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ガーナのICT事情 — 最近驚いたこと3つ —

このところ、ガーナのICT事情について驚くことがいくつかあったので、まとめて紹介してみます。

1.ユニセフのTED風イベント

先日、ガーナの首都アクラでユニセフが主催したトークイベント“building virtual bridges for reaching the unreached”なるものがあり行ってみました。TED風のトークイベントで以下4名のプレゼンターが約10分間のプレゼンを行うものでした。

  • Samuel Dzidzornu, TechMerge:a user-friendly mobile app to monitor child friendly schools and other education indicators(子供の学校への出欠席状況などが管理出来る携帯アプリ)
  • Andrew Bayor, Literacy Bridge:talking book(学習用の音声再生プレーヤーで、シンプルな性能&実用的なコンテンツが売り)
  • Dzigbordi Agbekpornu, Department of Social Welfare:an e-payment system for Ghana’s social protection scheme(ガーナ貧困層向け補助金配布をモバイルバンキング行う仕組み)
  • Pearlyn Budu, Voto Mobile:a mobile notification and survey platform removing barriers to insightful communication(携帯SMSは文字が読めないと使えないので、文字が読めない人向けの音声メッセージ専用プラットフォーム)

ガーナでもこれだけICTを活用したサービスが実用されているのか、と感心するとともに、このイベントのイケテル感にも感心。プレゼンをWebで配信(生中継)してツイッターで質問を受付けて、その質問に対しても回答するということもやってました。でも、肝心のプレゼンそのものは、やはり本当のTEDには及ばないもので、ちょっと残念でしたが、それでも参加して良かったと思える内容でした。

ユニセフのTED風イベント

ユニセフのTED風イベント

2.マイクロソフトの展示場

ガーナの首都アクラの繁華街OSUに、マイクロソフトが自社製品プロモーションのための展示場(英語では”Windows Zone”というショールームみたいなの)を作りました。ガーナでいちはやく4Gサービスを開始したSurflineという会社のお店の一部ながら、マイクロソフトがアクラにそいうう場をもうけるとは、ガーナのICT市場は結構有望なんだろうな。

このニュースは現地の新聞で知ったのですが、このブログに投稿する前に「ガーナ政府のWebサイトにプレスリリースが出てますよ」とこのブログ読者の友人が教えてくれました。これは政府としても自慢したい話なんだということか。今度、実際に足を運んでみたいと思います。

3.スカイプの映像がすごいきれい

この3週間、神戸情報大学院大学とTV会議システムとスカイプをつないで、遠隔講義をやらせて頂きました。その際、スカイプの映像が驚くほどきれいでびっくり。ガーナでは以前このブログで紹介したポケットWifiルーターを使ってネット接続していたのですが、それでもこんなに鮮明な動画がやりとり出来るのかとホントに驚きました。

上記のマイクロソフト関連の記事に、「2013年のITUの報告書によると、ガーナはアフリカ1番のブロードバンド接続の普及率(Africa’s highest mobile broadband penetration rate)」ということが書いてあるけど、あながち嘘じゃないんだろうなと実感しました。

以上、最近驚いたこと3つでした。

エチオピアでスカイプ禁止令 その後・・・

前回の投稿「エチオピアでスカイプ禁止令」を掲載してから、どうなるのかと思っていたら、エチオピア政府が、「個人がスカイプなどを使用することを罰するつもりはない」という発表をした。

このニュースによると、「エチオピアでスカイプなどのVoIPを利用すると最長15年の罰を受ける」という法律は、PCからインターネット経由で国際電話をかけるサービスを提供している業者を取り締まるためのもので、PCからPCへのスカイプ利用者など一般ユーザーを取り締まるためのものではないという。エチオピアでは、国営のエチオピアテレコム(ETC)が通信サービスを独占しているが、スカイプなどを利用して国際電話サービスを提供する業者のせいで、年間50,000,000USD以上の損失を被っているという。ETCを保護して国家予算の増収を狙ってのスカイプ禁止令だったというのが、エチオピア政府のコメント。

確かに、もう10年近く前に、そういうお店(国際電話を格安でかけさせてくれる店)がアジスにあって、行くと「こっそり」スカイプで国際電話をかけさせてくれる、という話は聞いたことがあった。本当に最初から、そういう店を取り締まるのが目的なのか、それとも、本当は個人の利用も制限するつもりだったけど、あまりにも批判が多いので、今回のコメントのような目的に変更したのか・・・・? どちらが本意かわかりませんが、エチオピアのスカイプ禁止令騒動は、これで落ち着きそうですね。

 

エチオピアでスカイプ禁止令

エチオピアでスカイプの利用を禁止する法律が認められたというニュースが、エチオピア通の間で話題に。エチオピアでスカイプなどのVoIPを利用すると最長15年の罰を受ける可能性がある。エチオピアの通信業界は、国営公社のエチオピアテレコム(ETC)の独占。今回のスカイプ禁止は、ECTを守る意味もあるけど、反政府運動を抑制するための意図の方が強そうだ。エチオピア政府は、エチオピア版「アラブの春」の可能性を恐れているのかもしれない。なにせ20年も一党独裁が続いており、そのことを良しと思っていない国民も少なくない。自分がいた2005年に民主的な選挙が行われたが、その時期には反政府運動を抑制するために、携帯SMSが使えなくなったことを思い出した。ちなみに、与党勝利というその選挙結果に対するデモが各地で発生し、正確な数字はわからないが200人あまりが犠牲になったと言われる。

以前、このブログでも紹介したようにETCが市場を独占しているエチオピアの携帯電話普及率は他のアフリカ諸国より低い。また、上記のニュースには、エチオピアがサハラ以南のアフリカでインターネット普及率が最も低いという調査結果も載っていた。ただでさえECT独占によって、ICT普及率が低いのに、今回のVoIP禁止によって、さらに外国からの投資にブレーキがかかることになる。ここ8年ほど連続で2桁経済成長率を誇っているものの、今後この禁止令の影響がどう出るのか興味深い。

しかしそれよりも、身近なところで自分が密かに応援しているエチオピア皮製品ブランド「andu amet」さんのところでも、スカイプ出来なくなったら現地とのやり取りがかなり大変になってしまうなぁと心配。「ソーシャルメディア経由の音声およびビデオのデータ通信」も禁止ということなので、Google+なども使えないし・・・。うーむ、エチオピアの通信事情は今後どうなっていくのだろうか。

中東諸国のBlackberry利用制限とICTの公共性

UAEを初めとする中東諸国でスマートフォンのブラックベリーが利用制限される動きがある。これは、ブラックベリーを通じての情報のやり取りがカナダのサーバーを通じ暗号化されてやり取りされているからだ。中東諸国の政府としては、別の国経由で暗号化される通信は、検閲が聞かずテロ組織など反政府組織の活動に利用される恐れがあるため、自国でのブラックベリー利用に懸念を覚えている。とは言え、ブラックベリーはセキュリティの高い通信が可能だからこそ、ビジネスユーザーの要望に応えて利用者数を増やしており、UAEでも約50万人のユーザーがいるといい、自国を金融ビジネス市場として盛り上げていこうする政府の方針に対して、ブラックベリー利用制限が足かせとなる可能性もある。

スカイプについても、暗号化という点では同様のことが言えるだろう。アメリカ政府もスカイプの暗号化された通信内容は検閲出来ないといっているが、もしかしたら、アメリカ政府だけは検閲してたりして・・・なんていう憶測も出来てしまう(←BBCでこんなことを言っていました)。

携帯電話やインターネットといった通信は、営利企業が運営・管理しているものの、その公共性は年々高まっている。今や国家の安全保障に関連するほどだ。

ブラックベリーは携帯通信インフラとしての公共性を有するが、一方、インターネットもインフラとして公共性がグングン高くなっている。そして、そのインフラを牛耳るのはGoogleだ。最近YahooジャパンがGoogleと提携を発表したように、Googleの勢いは止まるところを知らない。日本での検索市場はGoogleとYahooで二分している状況だったが、今後はYahooジャパンで検索しても、検索エンジンはGoogleだ。今や検索にGoogleを使わない人は居ないんじゃないだろうか。いくつかの本などでも指摘されてるが、このままGoogleが突っ走っていくと、ユーザーは「Web上にある情報」を得るのではなく、「Googleが検索結果に表示する」情報を得ることになる。実際、自分のWeb利用方法を振り返ると、Googleで検索して検索結果の最初の1~2ページに表示される情報しかチェックしないことが多い。もはや、Googleは検索結果をどう表示させるかで、情報操作が容易に出来る。しかも一国の情報でなく、対象は世界中だ。

携帯電話でもインターネットでも、その公共性は極めて高いにもかかわらず、普通の企業がその管理・運営を握っている。だからといって公営にするべきとも一概には言えない。Googleが公営だったら、ここまで便利で魅力的なサービスは生まれなかったはずだ。しかしながら、公共性が高まるICTインフラ。セキュリティやら国家の安全保障やら企業による情報操作やら、どうしていくのが一番良い方法なのだろうか?