タグ別アーカイブ: Facebook

マーク・ザッカーバーグの目指す世界 〜インターネットは人権の一つか?〜

インターネットへのアクセスは、もはや基本的人権の一つなのだろうか?

FacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグの「Building Global Community(世界コミュニティの構築)(2017/2/16)」を読んだ。概要は後ほど紹介するが、もはや彼の視点はFacebookを越えた世界の通信へと広がっていて、起業家を越えて思想家に近づいている気がする。彼が以前発表した論文「Is Connectivity A Human Right?(コネクティビティは人権の一つか?)」と合わせて彼の目指す世界を考えてみたい。

以前の投稿「途上国開発におけるGoogle,Facebookの存在感」でも取り上げた通り、彼はFacebookとは別にinternet.orgという組織を立ち上げており、「世界中の人にインターネットを」といったスローガンで活動をしている。この活動(インターネットユーザの増加)は長期的にはFacebookの利益にもなりうるので、完全な社会貢献事業とは言えないのでは?とその投稿で指摘はしたものの、彼の目標は高く、何よりそれを実行できる力(お金・サービス)がある。

インターネットは友達や家族、コミュニティを繋げるだけではなく、グローバル知識社会への基礎となるものであり、全ての人にアクセスする権利がある。[1]

全ての人にインターネットに接続する機会を提供することは、知識社会に参加する基礎となる。それは我々がすべきことというだけでなく、根本的なこととして必要なステップである。[1]

この発言から感じることは、彼はインターネットへの接続はいまや、電気・水道などと同じレベルで世界中の人がアクセスできるべきもので、それによってこのグローバル社会への参加が可能になると考えている。そして彼はFacebookを、そのグローバル知識社会にアクセスする最初のステップとして使ってもらいたいということも述べている[1]。

今回のザッカーバーグ氏の投稿では、繁栄と自由、平和促進、そして貧困削減のためにコミュニティがどうあるべきかと論じている。そしてそのためのFacebookの役割として、以下のように述べている。

Facebookができる最も重要なことは、全ての人々がグローバル・コミュニティを構築できるようにする社会基盤を作ることである。[2]

さらに具体的には、以下のようなコミュニティの構築しうる社会インフラとなることを目指しているとのこと。

  • 世界中で弱まりつつある伝統的な組織を強化できるSupportive communitiesを構築するのをどのように支援しうるか。
  • 世界の人が接しうる危害を防ぎや危機で助け合えるSafe communitiesを構築するのをどのように支援しうるか。
  • 人々が新しいアイディアや共通認識を共有できるInformed communityを構築するのをどのように支援しうるか。
  • 世界中で投票率が5割に満たない現状を踏まえ、世界のCivically-engaged communityを構築するのをどのように支援しうるか。
  • ローカル・グローバル、文化、国・地域を問わず人間性や大衆の意見を反映するInclusive communityを構築するのをどのように支援しうるか。[2]

私個人的な見解としても、インターネットへのアクセスは、このグローバル化された社会で競争力を発揮して行く為に、水や水道と同じく必要不可欠なものになりつつあると思う。特に、これまでチャンスがなかった人にチャンスを与えうるという可能性は、非常に大きいものがあると思う。私自身も、インターネットやPCに大学時代にハマった経験が、今のキャリアに大きく影響している。情報にアクセスさえできれば、私のように勝手にハマって勝手に学んで行ける可能性があるわけで、インパクトは大きいと感じる。

その一方で、大半の情報は英語で書かれており、このインターネット社会が進めば進むほどアメリカ・ヨーロッパなど英語に近い言語の人たちの優位性が高まってしまうような気もしないでもない。この辺りは翻訳技術などが解決してくれるのだろうか。

いずれにせよ、マーク・ザッカーバーグやビル・ゲイツなどはもはやその辺の援助機関よりも資金力・影響力を持っているため、今後もウォッチしていこうと思う。

最後に、マーク・ザッカーバーグの投稿で、ビル・ゲイツの言葉を「好きな言葉」として紹介していたので、それを引用して締めたいと思う。

我々はいつも、2年間でできることを過大評価している。しかし、10年間でできうることを過小評価している。 – Bill Gates –

[1] Zuckerberg, Mark. (2013). Is Internet connectivity a human right?. Internet.org.
(写真もこのサイトより引用)
[2]Zuckerberg, Mark. (2017). Building global community. Facebook.com.

Sustainable Development GoalsとICT

SGDs

9月25日の国連総会にてSDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)が最終合意されました。MDGsに代わって2016年1月から2030年までの15年間、これが国際社会の大目標になるってものです。MDGsが8つのゴールだったのに比べてSDGsは17つのゴールを設定しており、より包括的になっている点(環境問題など途上国だけじゃなく先進国も取り組むべき事項が含まれてる)が特徴でしょうか。

17つのゴールは以下のとおり。

  • 目標1:あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ(End poverty in all its forms everywhere)
  • 目標2:飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する(End hunger, achieve food security and improved nutrition and promote sustainable agriculture)
  • 目標3:あらゆる年齢のすべての人の健康的な生活を確保し、福祉を推進する(Ensure healthy lives and promote well-being for all at all ages)
  •  目標4:すべての人に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する(Ensure inclusive and equitable quality education and promote lifelong learning opportunities for all)
  •  目標5:ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る(Achieve gender equality and empower all women and girls)
  •  目標6:すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する(Ensure availability and sustainable management of water and sanitation for all)
  •  目標7:すべての人に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する(Ensure access to affordable, reliable, sustainable and modern energy for all)
  • 目標8:すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する(Promote sustained, inclusive and sustainable economic growth, full and productive employment and decent work for all)
  •  目標9:強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を図る(Build resilient infrastructure, promote inclusive and sustainable industrialization and foster innovation)
  •  目標10:国内および国家間の格差を是正する(Reduce inequality within and among countries)
  •  目標11:都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする(Make cities and human settlements inclusive, safe, resilient and sustainable)
  •  目標12:持続可能な消費と生産のパターンを確保する(Ensure sustainable consumption and production patterns)
  •  目標13:気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る(Take urgent action to combat climate change and its impacts)
  •  目標14:海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する(Conserve and sustainably use the oceans, seas and marine resources for sustainable development)
  •  目標15:陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る(Protect, restore and promote sustainable use of terrestrial ecosystems, sustainably manage forests, combat desertification, and halt and reverse land degradation and halt biodiversity loss)
  • 目標16:持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する(Promote peaceful and inclusive societies for sustainable development, provide access to justice for all and build effective, accountable and inclusive institutions at all levels)
  • 目標17:持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する(Strengthen the means of implementation and revitalize the global partnership for sustainable development)

ゴールそのものの中でICTに直接関連した記載がないけど、逆に言うとツールとしてのICT活用はこれらのどのゴールについても期待出来るってことだと思います。「これら17つのゴールを達成するためにICTがどう活用出来るのか?」という点について、NetHopeというアメリカのNGOがMicrosoftやIntelといった企業の協力のもと「SDG ICT Playbook」なるものを作成していました。

SDG-playbook-purpose

SDG-playbook-purpose

Playbook(脚本)という名の示すとおり、ICTが活用され得るシーンを具体的に示唆したものでなかなか面白い。各ゴールについてのICT活用を考える際のスタートポイントに出来そうなものです。

そして、この「SDG ICT Playbook」を見て感じたのが、具体的なICT技術として取り上げられているものが自分がICT4Dに関心を持ち始めた10年前とは大きく変わって来たという点。モバイル、ソーシャルメディア、クラウドコンピューティング、ビッグデータ分析、3Dプリンタ、スマートシステム、衛星技術などが各ゴールに絡む各セクターでどう活用出来るかが紹介されているのですが、ビッグデータとか3Dプリンタとか、これから途上国での活用が本格的になっていく技術として自分ももっと勉強しないといけないと感じたりしています。

Zuckerberg SDG

また、9月26日の国連民間セクターフォーラムではFacebook CEOのマーク・ザッカーバーグ氏が「世界をつなぐことは、私たちの世代の基本的な挑戦の一つです」という基調講演を行っており、Facebook上でも下記のメッセージを発表していました。

By giving people access to the tools, knowledge and opportunities of the internet, we can give a voice to the voiceless and power to the powerless. We also know that the internet is a vital enabler of jobs, growth and opportunity. And research tells us that for every 10 people connected to the internet, about 1 is lifted out of poverty.

インターネットへのアクセスを普及させることがダイレクトに貧困削減に繋がるのか?については、個人的には懐疑的な意見ですが、国連民間セクターフォーラムでの基調講演がFacebook CEOによって行われているという点にはちょっと興奮しました。

そういえば2016年度の世界開発報告(World Development Report)のテーマもICT。副題が「Digital Dividends」ってなっており、上記の基調講演の件とともに、2000年頃のように途上国開発におけるICT活用の波がまたくるのか?と期待したいです。

カッコいい途上国開発援助

FacebookにDonate Now(今すぐ寄付)ボタン機能がついた。結構いろんなニュースで取り上げられていますが、Techcrunchの記事「Facebook、NGO向けに「今すぐ寄付」ボタンを導入。支払い情報収集効果も」が詳しい説明がついててよかったです。クラウドファンディングの雄であるKivaやUNICEF、OXFAMなどを含む19のNGOがまずはこの機能を使えるとのこと。今後、他のNGOにもサービス展開をしていくという。

screenshot-2013-12-16-at-11-45-23-am

ふと、大学生の頃に国際援助関連の授業で書いたエッセイを思い出した。
自分は非常に不真面目な大学生で授業もまともに行かず雀荘にばかり行っていた。そして当時は国際協力に「なんとなく」興味はあったものの、やる気で入った国際協力サークルも、ものの数週間で全く行かなくなるといった程度のものだった。

それでも授業では「国際援助論(確かこんな名前だったと思う)」という講義を取っていた。1回しか授業は行かなかったけど、エッセイを提出すれば単位が取れるらしいということで、最後のエッセイだけ書いた。(当時、パソコンを持っておらず、手書きで書いたエッセイを姉に頼んでワープロ(←懐かしい・・・)でタイプしてもらった記憶があるが、時代を感じるなぁ。)

まぁ、ろくに授業に出ていなかったので、書ける内容はあくまでも自分の考えていることのみ。なので、当時思っていたことを書いた。それは、「援助とか国際協力って、真面目で道徳的な人達がやってて、カッコよくないイメージだ。もっとカッコいい援助や国際協力のスタイルがあれば良いのに・・・」というもの。例示したのは、渋谷とかにあるお洒落なフェアトレードショップでした。1995年頃の話なんで、まだ今ほどフェアトレードとかがメジャーじゃなかったんだと思う(もしくは、自分が知らなかっただけかも)。まぁ、「真面目な人がやっている=カッコよくないイメージ(ダッセーみたいな感覚)」という思い込み自体が今から思うと非常に間違っているのだけれど、当時はそう思っていた。真面目に途上国開発を語って「だからあなたも寄付しなさい」みたいなことを言われると、ウゼーって思ってました。
そいで、もっとお洒落にスタイリッシュにカッコ良い援助・国際協力ってのがあれば良い、そういう選択肢が少なすぎる、というようなことをエッセイに書いた。んで、大学時代の成績の超レアなA評価をもらった。それもあって、大学時代に書いた課題エッセイの内容なんてほとんど覚えていないのに、何故かこのエッセイだけは良く覚えている。

このFacebookのDonate Now機能のニュースを見ていたら、当時の自分でも「カッコいい」と思うような援助・国際協力の方法が、かなり広がったなぁという気がした。クラウドファンディングとかBOPビジネスとか。
そして、自分がICT4Dを専門に選んだ理由もこの「カッコいい」途上国開発がしたいという思いからだったと気づいた。SVP東京さんでの登壇などでも述べさせてもらったように、「ICTが途上国にホントに必要?保健とか水とか教育とか、もっと重要なものがあるんじゃない?」とう質問に対して自分が思うのは、「ICT、カッコいいから途上国の人だって欲しいじゃん」ってこと。金がなくてもたばこや酒を買っちゃう人がいるように、「必要なもと欲しいものは必ずしも同じじゃない」。途上国で携帯が爆発的に普及したのは、プリペイドなどいろんな理由があるけどれ、やっぱりカッコいいからという要素は強いと思う。そして、そこからモバイルバンキングとからモバイルヘルスといった開発に資するサービスが生まれている。

ICTを活用して、さらに多種多様なカッコいい援助・国際協力のオプションが出てくるといいなぁと改めて思った。しかし、大学時代はホントに勉強しなかったなぁ・・・。

アフリカのFOSS開発者数は4,527人?

ICTWorksに面白い投稿があったので備忘録的に載せておきます。

フリー・オープンソース・ソフトウェア(FOSS)の開発をWeb上で世界中のプログラマ達が協働作業として行っているプロジェクトがありますが、そのためのプラットフォームとして最も活用されているのが「GitHub」というプラットフォーム。自分はこのあたりのソフトウェア開発については非常に知識が乏しいのですが、Webで見てみると、このGitHub上では、コードの更新作業が効率的にできたり、開発者同士のコミュニケーションを促進するようなSNS的な機能もあったり、と他の同様のプラットフォームより一枚上手のことが出来るようです。詳しくは、以下のTech Crunchのサイトに分かりやすい説明があります。
http://jp.techcrunch.com/2012/07/15/20120714what-exactly-is-github-anyway/

さて、今回ICTWorksで紹介されていたのは、下の地図。GitHubユーザがアフリカにどれだけいるかを示しています。

GitHub User in Africa

GitHub User in Africa

アフリカにはこのGitHubユーザが4,527人という数字が出ていて、それは全世界のGitHubユーザ数の0.12%ということになる(0.12%と左側に記載されているのは、この数字)。「アフリカでソフトウェア開発やっている人はこんなに少ないのか!?」という疑問がICTWorksで述べられているが、この地図を作成した Matt Berg 氏よりコメントで、「単純にユーザのプロフィールで滞在地がアフリカになってるユーザを拾った数字なので、正確性には欠ける。ロンドンに住むアフリカ人プログラマはカウントされていないし、逆に、アフリカにいるアメリカ人はカウントされちゃってます」という説明が。

信ぴょう性は別にして、それでも見てみると面白い。ユーザ数は、以下の通り。

1位:南アフリカ(34.60%)
2位:エジプト(16.32%)
3位:ケニア(9.75%)
4位:ナイジェリア(6.50%)
5位:チュニジア(5.68%)
6位:モロッコ(4.99%)
7位:ガーナ(3.70%)
8位:アルジェリア(2.73%)

なんとなくどこかで見たようなランキングだなぁと思ったら、以前このブログでも紹介したアフリカのFacebookユーザ数上位8カ国とまったく同じ面子でした。
【Facebookユーザ数】
1位:エジプト(13,010,580)
2位:南アフリカ(5,534,160)
3位:ナイジェリア(5,357,500)
4位:モロッコ(5,250,340)
5位:アルジェリア(4,322,820)
6位:チュニジア(3,436,720)
7位:ケニア(1,886,560)
8位:ガーナ(1,465,560)

アフリカといってもアラブ系を除くと、南アフリカ、ナイジェリア、ケニア、ガーナあたりが、やっぱりICTサービスがこれから盛り上がる(すでに盛り上がっている)ってことなんだろうなぁと思えるデータでした。

以前の投稿でFOSSの開発プロジェクトを通じて、途上国と先進国の協働が出来れば良いなぁという事を書きましたが、「援助する側・される側」という関係ではなく、「対等に協働する場」としてのFOSS開発プロジェクトに期待したいです。

アフリカのSNSユーザって、どれくらい?

TICAD Vも近いということで、アフリカネタを紹介。ICTWorksブログに面白い情報が載っていました。 
アフリカのFacebookユーザの数を主要な国ごとに示したものです。

tumblr_mkblsnFjoC1qiuwg7o1_1280

エジプトが日本と同規模のマーケットだったとは知らなかった。また、今や途上国でのSNS利用は急増中で、バンコクやジャカルタのFacebookユーザ数は、ロンドンのそれよりも多いという。そして、驚いたのは、2004年時点の世界のインターネットユーザ数よりも、現在のFacebookユーザ数のほうが多いということ。これから途上国での携帯普及&携帯からのSNS利用増加すると、どんな変化が起きていくのだろうか。

もうひとつ、面白い情報がありました。Urban Geographical Tweets in Africaというもの。アフリカの主要都市(ナイロビ、カイロ、ケープタウン、キガリ、アジスアベバ、アッカ、ダルエスサラーム、チュニス、ヨハネスブルグ、ラゴス、モガデシュ)におけるTwitterのツイート分布です。各都市のものが、上記リンク先にあるので、興味のある都市があれば、是非、上記リンクを見てみて下さい。ちなみに下はアジスアベバです。

アジスアベバ

最後に、参考までに以前書いた関連ネタ「アフリカのFacebookユーザ数が7ヶ月で2倍に」も興味あれば見てみて下さい。

アフリカ×ICTの可能性

Kanotの投稿「世界人口の3割がインターネットに接続」でITUのレポート「States of Broadband:2012」について述べられていましたが、そのなかからアフリカにフォーカスしてみた。まずは以下のグラフ。

アフリカのインターネット人口は他の地域と比較すると、100人あたり12.4人とまだまだ低い。さらに、同じITUのレポートからもう一つグラフを紹介。

アフリカにおける固定回線でのブロードバンド利用者数は、100人あたり0.2人という数値。低い・・・。
これだけ見ると、アフリカのICT分野は「まだまだだなぁ・・・」というネガティブな感想を頂く方が大半と思うのですが、以下、ポジティブなデータも紹介(ITUのレポートじゃないですが)。

以前このブログでも紹介させてもらった本、芝陽一郎さんの「アフリカビジネス入門」からのデータ。アフリカと中国とインドのインターネットユーザーを比較した表です。こう見ると、以外なことに、あのIT大国インドよりもアフリカ全体の方がインターネットユーザーが多いのです。さらに、その成長率は凄い。
続いて、もうひとつポジティブなデータ。

以前このブログでも紹介したアフリカのFacebookユーザー数が7ヶ月ごとに2倍となっているというICTWorksの記事と、最近のFacebookユーザー数をInternetworldstats.comを拾ってみたものです。ここ1年くらいの伸び(27.4million(2011年5月)から43.4million(2012年6月))については、2倍とは言えないけれど、そでも世界でのユーザ伸び率(2011年7月(750million)から2012年1月(800million))より高いと言える。そして、Facebookのサイトによると、約半数のユーザーがPCではなく、携帯電話からFacebookを利用しているという。そこで、以下のデータを紹介。

GSMAによるアフリカの携帯電話普及率(2011年時点)と、その後の予想。これ見ると、とりあえず年30%の伸び率で成長していることがわかる。

最初のグラフを見ると、インターネットユーザー数やブロードバンド利用者数の少なさから、アフリカのICT分野は「まだまだ・・・」というネガティブな感想だが、インドとの比較〜携帯普及率の伸びまでを見てくると、結構ポジティブな感じがしてくる。「思ったより、ICTの可能性って高いんじゃない?!」といったところか。
そこで、最後にアフリカのバックボーンネットワークとなる海底ケーブル環境についてのデータをご紹介。

最初の2枚は2009年と2012年の海底ケーブルの図。線の太さがキャパシティを表しているので、かなり改善されたことがわかる。3枚目はあくまでも予想図であるけれど、2009年から2012年の成長を考慮すると、これからもバックボーンが改善されていく可能性はありそうだ。

と、ここまで色々と見てきましたが、結論として「アフリカのICT分野の可能性があるのか、まだまだなのか?」という問いに対して、「(アフリカ好きな自分としては)可能性大」と言いたい。最初のITUのデータのように、世界に比して、極めて少ないインターネットユーザー普及率&貧弱なブロードバンド普及率であるにも関わらず、インドより多いインターネットユーザー数、Facebookユーザの伸び、そして携帯電話の成長と、世界平均以上のICT分野の成長が見て取れる。今後、海底ケーブルの整備や各国内の通信網改善が勧めば、さらなる成長が見込まれるだろう。今は、ICTアウトソースがミャンマーブームですが、今からアフリカに目を向けておいても面白いんじゃないだろうか。

エジプトーSNS革命とシスコによる投資

ここ最近、エジプトとSNS関係のニュースやら記事やらを複数目にした。具体的には、伊藤洋一のRound Up World Now!(4/29放送分)、山本達也「政府のコントロールを超えたSNS」(THE ARAB, p14-15.)、Rising Africa「シスコ、エジプトに1000万ドルの投資へ」の3つ。以下、面白いと感じた点を書いてみる。

まずはSNSがもたらす情報波及度を示す数値から。

以下が「Facebookで20分毎に起きていること」といわれている。

  • 写真へのコメント:130万件
  • イベント招待の送付件数:150万件
  • ウォールへの投稿:160万件
  • ステータスアップデート:180万件
  • フレンドリクエストの承認件数: 197万件
  • 写真のアップロード:270万件
  • コメント:1020万件
  • メッセージ:460万件

そして、ツイッターの情報波及効果を示す例として以下のことが言われている。

100人にフォローされている人が何かつぶやくとき、それぞれのフォロワーが同様に100人にフォローされていると仮定した場合、それぞれがリツイートしたら、あっという間に1万人に情報が伝達されることになる(100×100=10000)。そこから更に、それぞれが100人にフォローされていたら100万人に情報伝達されることに(100×100×100=1000000)。いわゆる「バイラル(ウイルスのような)効果」と呼ばれている効果だ。

このような、人々のつながりを作り、圧倒的な情報波及効果を持つSNSがチュニジア革命を起こし、エジプトでのデモを引き起こした。

ネットを利用した革命というと、これまではサパティスタ民族解放軍が取り上げられることが多かった。1990年代に発足したサパティスタ民族解放軍はネット通じて情報発信をすることで支援を受けている点が特徴的。今回のチュニジア、エジプトもサパティスタ民族解放軍もどちらもインターネットを利用している点では同じだが、今回のチュニジアやエジプトでは、SNSでの「つながること」が重要だったのに対して、サパティスタでは従前のインターネット利用方法である「情報を発信すること」がポイントであったというように、インターネットの主な使われ方における今昔の変化が反映されているように感じる。

また、Rising Africaにシスコがエジプトにベンチャーキャピタルで1000万ドル投資するというニュースがあった。ふと、今回のエジプトでの一連の騒動が、エジプトのIT普及率やユーザのITリテラシーなどが十分投資するに値するという判断に繋がったのか?と短絡的ながら感じた。政府にとっては痛い騒動だけれども、一方で、諸外国や外資企業に対して、「IT先進国」であることがアピール出来る材料にもなったのかもしれない。もしやチュニジアへの欧米IT企業の投資が拡大するなんてこともありか?

一方、今回のエジプトで暴動鎮圧のためにSNSサイトがアクセス制限されたように、政府によってアクセスそのものが制限されるということは十分考えられる。自分がいたエチオピアでも2005年の選挙時に携帯SMSが利用不可となったことがあった。この点は、欧米IT企業が投資する際の大きなリスクだ。でも、山本氏は、情報のコントロールは出来ていたアラブ諸国でも、SNSの楽しさを知った国民を敵に回してまでアクセス制限することは困難であり、結局、「不都合な情報」はコントロールできても、「つながる」ためのインターネット利用はコントロール出来ていないといっている(山本達也「政府のコントロールを超えたSNS」より)。さらに、SNSが日常の経済活動になくてはならない存在にまでなれば、自国の経済活動を妨げることになるので、政府も簡単にはアクセス制限が出来なくなるだろう。今回のエジプトの騒動から、シスコは「政府によるコントローはそう易々とは起こらない」と睨んでいるのかだろうか。

伊藤氏がコメントで、SNSは既存の体制を破壊するには強烈な威力を発揮するが、新しいものを創り出すには向かないツールなのでは?といったことを言っていた。確かに、ツブヤキで不満を煽り、弱いネットワークで繋がった多くの人が賛同すれば、革命を起こすくらいの大きな現象が起きる(創発(emergence)と呼ばれる現象)。破壊の方が創造よりも簡単なのは良くわかるが、一方で、FOSSのことを考えると、何も破壊だけでなく、創造も弱いネットワークで繋がった多くの人により行われていることがわかる。IT企業による投資が破壊よりも創造に大きく貢献してくれることを願いたい。