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携帯電話のビックデータ解析から貧困や裕福さが予測可能??

こんにちは、Kanotです。特定の国や地域の経済状況を知る手段として、国勢調査がありますよね。こういった調査が国民の経済状況を理解するのに重要なのはわかるものの、膨大な資金と時間とマネジメント能力がないとできません。そして途上国の場合などは、こういった調査をする土台が整ってないことも多く、例えばアンゴラの例だと最新(2014年)の前の国勢調査は1970年で、その間だけで人口が4倍になっていた、など国勢調査が現状を表していないケースも多い状況です。

その一方で、今や途上国においても携帯電話は一人一台の時代に近づきつつあり、この携帯電話の使い方についてのビッグ・データを解析することで、その人の行動や経済状況って予測できるのでは???という疑問を検証した論文があります。

Science誌に掲載されたBlumenstock氏(U.C.Berkley)の「Predicting Poverty and Wealth from Mobile Phone Metadata」という論文です。Blumenstock氏はICT4Dの経済学的アプローチ究で有名な研究者です。

この論文では、ルワンダの、(1) 携帯電話のビッグデータ(使用履歴・行動履歴)、(2) 国勢調査の結果、(3) 電話インタビューで得た経済状況に関する情報から、どの程度携帯電話のデータだけで経済状況が予想可能かを調べています。

結果としては携帯電話のデータと経済状況には高い相関関係が得られていて、こういったデータを活用することでより早く・正しい推測が可能になるのではとしています。特に効果的なのが時間・資金面の問題で、通常の国勢調査だと途上国でも1億円以上、そして1年以上かかるものが、このビッグデータ解析だと150万円程度、4週間で終わるとしています。

この研究では、通話やメールを中心に調べていますが、FacebookなどのSNSやGoogleなどの検索サイトもかなり行動履歴を持っているはずなので、今後様々なことがこういったデータから予測できる日が近づいてきている(すでになっている?)のかもしれません。

ちなみに、ここで私が面白いなと思うのは、テクノロジーを使って国勢調査を簡単にしましょうという手段の代替ではなく、一見関係ないデータ(携帯電話の使用パターン)から経済状況を推測しようとしている点です。つまり、相関関係から推定する、というやつですが、ビッグデータの可能性を感じるいい機会になりました。

最近読んだ藤原和博さんの本「10年後、君に仕事はあるのか?」でも、これからの若者は人生の半分をネットの世界で過ごすことになると言っているように、もしかすると実生活よりもモバイルやネットでの行動パターンを分析した方がより正確な情報が得られる時代がもうすぐそこに来ているのかもしれません。

携帯電話とアフリカ社会

これまでもちょくちょく投稿しているけれど、アフリカにおける携帯電話については色々なニュースがある。そんな中から、関連する3つのニュースを紹介。

「Cellar New」というサイトに“Africa Crosses 500 Million Mobile Subscriptions Mark”というタイトルで、アフリカ大陸の携帯契約数が5億を突破したという調査結果が載っていた。5億というのは、世界の携帯契約数の約10%にあたる。
アフリカ大陸のなかでも、ナイジェリアが5億のうち16%を占めており、最も携帯契約数が多い。2番手はエジプト、3番手は南アフリカである。この記事によれば、今後は、エチオピア、コンゴ、エリトリア、マダガスカルといった東アフリカ、中央アフリカでの携帯普及率が2015年までに2倍になるという予想。

これだけ携帯が普及してくると、それを活用したサービスも盛んになるのは理解出来る。ケニアのM-PESAやM-KESHOに代表されるモバイルバンキングが良い例だろう。IT News Africaというサイトに“Western Union, MTN partnership to benefit rural Africa”というニュースが掲載されていた。ケニアでサファリコムと共にモバイルバンキングサービスを展開しているWestern Unionが、他のアフリカ諸国でもモバイルバンキングサービスを開始するという。まずはウガンダで開始し、さらにチュニジアやリビアなどでのサービス提供も視野に入っているという。また、これからスマートフォンが普及しだすことを見込んで、スマートフォン用のサービス展開も考えているとのこと。

これまで銀行がサービス提供の対象としていなかった田舎の人々(←支店がないのでコンタクトをとるのにコストがかかりすぎビジネスにならない)や低収入の人々(←取り扱い額が小額すぎてビジネスにならない)も、送金や貯蓄、融資といったサービスが利用できるようになるのは良いことだ。

ビル・ゲイツの財団のブログにも、“Banking on Savings for the Poor”というタイトルで、銀行サービスの利用により貧困層の生活が楽になるというメリットが説明されていた。なんでも、“Global Savings Forum”というイベントを今月開催するという。口座をもって貯金できることで、いざというとき(家族の病気など)に、家財道具や商売道具を売っぱらって金を作ったり、高利貸しから借金をしなくてすむとか、モバイルバンキングでの支払いや送金記録が信用度の審査に利用されることで、銀行から融資を受けれるようになるとか、これまでになかったメリットがある。ビル・ゲイツの財団のブログだけでなく、こういったメリットは色んなところで言われていることだ。

自分もモバイルバンキングは便利だし、銀行や携帯会社がサービスを拡張していくのは、良いことだと思う。が、敢えてちょっと違った面から考えてみたところ、「モバイルバンキングが貧困削減に役立つのか?」という点に関して、以下2つの疑問を感じた。

  1. そもそも収入が少ないのに、貯金出来るのか?(自分は貯金が出来ないタイプなので余計にそう思う)
  2. 貯金や融資のサービスは途上国の人々(農村部や低収入の人々)にとってそんなに斬新なのか?

1.の点については、単純な疑問である。モバイルバンキングのサービスを開始するということは、銀行や携帯会社は、採算をとるために、サービスを利用してもらえるような宣伝や「貯金は生活の保険だから大切」といった啓蒙活動を行うのかもしれないが、本当に多くの人々が貯金するのだろうか。お金を持っている人達が利用すればビジネスとして採算は取れる可能性はあるだろうが、貧困削減に役立つのか疑問。

2.の点については、貯金や融資のサービスはすでに途上国の農村部などでもすでにあるという想定から生じた疑問である。例えば、エチオピアでは「ウッドゥル」という日本でいう「結(ゆい)」のような組織がある。村のご近所さん仲間で構成されるグループで、各メンバーが定期的にお金を出し合い貯蓄し、メンバーの誰かがまとまった金が必要なとき(冠婚葬祭など)に貸し出すようなことをしている。他のアフリカ諸国でも同様の文化があるのは知らないながら、こういう文化がある国にとっては、貯蓄や融資というサービス自体は、「貧困削減に期待できる!」と興奮する程は思えない。むしろ、銀行や携帯会社の宣伝によって、「ウッドゥル」がモバイルバンキングに取って代わられ、古き良き文化(=農村部の社会的な繋がり)が希薄になってしまうかも、というのはちょっと憂い過ぎか。。。

ICT4D擁護派な自分は、モバイルバンキングのサービスが普及することは嬉しいけれど、上記のような疑問・懸念も。特に2.の点については、どうなるのだろうか。。。

白熱するアフリカ携帯市場

アフリカの携帯電話市場で、携帯通信会社間の価格競争が激化しつつあるようだ。ウガンダとルワンダの最近の価格競争についてのニュースを紹介。

  • ウガンダ(1sh(ウガンダシリング)≒0.037円)

Warid、ZAIN、MTN、Ugandaテレコムの4社が市場争いを繰り広げている。New Vision Onlineの記事によれば、9月後半の一週間で各社が次々と値下げを発表している。まず、Waridが値下げ(他社への通信も含めてsh5/秒=11.1円/分)を発表すると、翌週にはMTNとUgandaテレコムがそれぞれ値下げ(sh4~sh5/秒=8.89円~11.1円/分)を発表。さらに、翌日にはZAINがより大幅な値下げ(sh3/秒=6.66円/分)を発表した。ZAINの値下げはそれまでの価格帯(sh9~sh11/秒)から比較すると66%ものディスカウントである。各社の通話プランもバラエティがあり、同一通信会社同士の通信は割安で他社へは割高になるプランや、最初の5分間はsh6/秒で、その後はsh3/秒になるプラン(MTN社のプラン)などがあり、各社、様々な選択肢を提示し顧客確保に努力している。

  • ルワンダ(1Rwf(ルワンダフラン)=0.142円)

MTN、Tigo Rwanda、Rwandatelが同日に値下げを発表している。The New Timesの記事によると以下のようなキャンペーン合戦が繰り広げられている。
MTNが12年周年を記念し、12日間限定の通話料80%ディスカウントのキャンペーンを走らせると、それに対してTigo Rwandaは、通話料89%ディスカウント(Rwf10/分=1.42円/分)のキャンペーンを“Rwandans did not have to wait for 12 years to enjoy such a discount”という宣伝文句と共に発表。対抗意識丸出しのなかなかイケてる宣伝文句である。一方、RwandatelはRwf3/分=0.426円/分のキャンペーンを打ったり、Tigo Rwandaが最初の3分だけ課金して、後は無料(Tigo間の通信のみ)といったキャンペーンを実施するなど、ウガンダ同様、色々な工夫で各社顧客を奪い合っている模様。

このような価格競争を起こすには、通信市場を民間企業に開放し、自由競争を認めることが第一歩と言える。
両国に見られるような価格競争によって、一般ユーザが低価格でサービスを利用出来るようになる。そして、携帯普及率の向上が所得向上(GDP向上)にプラスの影響をもたらすという調査結果もあるとおり、より多くの人々が携帯を使えることで、裨益するようになる。エチオピアのように国営企業が市場を独占している状態では、価格競争が起きない。やはり、市場開放という第一歩を政府が踏み出すことが必要。

また、通話料の価格競争に加えて、アフリカの会社がヨーロッパで開催された携帯アプリのコンテストで賞を取ったとうニュースがあった。ケニアに住むウガンダ人が開発したiCheki(スワヒリ語でI seeという意味)という、タクシーの場所がわかる機能を持つアプリだ。政府が適切な政策で民間企業が自由に競争できる場を整えることで、ユーザにとってリーズナブルで便利なサービスが増え、それが国の発展にも繋がる。政府の役目はそういう環境を作ることと、ビジネスの対象からもれてしまうような本当にBottom of the Bottomを支援することなんだろうと感じる。

しかし、アフリカの携帯電話市場はこれからどうなっていくのか?価格競争も様々なサービス提供もちょうど今始まったところと考えると、今後どうなるか楽しみである。