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ルワンダICT、神戸情報大学院大学、などなど

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日経ビジネスオンラインで「鮫島弘子のアフリカビジネス入門2017」という特集があり、今回のテーマは「ルワンダICT」。自分のエチオピア時代の友人鮫島さんがルワンダICT特集でルワンダへ行き取材をしており、さらに出て来る方々がこれまた知り合いだらけで面白い。以下、紹介したいと思います。

  • 「ビニール袋禁止令」:これは知らなかった。一方、自分のいるガーナはビニールゴミだらけです(涙)アクラのビーチじゃ泳ぐ気が起きない・・・。
  • ICTビジネス振興:輸送コストがかかる内陸国故に労働集約型産業をしようにもコスパが悪いということから高付加価値ビジネスを目指しICTへ、という流れ。前回の投稿に記載した、「技術革新が進んで労働集積型産業から知識集約型産業へのシフトが起きている」という世界の流れを先読みした政策が凄い。
  • 新しく会社を立ち上げるまでに要する時間は平均5.5日:マジ・・・!? 驚きです。
  • 日本の支援:ルワンダのICT分野へは山中さんという超エネルギッキュなJICA専門家が地道な協力を続けて来たのでした。そして今も。自分もかつて関わっていたので嬉しい限りです。また、ルワンダから多くの留学生が日本で勉強しており、とりわけICT系の学生は神戸情報大学院大学に留学してます。
  • ICTベンチャー:K−Lab、FabLabなどの場所からモバイルアプリ開発などのベンチャーが育ってます。アツい!

などなど、詳しくは日経ビジネスオンラインへ。

そして、ここで紹介されている神戸情報大学院大学(KIC)で自分は講師をやらせてもらっています。20〜30人の学生の大半はアフリカからの留学生。毎年、最後の授業ではゲストスピーカーとして協力な知人・友人にも協力してもらってもおり、学生からも大好評(なはず!)。

ちなみに今年度は、e-Education代表でForbes UNDER30にも選ばれた三輪さん、ガーナでのFabLab活動で東大総長賞をゲットした青木さん、このブログの共同運営者でもあり最近「投資家と企業のためのEGS読本」という本も出してる橋爪さん、とかなりの豪華ゲストでした!冒頭の写真はそのときの記念撮影。

さて、この自分の授業では最終課題として、特定のICT4Dプロジェクトをケーススタディにして、その成功もしくは失敗の要因を分析して解決方法を提案するという小論文を書いてもらってます。そしてこの4年間で学生が提出する小論文の傾向に変化が出て来きました。

どういう変化かというと、ケーススタディに選ぶプロジェクトとして、以前は「失敗事例」を選ぶ学生が大半だったのに対し、最近は「成功事例」を選ぶ学生が増えて来たという変化。自分の授業のテーマは、基本的にRichard HeeksやKentaro TOYAMAの主張のように、「ICT4Dプロジェクトは失敗が多い。失敗理由は技術だけでなく政治、経済、社会、文化、感情、等等いろんな要因があるので、幅広い視点からプロジェクトを計画・実行するべし。ICTは万能じゃないよ。」というICTの導入にやや批判的な見方を身につけるというもの。それ故に、学生は最終課題として失敗事例を選ぶことが多かった。ところが、徐々に成功事例を扱ってくる学生が増え、今年は半々とまではいかないまでも、かなりの割合になってきた。どんな成功事例があるかというと、

  • iCow
    • 牛の情報(誕生日など含め)を登録すると、その牛の成長にあった有益な飼育関係の情報提供が受けられるというサービス。携帯電話で農業情報を農民に提供するeSokoのようなサービスと携帯電話での母子保健情報提供サービスを足して「牛」版にしたようなサービス。ケニアで開始され580,000ユーザを獲得しつつ、エチオピアとタンザニアも展開中。
  • mPedigree
    • 途上国ではなけなしの金で買った薬が偽物…!ということがある。例えば、2011年にナイジェリアで輸入されたマラリア予防薬の64%は偽物だったとのニュースもある。そこで、偽物を掴まされないように、薬のパッケージにシリアル番号を付け、その番号を携帯から入力してテキストで送ると、本物か偽物かがわかるサービス。製薬会社にとってもありがたいサービスであり、消費者と生産者の両方にメリットを生み出す仕組み作りが秀逸。ガーナとナイジェリアで展開中で、HPの支援なども受けている。
  • モバイルマネー系
    • 王道であるケニアのM-pesa、そこから派生したアフガンのm-paisa、ソマリランドのZaadなど。

冒頭に紹介したルワンダICT特集を見てもらうとわかるように、一昔前には成功すると思えなかったプロジェクトやビジネスが途上国でも成功するように成って来たんだと実感。そして、それが学生のケーススタディ選びにも反映されているのだと感じます。変化が激しい分野だけに、学生に置いてかれぬよう自分も頑張らねば。

新しい価値観を伝えること

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10月上旬から神戸情報大学院大学(KIC:Kobe Institute of Computing)にて、客員講師という立場でICT4Dについての授業を持たせてもらった。昨日、最後の授業を終え、秋学期が終了。毎週日帰りで神戸まで行くのは正直結構キツかったものの、すごい良い経験をさせてもらえ、今回の機会を与えてくれたKICと、週1回職場を不在にすることを承認してくれた職場の上司に感謝、感謝です。

授業内容では、主に自分がマンチェスター大学のICT4D修士コースで学んだこと(Richard Heeks教授のフレームワークなど)を中心に、JICAでの経験(日本のODAにおけるICT分野の事例など)や、エチオピアでの経験、仕事やこのブログを通じて知り合えた諸先輩から教えて貰ったことなどを、アフガニスタンとルワンダからの留学+日本人学生に伝えてきた。

90分×15コマの1コースに、伝えたいことを盛り込んだので、ほぼ毎回時間をオーバーしてしまい学生さんたちにはご迷惑をかけてしまったかなと思う。不満を言わずに付き合ってくれた学生の皆さんにも感謝です。

そして昨日の最後の授業では学生から最終課題に関するプレゼンをしてもらった。ケニアのM-PESA、アフガニスタンのM-Paisa(Paisaっていうのはアフガニスタンの言葉で「お金」という意味。PESAがスワヒリ語の「お金」なので、同じ理屈のネーミング)、OLPC、e-Government、防災警報システム、といったテーマについて、各自が調べた内容を発表してくれた(上の写真)。

また、スペシャルゲストとしてJICA国際協力専門員、ICT系開発コンサルタント、民間ICT企業の方々などにもご参加いただき、有意義なコメントを頂くことが出来た。ゲストの皆さん、どうもありがとうございました!そして、ゲストの方々にもプレゼンをしてもらったのだが、とりわけ東大の青木さんによるFabLab活動のプレゼンは先進的でとても興味深いものだった(下の写真)。

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学生とゲストのプレゼン&それに関する議論を通じて、「価値観をどう伝えるか(理解してもらうか)」というのが、ICT4D、途上国ビジネス一般にいえる共通課題であると感じた。
アフガニスタンのM-Paisaのプレゼンからは、(アフガニスタンという国の背景もあり)国民のなかにはモバイルバンキングという仕組み自体を信用しない層が少なからず存在するといった課題(=つまりモバイルバンキングという見えない送金の仕組みを理解・信頼してもらうことが出来るか?)や、OLPCのプレゼンからは、Windows製品 vs OSS(オープンソース・ソフトウェア)という議論(=先進国よりもWindows製品が市場を圧巻している途上国でOSSを採用することの是非など)が盛り上がった。また、FabLabについては、このムーブメントが発展しているのは、モノづくりの新しい価値観が先進国・途上国を問わず広く受け入られているからだと感じる。

また、ちょっと前に知人を通じて、See-Dコンテストのメンターをやりませんか?とお声がけいただき、メンバーなるものをやらせてもらった。See-Dコンテストは、日本の技術力と途上国のニーズをつなげ、途上国が抱える課題を解決する製品をより多く生み出すことを目的としたプロダクト&ビジネスコンテスト。以前、このブログで紹介した東ティモールでの格安運送サービス「TranSMS」もSee-Dコンテストから生まれている。そこで色々なチームのビジネスプランを聞かせてもらう機会を得ることができた。担当したチームの方々にどこまで自分が貢献できたかは正直あまり自信がないものの、この経験でも非常に多くを学ばせてもらった。

色々なビジネスアイデアを聞いていると、共通している課題は、やはり「新しい価値観をどう理解してもらうのか」という点。これまでなかったサービスを受入れてもらう(お金を払ってもらう)には、それが必要である。KICの授業でJICAバングラデシュ事務所のKanot(このブログの管理人の一人)に、バングラデシュでJICAが支援したバスカード導入プロジェクトについて紹介してもらった。そのときも、これまで現金でしか運賃を払ったことがない人達(乗客も運転手側も)に、どうやってスイカとかパスモみたいなカード利用のメリットを理解し受入れてもらうかが一つの課題であったという話になった。他の途上国開発プロジェクトを例にすれば、これまで手洗いの習慣がなかった人達に、公衆衛生について理解してもらうとか、蚊帳を使うことがなかった人達に蚊帳の効果・価値を理解してもらうとか。もっと別の例を挙げると、コーラって見た目おいしそうに見えないのに、あれをここまでポピュラーなドリンクにしたコカコーラ社とペプシ社はすごいと思う。飲めば美味しいのはわかるけど、あの黒い液体は、コーラを全く知らない人から見たら、飲みたい意欲はわかないんじゃないだろうか。

ここ最近の経験を通じて、この「価値観をどう理解してもらうのか?」って点に非常に興味が出てきた。特に新しいサービスを提供するICT4Dの分野では、この重要性は高いと感じる。さて、自分がKICで教えた講義では、学生の皆さんにちょっとでも新しい価値観を提供出来ただろうか。今まで知らなかったモノの見方や考え方を少しでも伝えることが出来ていたら良いけど、どうだったかな。

国際協力キャリアフェアに神戸情報大学院大学が参加します

どうも最近、あまりブログ更新できていないTomonaritです。今はスリランカに来ています。暑い・・・。

さて、私が講師を務めさせていただいている神戸情報大学院大学ICTイノベータコース(ICT4Dコース)が、国際協力キャリアフェアに参加します。以前、このブログでも紹介したように、神戸情報大学院大学は日本でICT4Dが勉強できるコースを今年立ち上げました。国際機関やJICA専門家として活躍経験のある山中先生や、バングラデシュのグラミンに関する研究などで有名な大杉卓三先生などがICT4Dについての教鞭をとっています。

現在は、ルワンダ人2名、アフガニスタン人2名、日本人2名の合計6名が第一期生として学んでいます。彼らとの授業でもいろいろと興味深いエピソードがあるので、おいおいブログでも紹介していきたいと思います。

今回のフェアは11月30日と急ですが、ICT×国際協力の分野に進みたいと考えている方、興味のある方は足を運んでみてはどうでしょうか?

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ケニアのM-PESA成功から学べる点とは?

先日、神戸情報大学院大学でのICTイノベーターコース紹介イベントにて、ICT4D成功事例の紹介する機会を頂きました。成功事例として何をとりあげるか悩んだ挙句、このブログでも何度か紹介しているケニアのM-PESAを取り上げることにしました。

友人のTakano氏から色々と情報を得たり、元同級生のChrisの論文を読んでみたりと、改めて調べてみると知ってるようで知らない発見がかなりあり、とても勉強になりました。(Takanoさん、ご協力ありがとう!)折角なのでプレゼン資料を掲載してみます。

そして、当日は炭谷学長の探究実践ワークショップも行われました。あるテーマ(課題)についてのソリューションを作り上げるワークショップでしたが、参加者の方々は皆初対面にも関わらず、非常に限られた時間で興味深いソリューションを作り上げていました。大学院時代のグループワークを思い出しました。大変だけど楽しいもんなんですよね、グループワークって。

この秋から始まる神戸情報大学院大学の「ICTイノベーターコース」では、イノベーションってのが一つのキーワードですが、最近、「イノベーション」とは何だろうか?とふと考えました。上記スライドでケニアのM-PESAがどうして成功したのかについて説明していますが、最後は、やっぱりサファリコムの気合と根性が大きな要因だったんだろうと思ってます。ICT4Dの視点でいえば、成功するまでプロジェクトをドライブ出来る「ICT4D Champion」の存在ってことなんだと。そう感じた理由をちょっと書いてます(ICTとは関係ないのですが・・・)。

エチオピアの革は世界最高級で超高級車のシートなんかにも使われています。タイガーウッズもグラブにはエチオピアのシープスキンを使っているとか。でも、エチオピアの革産業には高度なデザインや加工技術がないため、革は原材料としてヨーロッパ等に輸出され、製品化はイタリアとかで行われるケースが多いのです。そのため、最高の革を持っていてもエチオピアよりも儲かるのはイタリアなど製品化をしている国だったりします。そんなエチオピアの革を、エチオピアで製品化し付加価値を高めて日本で販売しようというビジネスを行っているandu ametって会社があります。

その会社を企業したのは自分の青年海外協力隊時代の友人である鮫島さんでした。立上げ時にちょこっとお手伝いをさせてもらってたのですがは、「アイデアには同意するし、エチオピアのためにもなるし、頑張ってほしい。けど、エチオピアのこと、エチオピア人のことを良く知っているだけに、本当にエチオピアで日本人が買いたいと思うようなクオリティの高い製品が作れるのだろうか・・・」と、かなり心配でした。

でも、鮫島さんはハンパない努力とバイタリティで多くの方々を巻き込み支援・協力を得つつ、色々な困難を乗り越えて(今も乗り越えている最中だと思います)、自分から見てもかなりイケてる製品(例えば下の写真)を作り上げ、有名百貨店で販売するなど事業としても一定の軌道に乗っている様子です。そして、日経なんとかとかのビジネス系の表彰を受けたり、国際的な評価も受けたりと、急成長している最中です。

今回、M-PESAの成功要因について調べていて、このandu ametの成功要因ともかさなる部分があると感じました。それは要するに「気合いと根性」なんだと。携帯を活用して送金出来ないかな・・・?とか、途上国の製品を日本で販売出来ないかな・・・?ってアイデア自体は結構多くの人々が思いつくんだと思います。なので、そのアイデア自体はそんなイノベーションじゃなく、「そのアイデアを形にして実施して成功させること」がイノベーションなんだと改めて思いました。そんなわけで、M-PESA成功要因についてのプレゼン資料の最後に、「気合いと根性」の話を持ってきたのでした。イノベーションの種は「良いアイデア」じゃなくて、実は一歩踏み出す「気合いと根性」なのだろうと思いました。

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国際協力特別セミナー “「国際協力の新しい形」を考える”

7月27日に神戸情報大学院大学(←今秋からICT4D修士コースを開始します)でセミナー「国際協力の新しい形を考える」があります。元マッキンゼーの炭谷学長による探究実践ワークショップが行われます。「探究実践ってなんだ?」という方は、日経ビジネスのコラム「探究型で生きろ」をどうぞ。そして、自分もこのセミナーにて、ICT4Dについてミニ講義的なことをやらせていただくことになりました。先日のJICA関西でのイベントでは、敢えてICT4Dプロジェクトの課題にフォーカスした話をさせてもらったので、今回は逆に「成功例」について話をしようと考えています。

これまでICT4Dの論文などを見たなかで、成功例やグッドプラクティスについて書いてあるものは多くない気がしています。自分自身も、「批判的な視点を持ちなさい」と大学院で教わったのが根本にあるのか、このブログで紹介しているネタなどを振り返ると、課題とか懸念とかを指摘して、「こんな視点が大切」とか「こんな要因も考慮するべし」といったことを書いているのが多い気が・・・。色々と批判的な視点で書かれている論文とかを読むと、「ほほう、なるほど」と思います。一方、すごいポジティブに書いてあるものを読むと自分もやる気が湧いてきたりします(←自分、わりとスポコン漫画やドラマに影響されやすい質です)。今回はこれまでの批判的な視点ではなく、出来るだけポジティブに成功例について話して、聞いている方にもポジティブな気持ちになってもらえたらと考えています。そのほうが「ほほう、なるほど」と思う話よりもなんだかイイでしょう?神戸近辺でご興味のある方、是非エントリーして見て下さい。

2013年7月27日KICミニ講義

ICT4Dセミナー@JICA関西を終えて

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14日にJICA関西でICT4Dに関するセミナーにて登壇させて頂きました。ご参加頂いた皆様、どうもありがとうございました!そして、話が長くなってしまい最後の質疑応答時間を食ってしまい、申し訳ありませんでした・・・。ご参加された方で時間がなくて質問出来なかった方がいれば、遠慮なくブログを通じてご質問下さい。

どんな話をするのが良いか?と悩んだあげく、この様なセミナーに足を運んでくれる方々は、将来ICT4Dプロジェクトを立ち上げたいとか、携わりたいという考えを持っている方達だろうと考え、その時に少しでもお役に立つような話が出来れば・・・、と思い敢えてメリットよりも課題にフォーカスした内容にしてみました。

終わってみて、受けたかどうかは微妙だったかなぁ(もっとICT4Dの良い面をアピールするほうがポジティブで良かったかなぁ・・・)と思いつつも、プレゼン資料をslideshareに掲載してみました。お時間ある方は是非、見てみて下さい。

そして、今回一緒に発表されたe-Educationの牧浦さんのパワフルなプレゼンに感心するとともに、神戸情報大学院大学の炭谷学長の落ち着いたプレゼンも非常に勉強になりました。また、この様なイベントが出来たら良いなと思います。

 
 
 

ICT4Dセミナー ~情報通信技術が開発援助の世界を変える~ @JICA関西

ICT4DセミナーinJICA関西

JICA関西で上記のイベントがあります。「バングラデシュでドラゴン桜」で有名なe-Educationと、ICT4Dイノベーション修士コースを開設する神戸情報大学院大学が独自の取り組みを紹介します。そして、自分も登壇させてもらい、ICT4Dについてこれまで学んできたことやJICAプロジェクトの紹介をします。これまでも、SVP東京さん日本エチオピア協会さんのイベントでICT4Dについての話をさせてもらいましたが、今回は今までで一番時間をもらったので、来ていただいた方達と一緒になって、ICT4Dプロジェクトの課題などを議論出来るような内容にしたいと考えています。関西方面でICT4Dに関心のある方には、是非、お越し頂けれと願っています!