと「SDG ICT Playbook」なるものを作成していました。

SDG-playbook-purpose

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Playbook(脚本)という名の示すとおり、ICTが活用され得るシーンを具体的に示唆したものでなかなか面白い。各ゴールについてのICT活用を考える際のスタートポイントに出来そうなものです。

そして、この「SDG ICT Playbook」を見て感じたのが、具体的なICT技術として取り上げられているものが自分がICT4Dに関心を持ち始めた10年前とは大きく変わって来たという点。モバイル、ソーシャルメディア、クラウドコンピューティング、ビッグデータ分析、3Dプリンタ、スマートシステム、衛星技術などが各ゴールに絡む各セクターでどう活用出来るかが紹介されているのですが、ビッグデータとか3Dプリンタとか、これから途上国での活用が本格的になっていく技術として自分ももっと勉強しないといけないと感じたりしています。

Zuckerberg SDG

また、9月26日の国連民間セクターフォーラムではFacebook CEOのマーク・ザッカーバーグ氏が「世界をつなぐことは、私たちの世代の基本的な挑戦の一つです」という基調講演を行っており、Facebook上でも下記のメッセージを発表していました。

By giving people access to the tools, knowledge and opportunities of the internet, we can give a voice to the voiceless and power to the powerless. We also know that the internet is a vital enabler of jobs, growth and opportunity. And research tells us that for every 10 people connected to the internet, about 1 is lifted out of poverty.

インターネットへのアクセスを普及させることがダイレクトに貧困削減に繋がるのか?については、個人的には懐疑的な意見ですが、国連民間セクターフォーラムでの基調講演がFacebook CEOによって行われているという点にはちょっと興奮しました。

そういえば2016年度の世界開発報告(World Development Report)のテーマもICT。副題が「Digital Dividends」ってなっており、上記の基調講演の件とともに、2000年頃のように途上国開発におけるICT活用の波がまたくるのか?と期待したいです。

LinkedInのVolunteer Marketplace機能開始から考えるICT4D

LinkedInVolunteer

LinkedIn が新しいサービスを開始したというニュースを見た。Volunteer Marketplaceというサービスで、ボランティア業務が検索可能になるというもの。CSR的な目的や職探しをしていない人達でもLinkedInを使うようにしてユーザを引き付けるなどの意図があるようだ。自分はあまりLinkedInって使っておらす、LinkedInでは既にそういうことはやっていたのかと思っていたので、このニュースを聞いて「へー、今までやってなかったんだ」と少し驚いた。そして、そういえば、似たようなサービスをやっているWebサイトがあったなぁと思い出した。

ウィリアム・イースタンリーの「傲慢な援助」に、そのWebサイトは紹介されていたGlobalgiving.comである。このブログでも「Gameと国際協力」というポストで以前少しだけ紹介したことがあったけど、改めてご紹介。

一言で言えば、様々なプロジェクトに対する資金集めのクラウドファンディングのWebサイトである。掲載されているプロジェクトに寄付出来る点は当たり前だけど、Globalgiving.comではGift Cardを送るサービスもやっている。例えば、10ドル分を贈り物として友人に送り、その友人が10ドルをGlobalgiving.comに掲載されているプロジェクトのどれかに寄付出来るといったものだ。なかなか面白い。

そして、LinkedInのニュースで何故思い出したかというと、Globalgiving.comではWebサイトからお金を集めるだけではなく、プロジェクトにボランティアとして参加するためのボランティア業務の募集も沢山掲載されている点が特徴的だからだ。どんなボランティア業務があるのかパッと見てみたら、現地の活動を支援するボランティアもあれば、現地に行かずともFacebookやTwitterでの活動を支援を行うSocial Media Volunteerなんてのもある。

「傲慢な援助」での紹介を読むと、「援助の出会い系サイト」という比喩が使われており、資金集めだけでなく専門家と援助の仕事をマッチングさせるような点が結構強調されいるけど、実際にGlobalgiving.comのサイトや紹介ビデオ(上記)を見ると、そこの部分はそれほど力が入っているわけじゃないのかな?と思う。ボランティア業務の紹介も、Volunteermatch.orgという別サイトへのリンクとなっているし。

先日取り上げたFacebookのDonate now機能やLinkedInのボランティア業務検索機能といったように、途上国援助に関わるためのハードルはICTによってどんどん低くなって来たなぁ、と感じる。これは間違いなくICT4Dの大きな効果の1つだと思う。人(ボランティアのマッチング)と金(クラウドファンディング)は確保できる仕組みが出来てきたから、次はモノか? 「売ります・買います」サイトみたいのの世界版・・・、なんか違うな。さて、次はどんな新しいサービスが出てくるのか?もっともっと途上国援助に関わるためのハードルを下げられるような仕組みや、以前このブログに書いたアイデア(下記のもの)のような取組みも出てくるかな?

KivaのようにP2Pで途上国と先進国の個人が繋がる仕組みが当たり前になっている。FOSS4Dの分野でも、ニーズのあるソフト開発案件がリスト化されてて、参加したいと思う技術者(先進国、途上国問わず)が「参加する」投票をして、ある一定のリソースが確保されたらプロジェクト開始みたいな、Kivaのソフト開発プロジェクト版のようなサイトが登場して来たら面白そうだ。また、これまで途上国開発に参加していなかったアクターの参加が可能となることのインパクトは大きいし、個人レベルで途上国と先進国の人達が共同作業をする場が出来たら、それは単なるFOSS4Dという枠を超えて、途上国開発のあり方自体に変化をもたらす素晴らしいことだと考えられる。

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FacebookにDonate Now(今すぐ寄付)ボタン機能がついた。結構いろんなニュースで取り上げられていますが、Techcrunchの記事「Facebook、NGO向けに「今すぐ寄付」ボタンを導入。支払い情報収集効果も」が詳しい説明がついててよかったです。クラウドファンディングの雄であるKivaやUNICEF、OXFAMなどを含む19のNGOがまずはこの機能を使えるとのこと。今後、他のNGOにもサービス展開をしていくという。

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ふと、大学生の頃に国際援助関連の授業で書いたエッセイを思い出した。
自分は非常に不真面目な大学生で授業もまともに行かず雀荘にばかり行っていた。そして当時は国際協力に「なんとなく」興味はあったものの、やる気で入った国際協力サークルも、ものの数週間で全く行かなくなるといった程度のものだった。

それでも授業では「国際援助論(確かこんな名前だったと思う)」という講義を取っていた。1回しか授業は行かなかったけど、エッセイを提出すれば単位が取れるらしいということで、最後のエッセイだけ書いた。(当時、パソコンを持っておらず、手書きで書いたエッセイを姉に頼んでワープロ(←懐かしい・・・)でタイプしてもらった記憶があるが、時代を感じるなぁ。)

まぁ、ろくに授業に出ていなかったので、書ける内容はあくまでも自分の考えていることのみ。なので、当時思っていたことを書いた。それは、「援助とか国際協力って、真面目で道徳的な人達がやってて、カッコよくないイメージだ。もっとカッコいい援助や国際協力のスタイルがあれば良いのに・・・」というもの。例示したのは、渋谷とかにあるお洒落なフェアトレードショップでした。1995年頃の話なんで、まだ今ほどフェアトレードとかがメジャーじゃなかったんだと思う(もしくは、自分が知らなかっただけかも)。まぁ、「真面目な人がやっている=カッコよくないイメージ(ダッセーみたいな感覚)」という思い込み自体が今から思うと非常に間違っているのだけれど、当時はそう思っていた。真面目に途上国開発を語って「だからあなたも寄付しなさい」みたいなことを言われると、ウゼーって思ってました。
そいで、もっとお洒落にスタイリッシュにカッコ良い援助・国際協力ってのがあれば良い、そういう選択肢が少なすぎる、というようなことをエッセイに書いた。んで、大学時代の成績の超レアなA評価をもらった。それもあって、大学時代に書いた課題エッセイの内容なんてほとんど覚えていないのに、何故かこのエッセイだけは良く覚えている。

このFacebookのDonate Now機能のニュースを見ていたら、当時の自分でも「カッコいい」と思うような援助・国際協力の方法が、かなり広がったなぁという気がした。クラウドファンディングとかBOPビジネスとか。
そして、自分がICT4Dを専門に選んだ理由もこの「カッコいい」途上国開発がしたいという思いからだったと気づいた。SVP東京さんでの登壇などでも述べさせてもらったように、「ICTが途上国にホントに必要?保健とか水とか教育とか、もっと重要なものがあるんじゃない?」とう質問に対して自分が思うのは、「ICT、カッコいいから途上国の人だって欲しいじゃん」ってこと。金がなくてもたばこや酒を買っちゃう人がいるように、「必要なもと欲しいものは必ずしも同じじゃない」。途上国で携帯が爆発的に普及したのは、プリペイドなどいろんな理由があるけどれ、やっぱりカッコいいからという要素は強いと思う。そして、そこからモバイルバンキングとからモバイルヘルスといった開発に資するサービスが生まれている。

ICTを活用して、さらに多種多様なカッコいい援助・国際協力のオプションが出てくるといいなぁと改めて思った。しかし、大学時代はホントに勉強しなかったなぁ・・・。

USAIDとIBMとNGOが組んでボランティアプログラム

USAIDとIBMとCDC Development SolutionsというNGOが手を組んで、現職参加の社員を様々な国に送り、医療や教育システム、技術インフラ、都市開発をボランタリーにやりましょうという提携を結んだとのこと。

http://www.usaid.gov/press/releases/2011/pr110531.html

IBMといえば、「Corporate Service Corps」という斬新なプログラムを作り、数年前から実施している。世界中のIBMから特別チームメンバーを作り、途上国で一定期間システム開発を行うというプログラムで、途上国支援に加えて社員育成(多国籍でのチーム活動などを通じたコミュニケーション力向上)などを目指すものであり、非常に面白い取り組みだと思っていた。

それが今度はUSAID(なぜPeace Corpsでない?)と組むとのことである。

日本にもIT企業は沢山あって、こういった形でのプロジェクトというのは、社員の能力開発(特にコミュニケーション力)には非常に効果的だと思うのだが、なかなか実現していない。

青年海外協力隊と企業が連携という話は時々聞くのだが、この事例のように大々的に数十人~数百人規模での連携というのは例がないと思う。ぜひせっかくの税金を使った事業、(途上国にも裨益するというのは条件だが)このような社員の能力開発も選択肢として進めていって欲しいものである。

日本IBMの「クラウド」CSRから考える

10月24日の朝日新聞に興味深い記事があったので紹介する。

内容は、日本IBMがクラウドコンピューティングをNPOに無償で提供するというものである。日本IBMとしては、CSRとしての活動に加えて利用したNPOの声を聞き、システム改善のアイディアとするとのこと。国際協力関係のNPOでは「ピースウィンズ・ジャパン」がこの支援対象となっているようで、ITの専門員を雇わずにちゃんとしてITシステムを使えるので助かっているといったコメントが載っていた。

この話、とても興味深い話で、気になる点がある。この日本のクラウドサービスを海外でどの程度満足に使うことができるかという点である。

クラウドサービスはサービス提供先の場所を気にせずに使うことができるのが利点であり、そういう意味では日本のクラウドサービスを世界中に提供することも可能であり、ビジネスとしての可能性は大きい。とはいうものの、実際は物理的な距離というのは実際は大きな問題だと思っており、途上国にとって、(意識はしないだろうが)日本のサーバにアクセスしてサービスを受けるというのは実用可能なレベルになっているのだろうかと前から考えていた。(日本IBMのクラウドサービスが日本のサーバのみで提供されているという前提を勝手に付けて書いています。)

私のイメージでは、途上国のインターネット状況を考えると、日本までアクセスするには遠すぎる(実用レベルのレスポンスを得るのは難しい)が、アクセシビリティ改善のためにデータまで途上国に置いてしまうのはセキュリティリスクが高すぎる。本格的なビジネス展開のためにはこの壁を乗り越える必要があると思う。

ではクラウド先駆者のGoogleなどはどうやっているのだろう?アメリカにあるサーバでGmailなどを提供しているのか、それとも世界各地にデータセンターを持っていて、物理的な距離が近くなるようにしているのか。もしそうだとしたらセキュリティは??

少し調べてみたところ、googleとしてデータセンターの数について公開はしていないようであるが、Royal Pingdomという会社が調べたところによると、世界中に賃貸等も含み36箇所あるらしい(地図はこちら)。さすがgoogle。あの膨大なデータのセキュリティ管理、データ同期などどうやって行っているのであろう。とんでもない規模・技術の結集であることは間違いない。