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デジタル・バングラデシュの達成状況

Current progress of Digital Bangladesh in 2014

現在のバングラデシュ与党であるアワミリーグの政権公約の一つであるデジタル・バングラデシュ、その達成状況に関する記事がDaily Star誌にあったので紹介する。このスローガンは2021年という政府の中所得国家入りの目標年次と合わせたものであり、すでにその半分が達成済みとのこと。

・デジタルセンター(主にはUISC(Union Information Service Center)と呼ばれる)
一番大きな成果としては、図にあるような数の地方部におけるデジタルセンター設立である。これらのセンターではインターネットに加えてコピーやパソコンを使った研修、求人情報、モバイルバンキング、一部行政手続き(出生登録)などが行える。今後はこういった施設を地方部の情報ハブとしてインキュベーションセンターなどへの活用も考えている。
具体的な数字としては、1億2千万回は出生登録や求人情報検索に利用され、100万人以上がコンピュータ研修を受講、200万人以上が海外の仕事検索、9万人以上がモバイルバンキングを利用などがある。

携帯電話の3Gが広まりつつあり、それなりのリテラシーのある人は地方部でも情報は取れるようになってきてはいるものの、パソコンの普及率は非常に低く、政府がこのようなセンターを作ることは現在のバングラデシュでは効果的と考える。

他にも以下のような成果(実施中含む)が載せられている。
・政府関連手続き簡素化のための、500のモバイルアプリケーションの開発、電子署名の導入
・中国のサポートを得た国内Wifi網整備
・農村を拠点としたICT・語学クラブの設立
・100万人以上がコンピュータの研修を受講

バングラデシュの銀行がハッキングされ不正送金

バングラデシュ国内の大手銀行の一つ、Sonali Bankがサイバー犯罪の被害に会ったという記事があったので紹介したい。

記事によると、何者かが銀行のセキュリティシステムに侵入し、お金をトルコに対して送金したとのこと。具体的には、昨年の9月にSonali Bankのとある支店でバングラデシュ顧客の口座を経由して同行イギリス支店に送金された記録があり、そのお金はイギリスのハッカーに盗まれ、トルコに送金されているとのこと。被害額は25万米ドル。しかも気づいた経緯は、再度送金をしようとして残高不足だったためイギリス支店から問い合わせを受けて、とのこと。つまり、銀行内のチェック機能は働いていなかったことになる。

既に銀行の調査により、海外送金部門とIT部門の行員に疑わしき人がいて、既に身柄を押さえてあるとのことであり、財務大臣からも内部(財務部)のチェック監理体制に付いて指導が入っている。そして銀行はバングラデシュ銀行(日本における日本銀行)を通じてトルコの中央銀行に返金を求めている。

専門家のコメントによると、銀行間の海外送金を行うにはSWIFTという電文形式?を使って処理を行うそうなのだが、このSWIFTを外部から読み取ることは実質不可能に近く、内部に協力者がいないかぎりこのような犯行は難しいとのことである。

ここまでの記事を読んで私が感じた疑問が、「バングラの銀行はハッキングされるほどIT化が進んでいるのか?」という点である。よく読めばわかるとおり、バングラの銀行はSWIFT発行時に内部者が違反をしていただけであり、実際にハッキング被害にあったのはSonali Bankイギリスの支店のようであり、正直バングラ国内のIT化レベルは読み取れない。ただ、国内の銀行間送金でも数営業日かかるのが現状であり、紙ベースの送金依頼書をやり取りして銀行間送金を行っていると聞いているので、まだまだアナログな対応を行っているのは事実であろう。

Sonali Bank頭取のコメントによると、事件当時は必要なソフトウェアが導入されていなかった。現在は財務部主導で海外送金にアラーとを出すソフトウェア導入を強化しており、このようなことはもう起きないだろう、とのこと。さて、このような内部犯行をソフトウェアでどの程度防御できるものなのか、気になるところである。

バングラデシュのICT省などでもサイバーセキュリティへの危機感が高まってきているのはJICAにいても感じるところであるし、先進国のハッカー(クラッカー)たちからの標的にされないためにも金融システムのIT化は本格的に取り組んで欲しいと思うところである。おそらく日本にも比較優位のある分野と思われるし。

(追加記事を見つけたため、3/2に追記更新)

携帯電話での予防接種管理サービス

バングラデシュ情報ばかりですみません。バングラデシュ駐在中のKanotです。先日もこのブログをきっかけにバングラデシュでITビジネス立ち上げを検討中の方から問い合わせをいただきました。とても嬉しかったです。

さて、今日は母子保健の重要な要素である予防接種について、バングラデシュにて携帯電話を使って解決しようというサービスを紹介したい。バングラデシュにはmPower-HealthというITを使って保健分野の課題解決をしようという団体がある。その団体が提供するサービスの一つであるクラウドサービス「mTikka」についての記事が載っていた。
http://bdnews24.com/health/2013/07/30/cell-phones-for-vaccine-coverage

実は後進国と言われるバングラデシュでは、予防接種については80%以上が一歳までに必要な予防接種を達成しており、世界から評価を受けている。その予防接種率に満足せず90%を目指し、地方部の接種率(40〜60%程度)をあげるべくこのサービスは提供されている。

ご存知の通り日本では、時期になると自治体などから予防接種の案内が届き、無料で接種できるケースが多い。バングラデシュでも一部導入はされているものの、農村部までその情報を確実に行き届かせるまでには様々な苦労がある。

一方で、農村部でもかなりの母親が携帯電話を有している事実に着目し、そこを埋めるのがmTikkaの役割である。このクラウドベースのサービスでは、一度データを登録すると、SMSベースで定期接種の案内などが送られてくることに加えて、予防接種のデータ管理を行うことができる。

ここまでなら日本でもありそうなサービスであるが、mTikkaの面白いところは母親だけでなく医療機関などもこのデータを参照・更新できるようになっていて、予防接種への十分な知識のない農村部住民でも医者がきちんとデータ更新をすれば、予防接種状況の管理を出来るというものである。

日本でこのサービスをやろうとすると、個人情報などの壁もあり実現が難しいサービスであり、先進国にいてはこの発想は出てこない。やはりニーズは現場にいないと見つからない、と改めて感じたサービスである。

BOP市場に向けたFacebook,Operaの戦略

日本にいた時は、欧米IT企業が途上国をどのようにとらえてビジネスを展開しているのかあまり見えなかったのだが、途上国(私の場合はバングラデシュ)に駐在していると見えてくる彼らの戦略だったり便利なサービスだったりがあったりする。そのいくつかを紹介したい。

1. zero・Facebook(http://0.facebook.com/)
 世界中でユーザを拡大しているFacebook。世界共通基盤でサービスを提供していると思いきや、途上国向けに少々変わったサービスを提供しているのをご存知だろうか?それはゼロ・フェイスブックと呼ばれるサービスである。
 特徴は大きく2点。1つは軽いページ。3Gが導入されていないような地域のユーザ向けに、容量を軽くした特定のサイトを用意しているものである。
 ここまでならふむふむといった程度であるが、面白いのは2点目。
 なんと途上国の特定通信会社と提携し、パケット料が無料でFacebookに接続できるということである。つまり、Facebookユーザを獲得するために、ユーザのパケット通信料もFacebookが負担するというサービスを行っている。実際、私の使っている通信会社、グラミンフォンでは、上記サイトにアクセスすると画像が省略された簡易なFacebookページを閲覧することができる。
 ITはロングテールモデルが合うとよく言われるが、将来的な顧客であるBOP層をつかむため、このような投資を実は最大手のFacebookが行っているのである。

2. Opera Mini(http://www.opera.com/mobile)
 日本のスマートフォンユーザの皆様、どのブラウザを使っているだろうか?おそらく標準のブラウザ(iphoneならsafari)で特に疑問を抱いていないのではないだろうか。確かに日本にいれば、慣れさえすれば、特に不満を感じることはない。ところがバングラデシュのように3Gサービスが提供されていない地域になると様子は一変し、いちいちページを表示する時間がかかってイライラする。そこに一石を投じたのがOpera Miniである。
 先進国のノルウェーの企業がよく開発したなと思うのだが、画面を表示する際に、ブラウザ側で一つ処理を挟むことで、ダウンロードに必要なパケット数を最小限に抑えるというのがこのブラウザの特徴である。しかもオプションとして画像を全くダウンロードしないという機能もあり、この機能をONにすると、ダウンロードするパケットは実に90%程度が削減できる。実際に何割このブラウザを通すことで削減できたかを表示する機能もあり、見ていて楽しい。実際、私も携帯からのWebブラウジングはこのブラウザを愛用している。

 このように、日本にいると見えないニーズが途上国にあり、それに対するサービスを提供しているしたたかな先進国企業が存在する。毎回書いている結論ではあるが、日本の企業ももっと現地に出て、そういったニーズを的確に捉えたサービス展開をして行って欲しいと感じる。