マーク・ザッカーバーグの目指す世界 〜インターネットは人権の一つか?〜

インターネットへのアクセスは、もはや基本的人権の一つなのだろうか?

FacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグの「Building Global Community(世界コミュニティの構築)(2017/2/16)」を読んだ。概要は後ほど紹介するが、もはや彼の視点はFacebookを越えた世界の通信へと広がっていて、起業家を越えて思想家に近づいている気がする。彼が以前発表した論文「Is Connectivity A Human Right?(コネクティビティは人権の一つか?)」と合わせて彼の目指す世界を考えてみたい。

以前の投稿「途上国開発におけるGoogle,Facebookの存在感」でも取り上げた通り、彼はFacebookとは別にinternet.orgという組織を立ち上げており、「世界中の人にインターネットを」といったスローガンで活動をしている。この活動(インターネットユーザの増加)は長期的にはFacebookの利益にもなりうるので、完全な社会貢献事業とは言えないのでは?とその投稿で指摘はしたものの、彼の目標は高く、何よりそれを実行できる力(お金・サービス)がある。

インターネットは友達や家族、コミュニティを繋げるだけではなく、グローバル知識社会への基礎となるものであり、全ての人にアクセスする権利がある。[1]

全ての人にインターネットに接続する機会を提供することは、知識社会に参加する基礎となる。それは我々がすべきことというだけでなく、根本的なこととして必要なステップである。[1]

この発言から感じることは、彼はインターネットへの接続はいまや、電気・水道などと同じレベルで世界中の人がアクセスできるべきもので、それによってこのグローバル社会への参加が可能になると考えている。そして彼はFacebookを、そのグローバル知識社会にアクセスする最初のステップとして使ってもらいたいということも述べている[1]。

今回のザッカーバーグ氏の投稿では、繁栄と自由、平和促進、そして貧困削減のためにコミュニティがどうあるべきかと論じている。そしてそのためのFacebookの役割として、以下のように述べている。

Facebookができる最も重要なことは、全ての人々がグローバル・コミュニティを構築できるようにする社会基盤を作ることである。[2]

さらに具体的には、以下のようなコミュニティの構築しうる社会インフラとなることを目指しているとのこと。

  • 世界中で弱まりつつある伝統的な組織を強化できるSupportive communitiesを構築するのをどのように支援しうるか。
  • 世界の人が接しうる危害を防ぎや危機で助け合えるSafe communitiesを構築するのをどのように支援しうるか。
  • 人々が新しいアイディアや共通認識を共有できるInformed communityを構築するのをどのように支援しうるか。
  • 世界中で投票率が5割に満たない現状を踏まえ、世界のCivically-engaged communityを構築するのをどのように支援しうるか。
  • ローカル・グローバル、文化、国・地域を問わず人間性や大衆の意見を反映するInclusive communityを構築するのをどのように支援しうるか。[2]

私個人的な見解としても、インターネットへのアクセスは、このグローバル化された社会で競争力を発揮して行く為に、水や水道と同じく必要不可欠なものになりつつあると思う。特に、これまでチャンスがなかった人にチャンスを与えうるという可能性は、非常に大きいものがあると思う。私自身も、インターネットやPCに大学時代にハマった経験が、今のキャリアに大きく影響している。情報にアクセスさえできれば、私のように勝手にハマって勝手に学んで行ける可能性があるわけで、インパクトは大きいと感じる。

その一方で、大半の情報は英語で書かれており、このインターネット社会が進めば進むほどアメリカ・ヨーロッパなど英語に近い言語の人たちの優位性が高まってしまうような気もしないでもない。この辺りは翻訳技術などが解決してくれるのだろうか。

いずれにせよ、マーク・ザッカーバーグやビル・ゲイツなどはもはやその辺の援助機関よりも資金力・影響力を持っているため、今後もウォッチしていこうと思う。

最後に、マーク・ザッカーバーグの投稿で、ビル・ゲイツの言葉を「好きな言葉」として紹介していたので、それを引用して締めたいと思う。

我々はいつも、2年間でできることを過大評価している。しかし、10年間でできうることを過小評価している。 – Bill Gates –

[1] Zuckerberg, Mark. (2013). Is Internet connectivity a human right?. Internet.org.
(写真もこのサイトより引用)
[2]Zuckerberg, Mark. (2017). Building global community. Facebook.com.

Geek Heresy日本語版「テクノロジーは貧困を救わない」

以前、このブログでも紹介した外山健太郎氏の「 Geek Heresy: Rescuing Social Change from the Cult of Technology」の日本語訳版が発売された。日本語タイトルは「テクノロジーは貧困を救わない」。なるほど、なかなかキャッチーなタイトル。

基本的に、「Technology = Solution」ではない!というのが外山氏の主張。その主張は上記の動画でも良くわかる。それなのに、先進国主導のテクノロジー導入をコアとする様々な開発援助(例えば、OLPCなど)が実施され失敗に終わっている。テクノロジーが出来るのはそれを使う人々の能力を増幅(Amplify)することだけで、そもそも能力がない人達にとっては、期待する効果を発揮することが出来ないという話。

Richard Heeksの「途上国のe-Governmentプロジェクトは85%が失敗に終わる(Most e-Government for Development Projects Fail)なぜならテクノロジーだけポンと導入しても、それを使う組織、人、制度、価値観などが十分準備出来てないから」という主張や、世銀の「World Development Report 2016:Digital Dividends (デジタル化の恩恵)」の結論のテクノロジーの恩恵を十分に享受するためには「アナログ・コンポーネント(人材育成など)」が重要という内容とも一致する。

そいう意味では、この本の主張はもっともであり、且つ、様々な事例を上げてそれを説明しており説得感がある。

一方、「じゃ、どうすればICT4Dプロジェクトは成功するのか?」となると、根性のあるリーダーとか、やる気のある裨益者とかの存在が重要という内容は記載されているものの、若干精神論的にも思える点に物足りなさを感じる読者もいるんじゃないかと思える。実際、Amazonのカスタマーレビューでもそういう指摘がされていた。その意見には賛成出来るものの、「じゃ、どうすればICT4Dプロジェクトは成功するのか?」の解がズバリ分るような簡単な答えならとっくに判明しているとも思う。

「どうして開発援助プロジェクトにおけるテクノロジー導入が思いのほか成功しないのか?」という問いをよくよく考えてみると、「どうして開発援助プロジェクトは思いのほか成功しないのか?」という問いとほぼ同じじゃなかろうか。そして、「どうすればICT4Dプロジェクトは成功するのか?」という問いは、「どうすれば開発援助プロジェクトは成功するのか?」という問いと同じではないだろうか。開発援助プロジェクトがほぼ100%成功しているならば、「なんでICT4Dプロジェクトは成功しないのか…?」という問いが成り立つが、そもそも開発援助プロジェクトそのものの打率が10割じゃないのだ。

今日、ガーナから日本に留学して博士号を取得し、その後も日本で働いた経験のあるガーナ人の方と一緒に食事をする機会があった。彼曰く「ガーナの人達はDevelopmentしたいと語るが、何がDevelopmentなのかわかっていない人が多い」とのこと。この言葉は結構刺さった。彼は先進国とガーナを比較し、何が足りないかを理解しているが、それは彼がその比較を出来るだけの経験や勉強をしているからである。そういう機会に恵まれない人達(こういう人達が開発援助プロジェクトの裨益者となるのだが)にとっては、今の生活と何を比較して「どこに向かうべきか(つまりDevelopmentの方向)」を理解するのだろうか?そいう人達はDevelopmentと言ったときに具体的にどんなイメージをもっているのか?そもそも持てるか(実は今の生活が当たり前で、それなりに満足?)?

そして「ICT4D(テクノロジーの導入によるDevelopment)」とは、とりわけ彼らにとって具体的イメージが持ちにくい分野なのではないだろうか。なぜなら、裨益者としての対象となるような人達には、テクノロジーの具体的イメージ(活用方法やそれで何がどう便利になるのかなど)もDevelopmentの具体的方向性もいずれも分りにくいから。

そう考えると、懇切丁寧に粘り強くその具体的イメージを説いて回る根性あるリーダーとか、ある程度の具体的イメージを持っている(欲しいものがわかっている)やる気のある裨益者とかが、成功要因になるものわかる気がした。

m-Agriculture成功の鍵は、どれだけ人が介在出来るか?

先日、ガーナのグラミン・ファンデーションが実施しているm-Agricultureプロジェクトの話を聞く機会があった。実際にプロジェクトを担当している方からの話が非常に興味深いものだったので紹介したい。

Achieving Impact at Scale through ICT-Enabled Extension Services (AIS) projectという名前のついたプロジェクトの話。グラミン・ファンデーションの他、カナダのIDRC、インド発祥のDigital Green、Farm Radio Internationalが連携して実施している。

携帯電話を使った農民支援というとパッと思いつくのが、農作物の市場価格や天気予報といった情報をテキスト等で農民に提供することで、農民が仲買人に作物を買い叩かれないようになったり、天候によるリスクを軽減出来たりというメリットがある、という話だ。しかしながら、今回聞いた話は、そういう取り組みと一味違った内容で面白かった。

グラミン・ファンデーションがいわゆる農業情報配信システムを開発し、市場価格や天気予報などの情報を配信するという点は同じ。ただし、単純に農民に情報を配信するのではない。

農民から農作物を買い付ける仲買人(Agent)に対して、プロジェクトから情報配信用のアプリが入ったデバイス(スマホ、タブレット)を提供し、仲買人が農民に対して情報をセレクトして配信する仕組み。仲買人は最初に各農民と面談し、農民の情報(氏名や性別等の基本情報、育てている作物、農業スキル、欲しい情報、等)を聞き取りシステムに登録する。仲買人は定期的に各農家を訪問しアドバイスを提供することが義務付けられ、訪問時には写真を取ったりメモを取ったりして、その情報はデバイスを通じて、サーバーにアップされる。各シーズンにいつ頃、誰を訪問するべきか?というタイミング(種まきの前とか、収穫の前とか)はアプリで知ることが出来る。アプリには、登録された農民情報から農民をグルーピングして「米を作ってる農家」、「メイズを作ってる農家」、のように作物で分類したり、「経験抱負な農家」、「経験が浅い農家」のようにスキルで分類したりする機能があり、仲買人は配信される情報の内容を見て、それが必要なグループに配信する。沢山の情報を一斉に全員に配信するのではなく、各農家に合った情報を提供する。アプリの言語は英語のみだが、農民の中には英語が出来ない人もいる。その場合は、仲買人は定期訪問時に現地語でアドバイスしたり、ポータブルのプロジェクターで動画を見せて説明したりする。

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農家→仲買人→大手バイヤーの全体にメリットを提供出来る仕組み作りが上手い!

 

仲買人は50件の農家を管理しており、このプロジェクトではガーナ中で約200名の仲買人を対象としている。つまり、200×50=10,000ということで、一万件の農家を支援しているわけだ。当初は仲買人は100件の農家を管理する想定だったそうだが、実際にやってみると定期訪問が大変で数を50に変更したとのこと。

「どうやって対象とする仲買人を選んでいるのか?」と聞いたところ、仲買人を選ぶのではなく、複数の仲買人から作物を買い取る大手バイヤーのなかから農民への一定の支援に協力的なバイヤーを選び、その下にいる仲買人が対象になっているということだった。農民が作る作物の質・量が向上することは、大手バイヤーにとってもメリットであり、また、大手バイヤーは肥料販売やトラクターのレンタルなどもやっているケースが多く、そいうサービス業の繁盛にも繋がる。仲買人にとっても農民が作る作物の質・量が向上することは、安定した買い付けが出来る点でメリットがある。より安くて質の高い作物を探して遠方まで買い付けに行くコストよりも、地元の農民を支援してニーズにあった作物を育てさせる方が効率的である。つまりAISプロジェクトは、農民だけを直接支援しているというよりも、「農民→仲買人→大手バイヤー」という農作物の買い取りシステム全体を支援しているような印象。

アイデアとして「質の良い作物を大量に買い取りたい」という大手バイヤーを巻き込んだところが、秀逸だと感じた。政府系の農業普及指導員を巻き込んでこのような取り組みをしても、農民のスキルは向上したとしても最終的に質・量が改善した作物を「誰が買い取ってくれるのか?」という出口が不明瞭だ。一方、このプロジェクトでは最初にその出口を確保し、そこから支援の対象となる農民が選ばれている。農民のセレクションではなく大手バイヤーのセレクションからという逆のアプローチは秀逸だ。さらに、政府系の農業普及指導員よりも、仲買人の方が利害関係から「農民に良い作物を作らせる」という目的に対してモチベーションが明確である。

また、プロジェクトは農民への直接的なトレーニング等は行わず、仲買人に対してのみ各種トレーニングを提供している。ダイレクトに農民に情報配信をするのではなく、農民と仲買人という既存の関係性の上に情報配信をプラスするという方法をとっている点や、情報配信をするだけでなく実際はフFace to Faceで仲買人が農民に現地語でアドバイスをしたり定期訪問したりする点は、「ICTはあくまでツール。ICTそのものがソリューションではない。」ということを具現化したようなプロジェクトだ。いくつかm-Agricultureプロジェクトの事例を見ると、やはり「どれだけ人が農民とICTの間に介在出来るか?」が成功・失敗の分かれ目になっている。ちなみに、ガーナのグラミン・ファンデーションには、何度かこのブログでも紹介した外山健太郎氏が活動していたインドのマイクロソフト・リサーチで働いたいたガーナ人がいました。そういう繋がりから、Digital Greenとも連携しているのかもと憶測。

気になるのは、この農業情報配信システムの利用料金を「誰が払うか?」だ。現時点ではIDRCの援助で成り立っているため、誰からも利用料金は取っていないとのこと。この援助がストップしたときの持続性はどうなのか?

この質問については、いつくかの案があるということだった。例えば、農民は現金を払うことに付いて非常に抵抗感が強いため、仲買人が作物を買い取るときに、作物の量を増やす等の方法でモノで払い(使用料金をさっぴいた買い取り価格にする方法も)、仲買人が現金で使用料金を支払うという方法が考えられる。また、別の案としては、最終的に質の良い作物を手にする大手バイヤーが使用料金を肩代わりする方法も。さらに、このプロジェクトは携帯電話での情報配信だけでなく、ラジオでの情報配信も行っていることから、トラクター貸し出し業や肥料販売などをしている会社(大手バイヤーと被ることもある)の宣伝をラジオに載っけて、その広告料でシステムの利用料金を賄うといった方法もありえる。

持続性については今後も色々と考えて行くという話だったが、上記の案はいずれも悪くないように感じた。ただ、これが援助でなくビジネスとして成り立つ場合、仲買人は自分が管理する農民をよりシビアにセレクトすることになる。例えば、肥沃な農地を持っている農民や一定のスキルのある農民を対象にした方が良いに決まっている。言い換えると、より恵まれない環境にある農民は、この仕組みに入れずに、お隣さんがより質の高い作物を作っているのを羨ましそうに見て、より格差が広がる…ということに。このプロジェクトでは、そういうことを避けるためにラジオを通じた情報提供を分け隔てなく行ったり、仲買人が農民をセレクトする際にバランスのとれたセレクションをするようにしているとのことだが、援助がビジネスに切り替わると、弱肉強食の世界にならざるを得ないだろう。まぁ、この手の話はまた別の機会に書きたいと思います。

今回、グラミン・ファンデーションの方から話を聞いて、人を支援するという視点ではなく、システム全体にメリットのある支援を考える視点の重要性を強く感じた。いやはや、とても勉強になりました。

最後に、Achieving Impact at Scale through ICT-Enabled Extension Services (AIS) projectの紹介がされているWebを見ると、もっと色々な情報が掲載されており、一部上記の話とも違う点(例えば、プロジェクトが対象としている仲買人は200ではなく220との記載)もありますが、生で聞いた話を元に上記は記載してみました。

遊びでスマホを使うことの開発効果って??

みなさんデジタルデバイス(スマホ・タブレット等)は普段使ってますか?ほとんどの方は使ってますよね?

では、そのデバイスを勉強など自己研鑽や生活の質改善のために使ってますか?多分大半の方は何かしらそういった目的でも使ってます・・・・・よね?

では、その自己研鑽等に使ってる時間って使用時間のうち何パーセント程度でしょうか?

この回答はおそらくみなさんせいぜい10-20%程度、どんなに高くても50%程度ではないでしょうか?つまり、何が言いたいかというと、デジタルデバイスに費やしている時間のうち、半分以上は遊びなどの目的(ネットサーフィン、SNS情報発信、メッセージ、Youtubeなど)で使われているということです。

では、世の中の「携帯電話が途上国開発に貢献!」の類で取り上げられるテーマというのは何でしょうか?保健情報提供、送金サービス、学習アプリ、、、、等々。いずれも遊び目的以外のものについてです。

もちろんこういったテーマの効果を測ったりすることが大事ではあるのですが、50%を越える時間を費やしている「遊び目的」のデジタルデバイス使用が人間形成や開発に与える影響、ってこれまであまり考えられてきていないのでは??

こういった問題提起をした論文があります。オランダErasmus大学のArora氏とMicrosoft Research IndiaのRangaswamy氏の2013年の論文「Digital leisure for development: reframing new media practice in the global South」です。

内容はまさに上記の問題を指摘していて、デジタルデバイスが開発に与える影響って、真面目な使い方(教育・保健)などより遊び目的の使い方(Facebook, Youtube等)の方が圧倒的に費やす時間が多いため、実はこちらの方が大きいのではないか。なのに、その遊び目的の使い方は研究対象などにこれまでされてこなかった。もっと研究すべきだ。といった内容です。

個人的に「うーむ、確かに・・・」と考えさせられました。確かにこれまで見過ごされてきた視点ではという指摘はその通りと思います。デジタルデバイスの開発への影響という点では、特定アプリ・特定サービスの効果だけではなく、もっと広い視点を持たねば、と反省させられた論文でしたので、紹介させていただきました。

携帯電話・SNS中毒に警告@ガーナ

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世界銀行のWorld Development Report 2016によると、サブサハラ・アフリカ地域の携帯電話普及率は73%と言われている。アフリカの中でも結構進んでいるガーナでは、携帯普及率が約128%まで伸びている。「ガーナで携帯どんな感じで使われているのか?」について、自分のガーナ生活もあとわずかとなってきたので、身近で感じる点を書いてみようかと。

まず、自分の職場を見てみるとガーナ人スタッフの多くはスマホユーザー。最新機種じゃないけど、iPhoneを使ってる人もいる。逆に職場から貸与されるガラケーをメインで使っているのは日本人のほうかも。そして仕事上の関係者とのやり取りでもガーナ人同士ではWhatsAppを有効活用している。確かに海外出張中でも国際電話をかけずにやり取り出来るし、電話番号とか名前とかを間違いなく伝えるには音声通話より確実だ。

町中の携帯電話会社の宣伝や看板には「ヤムを捨てて、スマホに換えよう!」というメッセージが書いてある(上記の画像はその一つでTigo社のもの)。「ヤム」というのは、ヤムイモのことでガーナではガラケーのことを”ダサい”という意味を込めて「ヤムPhone」と呼ぶのです(形状的に似てるという意味もある)。やっぱり国を超えてもイモはダサいというイメージなのか(笑)。ガーナでガラケーを使っている人は、ガーナ人に「俺、ヤムPhone使ってんだよね〜。スマホに買い換えたいなー」と言ってみましょう。うけるはずです。

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ヤムイモです

職場の同僚でない仕事で付き合いがあるガーナ人達も結構スマホを活用している。偉い人や重要なポジションの人ほどスマホを使っている気がする。打合せなどで席に着くと、テーブルの上に2〜3個のスマホをドサッと置く人もいる。初対面のとき、名刺交換後にスマホの名刺管理アプリで写真を撮ってさらに「ちょい、顔写真も取らせて」と言われ、その場で名刺と顔写真を登録し、「これで君からの電話はすぐわかる」と言われたことも。しかももう50歳後半の人に。スゲー使いこなしてんなぁ、と驚きました。

そしてミーティング中でも執務中でもちょいちょいスマホをいじっている輩が少なくない。SNSで友達とやりとりしているのか?それともミーティングのトピックや関連事項をGoogleで調べているのか?以前、職場でスマホにイヤホン繋いで聞いている同僚が居たので「何してんの?流石に勤務中に音楽聞いてちゃまずいでしょ?」と言ったら、「ミーティングを録音したのを聞いて議事録書いんだけど…何か?」との返事。おおっ、スイマセン…ってな感じのことも。意外なまでに使いこなしてんなぁ。

更に最近はUberの利用も広がって来た様子。そういえば、日本のように安心し一定のクオリティのサービス(料金も一律、マナーの悪い運転手もそんないない、車も奇麗だし)を受けられる国よりも、ぼられる心配があったり、マナーの悪い運転手が多かったり、ポンコツ車が多かったり…と安心して一定のクオリティのサービスを受けられない途上国の方がUberのようなサービスは浸透するという話を聞いた事がある。そういう意味ではガーナはハマるかも。携帯普及率も高いし。

ちなみに先日、Hello Food(JUMIA FOOD)というデリバリーサービスを使ってみた。スマホアプリをダウンロードして、アクラのレストランからピザ屋を選んで注文してみた。注文後、確認の電話がかかって来て、事前通知の時間どおりにピザが到着。注文時に「60分かかります」と出て来たのですが、流石にそこは途上国。日本のように「30分以内に届けます」とはいかないけど、事前にわかって注文するなら、まぁ許せる範囲。その後も何度か使ってますが悪くない。このサービスはレストランに注文して、それをバイク便で届けてくれるという単純なサービスながら、レストランにしてみるとデリバリー用のスタッフを雇う必要なくデリバリー注文を受けられるのでメリットが大きいのだろう。アクラの外人が使うようなレストランの多くが登録されている。そして、他の多くの国でも使われているサービスだ。

こんな風に携帯電話の利用はかなり浸透している。先日、ガーナの新聞に「Don’t be slaves to mobile phone, social media」という記事が。教員養成学校の卒業式スピーチで校長先生が、携帯電話、SNS中毒にならないように!と警告したという内容でした。学生の多くが携帯電話、SNSに多くの時間を費やしているのを問題視しての発言ということ。いやはや、日本の新聞にあるような記事がガーナの地元新聞にも出て来るとは。

ルワンダICT、神戸情報大学院大学、などなど

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日経ビジネスオンラインで「鮫島弘子のアフリカビジネス入門2017」という特集があり、今回のテーマは「ルワンダICT」。自分のエチオピア時代の友人鮫島さんがルワンダICT特集でルワンダへ行き取材をしており、さらに出て来る方々がこれまた知り合いだらけで面白い。以下、紹介したいと思います。

  • 「ビニール袋禁止令」:これは知らなかった。一方、自分のいるガーナはビニールゴミだらけです(涙)アクラのビーチじゃ泳ぐ気が起きない・・・。
  • ICTビジネス振興:輸送コストがかかる内陸国故に労働集約型産業をしようにもコスパが悪いということから高付加価値ビジネスを目指しICTへ、という流れ。前回の投稿に記載した、「技術革新が進んで労働集積型産業から知識集約型産業へのシフトが起きている」という世界の流れを先読みした政策が凄い。
  • 新しく会社を立ち上げるまでに要する時間は平均5.5日:マジ・・・!? 驚きです。
  • 日本の支援:ルワンダのICT分野へは山中さんという超エネルギッキュなJICA専門家が地道な協力を続けて来たのでした。そして今も。自分もかつて関わっていたので嬉しい限りです。また、ルワンダから多くの留学生が日本で勉強しており、とりわけICT系の学生は神戸情報大学院大学に留学してます。
  • ICTベンチャー:K−Lab、FabLabなどの場所からモバイルアプリ開発などのベンチャーが育ってます。アツい!

などなど、詳しくは日経ビジネスオンラインへ。

そして、ここで紹介されている神戸情報大学院大学(KIC)で自分は講師をやらせてもらっています。20〜30人の学生の大半はアフリカからの留学生。毎年、最後の授業ではゲストスピーカーとして協力な知人・友人にも協力してもらってもおり、学生からも大好評(なはず!)。

ちなみに今年度は、e-Education代表でForbes UNDER30にも選ばれた三輪さん、ガーナでのFabLab活動で東大総長賞をゲットした青木さん、このブログの共同運営者でもあり最近「投資家と企業のためのEGS読本」という本も出してる橋爪さん、とかなりの豪華ゲストでした!冒頭の写真はそのときの記念撮影。

さて、この自分の授業では最終課題として、特定のICT4Dプロジェクトをケーススタディにして、その成功もしくは失敗の要因を分析して解決方法を提案するという小論文を書いてもらってます。そしてこの4年間で学生が提出する小論文の傾向に変化が出て来きました。

どういう変化かというと、ケーススタディに選ぶプロジェクトとして、以前は「失敗事例」を選ぶ学生が大半だったのに対し、最近は「成功事例」を選ぶ学生が増えて来たという変化。自分の授業のテーマは、基本的にRichard HeeksやKentaro TOYAMAの主張のように、「ICT4Dプロジェクトは失敗が多い。失敗理由は技術だけでなく政治、経済、社会、文化、感情、等等いろんな要因があるので、幅広い視点からプロジェクトを計画・実行するべし。ICTは万能じゃないよ。」というICTの導入にやや批判的な見方を身につけるというもの。それ故に、学生は最終課題として失敗事例を選ぶことが多かった。ところが、徐々に成功事例を扱ってくる学生が増え、今年は半々とまではいかないまでも、かなりの割合になってきた。どんな成功事例があるかというと、

  • iCow
    • 牛の情報(誕生日など含め)を登録すると、その牛の成長にあった有益な飼育関係の情報提供が受けられるというサービス。携帯電話で農業情報を農民に提供するeSokoのようなサービスと携帯電話での母子保健情報提供サービスを足して「牛」版にしたようなサービス。ケニアで開始され580,000ユーザを獲得しつつ、エチオピアとタンザニアも展開中。
  • mPedigree
    • 途上国ではなけなしの金で買った薬が偽物…!ということがある。例えば、2011年にナイジェリアで輸入されたマラリア予防薬の64%は偽物だったとのニュースもある。そこで、偽物を掴まされないように、薬のパッケージにシリアル番号を付け、その番号を携帯から入力してテキストで送ると、本物か偽物かがわかるサービス。製薬会社にとってもありがたいサービスであり、消費者と生産者の両方にメリットを生み出す仕組み作りが秀逸。ガーナとナイジェリアで展開中で、HPの支援なども受けている。
  • モバイルマネー系
    • 王道であるケニアのM-pesa、そこから派生したアフガンのm-paisa、ソマリランドのZaadなど。

冒頭に紹介したルワンダICT特集を見てもらうとわかるように、一昔前には成功すると思えなかったプロジェクトやビジネスが途上国でも成功するように成って来たんだと実感。そして、それが学生のケーススタディ選びにも反映されているのだと感じます。変化が激しい分野だけに、学生に置いてかれぬよう自分も頑張らねば。

ICTD2017はパキスタンにて開催

ICTと経済開発に関する国際学会であるICTD 2017が2017/11/16-19でパキスタンのラホールで開催されます。この分野の国際学会では最も有名なものです。

ICTD2017
http://ictd2017.itu.edu.pk/

まだHPには出ていないようですが、フルペーパーの締め切りは2017/5/8とのことです。

絶対に論文出すぞ!