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アフリカはインドよりもICT環境が良い!?

英国オックスフォード大学にあるInternet InstituteでICT4D関連のリサーチャー募集中という情報をキャッチしたのでWebでチェックしてみたら、これがなかなか面白そうな内容。サブサハラアフリカにおけるデジタル・ワーク(ICT関連の仕事全般のようだけど、特にクラウドソーシングのようなものに注目しているよう)の変容を調査するというもの。

これは、Geonetというこの研究プロジェクトの一環らしく、そのWebを見ていたらこれまた面白い地図があったので紹介したい。この地図は、インターネット普及率が高い国ほど色が濃くなっており、また、1ブロックが約470,000人のインターネット・ユーザー数を示している。

自分が興味深いと思ったのは、インドとアフリカだ。ICT立国のイメージのあるインドだがインターネット普及率は20%以下。まぁ、人口が多いから意外なインターネット普及率の理由も納得は出来る。そして、一方でアフリカ大陸を見てみると、ほぼインド同じくらいの大きさ(=この図の1ブロックが表すのが人口であるため同じ位の人口ということ)で、色が濃いところがちょいちょいある。まず、色が濃いのは北部アフリカで「アラブの春」のチュニジアやエジプト。あとは南アフリカ。このあたりは予想通り。でも、東部や西部アフリカでも色が白じゃなく普及率20〜40%の薄い色が結構ついてる。つまり、インドとの比較で言えば、アフリカ大陸のほうがインドよりもインターネットが普及しているということになる。

そしてもうひとつ。上の地図は2009年から2013年にかけて新たなインターネット・ユーザーが多い国ほど色が濃くなっているというもの。これを見ても、インドや中国のインターネット・ユーザー数の伸びよりもアフリカ大陸のほうが勢いがあることがわかる。

そういえば同じようなことが「アフリカビジネス入門」にも書いてあった。勿論、単体の国と54カ国の大陸を比べることの乱暴さはあるものの、この地図を眺めていて改めてアフリカのICT分野がどうなるか楽しみだなぁ、と期待がもてた。

アフリカのiGDPは今後爆発的に伸びるのか?

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「iGDP」って言葉を最近知りました。聞いたことあります?

これは、国のGDPに閉めるインターネットの貢献度といったもの。マッキンゼーのレポートによると、「 the Internet’s contribution to overall GDP」と書かれていました。

そして、このiGDPがこれから急上昇するのがアフリカ大陸!という内容がマッキンゼーのレポート「Lions go digital: The Internet’s transformative potential in Africa」に書かれてます。2013年11月のものなので、ちょっと古い情報ですが、それでもとても興味深い内容。上記のグラフはそこからの抜粋です。

先進国のiGDP平均値が、3.7%に対して、アフリカ諸国の平均値は1.1%。なかでもセネガル(3.3%)とケニア(2.9%)と頑張っていますが、平均すると、1.1%ということ。

この数字が、少なく見積もっても2025年までに先進国のなかでもイケてる国(スエーデン、台湾、英国など)のレベル(5~6%)に追いつくという。そして、2000年頃からのアフリカにおける携帯電話の爆発的普及を考慮すると、この数字が10%(金額にすると300 Billion USD)まで伸びるという予想もされています。現在のアフリカのスマホ普及率はまだ2~5%ですが、今後、端末の低価格化が進めば10%も夢じゃないってことですね。

さらに、2025年までにインターネットが普及することによって、社会経済的な便益が特に見込まれる分野として、以下の6分野が取りあげられています。

  1. 金融サービス:インターネットによるトランザクションコストの削減やネットバンキング、モバイルバンキングによって、2025年までにアフリカの60%の人たちが金融サービスを利用するようになり、うち90%はモバイルバンキングユーザー。
  2. 教育:タブレット配布や電子教科書活用などなどで、2025年までに30~7Billion USDの生産性向上(productivity gains)が見込まれる。
  3. 保健医療:現在、アフリカでは1000人にたいして医者1.1名、看護婦2.7名という状況。インターネットによる遠隔医療等の恩恵は、2025年までに84~188Billion USDの見込み。
  4. 小売業(eコマース):2025年までに小売業の10%(=75Billion USD)がネットでの商取引になるだろう。
  5. 農業:天気、農薬、市場情報などなど、各種情報の共有が行われる。
  6. 政府:いわゆる電子政府関連でのネット利用。10~25Billion USDの生産性向上が見込まれる。

この10年間でどこまでアフリカのネット環境が良くなってユーザーが増えるのか、そして、その結果、どういう変化が起きるのか?電力とか国際海底ケーブルとかのインフラ整備が10年でどこまで発展するのかという疑問はありつつも、とても楽しみです。

新興国・途上国46ヶ国のブロードバンド「値ごろ感」ランキング

以前、ICTWorksブログで取り上げられていたレポート「The Affordability Report 2013」についてご紹介。Alliance for Affordable Internetという団体が作成したレポートです。その名のとおり、ブロードバンドの「値ごろ感(Affordability)」の切り口で、新興国・途上国46ヶ国をランク付けしたもの。

  • 世界の5人に3人はインターネットに接続できない。
  • 途上国では31%の人しかインターネットに接続できていない。
  • 最貧国では、10%以下の人しかインターネットに接続できない。
  • インターネットの重要性が増している現在、インターネット環境の未整備は国の経済・社会発展を阻害している。

という上記のイントロから始まるこのレポートでは、①インフラ整備状況と②接続コストの2つの観点から、46ヶ国のブロードバンドの「値ごろ感」を総合評価している。気になるランクは下記のとおり。

AffordabilityRanking MAP

Alliance for Affordability Internet (2013) Affordability Report 2013. p16-17

ランキング順位はさておき、レポートには誰もが使える価格帯のブロードバンド接続を実現するための障壁として4つのポイント(以下)が記載してあった。ちょっと端折って紹介。

  1. 市場競争原理の導入だけで上手くいくもんじゃない: 市場競争原理の導入(市場開放)は、ブロードバンドの低価格を促進するための重要な手段であるが、それだけでは機能しない。需要と共有の両方を促進するための適切な政策と規制が必要。
  2. 通信インフラ環境整備がまだまだ足りない: 特に途上国ではインフラが足りていない。インフラへの投資が必須であるが、そのためには、投資リスクの軽減を図るとともにインセンティブを持たせるための政策が必要。例えば、補助金、免税特権、複数社での回線共有、PPPといった政策が必要。また、新規事業者の参入やイノベーションを促進するための規制緩和も重要。
  3. 人口が少ない地方部のフォローが大変:人口(=ユーザ数)が少なく採算が合わない地方部のインフラ整備・サービス提供については、政府が補助金や免税政策を使って、いかに通信事業者にインセンティブを持たせるかがカギになる。また、ローカルコンテンツ、ローカルサービスの開発も重要。
  4. ブロードバンドの効果(雇用創出、仕事効率化、生産性向上、経済効果)を最大限に活かすには政府のリーダーシップが重要: 多くの国がブロードバンド化への方針を策定して実行に移しているが、政策は包括的である必要がる。インフラ投資を促進しつつ、一方でBOP層などへの利用促進を図るといった需要と共有の両方をカバーした政策であるべき。

以上、4点が記載されていました。通信分野に限らず、運輸交通でも電力でも郵便サービスでもなんでも、採算がとれない地方への投資・サービス提供をどうするか?というのは公共性のある事業では、必ず直面する課題ですが、こうしてみると改めて納得。

また、ガーナのブロードバンドについてのケーススタディがレポートに載っていたので、紹介したい。(ちなみにガーナはランキングでは30位)

ガーナではモバイルブロードバンドの価格が2011年から2012年の1年間で劇的に下がった。500MBのモバイルデータ通信価格が、14USD (2011年)から10.60USD(2012)と、実に4分の1も値下がりをしている。

この背景には、海底ケールの市場競争があった。2010年時点でガーナに陸揚げされているブロードバンド向け海底ケーブルはSAT3の1本(1社)のみ。ところが2010年から2013年の間に新たに4本(4社:Main
One、 Glo-1、 WACS、 ACE)の海底ケーブルがガーナにつながった。これが、ブロードバンド接続料金が大幅に低下した背景になっている。

なるほど、ついつい国内の通信市場開放とか通信事業者の動きばかりに目が行ってしまうけど、大元は国際海底ケールというわけか。

今回、このレポートを紹介しつつ、改めて「インフラ政策」の重要性を認識しました。オモシロさでいくと前回投稿のWiHatみたいなエンドユーザーを対象とした取組やICT4Educationとか4HealthといったICT利活用も興味深いけれど、ICTのインフラを整備するためのインフラ政策の重要性にももっと注目せねばと思いました。

アフリカのブロードバンドはどこが一番速い??

アフリカのブロードバンドの速さについて、比較している記事がありましたので、紹介します。
Ooklaという組織が発表した各国ブロードバンド比較についてのレポート記事2つです。

Top 10 African Countries with Fastest Broadband Speed (英語)
Ghana’s  Internet speed ranked highest in Africa (英語)

この記事によると、各国首都におけるインターネット速度を比較したところ、
1位:ガーナ
2位:ケニア
3位:アンゴラ
4位:ルワンダ
5位:ジンバブエ
となっています。

ガーナが1位というのは少々驚きですが、アフリカの1位でも世界で言うと72位ということで、やはりまだ他の地域に比べると遅いというのが現状のようです。

とはいえ、73位のイタリアより上位にアフリカが入ってくるというのは興味深く、成長度を考えると今後もこの傾向は続くのでしょう。

個人的には、白人排斥やハイパーインフレによる経済崩壊があったジンバブエがアフリカ5位に入っているというのが意外でした。人もまじめですし、力はあるんですかね。もしくは今でも残っている白人がインフラを整備したか、というところでしょうか。

e-Education×グラミン in バングラデシュ

前回のKanotの投稿が遠隔教育でしたが、今回も遠隔教育についてです。「国際開発ジャーナル」って雑誌に、バングラデシュの田舎で遠隔教育を実施しているグラミングループのプロジェクトが紹介(タイトル:「“インターネット”ד遠隔地”=教育イノベーション」)されていました。

バングラデシュでは、大学進学のためには殆どの者(あるアンケート結果では8割以上)が高校卒業後に3~4ヶ月間、予備校に通うそうだ。そうでもしないと合格出来ない狭き門(国立大学入学の競争率は約30倍)。しかも、首都ダッカにしか良い予備校・優秀な講師がいないため、田舎に住んでいる学生は、わざわざダッカに下宿しないといけない。当然、お金がない家庭では、そんなこと出来ず必然的に大学進学が出来るのは裕福な家庭の子供に限られる。そんな構造になっている。

そこで、早稲田大学の学生である税所篤快氏が立ち上げたのが「e-Education予備校」である。グラミン銀行で有名なグラミングループの協力を得て、ダッカの優秀な講師の授業をインターネット経由で田舎でも受講できる予備校を開始した。日本の予備校がやっているサテライト授業と同じことだ。初年度の今年は30名の生徒のうち、1名がダッカ大学に合格したという。

前回の投稿「オープンエデュケーションの可能性」で、大学の単なるオープンエデュケーションには実際に大学教育が提供する同級生と刺激をし合って勉強したり、議論したりといったメリットがないことが懸念点として上げられていたけれど、受信できる授業を集団で受講するスタイルであれば、実際の学校には及ばないまでも、ある程度同様の効果が期待できるだろう。また、特に大学受験予備校的な勉強であれば暗記系なので、遠隔教育に適している気がする。

それでも、このe-Education予備校の30人の生徒のうち5人は途中で来なくなってしまったということもレポートされいた。事前に十分なやる気があるかを家庭訪問等を通じて審査したにもかかわらずだ。そして、その原因は、予備校を無償にしたことと考えれており、来年度以降は小額でも授業料を取る方向に変えていく方針だという。

このプロジェクトを日本人の方がやっているのを非常に嬉しく思う。そして、自分が協力隊エチオピアの遠隔教育システム導入を目の当たりにしたときに、同様の試みにチャレンジしなかったとこに対する後悔もある。インフラは十分揃っていたのになぁ。。。
でも、もしチャレンジしていたら、電力の安定供給や電気代、講師への謝金、機器のメンテナンス、場所代、人件費、などなど、これまでも一般的にICT4Dプロジェクトで失敗要因(=サステイナビリティが確保出来ない)として指摘されている障害をどう克服できただろうか?という思いも。「国際開発ジャーナル」の記載では、そういった点については言及されていなかったので、このe-Education予備校が上記のようなハードルをどうやって克服している(or していく)のかについては、非常に気になるところだ。

Developmentに本当に必要なもの

日経コミュニケーションという雑誌にKDDIの山住忠司氏がバングラデシュについてのルポを書いている。以前このブログでも紹介したが、バングラディッシュのNGO「BRAC」がデフタパートナーズと共に進めている「BRACnet」のインターネット事業。これにKDDIが50%出資しており、山住氏はKDDIからBRACnetに出向されている方だ。10月号の「バングラデシュで“バクシーシ”に困惑 -ネットは“自立”を促せるか?」というタイトルの山住氏のルポが興味深かったので紹介。

“バクシーシ”という文化がバングラデシュにある。喜捨とほぼ同じで、金持ちは貧乏人にお金や食べ物を与えることで、徳を得られるといういうものだ。バングラデシュ以外でもイスラム圏である文化で、金持ちは喜捨をすることで、庶民の反感を買わないようにし、一方で貧困層もバクシーシに頼ることで、最低限の生活は出来るといった社会システムである。山住氏は、インターネット普及のためには、電力や識字率向上など色々なハードルがあるが、一番やっかいなハードルは、「インターネットをバングラデシュの人々に根付かせること」と言っている。

この意見に物凄く共感できた。与えられるのに慣れている人々が、どうやって自分で有益な情報を得るためにアクションを起こすのか。インターネットというツールが差し出されても、能動的に有益な情報を入手に行かなければ、インターネットはただの無駄情報の集まりにすぎない。「インターネットを根付かせること」は、人々が与えられるのを待つのではなく、能動的にチャンスをものにする意欲・自立する意思を持つことなのだろう。教育は保健のように色々な分野の援助があるけれど、結局、人々の意識を変えることがDevelopment実現の根底にあるのだと思う。インターネットによる情報の波が、彼らの自立を促すのか、それとも、自立した人だけが、インターネットの恩恵を受けるのか。どちらなのだろうか。

Information and Communication for Development Report (IC4D 2009)

最近、改めてInfoDevのWebサイトを見ている。2年前、マンチェスター大学でICT4Dを専攻していた当時、プレゼンやエッセイといった課題に取り組むときには、まずInfoDevのWebサイトをチェックして関連する記事やレポートに目を通していた。そんなこともあり、大学院卒業後は、なんとなく掲載されている記事を知っていたこともあり、あまり見るとことがなかった。

で、最近改めて見てみると新しい記事ばかりで面白い。
そんな中で、Information and Communication for Development Report (IC4D 2009)というレポートが紹介されていた。2009年7月作成のレポートなので全然タイムリーじゃないのですが。。。
このレポートのサマリーで、高速インターネット普及率が10%向上すると、経済成長率が1.3%向上するということが書かれていた(中身を読んでないので、どういう数字なのかの詳細はわからないが、とりあえずそういうことらしい)。そのほかのハイライトとしては、以下の点が挙げられていた。

  • インターネット普及(低所得層への普及)のために、政府は民間と協力するべきである
  • 情報社会は特に若者に仕事の機会を与える
  • 電子政府は効率、透明性、信頼性の点で(電子政府じゃない政府よりも)優れている

全てが「その通り」と思える一方で、「ほんとに?」というちょっと穿った見方も出来そう。特に、電子政府については色々と問題がありそうな・・・。
と、興味をそそられたので、頑張って少しづつ読んでみようかと思います。