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東海大学での講義と2018年に向けて

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12月23日、東海大学で情報通信技術を学ぶ大学1年生を対象に、ICT4Dについての講義をさせて頂く機会をもらいました。ICTが発展途上国でも意外と活用されているという事例を中心に、自分が青年海外協力隊で経験した話などを交えつつ、大学1年生の学生さん達に、途上国の課題解決にICTが活用出来るという可能性と共に、ICT導入の課題ついても話しました。良い意味の気づきがあったので、忘れないように2つ書いて見ます。

  • 誰もが途上国開発に関心がある訳じゃない

プレゼンの最初に「JICAって知ってますか?」と聞いてみたところ知っている学生さんは殆どおらず、また、「エチオピアの首都はどこでしょう?」と聞いても、皆さん「・・・?」という感じ。講義後にレポートを提出してもらったのですが、それを見ると、「途上国のためになる活動は素晴らしいことと思うけど、自分は行ってみたいとは思わない。」という意見も多く、「なぜなら日本にも課題は沢山あるから」とか「英語力がないから行っても貢献出来ない」とか「食事とか治安とか生活面が不安」といったような納得感のある理由でした。付け加えておくと、勿論、何割かの学生さんからは、「自分も将来ICT4Dに関わってみたい」という意見もありました。

もう10年以上途上国開発に関わる仕事をしてきたので、自分の中のスタンダードが世間一般のスタンダードとちょいずれてること(ついつい誰もがケニアのM-PESAのことは知っていると思ってしまう…みたいな)に気づくことが出来たのは良かったです。自分が大学1年生のとき(というか青年海外協力隊へ応募するまで)を思い返せば、自分もJICAって知らなかったしなぁ、と思ったりしたのでした。

  • 遠くのどこかの話をどう身近な話と感じてもらうか

なるべく関心を持ってもらえるようなネタを準備したと思っていたのですが、「遠いアフリカの話をどう身近な話として感じてもらうか?」という点は、もう少し工夫の余地があったなぁ、と反省。ケニア発のUshahidiが東日本大震災後に日本でもSinsai.infoとして活用されていたというネタは話したのですが、同様に日本にも繋がりを持たせたICT4D事例の紹介の仕方があったかなと。例えば、ちょっと途上国の開発課題の解決という観点からは(教育とか保健とかと比べると)分り難いかと想い、Impact Sourcingの事例は省いてしまったのですが、「大学に入り一人暮らしを始めようと見ている住宅情報の見取り図は、もしかしたらカンボジアの人達が作成した図面かもよ?」というような持って行き方もあったなぁ、と思ったり。こういう説明方法のスキルは上げて行きたいなと感じたのでした。

こんな感じの気づき&学びがを得る事が出来て、とても良かったです。機会を頂けたことに感謝!しかし、18〜19歳位の若い方達と話すと、(自分も若いつもりでいるんですが)歳食ったなぁ〜と実感。

自分がICT4Dを専門にしたいと思った2003年頃に比べると、日本で得られる途上国の情報はかなり多くなったし、「援助」だけでない途上国との関わり方もかなり多様化して来たと感じます。それでも、まだまだ日本の中でイメージする途上国(特にアフリカ)と実情にはギャップがあるので、そのギャップを縮めたいな、と改めて思いました(これ、協力隊から帰国したときにスゴい感じたことなんだよね)。これかは(これからも)より多くの人達をICT4D分野に巻き込んで行きたいな、というのを2018年に向けての抱負にしようと思います!

ICT4Dの教科書が出版されました

ICT4Dの教科書

以前、このブログでも紹介したマンチェスター大学のHeeks教授が執筆するICT4Dの教科書ですが、気がついた発売されていました。早速、Amazonで購入してみました。これから読まねば!

この本は教科書を想定した構成になっており、以下の9つのトピックになっている。教科書を想定しているだけあり、学生への課題やディスカッションのテーマなども提示されている他、さらに、出版社のWebサイトから授業用のPPTスライドもダウンロード出来るようになっている。

  1. Understanding ICTs and socio-economic development
  2. Foundations of ICTs and socio-economic development
  3. Implementing ICT4D
  4. ICTs and economic growth
  5. ICTs, poverty and livelihoods
  6. ICTs and social development
  7. e-Governance and development
  8. ICTs and environmental sustainability
  9. The future of ICT4D

Heeks教授のブログでは、開発学やコンピュータサイエンス等のカリキュラムの一部にICT4Dが含まれることが増えて来ていると述べられている。理由は、携帯電話やスマホの爆発的な普及に代表されるようにICT4D分野そのものの広がりや、ICT4D絡みのイノベーションがバズっているから。日本では「そうかな?」と思うけれど、大学のカリキュラムはさておき、ICT4Dという用語が援助機関以外でも使われるようになってきたとは感じる。

ちなみに、アビームコンサルティングが「ICT4Devに関心を有する方募集」という求人もありました。応募したくなるフレーズだなぁ…

話を教科書に戻すと、ICT4Dというあまりに幅広い分野を俯瞰出来る教科書はとても便利。自分が5年間講師を勤めさせてもらっている神戸情報大学院のICT4Dの授業にも来年から取り入れてみたい。まずは自分自身が読破せねば。この年末年始の自分自身への宿題としたいと思います!

ICT4Dの教科書

ICT4Dを勉強したい人はICT4Dの教科書を探したことがあるかと思います。でも、これまでそれらしい教科書はなかったんじゃないでしょうか。ところが近々に教科書が出版されます!僕が書きます!!

というのは嘘です。

マンチェスター大学大学院のICT4DコースのRichard Heeks教授がICT4Dの教科書を出版するそうな。amazonで見ると10月下旬の出版予定。そして、Heeksのブログにそのコンテンツの一部がDraftとしてアップされてました。以下のサブタイトルで全9回の講義用パワーポイント教材がダウンロード出来ます。

– ICT4D Course Introduction

– Session 1: Understanding ICT4D

– Session 2: Foundations of ICT4D

– Session 3: Implementing ICT4D

– Session 4: ICTs and Economic Growth

– Session 5: ICTs, Poverty and Livelihoods

– Session 6: ICTs and Social Development

– Session 7: e-Governance and Development

– Session 8: ICTs and Environmental Sustainability

– Session 9: The Future of ICT4D

ありがたいことに先生用に、生徒に課す課題や演習のインストラクション的なことも書いてあったりします。ただ、パワーポイントだけあって基本的にはフレームワークやモデルやグラフなどのビジュアルな教材なので(読んで理解するには、出版後に本を買って文章も一緒に読む必要アリでしょう)、見ただけでは理解出来ない点も多いと思いますが、「これからICT4Dについて勉強したいけど、実際どんなこと勉強すんだろ?」と思っている人には参考になるかと思います。ICT4Dというかなり幅広いテーマを今の途上国開発や技術革新に沿って多面的な切り口から解説・分析している点がわかるだけでも結構参考になるかも。

ちなみに、ICT4Dの教科書的な本としては、以前このブログで紹介した外山健太郎氏(このブログの管理人Knotの指導教授)の「Geek Heresy」やTim Unwin氏の「ICT4D」などがあるけど、それらと比較してHeeksの本はよりフレームワークやモデルといった理論に重きがおかれている感じです。上記の2冊はいずれも読んでみた感想として、理論的でありつつも、そこに著者の想いがより込められている感じ。読み物としての面白さはそっちの方があるかもしれないですが、Heeksの本は実際のプロジェクトをどう理論に落とし込むか、という点に重きが置かれている感じ。

日本にいると英語力落ちるので10月に出版されたら自分も読んで勉強せねば…。

ICT4D研究がアジアからアフリカにシフトしつつある??

こんにちは、Kanotです。たまには自分の研究について書いてみたいと思います。国際学会ICTD2016でポスター発表した内容で、JICAのYoutubeサイト「ICT and Development」でも取り上げていただきました。

以下は論文の概要です(動画内容とほぼ同一です)。

世界銀行のWorld Development Reportやアフリカ開発会議(TICAD)でのICT立国ルワンダの存在感など、ICTの役割が認められてきた昨今ですが、ICTと開発(ICT4D)の研究フィールドはどのようなトレンドを描いているのでしょうか?特定の地域や国に寄っているのか、それとも満遍なく広がっているのか?そして地域や国のトレンドに変化はあるのでしょうか?

こういった興味から、過去10年間のICT4D関連の論文525本を地域・国でタグ付けし、傾向に変化があるのかを調べてみました。なお、ここでいう地域・国は執筆者についてではなく、研究対象となった地域・国のことを指しています。

  1. 国別トレンド
    以下のグラフは国別の論文割合で、上位6カ国をプロットしたものです。slide3

    この10年間はずっとインド(青線)が首位になっています。確かに私もインドというと、貧困という開発途上国のイメージと、IT人材を対象に生み出すIT大国というイメージの双方があり、ICT4Dの研究対象としても選ばれてきたのも納得できます。

    その一方、2010年くらいから伸びてきて、2014年にはインドに追いついている国があるのに気がつきましたでしょうか?この辺りを見るべくインドを除く5カ国を拡大したのが次のグラフです。

    slide5

    この一気に論文数を伸ばしているのがケニアです。私がポスター発表を行った国際学会ICTDでも、2012年に初めてアフリカ(南アフリカのケープタウン)で開催され、アフリカの勢いを感じていたところでした。上位6カ国のうち4つがアフリカ、2つがアジアと、アフリカの勢いを感じるところです。

  2. 地域別トレンド
    次に地域別の比較です。slide6

    このグラフにある通り、アジアとアフリカで8割以上を占めています。面白いのが2014年に初めてアフリカが論文数でアジアを上回って一位になったということです。先ほどの国別傾向でインドが下がりケニアが伸びている影響も受けていると思いますが、ICT4D研究全体のトレンドとしてもアジアからアフリカに移りつつあると言えるのではないでしょうか。

  3. 多様性
    これまで地域と国の傾向を見てきましたが、特定の国に偏った状態なのか、色々な国で研究が行われているのか、シャノンの多様性指数を用いて比較してみました。slide7

    このグラフがその結果なのですが、徐々にですが指数が向上しているのが見て取れます。これは対象国が広がってきている(多様性が増加している)ことを示すもので、これまでインド一国集中だったものがインフラ発展の成果もあってか色々な国にICT4D研究が広がっているということになるかと思います。

では、これらの変化がなぜ起きてきているのでしょうか。今回の論文においてはそこまでは検討できてないのですが、考えられる仮説としては、例えば以下のようなものがあります。
・地理的な多様性はIT政策やインフラの発展に相関がある。
・一部の国(インドなど)で研究が終わってきたため、他の国にシフトし、多様性が増加している。
・誰かが新しい国で研究を始めると他の研究者も興味を持ち始め、多様性増加に貢献している。

これらについてはまた次の研究で調べてみたいと思いますが、インフラの発展もあってか、ICT4D研究もアジアからアフリカに少しずつシフトしつつあり、色々な国で行われるようになってきているようです。

 

JICA ICT and Development

JICAがICT4Dに関する情報発信を目的に、YouTubeで公式チャンネル「JICA ICT and Development」を開始しました。一ヶ月くらい前に始まったばかりなので、まだ動画は6本しかアップされていないですが、このブログの管理者の一人Kanotの動画も登場します。以下、今アップされている6本を紹介。

  • Geographic Diversification of ICTD Research by Tsuyoshi Kano

 

  • Smartphone-use Bus Location System in Laos

 

  • Rwanda x JICA x ICT = Innovation

 

  • Plastic Up-Cycle by Heat Press Machine @ FabLab Bohol

 

  • Plastic Up-Cycle Trial by BISU students Aug-8-2016

 

  • JICA ICT Project Research 2015 : Debrief Session : English

消費者からプロデューサーになる道とは?

先日、ICT4D関連の本のChapter募集があったので、2〜3ページのプロポーザルを書いて応募してみた。デンマークの大学教授が編者となるこの本のタイトルは”Handbook on ICT Policy for developing countries”というもの。5Gに代表される最新テクノロジーが特にアフリカを中心とする途上国にどういう影響をもたらすのか?恩恵をうけるにはどんなICT政策が必要なのか?という結構大きなテーマの本。

ここ最近の自分の関心は、以前の投稿「IoT、ビッグデータ、AI、3Dプリンタ、ドローン、新たなテクノロジーは途上国を豊かにするのか?」で書いたように、ますます世の中を便利になる最新技術は、能力の高い個をエンパワーする一方で、相対的に能力の低い国そのものは期待ほど豊かにしないんじゃないか?という点。テクノロジーが発展し国境によるハードルや物理的な制約がなくなればなくなるほど、シンプルな競争が起きて、途上国は先進国の大企業の市場にしか成り得ず、自国の自力(技術力とか創造力とか)が発展しなくなってしまうのではないか?という懸念。

例えば、Googleは途上国での携帯電話やネット利用の普及のために、Android Oneという製品を展開している。これによって途上国の人々も手の届くスマホが販売されネットが使えるようになり、人々の生活は便利になるのだろう。そしてそれと引き換えに、途上国の携帯メーカーがAndroid Oneと組むことによって、自国でのAndroidにとって代わる製品が出て来る可能性はかなり薄くなるのかもしれない。

Amazonやアリババでネット越しに海外から何でも買えたり、データを購入すれば3Dプリンタにデータを流すだけで製品が作れるようになれば、途上国でも生活は便利になるが、消費者の立場から這い上がることはとても難しくなる。途上国でもIoTやビッグデータによって農業生産性や漁業の生産性が向上すると期待されているが、そのデータ分析ツールは先進国企業のクラウドサービスを使い、データは先進国のデータセンターに保存されるだろうか。

勿論、テクノロジーによって途上国の人達も先進国の人達と対応に競える同じ土俵には立ち易くはなった。AndroidやiPhoneが普及したからこそ、途上国の人達も簡単に自分達で作成したアプリを世界市場に向けて販売出来るようになったし、AMP Musicの取り組みのように、途上国発のプロダクトが世界市場にアクセス出来るようになった。

それでもApp Annieの調べによると、2015年に世界で売れたアプリTOP52のうち、日本・中国・韓国の企業が28社を占めており、その他は米国やヨーロッパで、いわゆる途上国の会社は入っていない。あれだけ人口の多いインドの会社もない。

自分が大学院で学んでいた当時(今から約10年前)、ICT4Dの失敗事例の多くは、先進国のソリューションを環境が全く違う途上国に持ち込んだことによって生じている、といった分析・主張をしている文献を多く読んだ。だから途上国には途上国に合ったソリューションが必要だという意見。それは正しいと思う。

でも今後は、というか既に、先進国の企業は、先進国でも途上国でも利用出来るソリューションを生み出し、それが世界中で使われるようになっている気がする。Facebook, Twitter, What’s up, などなど。ちなみにUberも2012年に南アフリカで使われ始め、その後、ラゴス、ナイロビ、カイロでも利用できるようになった。

当時の失敗事例の原因の1つに良く指摘されていた問題に識字率や現地語の問題がある。途上国のユーザは現地語を主に使っており英語があまり出来ないのに導入したICTシステムは英語にのみ対応していたとかいった問題である。しかし、今スマホを買えばかなりマイナーと思える言語まで対応しているし、FacebookでもGoogleでも相当な数の言語に対応している。動画やスタンプなど言葉がなくても通じるコミュニケーションもかなり発達してきた。そのうち途上国の環境に合うようにカスタマイズされたソリューションはそれほど重要じゃなくなるのかもしれない。そうなると途上国はますます消費者・ユーザの立場に落ち着いてしまう。さらに、得意の労働集約型のビジネスもロボットやAIに取って代わられてしまうのかもしれない。

そこで思うのが、「じゃ、どうしたら良いのか?」ということ。自国の技術力を高めるために人材育成に投資するとか、イノベーションを起こす為に産官学連携を促進するとか、そういった地味時な努力は重要だろう。そして、もう一つのアプローチとしていかに「独自の市場を確立するか?」という点じゃないかと思う。

M-PESA、Ushahidi、e-sokoなどに代表されるような途上国発のソリューションを生み出すのは簡単じゃないが、アフリカでは既になかなか個性的なアプリが誕生している。例えば、ガーナ発のmPedigreeというアプリは、偽物の薬か本物の薬かを見分けるツール。処方された薬についているシリアル番号を入力すると、製薬会社のデータベースに照会されて、それが本物かどうかがわかる。偽物が蔓延るアフリカにおいて、偽物を掴まされたくない消費者と偽物が流通することによって利益を損なう製薬会社のお互いのメリットをマッチさせた上手い仕組みだ。また、ナイジェリアのAfrinollyというアプリは、Nollywoodと称されるナイジェリア映画を見るためのアプリだ。いくらYoutube等でHollywood映画が無料で見れる時代でも、やっぱりナイジェリア人はNollywood映画も見たいってことなんでしょう。

単純にニーズといってしまうとシンプルすぎだが、文化とか嗜好とかを汲み取って、独自の市場を掘り起こし自分達にしか作れないサービスを発展させていけば、単なる消費者からプロデューサー(クリエイター、イノベーター)になる道が残されるのかもしれない。さらにECOWASとかEACなどの地域経済共同体としてそういう独自市場を発展させるというもの面白いかもしれない。

と、上記のような自分の関心をプロポーザルにして応募してみたら、嬉しい事に「じゃ、Full Chapter書いて見て。8000語!」という返事が来ました。嬉しい反面、8000語にチャレンジするのはかなり大変・・・(汗)。でも頑張ろうと思います。ということで、コメント、ツッコミ、有益情報など、何でも大歓迎ですので、こんな視点もある、あんな事例もある、というネタをお持ちの方、是非コメント下さいまし!

ICT4DからDigital Developmentへ

マンチェスター大学Heeks教授のブログにて、ここ最近頻繁に使われるようになっている「Digital Development」とこれまで使われて来たICT4Dという言葉について、途上国開発におけるICTの立ち位置(期待、役割、課題等)がまとめられており、とても興味深かったので以下、紹介したい(詳細については是非、Heeks教授のブログを直接読んでもらえればと思います)。

ICT4D時代(これが今までの途上国開発におけるICTの立ち位置:便宜上ICT4D時代と言ってみます)とDigital Development時代(こちらが最近(最新)の途上国開発におけるICTの立ち位置::便宜上ICT4D時代と言ってみます)といった感じで捉えてもらうと分かり易いかと。そして、以下がその2つを比較し、どう変化したかを示す表(ICTs for Development Blogからの抜粋)。すこしボリュームがありますが、一見の価値有り。何となくは気づいていたという程度の概念が文字に落とされてより明確になった感じがします。

META-ISSUE ISSUE ICT4D DIGITAL DEVELOPMENT
Development Development goals MDGs SDGs (Inclusion, Sustainability, Transformation)
Nature of development International Development (global South) Global Development (universal)
Technology Infrastructure Partial (individually-connected ICTs; global North dominant presence) Ubiquitous (cloud-based “digital nervous system” of converged ICTs; global South dominant presence)
Key technologies PC, internet, mobile phone Smartphone, broadband, sensor, 3D printer
Focus Conspicuous artefacts, devices Data, information (artefacts become unobtrusive, tacit in life)
Data Text-dominant Audio-visual-dominant
Development Application Development role Tool for development Platform and medium for development
Development models “Development 1.0”: digitising and improving existing development processes

 

“Development 2.0”: redesigning development processes and systems (users as digital producers, the power of the crowd, digital participation, network structures, data-intensive development, and open development)
“Intensive development” and discrete digital economy “Extensive development” and pervasive digital economy
Innovation model “ICT4D 1.0”: inclusive pro-poor (laboratory), semi-closed, linear “ICT4D 2.0”: inclusive para-poor/per-poor (participative, grassroots), semi-open, agile & iterative
Development Systems Development geography Places and nodes Spaces, hybrid places, relations, and flows (breakdown of time/space barriers)
Development structures Linearity: hierarchies and chains Complexity: multi-scalar, interconnected (but still hierarchical) networks and ecosystems
Networks: local, national; simple and loose-connected; physical Networks: transnational, global; complex and inter-connected; physical and virtual
Generic impacts: stability, development Generic impacts: volatility, ripple of shocks, uncertainty, precariousness, potential regression
Development processes Human (decisions & actions) Smart (algorithmic decision-making; automated action)
Development logics Closed-dominant Form (models/structures) and practices (processes) change but still closed-dominant
Development Agency Capabilities Digital immigrant Digital native
Technology usage Partial, intermittent Digital immersion
From physical collective to individual use (introspection) From individual to virtual collective use (performance)
Development Impacts Economic development Enhanced capitalism Frictionless capitalism
Political development Accelerated liberalism Accelerated pluralism
Impacts worldview Positive Positive and negative
Development Policy Policy structures Feudal: partly-mainstreamed (cells within sectoral silos) Federal: fully-mainstreamed (foundation to all sectoral policy/strategy) & sidestreamed (cross-cutting coherence)
Development issues Inclusion: digital divide (absolute exclusion) Inclusion: network position (relative exclusion and adverse inclusion)
Sustainability: of ICT4D projects Sustainability: of development; resilience
Transformation: only digitisation and improvement as potential impacts Transformation: redesign and transformation as potential impacts
Value chain focus Readiness to Uptake as constraints to positive impacts Impact: positive and negative
Development Informatics Research Research issues Incremental impacts: digitisation and improvement of traditional development Disruptive impacts: redesign and transformation, including digital economy and digital politics
Readiness and adoption Political economy and digital harm
Technology and context Agency, institutions, and structural relations
Conceptual models Traditional disciplinary conceptions Network models, complex adaptive systems
Digital divide models Political economy models
Technology acceptance model Institutional logics

そして個人的な気づきの点を以下、いくつか書いてみます。

途上国でのICT普及は先進国のICT企業を太らせるためのものなのか?

上記の表のDevelopment Applicationの中のDevelopment Roleを見ると、これまでのICT4D時代には「Tool for Development」となっていますが、それがDigital Development時代には「Platform and Medium for Development」となっています。このPlatformという点について、先日、ICT4Dに絡むコンサルタントの方と話していた時、以下のような話がでました。

途上国でICTが普及しても、その利活用のプラットフォームを押さえているのは先進国(特にアメリカ)の企業。Google, Facebook, Twitter, Amazon, etc.。途上国においても誰もが簡単にICTサービスを活用して便利になるのは確かだけれども、それで特をしているのは先進国企業であり、その規模に比べて途上国側のメリットは(勿論、あるけど)非常に限定的なのでは?そして、IoT、AI、ビッグデータ等の新たなテクノロジーによって、より一層その傾向(つまり、プラットフォームを制する者しか得しない)が強まるのではないか?

最近、IoTはこれでもかという位、ほぼ毎週日経新聞に記事が出ています。有名なのは建機のコマツがセンサー付き建機を販売し、部品交換などの時期を把握して適切なメンテナンスサービスを提供するビジネスをやっています(KOMTRAX)。別の例では、製造業では途上国の生産工場をIoT技術でリモート監視・コントロールすることで世界中の工場を効率よく運営することが可能になり、人件費削減にも繋がるといったことを日本や欧米企業がやっています。このようなIoT技術でのリモート監視・コントロールは、製造業だけでなくあらゆる分野(運輸交通、電力、水道などの公共インフラ分野など)でも導入されていくでしょう。そうなると、途上国でも機材のメンテや公共インフラの運用がより適切に実施出来るというメリットがある一方で、その国における技術者のレベルアップや技術の底上げが出来にくくなるというデメリットも生じるのではないかと思います。

世銀のWDR2016に述べられているように、ICT技術は既存の能力を増幅させる効果がある。だけども、それは、そもそもの既存の能力が高い国に低い国がいとも簡単に負けてしまうという構図。これまでは通信環境がイマイチ故に、現地の技術者育成が必要だったのに、通信環境やテクノロジーが発展すればするほど、現地の技術レベルが関係なくなり、途上国は先進国企業が提供する便利なサービスを購入するユーザという位置に固定されてしまうのではないか?

FocusがDeviceからData, Informationへ!とも言い切れない?

上記の表のTechnologyの中のFocusを見ると、これまでのICT4D時代には「Device」となっていますが、それがDigital Development時代には「Data, Information」となっています。この点は確かにそのとおりと納得感もあるものの、一方で、広い意味でのDeviceとしては、ウェアラブルデバイスやドローン、ロボットなんかもあり、必ずしも「Data, Information」のみにフォーカスが移っているとも言い切れないと感じます。

先日、このブログでも紹介したJICAがやっている「オープンイノベーションと開発」という研究成果をまとめた報告書ドラフトを読んだところ、会津先生の書かれた章に「シリコンバレーでは、「ソフトやネットにはもう飽きた・つまんない」、「リアルが面白い」とよく言われる」という一文がある。要するに、ネットやソフトのビジネスで成功した起業家達が、次はモノ作りに走っているそうだである(この報告書の会津先生の章はとても面白いのは別の投稿で改めて扱いたいと思います)。Fablabや3Dプリンタの普及ということを考えると、Digital Development時代に必ずしもDeviceが軽視されているわけではないだろう(むしろフォーカスされていると感じる)。

Research Issueの変化

上記の表のDevelopment Informatics Researchの中のResearch Issuesを見ると、これまでのICT4D時代には「Readiness and Adoption」や「Technology and Context」となっていますが、それがDigital Development時代には「Political economy and digital harm」や「Agency, institutions, and structural relations」となっています。

この点は非常に納得&重要な課題になると思います。これまでは、ICTを途上国開発プロジェクトで使うために、「ユーザのスキルは十分か?インフラは整っているか?とか、政治的、文化的にICTを活用することがちゃんと受け入れられ普及するか?」をプロジェクトが実施される個々の国や地域のコンテクストに合わせて考慮するというのがICT4Dの大きな課題の1つでした。それが、これからは、もう一つ上段に構えて政治経済とか法規制とか、そっちの観点でも考えないとならないという変化。

例えば、これまた最近流行のFinTech分野のサービスが途上国にも波及していく場合、途上国側の法規制はどうなるのか?また、最近自分やガーナに住みつつも、Amazon.ukで買い物したりしています。思いのほか早く品物がちゃんと届きます!ふと、Amazon.ukとかってガーナ政府に税金払っているのかな?と思ったりします(←このあたり詳しい方、教えてもらえるととてもありがたいですっ!)。途上国でも通信環境や決済手段が発展すればするほど、ネットで外国から商品を買う人って増えると思うけど、そうなったときに途上国側では、どう税金をとることが出来るのだろう。

という単純な疑問とともに、IoT技術によって色々なデータ(例えば上記のような公共インフラ運用に係るデータなど)が他国に送られる場合に、政府はザルで良いのか?とか、情報セキュリティとか、色々な点で途上国側も先進国側もこれら整備しないとならない法規制があると思われる。

結局上から目線のTechnology-drivenなのか?

このオリジナルのHeeks教授のブログポストにサセックス大学IDSの先生がコメントをしている。「そもそもICT4Dって言葉は、好きじゃないんだよね。だって、なんだか上から目線でTop-downじゃん。ICT with Development とかby Developmentみたないほうが自分は好き。そういう意味では、Digital Developmentって言葉は悪くないね。」的なコメントである。

「用語はなんでもイイっしょ」というのが個人的な意見だが、このコメントをきっかけにちょっと考えてみた。ICT4DからDigital Developmentという流れがそもそもTop-downなんだろうと感じる。良く言われることだが、ラジオやテレビが出現したときには、そのテクノロジーを途上国開発に活用することが期待され、これで途上国開発のスピードが促進される!と誰もが思ったはず。そして、パソコンとインターネットが普及したときも同様。モバイルもブロードバンドも同様。そして今はIoT、AI、ビッグデータ、3Dプリンタ、etc.。結局、新しいテクノロジーが出現したら、それをどう途上国開発に活用しようか?という点は普遍的である。その意味で、新しいテクノロジーが開発される先進国側からの目線になるのは仕方ないのだろう。

ただ、振り返ってみると、途上国開発におけるラジオやテレビの利活用はもう100%有効に出来ているのか?ICT4D時代の課題(端的に言えば、どうすれはICT4Dプロジェクトを100発100中で成功させられるのか?)は解決出来ているのか?という問いがある。間違いなくこの問いの回答は「いいえ、まだです・・・」となるのだが、次々と出現する新しいテクノロジーの波は無視出来ず、また、新しいモノのほうが注目が集まる(=お金も集まる)ということで、どんどん途上国開発に活用すべきテクノロジーも最新化されていくわけです。この構図は、Technology-drivenということで、「課題・問題があってそれを解決するためにテクノロジーを利用する」ではなく、「テクノロジーを使いたいから課題・問題を発見する」というものではないか。

最後に

以上のように色々と考えてみました。新しいテクノロジーの波は無視出来ず、それを途上国開発にどう活用するか?は自分が最近常に関心をもっているテーマですが、Technology-drivenにならないように気をつけなくては、という自戒にもなりました。迫り来るテクノロジーの波に対して、単なる消費者とならず、自国の発展にどうテクノロジーを取り込んで活用していくのか?途上国側に課せられた課題は結構ヘビーですね。関係ないけど、一昨日まで居たシエラレオネの写真を載っけます(折角撮ったので)。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

シエラレオネの町中には携帯電話会社の看板ばかり