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情報処理技術者試験をバングラデシュに

担当案件が大きな局面を迎えるので紹介したい。実は日本の情報処理技術者試験をバングラデシュの国家資格として導入するというプロジェクトを実施している。JICAの技術協力プロジェクトという形で、経済産業省、情報処理推進機構(IPA)の支援も得ながら導入を進めている。

SEの方はご存知と思うが、日本では情報処理技術者試験という資格試験があり、大手IT企業を中心に取得が推進され、毎40万人規模の受験がある巨大なIT試験である。そして実はアジア域内11カ国で相互認証されている資格でもある。

それをバングラに導入してしまおうという挑戦的なプロジェクト、その開始経緯から今までをまとめた記事がアップされた。関係者の思いが集約されており、ぜひご一読いただきたい。

原石を宝石にー世界に通用するIT人材を育成ー
http://www.jica.go.jp/bangladesh/office/others/human/06.html

そして導入には2回のトライアル試験を成功裏に終わらせる必要があるとIPAより指定されており、その待望の第一回が2013年10月27日に実施される。選挙に向かって政情が悪化しているものの、無事終わることを祈って止まない。

追記・コメント「日本発世界標準は難しい?」

今回は特に新規の情報提供というわけではないですが、tomonaritの前回の投稿「日本発世界標準は難しい?」では、日本の情報処理技術者試験やITスキル標準が日本発の標準資格なり標準スキルにならないかという話題でした。

そのコメント欄での皆さんからのコメントが、途上国の調査に参加した方や、現在支援をしている方、役所で担当してた経験のある方など、あまりにも色々な知見が集まったものであり、これがWeb2.0かと感動すら覚えました。

これはコメント欄に気づいた人だけが見るにはもったいないと感じたため、ageてみることにしました。私のコメントもありますが、それは無視していただいて、、

ご興味持たれた方は、ご覧下さい。
「日本発世界標準は難しい?」

とはいいつつ、せっかくなので、私の所感も一つ書きます。
IT人材育成ということでJICAもITスキル標準(ITSS)や基本情報処理技術者資格(FE)の支援をしていて、それも現地のITスキル向上や日本向けの産業人材育成という観点で、有効な支援と思っています。
それに加えてデジタルデバイドの解消という観点を加えてITパスポートなどの支援をすることで経産省とJICAで組んで支援することとかできないかな・・と思いました。それにより現地ニーズ(援助)と日本産業界ニーズ(国益)を満たすことができるなら、ODAとしても日本としても悪い話ではないのでは・・と。
あくまでアイディアでまだ深く調べてもいない話のため、こんな所に書いてしまっていいものなのか・・(まぁ年末ということで、皆さん忘れてください。)

それでは、来年もICT4Dにとっていい年になりますように。
皆さまもよいお年を。来年もよろしくお願いします。

日本発世界標準は難しい?

前回のKanotの投稿「ITスキル標準であるITSSとECDL」を読んで、日本のITスキル標準と欧米のITスキル標準に明確な違いがあることを知った。先日、情報処理技術試験の結果発表があり、資格試験についてIT業界の方と話していたら、面白いことを言っていたので、書いてみる。

Kanotの投稿にコメントしたように、日本発の世界標準になるようなIT資格がないものか?という話をしていたら、日本固有の文化背景が原因で、例えばITILのような世界標準は日本からは波及し難いという話を聞いた。

日本は「暗黙の了解」とか「阿吽の呼吸」とか、所謂“暗黙知”がビジネスのなかでも浸透している。それ故に、日本のビジネスのやり方は、ビシっと文書化されていないケースが多い。どこの組織でも、この状況は同じではないだろうか。そして、明文化されていない部分も、「常識的に判断」したり、「行間を読む」ことをして、みんなが望むことを汲み取る能力が日本人の能力の高さや、仕事のクオリティの高さに繋がっているのではないだろうか。

一方、こういった暗黙知に基づくベストプラクティスを海外でも波及させるということは、「電子レンジに濡れた猫を入れちゃいけないとは説明書に書いてない。書いてない方が悪い。」と主張するような人達に、「常識的に判断」したり、「行間を読む」ことを強要することになる。これは難儀だろう。彼らにとっては、1から10まで手取り足取りビジっと明文化されたドキュメントが必要である。が、日本でのベストプラクティスは、実は明文化されていない、そして、明文化することが困難な暗黙知がベースになっている。

おそらくこのような文化的な背景も、日本のIT資格が教科書的な理論であり、欧米のIT資格が実践的になっている理由の一つなのではないだろうか。教科書的なあるべき姿や理論は示すが、具体的なやり方は自分で考えるべしという日本流資格と、1から10まで手順をしっかり示す欧米流資格とでもいえようか。

ICT4Dとう関連でいくと、「じゃ、途上国の人々にとってはどちらの考え方がなじみ易いか?」ということになる。おそらく欧米流だろう。暗黙知よりも明文化された形式知の方がわかり易いし、実践的な資格の方がアピールしやすいから。(例えば、情報処理技術試験の「ITストラテジスト」という資格をもっている人が何が出来る人なのか?を考えると、イメージし難い・・・)情報処理推進機構などがアジア統一のIT資格試験を確立するための活動をしているが、日本発の資格を世界標準化するのはなかなか難しそうだと感じる。

別の視点では、途上国の人々と一緒になって働き、時間をかけて日本流の暗黙知を伝授することが出来れば、それはそれで、途上国の人々からみても凄いメリットになる。こういう方法を取っていくのか、それとも暗黙知を一字一句明文化する方法をとっていくのか?個人的には、途上国をITビジネスの同等パートナーと考えれば前者の方法でやっていきたいが、単なる外注先としてみるならば、後者の方法をとると思う。いずれにしてもお互いハッピーな関係でビジネスが出来るようにすることが重要だけど、日本企業同士でも認識のズレがおきやすいのがシステム関係の仕事の性。そう考えると、やっぱり欧米流がいいのかもね。皆さんはどっち派?

ITスキル標準であるITSSとECDL

各国のIT人材育成といったことを調べたりしていると、どういった標準を使っているのかという話題になったりすることがある。

そこで、ちょっと趣きは違う2つの標準なのだが、日本で使っているITSS(ITスキル標準)と、欧米でよく使われているECDLについてちょっと比較してみる。皆さんはこの違い、ご存知だろうか?ちなみに私は恥ずかしながらECDLというものは今年になるまで知りもしなかった。

まず、ITSS(IT Skill Standard)は経済産業省(およびその傘下の情報処理推進機構)が定めているITスキル標準であり、ITのレベルごとに求められる技術・知識などをまとめたものである。
ITSSのサイトはこちらWikipediaはこちら
日本のIT業界ではもっとも有名な試験である、情報処理技術者試験などは各試験のレベルがITSSのレベルとマッピングされていて、自分がどのレベルの試験を受けているのかがわかるようになっている。また、最近は日本だけでなくアジアへの導入を目指した取り組みも行われている。

一方のECDL、こちらはEuropean Computer Driving Lisenceの略で、欧米を中心に導入されているITのリテラシーを測る資格である。
ECDLサイトはこちらWikipediaはこちら

詳しくは両者の各リンクを見ていただき、ここでは詳細は省略するが、一見似たようにも見えるIT技術水準についてだが、大きく違うと感じる点がある。

ECDLは実践的で、ITSSは理論的ということである。

EDCLは一般的な情報技術知識のみならず、ワープロソフトや表計算ソフトの使い方などのテクニカルな部分に注力していて、資格は様々あるのだが、「この資格を持ってると、具体的にこういうことがソフトを使って出来ます。」といいやすい資格である。つまり、仕組みよりも使い方重視。

一方、ITSSは結構理論的という印象である。情報処理技術者試験を受けたことがある人はわかると思うが、例えば高度(ネットワーク)に合格したとしても、すぐネットワークを組めるかというとそういうことではなく、ネットワークの仕組みを理解しているという証明に近い気がする。当然こちらのほうが応用性は高い(が即戦力とは限らない)。

まぁどちらがいいというわけではなく、日本という限られた中で、いかにIT技術を体系化するかに特化してきたITSSと、欧米以外への戦略的進出も視野に入れて、よりわかりやすく実践的にしたものがECDLというイメージか。

というわけで、 特にどうこうという意見があったわけでもなく、自分の知識の整理としての投稿でした。