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情に報いると書いて「情報」=information

今日、とても面白い話を聞いたのでわすれないように。

まずは、前段。

これまでの投稿で何度か、dataとかinformationは受け取る人の教育レベルや経験によって、その人にとって有益にもなるし無意味にもなる、というようなことを書いてきた。だからICTを使って情報を配信しただけでは、必ずしも全員が恩恵を受けられるわけじゃない。このコンセプトは、Heeks教授の”4A model”というモデルが分り易い。

A4 Model

Source: Heeks, R. (2002) “iDevelopment not eDevelopment:Special Issue on ICTs and Development”, Journal of International Development, 14(1), 2002, 112, which has been published in final form at: http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jid.861/abstract

Dataは単なる数字や単語の塊であり、それだけでは意味をなさない。そのDataにアクセス出来て(←例えば、スマホでインターネットを使ってアクセスするには、スマホというデバイスやインターネットを使えるだけのお金やスキルが必要)、Assessすることが出来て(←その数字や単語の塊が何を意味するのか?を分析・理解するためには教育や経験が必要)、Apply(Adapt)することが出来て(←自分の仕事や生活に当てはめて、そのDataを有益に活用するアイデアに気づくためにも教育や経験が必要だし、さらに、それを「有効活用しよう!」と考える意識・思いが必要)、そこまで出来て初めて単なる数字や単語の塊であるDataが有益な意味を持つInformationになる。そして、その有益な情報に基づいて、自分にメリットのあるActを取ることが出来る(←そのためは、時としてお金や時間や体力などが必要)。ということを上記の4A modelは示している。

要するに、受け取り手側の教育レベルや経験、能力によりけりということ。これは、「結局、アナログ・コンポーネントが重要」という世銀のWorld Development Report 2016の内容とも同じ趣旨だ。

んで、今日聞いた面白いこととは、日本語でInformationは「情に報いる」書いて情報ということ。Informationにこの日本語訳を当てはめた人は、上記で述べた「有効活用しよう!」と考える意識・思いが必要」という点を理解していたのだろうと驚き。

Informという単語は、「知らされたもの→知識、考え→情報」というような語源を持つらしいのですが、informという情報発信側主体の単語の名詞形に、情報の受けて側の視点から日本語に訳した方はスゲーなーと感心してしまいました。

Facebook for Development

前回投稿した「アフリカのfacebookユーザ数が7ヶ月で2倍に」の元ネタであるICTWorksから関連する話題をもう一つ。

Faccebookは途上国の発展に影響を及ぼすのか?”という質問に対して、ICTWorksのWayan氏が以下の3つのメリットを説明している。

  1. ICT Adoption:
    レジャー、仕事、政治、など様々な話題についてFacebookを使って色々なコミュニケーションをとることが浸透していくことで、より多くの人々がユーザになろうとスマートフォンやPCでインタネットを利用し、ICTの利用が普及することに繋がる。
  2. Literacy:
    子供から大人まで、誰でもFacebookでのコミュニケーションを通じて、「言語」、「上手に人間関係を構築する能力」、「共同作業をうまく実施する能力」、「ICTスキル」といったものが向上される。
  3. Community:
    交通インフラや郵便インフラなどが弱い途上国でも、超簡単に(家から出ることすら不要)、何百万という人数の人々とコミュニケーションできる場をFacebookは提供する。エジプトでの市民革命に象徴されるように、多くの人々を巻き込む活動をも簡単に行うことが可能になる。

ここまでがICTWorksでの説明。なるほど、Facebookが途上国の発展に与えるポジティブなインパクトは色々と考えられる。

一方で、ネガティブなインパクト/リスクは?と考えてみたところ、パッと思いついたのは以下のもの。

  1. ネット犯罪:
    Facebookを利用するユーザは単純に面白そうとか友達がやっているからという理由でユーザになるけれど、アフリカのユーザなどは、ネット犯罪などに関する知識は乏しい人が多いと思う。ちょっと前に自分の奥さん(エチオピア人)の妹が来日しており、日本でFacebookを使い出した。色々と操作方法を聞かれたりするので観察していると、知らない外国人男性から微妙なメッセージが届き、どう対応してよいかを質問された(オイオイ、そんなの真剣に相手にするなよ・・・)。また、空港で知り合ったというタイ人とFacebookで繋がると、いきなり「タイで良い仕事はないか?」などという質問を投げていた(見ず知らずの人に仕事があるって言われたらタイに行くのか?)。こういうのを見ると、ネットにはチャンスもあるけど、「リスク」もあるということが分かっていないのだと感じる。ネットの負の部分に対する知識がないと、簡単に個人情報を教えてしまい不利益を被るとか、知らない間に犯罪に加担するとか、巻き込まれるという可能性もある。
  2. デマの拡散:
    最初に述べたメリット3.Communityの裏返しだが、Facebookに情報リテラシーが低いユーザが増えることで、デマ情が拡散する可能性が高くなると考えられる。何が信頼に値する情報なのか?ということは、これだけネットや情報についての議論がなされている日本でも課題となっている点(放射能の話に象徴されるように)。言論の自由が促進されるというメリットの裏には、インチキ情報に踊らされる危険性が高くなるというリスクもある。(このようなリスクについては、以前knotが関連する投稿をしています→「NHKスペシャル「ネットが革命を起こした」を見て」)

途上国において、Facebook普及、携帯電話普及、ネット普及などは勿論良いことだと思う。しかしながら、反面、ICT活用による効果を得るには適切な対応策が必要だということ。そうしないと、それなりに社会的地位のある職場でも、ウイルス対策が不完全なPCで勤務中にもエッチなサイトが閲覧出来ちゃう、という途上国では、勤務中にFacebook閲覧しすぎて仕事にならなくなってしまったりなんてこともあるかも(←ちょっと前の日本と同じように)。
これからは、途上国のICT教育も、コンピュータの歴史なんて教えるよりも(←2005年位のエチオピアのICT教育では、こいう内容が入ってた)、情報漏えい問題やネット犯罪といったことに重点をおいて教えるように変わっていくのだろうし、企業や政府関連機関におけるセキュリティ対策や、そのための法律の策定などもされていくのだろうと思う。サイバーテロ対策などになると、一国ではなくて全世界一緒になって対策を練っていく必要がある。
こう考えてみると、途上国での携帯アプリ提供などの分野よりも、セキュリティ対策や情報リテラシー向上といった分野の方が、実は先進国企業にとって結構有望な市場なのかも。