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新興国で携帯電話サービス事業を展開する日本企業 YOYOホールディングス

Candy

先日、国際開発ジャーナルを見ていたら、「ネットの力で新興国を変える」というタイトルで、YOYOホールディングスという会社の取組が紹介されていた。

どんな事業をやっているかというと、フィリピンをベースにCandyというリワードプラットフォーム運営事業を展開している。これは、携帯電話やPCを通じて送られた広告メールやアンケートに答えてくれたユーザに、報酬として無料通話クレジットを提供するというサービス。

“20代の女性が携帯電話で自分の名前など個人情報を登録すると、5ペソ(約12円)分の通信料が無料になった。続いて送られた広告主の名前をメールで打ち返せば、さらに10~20ペソ分が無料になる。”(2014年1月4日付 日経新聞の記事から)

フィリピンで2013年㋆にサービス開始し、2014年1月時点ではすでに6万人のユーザ数を獲得しているという。特に若者のあいだでの携帯電話普及が進んでいるフィリピンでは、受け入れられたサービスとい言えるだろう。今後は、フィリピン同様に携帯電話普及が進んでいるタイやインドネシアに事業展開を図っている。

代表の深田氏は、モバゲーで有名なDeNA出身ということもあり、色々なメディアでも取り上げられている。 例えば、以下のサイトにサービス内容の概要紹介などがある。

そして、YOYOホールディングスについて、ネットで情報収集していたら、非常に面白いブログを見つけた。 「大事なのは金か、志か。」というタイトルのこの投稿は、誰もが思う「BOPビジネスとか社会起業家ってカッコいいな。でも、生活もあるしハイリスクは取れないなぁ・・・」という点について書いてある。ビジネスモデルの斬新さとか緻密さにも増して、起業家の思いや決心ってのが凄いと改めて感じる内容でした。

Skypeを使ったオンライン英会話

以前tomonaritが紹介したWAKU-WORK ENGLISHの投稿にインスパイアされたわけではないが、昨年からこの類のフィリピン人講師とのオンライン英会話を実践している(WAKU-WORKではないサイトにて)。
ICT4Dというよりは、ただの感想に近いが、せっかくなので書いてみようと思う。

一応簡単にビジネスモデルを書くと、英語が標準語の一つであるフィリピンと先進国の物価・人件費の差に目をつけて、skypeを通じて英会話を行うスクールを作ることで、日本人にとっては格安、フィリピン人にとっては高給?な価格で英会話を行うことができるというものである。

現在、こういった学校はかなり増えていて、果たして本当にビジネスとして成り立ってるのか?と疑ってしまうほどの数である。
<講師がフィリピン人の英会話>
http://eigokoryaku.com/school/school_50_philipteacher.html

で、感想は?ということなのだが、
これまた実に面白い。フィリピン人の明るい人柄もあり、楽しい。
音声レベルはフィリピン側の講師によって差が激しいが、音声のよい先生は本当にクリアに聞こえ、日本国内の電話よりクリアに聞こえるくらいであり、英会話をするには申し分ない。インターネットの進化、おそるべしである。英会話学校が国境を越えるとはさすがに想像できなかった。

そして価格も毎日30分マンツーマンで月5,000円程度であり、ありえないくらい安い。
30分あたり160円くらいと考えると、講師の給料は30分でせいぜい80~100円といったところか。
(フィリピンで時給150円~200円というのはどうなんでしょう?)

内容も、講師によりけりではあるが、フリートークからWebのニュース記事などを使った議論までなんでも対応してくれて、その日の気分に合わせて学習できるのがとてもよい。
私のように、留学経験などがなく、もう基礎はわかったからとにかく数をこなしたい、慣れたいという人には最適と思われる。

以前から、ITの進化により国境の垣根がなくなり、中国などのオフショア開発が増え、それにより日本のソフトウェア開発企業の仕事を取られてきたという意識は持っていたのだが、本件もその例で、ITの進化により、日本の英会話スクールが海外に顧客を取られている。

消費者(私)と提供者(フィリピン人講師)にとってはお互いWin-Winであり、フィリピンへの投資にもなるすばらしいビジネスモデルではあるが、国内の英会話産業にとっては非常に頭が痛い話であろう。

このように、ITや機械化により、これまであった仕事がなくなる。もちろんこれらにより生まれる新しい仕事もあるのだが、どうも減る仕事のほうが多いと感じる。
はたして先進国の失業率が改善する日は来るのだろうか・・・

皆さんもフィリピンの発展に寄与できて、英会話の勉強になるこの仕組み、いかがですか?

マイクロファイナンスとMobile-banking

CGAPというサイトに、“How can microfinance take advantage of mobile banking?”というタイトルで、マイクロファイナンスを提供する組織が、どのように携帯電話を使ったバンキングシステムを利用しているかという話が載っていた。

ケニアのM-PESAに代表される携帯電話を使った送金システムは、銀行口座を持たない(持てない)貧困層の人々に送金サービスを利用する機会を与えている。一方、マイクロファイナンスは銀行からお金を借りれない貧困層が、融資というサービスを受けられる機会を与えている。このMobile-bankingとマイクロファイナンス、どちらも貧困層に銀行のようなサービスを提供しているという共有点があり、それ故、マイクロファイナンス機関がMobile-bankingを利用することで、そのサービス範囲を拡大したり、より便利にしたりすることが期待される。

しかしながら、Mobile-bankingサービス利用が拡大することで一番得をするのは、携帯通信会社やサービスに絡んでいる大手銀行。マイクロファイナンス機関が得する訳ではない。そんな状況のなか、各マイクロファイナンス機関は色々な取り組みを見せている。例えば、ケニアやフィリピンのように携帯での送金サービスが確立している国では、普通に携帯での送金サービスを、融資資金の回収に利用している。また、携帯通信会社と協力して独自のサービスを開発しているマイクロファイナンス機関もある。ケニアのEquity Bank(マイクロファイナンス機関)はSafaricom(携帯通信会社)と共同で、M-Keshoという貯金用口座サービスを始めている。銀行口座を持たない人達が携帯電話を利用して貯金出来るサービスだ。貯金文化を浸透させることで貧困層の生活改善をにらんでいる。さらには、独自にゼロからMobile-bankingサービスシステムを構築しようとしているマイクロファイナンス機関もある(マラウイのOpportunity Bankなど)。

ケニアやフィリピンのように既にMobile-bankingシステムが導入されている国では、色々な可能性がある一方で、Mobile-bankingシステムがない国(多くの途上国はこちらのグループ)では、マイクロファイナンス機関が独自にMobile-bankingシステムを構築しようとしているが、手間と費用がかかり過ぎて実現は困難だという。

マイクロファイナンスとMobile-banking。これから興味深いテーマだ。ちなみに、ケニアのM-Keshoによる貯金の習慣を広げようとするプロジェクト(ケニアは途上国でもっとも貯金する人々が多い国になる!?)は、ビルゲイツの財団やDFIDも協力している。日本企業もこういった新市場開拓の可能性や日本ODAもこのような技術協力の可能性があるのかもしれない。

WAKU-WORK ENGLISH !

WAKU-WORK ENGLISH !というWebサイトがある。これは、英会話の勉強をするためのWebサイト。スカイプを利用して、フィリピンにいる英語講師による英会話講座を、お手ごろ価格で受けることが出来る。

慶應の大学院生が始めたこのサービスは、NGOの保護を受けて育ったフィリピンの大学生を英語講師として採用し、その収益をストリートチルドレンのために使うことで、フィリピンのストリートチルドレンを支援する仕組み。WAKU-WORKの活動は日経新聞にも取り上げられている。

インターネット回線が安定している途上国なら同様のビジネスが可能だろう。インドや南アフリカでも英語が話せるし、カメルーン等アフリカのフランス語圏ならフランス語会話のサービスが出来る。タイ語やインドネシア語なんかも、日本人でも習いたい人は結構いるんじゃなかろうか。通信インフラの改善が及ぼすインパクトは大きい。

途上国の通信インフラが整ってくれば、語学を学びたい人と教えたい人がSNSなんかで知り合って、個人教師として儲けだす人も出てきてもおかしくない。そういう場が当たり前になれば、スワヒリ語とかアムハラ語なんかの特殊言語でもビジネスチャンスはありそうだ。地域研究者や学生などで、そういう特殊言語を習いたいって人はいるだろう。アフリカの田舎の人たちが携帯電話で、現地語を外国人に教えて対価を得るなんてことも。

でも、他人に語学を教えるのは、母国語であってもかなり難しい。それなりの訓練をつんでテクニックを見につけた先生でないと、お金をとって語学を教えるレベルには達しないだろう。(自分もプロではないエチオピア人に何度かアムハラ語をならった経験があるが、イマイチだったし、逆に自分が日本語を教えたときも、かなり難しいと感じた)

その点、WAKU-WORKでは、きちんと英会話講師としてのスキルを教育し、一定レベルに達した者しか講師とはしないといった、職業訓練がちゃんと行われているとのこと。結局、ICTがビジネスの可能性を広げるとしても、必要なのは本当の意味でのスキルであり、ICTはツールに過ぎない。WAKU-WORKも本質的には、ICTプロジェクトなんじゃなくて、教育・職業訓練プロジェクトである。ICT4Dプロジェクトという区分はあっても、結局、ICTはツールにすぎないという点が認識すべき重要なポイントだろう。

話は飛ぶけれど、個人的にエチオピアの携帯電話へ日本からスカイプで電話を良くしている。しかし、2回に1回は繋がらないし、繋がっても音質が悪い。日本でスカイプを利用した「アムハラ語会話教室」を開くには、回線状況やプロ講師の育成と、なかなかハードルは高そうである。

ICT産業振興のために何が必要か?

ICT4Dに関するWorldbankのブログに、興味深いトピックがあった。「The Global Opportunity in IT-Based Services」という本をInfoDevとworldbankがリリースしたという内容。この本では、国の経済発展のためにICT産業を振興させるにはどうしたら良いかということがテーマになっている。具体的には、途上国におけるICT産業振興の重要な条件を、いくつかの指標としてまとめることで、先進国からのIT企業を誘致したり、IT企業のデータセンターやコールセンターを自国に設立するために、途上国政府が、何をしなくてはいけないのかがわかるようになっている。

まず最初に、ICT産業を振興させるメリットが簡単に説明されていた。

  1. ICT産業は女性に高収入の職を提供する
  2. 新しい産業ということで、既存のしがらみが少ないICT業界では、規制緩和や改革を実施し易く、それが他産業界にも好影響を波及させる
  3. 貧しいという国のイメージを改善、払拭することが出来る

ICT4Dの話になると、「医療や水の方がICTより重要なのに何故ICTに投資する必要があるのか?」という疑問が良くあるが、教育にICTを利用するとか、電子政府などに比べると、「ICT産業そのものの発展」については、上記のようにクリアなメリットがある。特に、3の点が個人的にはとても納得できた。というのも、「インド人=ITに強い」というイメージはまさにインドがICT産業振興により生み出したインドに対するポジティブなイメージだと実感出来るから。以前、同じシェアハウスでインド人と英国人と一つ屋根の下に暮らしていたが、英国人はPCの調子が悪くなるとすぐインド人に質問していた。そのインド人曰く、「俺はハードウェアのエンジニアじゃないんだけど、あの英国人のおっさん、何かにつけて俺を頼りにしてきてまいるぜ・・・」的なことをよくぼやいていた。この、インド人は頭が良くてITに強いというイメージは、本当に凄い浸透していると思うし、そのイメージが、まちがいなく、他の産業(工業や貿易など)のインド人ビジネスマンにとってもポジティブに働いているはずだろう。イメージ、馬鹿に出来ないなぁ。
ちなみに、上記3点以外にも、ICT産業に従事する高収入層が増えると、それに付随して他の業界(飲食、服飾、建設など)でも仕事が増えるという効果も。インドやフィリピンではICT産業のワーカーは収入が他産業に比べて1.5~2倍であり、ICT産業で一人分の職が発生すると、他産業で2~3人分の職も発生するとか。

そして次に、インドが成功したようにICT産業が牽引する開発を実施するためにはどういうことが重要なのかが説明されており、主に次の3点があげられている。

  1. ITスキルを持った人材(質&量の確保)
  2. コスト面の強み(人件費の安さ、免税など政府の便宜など)
  3. インフラ(安定した電力供給、複数の国際電話回線、その他暮らしの面のでのインフラも含む)

この条件を見ていくと、3のインフラには、様々なものが含まれている。電力や通信網、国際便のアクセスやビジネスや不動産に関する法律の整備(著作権なども)の仕事に関係するものから、医療面、安全面、衛生面といった生活に関連することも。これらの条件を読んでいると、そもそもこういうインフラが整っていないのが途上国であり、それを開発したいからICT産業復興による経済発展を狙っているんだろうと、「ニワトリが先か、卵が先か?」的な思いが頭をよぎる。おとしどころとしては、インドやフィリピンなどが実践してきたようにそこだけはインフラが整っているITパークみたいな施設を設けることで、先進国のIT企業を誘致するというプランか。

この本によれば、世界規模でのICT産業は5000億USDの市場であると見込まれている。そして今のところ、その約7割は手付かずの状態。この有望な市場にどこまで途上国が入り込めるのか?第二、第三のインドのような国が出てくることを期待したい。