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m-Agriculture成功の鍵は、どれだけ人が介在出来るか?

先日、ガーナのグラミン・ファンデーションが実施しているm-Agricultureプロジェクトの話を聞く機会があった。実際にプロジェクトを担当している方からの話が非常に興味深いものだったので紹介したい。

Achieving Impact at Scale through ICT-Enabled Extension Services (AIS) projectという名前のついたプロジェクトの話。グラミン・ファンデーションの他、カナダのIDRC、インド発祥のDigital Green、Farm Radio Internationalが連携して実施している。

携帯電話を使った農民支援というとパッと思いつくのが、農作物の市場価格や天気予報といった情報をテキスト等で農民に提供することで、農民が仲買人に作物を買い叩かれないようになったり、天候によるリスクを軽減出来たりというメリットがある、という話だ。しかしながら、今回聞いた話は、そういう取り組みと一味違った内容で面白かった。

グラミン・ファンデーションがいわゆる農業情報配信システムを開発し、市場価格や天気予報などの情報を配信するという点は同じ。ただし、単純に農民に情報を配信するのではない。

農民から農作物を買い付ける仲買人(Agent)に対して、プロジェクトから情報配信用のアプリが入ったデバイス(スマホ、タブレット)を提供し、仲買人が農民に対して情報をセレクトして配信する仕組み。仲買人は最初に各農民と面談し、農民の情報(氏名や性別等の基本情報、育てている作物、農業スキル、欲しい情報、等)を聞き取りシステムに登録する。仲買人は定期的に各農家を訪問しアドバイスを提供することが義務付けられ、訪問時には写真を取ったりメモを取ったりして、その情報はデバイスを通じて、サーバーにアップされる。各シーズンにいつ頃、誰を訪問するべきか?というタイミング(種まきの前とか、収穫の前とか)はアプリで知ることが出来る。アプリには、登録された農民情報から農民をグルーピングして「米を作ってる農家」、「メイズを作ってる農家」、のように作物で分類したり、「経験抱負な農家」、「経験が浅い農家」のようにスキルで分類したりする機能があり、仲買人は配信される情報の内容を見て、それが必要なグループに配信する。沢山の情報を一斉に全員に配信するのではなく、各農家に合った情報を提供する。アプリの言語は英語のみだが、農民の中には英語が出来ない人もいる。その場合は、仲買人は定期訪問時に現地語でアドバイスしたり、ポータブルのプロジェクターで動画を見せて説明したりする。

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農家→仲買人→大手バイヤーの全体にメリットを提供出来る仕組み作りが上手い!

 

仲買人は50件の農家を管理しており、このプロジェクトではガーナ中で約200名の仲買人を対象としている。つまり、200×50=10,000ということで、一万件の農家を支援しているわけだ。当初は仲買人は100件の農家を管理する想定だったそうだが、実際にやってみると定期訪問が大変で数を50に変更したとのこと。

「どうやって対象とする仲買人を選んでいるのか?」と聞いたところ、仲買人を選ぶのではなく、複数の仲買人から作物を買い取る大手バイヤーのなかから農民への一定の支援に協力的なバイヤーを選び、その下にいる仲買人が対象になっているということだった。農民が作る作物の質・量が向上することは、大手バイヤーにとってもメリットであり、また、大手バイヤーは肥料販売やトラクターのレンタルなどもやっているケースが多く、そいうサービス業の繁盛にも繋がる。仲買人にとっても農民が作る作物の質・量が向上することは、安定した買い付けが出来る点でメリットがある。より安くて質の高い作物を探して遠方まで買い付けに行くコストよりも、地元の農民を支援してニーズにあった作物を育てさせる方が効率的である。つまりAISプロジェクトは、農民だけを直接支援しているというよりも、「農民→仲買人→大手バイヤー」という農作物の買い取りシステム全体を支援しているような印象。

アイデアとして「質の良い作物を大量に買い取りたい」という大手バイヤーを巻き込んだところが、秀逸だと感じた。政府系の農業普及指導員を巻き込んでこのような取り組みをしても、農民のスキルは向上したとしても最終的に質・量が改善した作物を「誰が買い取ってくれるのか?」という出口が不明瞭だ。一方、このプロジェクトでは最初にその出口を確保し、そこから支援の対象となる農民が選ばれている。農民のセレクションではなく大手バイヤーのセレクションからという逆のアプローチは秀逸だ。さらに、政府系の農業普及指導員よりも、仲買人の方が利害関係から「農民に良い作物を作らせる」という目的に対してモチベーションが明確である。

また、プロジェクトは農民への直接的なトレーニング等は行わず、仲買人に対してのみ各種トレーニングを提供している。ダイレクトに農民に情報配信をするのではなく、農民と仲買人という既存の関係性の上に情報配信をプラスするという方法をとっている点や、情報配信をするだけでなく実際はフFace to Faceで仲買人が農民に現地語でアドバイスをしたり定期訪問したりする点は、「ICTはあくまでツール。ICTそのものがソリューションではない。」ということを具現化したようなプロジェクトだ。いくつかm-Agricultureプロジェクトの事例を見ると、やはり「どれだけ人が農民とICTの間に介在出来るか?」が成功・失敗の分かれ目になっている。ちなみに、ガーナのグラミン・ファンデーションには、何度かこのブログでも紹介した外山健太郎氏が活動していたインドのマイクロソフト・リサーチで働いたいたガーナ人がいました。そういう繋がりから、Digital Greenとも連携しているのかもと憶測。

気になるのは、この農業情報配信システムの利用料金を「誰が払うか?」だ。現時点ではIDRCの援助で成り立っているため、誰からも利用料金は取っていないとのこと。この援助がストップしたときの持続性はどうなのか?

この質問については、いつくかの案があるということだった。例えば、農民は現金を払うことに付いて非常に抵抗感が強いため、仲買人が作物を買い取るときに、作物の量を増やす等の方法でモノで払い(使用料金をさっぴいた買い取り価格にする方法も)、仲買人が現金で使用料金を支払うという方法が考えられる。また、別の案としては、最終的に質の良い作物を手にする大手バイヤーが使用料金を肩代わりする方法も。さらに、このプロジェクトは携帯電話での情報配信だけでなく、ラジオでの情報配信も行っていることから、トラクター貸し出し業や肥料販売などをしている会社(大手バイヤーと被ることもある)の宣伝をラジオに載っけて、その広告料でシステムの利用料金を賄うといった方法もありえる。

持続性については今後も色々と考えて行くという話だったが、上記の案はいずれも悪くないように感じた。ただ、これが援助でなくビジネスとして成り立つ場合、仲買人は自分が管理する農民をよりシビアにセレクトすることになる。例えば、肥沃な農地を持っている農民や一定のスキルのある農民を対象にした方が良いに決まっている。言い換えると、より恵まれない環境にある農民は、この仕組みに入れずに、お隣さんがより質の高い作物を作っているのを羨ましそうに見て、より格差が広がる…ということに。このプロジェクトでは、そういうことを避けるためにラジオを通じた情報提供を分け隔てなく行ったり、仲買人が農民をセレクトする際にバランスのとれたセレクションをするようにしているとのことだが、援助がビジネスに切り替わると、弱肉強食の世界にならざるを得ないだろう。まぁ、この手の話はまた別の機会に書きたいと思います。

今回、グラミン・ファンデーションの方から話を聞いて、人を支援するという視点ではなく、システム全体にメリットのある支援を考える視点の重要性を強く感じた。いやはや、とても勉強になりました。

最後に、Achieving Impact at Scale through ICT-Enabled Extension Services (AIS) projectの紹介がされているWebを見ると、もっと色々な情報が掲載されており、一部上記の話とも違う点(例えば、プロジェクトが対象としている仲買人は200ではなく220との記載)もありますが、生で聞いた話を元に上記は記載してみました。

携帯電話・SNS中毒に警告@ガーナ

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世界銀行のWorld Development Report 2016によると、サブサハラ・アフリカ地域の携帯電話普及率は73%と言われている。アフリカの中でも結構進んでいるガーナでは、携帯普及率が約128%まで伸びている。「ガーナで携帯どんな感じで使われているのか?」について、自分のガーナ生活もあとわずかとなってきたので、身近で感じる点を書いてみようかと。

まず、自分の職場を見てみるとガーナ人スタッフの多くはスマホユーザー。最新機種じゃないけど、iPhoneを使ってる人もいる。逆に職場から貸与されるガラケーをメインで使っているのは日本人のほうかも。そして仕事上の関係者とのやり取りでもガーナ人同士ではWhatsAppを有効活用している。確かに海外出張中でも国際電話をかけずにやり取り出来るし、電話番号とか名前とかを間違いなく伝えるには音声通話より確実だ。

町中の携帯電話会社の宣伝や看板には「ヤムを捨てて、スマホに換えよう!」というメッセージが書いてある(上記の画像はその一つでTigo社のもの)。「ヤム」というのは、ヤムイモのことでガーナではガラケーのことを”ダサい”という意味を込めて「ヤムPhone」と呼ぶのです(形状的に似てるという意味もある)。やっぱり国を超えてもイモはダサいというイメージなのか(笑)。ガーナでガラケーを使っている人は、ガーナ人に「俺、ヤムPhone使ってんだよね〜。スマホに買い換えたいなー」と言ってみましょう。うけるはずです。

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ヤムイモです

職場の同僚でない仕事で付き合いがあるガーナ人達も結構スマホを活用している。偉い人や重要なポジションの人ほどスマホを使っている気がする。打合せなどで席に着くと、テーブルの上に2〜3個のスマホをドサッと置く人もいる。初対面のとき、名刺交換後にスマホの名刺管理アプリで写真を撮ってさらに「ちょい、顔写真も取らせて」と言われ、その場で名刺と顔写真を登録し、「これで君からの電話はすぐわかる」と言われたことも。しかももう50歳後半の人に。スゲー使いこなしてんなぁ、と驚きました。

そしてミーティング中でも執務中でもちょいちょいスマホをいじっている輩が少なくない。SNSで友達とやりとりしているのか?それともミーティングのトピックや関連事項をGoogleで調べているのか?以前、職場でスマホにイヤホン繋いで聞いている同僚が居たので「何してんの?流石に勤務中に音楽聞いてちゃまずいでしょ?」と言ったら、「ミーティングを録音したのを聞いて議事録書いんだけど…何か?」との返事。おおっ、スイマセン…ってな感じのことも。意外なまでに使いこなしてんなぁ。

更に最近はUberの利用も広がって来た様子。そういえば、日本のように安心し一定のクオリティのサービス(料金も一律、マナーの悪い運転手もそんないない、車も奇麗だし)を受けられる国よりも、ぼられる心配があったり、マナーの悪い運転手が多かったり、ポンコツ車が多かったり…と安心して一定のクオリティのサービスを受けられない途上国の方がUberのようなサービスは浸透するという話を聞いた事がある。そういう意味ではガーナはハマるかも。携帯普及率も高いし。

ちなみに先日、Hello Food(JUMIA FOOD)というデリバリーサービスを使ってみた。スマホアプリをダウンロードして、アクラのレストランからピザ屋を選んで注文してみた。注文後、確認の電話がかかって来て、事前通知の時間どおりにピザが到着。注文時に「60分かかります」と出て来たのですが、流石にそこは途上国。日本のように「30分以内に届けます」とはいかないけど、事前にわかって注文するなら、まぁ許せる範囲。その後も何度か使ってますが悪くない。このサービスはレストランに注文して、それをバイク便で届けてくれるという単純なサービスながら、レストランにしてみるとデリバリー用のスタッフを雇う必要なくデリバリー注文を受けられるのでメリットが大きいのだろう。アクラの外人が使うようなレストランの多くが登録されている。そして、他の多くの国でも使われているサービスだ。

こんな風に携帯電話の利用はかなり浸透している。先日、ガーナの新聞に「Don’t be slaves to mobile phone, social media」という記事が。教員養成学校の卒業式スピーチで校長先生が、携帯電話、SNS中毒にならないように!と警告したという内容でした。学生の多くが携帯電話、SNSに多くの時間を費やしているのを問題視しての発言ということ。いやはや、日本の新聞にあるような記事がガーナの地元新聞にも出て来るとは。

ルワンダICT、神戸情報大学院大学、などなど

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日経ビジネスオンラインで「鮫島弘子のアフリカビジネス入門2017」という特集があり、今回のテーマは「ルワンダICT」。自分のエチオピア時代の友人鮫島さんがルワンダICT特集でルワンダへ行き取材をしており、さらに出て来る方々がこれまた知り合いだらけで面白い。以下、紹介したいと思います。

  • 「ビニール袋禁止令」:これは知らなかった。一方、自分のいるガーナはビニールゴミだらけです(涙)アクラのビーチじゃ泳ぐ気が起きない・・・。
  • ICTビジネス振興:輸送コストがかかる内陸国故に労働集約型産業をしようにもコスパが悪いということから高付加価値ビジネスを目指しICTへ、という流れ。前回の投稿に記載した、「技術革新が進んで労働集積型産業から知識集約型産業へのシフトが起きている」という世界の流れを先読みした政策が凄い。
  • 新しく会社を立ち上げるまでに要する時間は平均5.5日:マジ・・・!? 驚きです。
  • 日本の支援:ルワンダのICT分野へは山中さんという超エネルギッキュなJICA専門家が地道な協力を続けて来たのでした。そして今も。自分もかつて関わっていたので嬉しい限りです。また、ルワンダから多くの留学生が日本で勉強しており、とりわけICT系の学生は神戸情報大学院大学に留学してます。
  • ICTベンチャー:K−Lab、FabLabなどの場所からモバイルアプリ開発などのベンチャーが育ってます。アツい!

などなど、詳しくは日経ビジネスオンラインへ。

そして、ここで紹介されている神戸情報大学院大学(KIC)で自分は講師をやらせてもらっています。20〜30人の学生の大半はアフリカからの留学生。毎年、最後の授業ではゲストスピーカーとして協力な知人・友人にも協力してもらってもおり、学生からも大好評(なはず!)。

ちなみに今年度は、e-Education代表でForbes UNDER30にも選ばれた三輪さん、ガーナでのFabLab活動で東大総長賞をゲットした青木さん、このブログの共同運営者でもあり最近「投資家と企業のためのEGS読本」という本も出してる橋爪さん、とかなりの豪華ゲストでした!冒頭の写真はそのときの記念撮影。

さて、この自分の授業では最終課題として、特定のICT4Dプロジェクトをケーススタディにして、その成功もしくは失敗の要因を分析して解決方法を提案するという小論文を書いてもらってます。そしてこの4年間で学生が提出する小論文の傾向に変化が出て来きました。

どういう変化かというと、ケーススタディに選ぶプロジェクトとして、以前は「失敗事例」を選ぶ学生が大半だったのに対し、最近は「成功事例」を選ぶ学生が増えて来たという変化。自分の授業のテーマは、基本的にRichard HeeksやKentaro TOYAMAの主張のように、「ICT4Dプロジェクトは失敗が多い。失敗理由は技術だけでなく政治、経済、社会、文化、感情、等等いろんな要因があるので、幅広い視点からプロジェクトを計画・実行するべし。ICTは万能じゃないよ。」というICTの導入にやや批判的な見方を身につけるというもの。それ故に、学生は最終課題として失敗事例を選ぶことが多かった。ところが、徐々に成功事例を扱ってくる学生が増え、今年は半々とまではいかないまでも、かなりの割合になってきた。どんな成功事例があるかというと、

  • iCow
    • 牛の情報(誕生日など含め)を登録すると、その牛の成長にあった有益な飼育関係の情報提供が受けられるというサービス。携帯電話で農業情報を農民に提供するeSokoのようなサービスと携帯電話での母子保健情報提供サービスを足して「牛」版にしたようなサービス。ケニアで開始され580,000ユーザを獲得しつつ、エチオピアとタンザニアも展開中。
  • mPedigree
    • 途上国ではなけなしの金で買った薬が偽物…!ということがある。例えば、2011年にナイジェリアで輸入されたマラリア予防薬の64%は偽物だったとのニュースもある。そこで、偽物を掴まされないように、薬のパッケージにシリアル番号を付け、その番号を携帯から入力してテキストで送ると、本物か偽物かがわかるサービス。製薬会社にとってもありがたいサービスであり、消費者と生産者の両方にメリットを生み出す仕組み作りが秀逸。ガーナとナイジェリアで展開中で、HPの支援なども受けている。
  • モバイルマネー系
    • 王道であるケニアのM-pesa、そこから派生したアフガンのm-paisa、ソマリランドのZaadなど。

冒頭に紹介したルワンダICT特集を見てもらうとわかるように、一昔前には成功すると思えなかったプロジェクトやビジネスが途上国でも成功するように成って来たんだと実感。そして、それが学生のケーススタディ選びにも反映されているのだと感じます。変化が激しい分野だけに、学生に置いてかれぬよう自分も頑張らねば。

日本企業によるドローンを使った医療物資空輸サービスがザンビアで

明けましておめでとうございます。ガーナのTomonaritです。あっという間に2017年になり、もうガーナに来てからほぼ3年が経過しました。そして自分がICT4Dを修士コースで勉強していた頃から既に10年が経とうとしているとは・・・。そりゃ、テクノロジーも大分変わってくるはずだなぁ、などと感じています。

そう言えば、以前の投稿「Sustainable Development GoalsとICT」で以下のように書いてました。

…そして、この「SDG ICT Playbook」を見て感じたのが、具体的なICT技術として取り上げられているものが自分がICT4Dに関心を持ち始めた10年前とは大きく変わって来たという点。モバイル、ソーシャルメディア、クラウドコンピューティング、ビッグデータ分析、3Dプリンタ、スマートシステム、衛星技術などが各ゴールに絡む各セクターでどう活用出来るかが紹介されている…

そんなふうに感じていたところ、JICAもドローンを使った途上国での事業を支援しているというニュースがあったので紹介します。詳しくは「国産ドローン、アフリカで医療支援…年内に運用」に記載されていますが、日本企業の技術を途上国の発展に活用するための支援をするJICAの制度(開発途上国の社会・経済開発のための民間技術普及促進事業)があるのですが、それを使ってエアロセンス社がザンビアでドローンによる医療物資(エイズ検査キットなど)の空輸サービス事業を展開しようとしています。上記の動画はそのエアロセンス社のドローン。

以前、「世界初!ドローンでのデリバリーサービスはルワンダで」でアメリア企業による同様のサービスがルワンダで開始されたニュースを紹介しましたが、日本企業もテクノロジー×途上国開発の分野(しかもアフリカ)に進出してきているのは嬉しいところです。

ドローン絡みでいくと、JICAが途上国から来た研修員向けに実施している「森林リモートセンシング」という研修コースのなかでも、北海道の酪農学園大学でドローンを使ったリモートセンシングの演習が行われたという記事もありました。途上国におけるドローンの活用は、一昔前には夢物語のようだったけど、あっという間に現実になったのだと感じます。

そんな中、つい先日、1月7日に自分の住むガーナで新大統領の就任式典が行われました。自分も招待されたのですが、とういうのは嘘ですが、参加した上司から話を聞いたら、式典でもガーナ国旗を付けたドローンが飛ばされたとのこと。おおっー。さらにその他にも、マスコミ関係者も撮影用ドローンを飛ばしていた様子。

確かにガーナのスーパーマッケットの広告にも、「ドローン値下げ!」みたいな宣伝があったり、職場の近所でドローンを飛ばしている光景を目にしたりするので、ガーナでもドローンがかなり浸透しているとは思っていたけど、大統領就任式典でも使われるとは。

これからは、ドローンはじめ、IoT、AI、5G、ビッグデータなど新しいテクノロジーの動向についてアンテナ高くしてかないといけないなぁと感じたのでした。と言うことで、2017年の目標は「新しいテクノロジー×途上国開発」についての投稿を意識したいと思います。

ガーナのオレオレ詐欺!?

ここ最近、ガーナの新聞で立て続けに携帯電話やモバイルバンキングに関する記事が載っており、なかなか興味深かったので紹介します。

ガーナのモバイルバンキング市場は?

そもそもどんくらいガーナで携帯電話やモバイルバンキングが浸透しているの?という点について、CGAPの調査でガーナとその他アフリカ諸国のモバイルバンキング市場状況が比較されてました。結果は以下のとおり。

モバイルバンキング口座登録者の割合(人口に対しての割合)

ガーナ:20%
ケニア:63%
タンザニア:38%
ルワンダ:23%
ウガンダ:33%

残念ながらガーナはイマイチです。そしてリーディングはやはりM-PESAのケニア。納得。ただ、ケニアやタンザニア等の国よりもガーナでモバイルバンキング利用者数が少ない背景には、ガーナは比較的多くの人が通常の銀行口座を持っているという事情がありそう。以下が成人の銀行口座保有者割合。

銀行口座保有者の割合(人口に対しての割合)

ガーナ:34%
ケニア:28%
タンザニア:21%
ルワンダ:16%
ウガンダ:14%

モバイルバンキング普及度が劣るガーナですが、モバイルバンキング口座登録者数は4.4 million、代理店は44,000あり、毎月380 million GHS(=約105億円)のトランザクションがあるとのこと。そして、こういうサービスが普及すると、それを利用した悪もはびこるようで、次の記事が新聞に掲載されていました。

ガーナ版オレオレ詐欺

偽造IDカードを使って登録・入手したSIMカードを使った犯罪が増えているそう。2016年2月4日のガーナ新聞「Daily Graphic」に、その中でも「ガーナ版オレオレ詐欺」と名付けたくなるような犯行についての記事があった。具体的には、知らない人からいきなり電話がかかって来て、「◯◯さんですね。◯年前に◯◯大学を卒業されて、◯◯企業でXXのお仕事をされていると聞いていますが・・・」と、何故か相手は個人情報を知っている。そして、ある会社からの仕事のオファーや引き抜きを装って、仕事が欲しければ紹介料として金をモバイルバンキングで送金しろと言う。しかし送金後に相手に連絡すると、「この携帯番号は現在使われておりません・・・」状態になっている。個人情報の入手方法は色々とあるようだが、組織的な犯行の場合も多く、仕事に困っていたり良い仕事を欲している者達は、ついこの手の詐欺に引っかかってしまうらしい。

国際電話料金のちょろまかし

不正に登録・入手したSIMカードを使った犯罪として、国際通話を国内通話にすり替える方法もある。自分は技術的なことは詳しくないのだけれと、SIM Boxなる装置を用いてそういうことが出来るらしい。実際、ガーナの新聞でもSIM Boxを用いて国際通話料金をちょろまかしている会社が摘発されたという記事が掲載されていた。SIM Boxは遠隔操作も可能なため、警察としては犯人探しが大変で、2010年から2015年7月までの国際通話の損失は52 million USDにものぼるとのこと。ちなみに警察側もこのような犯行を調査するために特別な装置を使っているとのこと。アフリカといえど、なんだがサイバーな感じ。この記事を見たときに「SIM Boxってなんだろ?」とWikipediaを見てみたら、国際通話料金のちょろまかしに使われる事もあると書いてあり、その例示でガーナの名前が上げられてました。なんか不名誉な感じ。

以上3つの記事の紹介でした。便利になるのは嬉しいけれど、それに絡んだ犯罪も増えて来るとは先進国も途上国も万国共通の課題。法や規制の整備とか、それを管理監督する機関の能力向上、そして、通信業者や町のモバイルバンキングサービス提供エージャントといった上から下までを含めた対策が必要になってきてます。

ガーナで見つけたイケてるリュックサック

ソーラーパネルがついてる

ソーラーパネルがついてる

先日、ガーナのFablabで活躍されている青木翔平さんとお会いしました。色々と面白い話を聞かせてもらったのですが、結構インパクトがあったのがこのリュックサック。

これ、ガーナで行われた「19th Ghana International Trade Fair」販売されていた品。思わず衝動買いをしてしまう青木さんのセンスに、トーゴで懐中電灯携帯を買ってしまった自分はとても共感してしまった。

見ての通り、このリュックサックにソーラーパネルがついていて、携帯電話の充電が出来るようになっているのです。そして、どんな形状でも対応可能なようにコネクタが10種類付いている!

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さらに、自分が心を奪われたのは、この手作り感!!

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なかなか良い感じです。

途上国ならではのこのアイデア商品に心がはずみますね。もし、東京でこれを背負っている人を見たら、「あ、それガーナのですよね?」と声をかけてみましょう。そこから、面白い人脈が広がること間違いなしです!

ガーナのICT事情 — 最近驚いたこと3つ —

このところ、ガーナのICT事情について驚くことがいくつかあったので、まとめて紹介してみます。

1.ユニセフのTED風イベント

先日、ガーナの首都アクラでユニセフが主催したトークイベント“building virtual bridges for reaching the unreached”なるものがあり行ってみました。TED風のトークイベントで以下4名のプレゼンターが約10分間のプレゼンを行うものでした。

  • Samuel Dzidzornu, TechMerge:a user-friendly mobile app to monitor child friendly schools and other education indicators(子供の学校への出欠席状況などが管理出来る携帯アプリ)
  • Andrew Bayor, Literacy Bridge:talking book(学習用の音声再生プレーヤーで、シンプルな性能&実用的なコンテンツが売り)
  • Dzigbordi Agbekpornu, Department of Social Welfare:an e-payment system for Ghana’s social protection scheme(ガーナ貧困層向け補助金配布をモバイルバンキング行う仕組み)
  • Pearlyn Budu, Voto Mobile:a mobile notification and survey platform removing barriers to insightful communication(携帯SMSは文字が読めないと使えないので、文字が読めない人向けの音声メッセージ専用プラットフォーム)

ガーナでもこれだけICTを活用したサービスが実用されているのか、と感心するとともに、このイベントのイケテル感にも感心。プレゼンをWebで配信(生中継)してツイッターで質問を受付けて、その質問に対しても回答するということもやってました。でも、肝心のプレゼンそのものは、やはり本当のTEDには及ばないもので、ちょっと残念でしたが、それでも参加して良かったと思える内容でした。

ユニセフのTED風イベント

ユニセフのTED風イベント

2.マイクロソフトの展示場

ガーナの首都アクラの繁華街OSUに、マイクロソフトが自社製品プロモーションのための展示場(英語では”Windows Zone”というショールームみたいなの)を作りました。ガーナでいちはやく4Gサービスを開始したSurflineという会社のお店の一部ながら、マイクロソフトがアクラにそいうう場をもうけるとは、ガーナのICT市場は結構有望なんだろうな。

このニュースは現地の新聞で知ったのですが、このブログに投稿する前に「ガーナ政府のWebサイトにプレスリリースが出てますよ」とこのブログ読者の友人が教えてくれました。これは政府としても自慢したい話なんだということか。今度、実際に足を運んでみたいと思います。

3.スカイプの映像がすごいきれい

この3週間、神戸情報大学院大学とTV会議システムとスカイプをつないで、遠隔講義をやらせて頂きました。その際、スカイプの映像が驚くほどきれいでびっくり。ガーナでは以前このブログで紹介したポケットWifiルーターを使ってネット接続していたのですが、それでもこんなに鮮明な動画がやりとり出来るのかとホントに驚きました。

上記のマイクロソフト関連の記事に、「2013年のITUの報告書によると、ガーナはアフリカ1番のブロードバンド接続の普及率(Africa’s highest mobile broadband penetration rate)」ということが書いてあるけど、あながち嘘じゃないんだろうなと実感しました。

以上、最近驚いたこと3つでした。