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どうする、e-waste(電子電気廃棄物)?

Brazil and infoDev join forces to tackle e-waste” というタイトルでinfoDevのWebサイトに、世界で5番目に巨大な電子電気・IT市場であるブラジルにおいて、infoDevとブラジル科学技術省とが協力して、電子電気廃棄物(e-waste)処理に関する戦略・政策策定のベストプラクティスを作っていく試みについての記載があった。

以前、知人が日本で不用になったPCを途上国へ送るというプランをIT会社内で立ち上げようとしたら、会社側から「環境への絵影響を考えると日本で不用となるPC(=昔のPC)を途上国へ送るのは、辞めたほうが良い」と言われたという話をふと思い出した。e-wasteの問題は、途上国でICT機材を利用しようとした場合、必ず考慮しなければならない重要ポイントの1つだろう。

一方、日本政府のICT分野での途上国支援を見てみると、「地デジ化支援」というのが結構実施されている。NHKや民放のテレビ局などから、JICA専門家として途上国に派遣されている「地デジ化支援」専門家がいる。世界における地デジ方式にはヨーロッパ方式、アメリカ方式、日本方式などがあり、日本政府としては勿論、日本式を世界のデファクトスタンダードにすべく、アフリカや中南米などに対する導入支援をしている。この7月にボリビアが日本方式を採用したことで、世界10カ国で日本方式が採用されていることになる。

地デジ化は、ITproの記事「地デジはなぜ批判されないのか」にあるように、大量のアナログ用TVが廃棄物(まさにe-waste)として発生させることになる。TV普及率が日本ほど高くないとは言え、途上国でも地デジ化にともなうe-wasteの問題は同様に起こる(起きている)だろう。infoDevとブラジルの記事を見て、日本方式の地デジ化専門家とセットで、e-waste対処専門家も派遣するような試みが必要になっていると感じた。また、先進国では、エコなPCや家電がどんどん主流になる一方で、買換えによるe-wasteが多くなる。途上国でも今後同様の事象がおきると思うと、「e-wasteの有効活用」にビジネスチャンスが潜んでいるようにも感じる。

ICT産業振興のために何が必要か?

ICT4Dに関するWorldbankのブログに、興味深いトピックがあった。「The Global Opportunity in IT-Based Services」という本をInfoDevとworldbankがリリースしたという内容。この本では、国の経済発展のためにICT産業を振興させるにはどうしたら良いかということがテーマになっている。具体的には、途上国におけるICT産業振興の重要な条件を、いくつかの指標としてまとめることで、先進国からのIT企業を誘致したり、IT企業のデータセンターやコールセンターを自国に設立するために、途上国政府が、何をしなくてはいけないのかがわかるようになっている。

まず最初に、ICT産業を振興させるメリットが簡単に説明されていた。

  1. ICT産業は女性に高収入の職を提供する
  2. 新しい産業ということで、既存のしがらみが少ないICT業界では、規制緩和や改革を実施し易く、それが他産業界にも好影響を波及させる
  3. 貧しいという国のイメージを改善、払拭することが出来る

ICT4Dの話になると、「医療や水の方がICTより重要なのに何故ICTに投資する必要があるのか?」という疑問が良くあるが、教育にICTを利用するとか、電子政府などに比べると、「ICT産業そのものの発展」については、上記のようにクリアなメリットがある。特に、3の点が個人的にはとても納得できた。というのも、「インド人=ITに強い」というイメージはまさにインドがICT産業振興により生み出したインドに対するポジティブなイメージだと実感出来るから。以前、同じシェアハウスでインド人と英国人と一つ屋根の下に暮らしていたが、英国人はPCの調子が悪くなるとすぐインド人に質問していた。そのインド人曰く、「俺はハードウェアのエンジニアじゃないんだけど、あの英国人のおっさん、何かにつけて俺を頼りにしてきてまいるぜ・・・」的なことをよくぼやいていた。この、インド人は頭が良くてITに強いというイメージは、本当に凄い浸透していると思うし、そのイメージが、まちがいなく、他の産業(工業や貿易など)のインド人ビジネスマンにとってもポジティブに働いているはずだろう。イメージ、馬鹿に出来ないなぁ。
ちなみに、上記3点以外にも、ICT産業に従事する高収入層が増えると、それに付随して他の業界(飲食、服飾、建設など)でも仕事が増えるという効果も。インドやフィリピンではICT産業のワーカーは収入が他産業に比べて1.5~2倍であり、ICT産業で一人分の職が発生すると、他産業で2~3人分の職も発生するとか。

そして次に、インドが成功したようにICT産業が牽引する開発を実施するためにはどういうことが重要なのかが説明されており、主に次の3点があげられている。

  1. ITスキルを持った人材(質&量の確保)
  2. コスト面の強み(人件費の安さ、免税など政府の便宜など)
  3. インフラ(安定した電力供給、複数の国際電話回線、その他暮らしの面のでのインフラも含む)

この条件を見ていくと、3のインフラには、様々なものが含まれている。電力や通信網、国際便のアクセスやビジネスや不動産に関する法律の整備(著作権なども)の仕事に関係するものから、医療面、安全面、衛生面といった生活に関連することも。これらの条件を読んでいると、そもそもこういうインフラが整っていないのが途上国であり、それを開発したいからICT産業復興による経済発展を狙っているんだろうと、「ニワトリが先か、卵が先か?」的な思いが頭をよぎる。おとしどころとしては、インドやフィリピンなどが実践してきたようにそこだけはインフラが整っているITパークみたいな施設を設けることで、先進国のIT企業を誘致するというプランか。

この本によれば、世界規模でのICT産業は5000億USDの市場であると見込まれている。そして今のところ、その約7割は手付かずの状態。この有望な市場にどこまで途上国が入り込めるのか?第二、第三のインドのような国が出てくることを期待したい。

学校へのICT投資は無駄?

“Most investment in technology in schools is wasted.”(学校へのICT投資のほとんどは無駄?)という題名で、InfoDevがディスカッションを行う。4月21日に行われるこのディスカッションは、Webでも見られるとのこと。インドを含む南アジアの学校におけるICT投資の効果について、プライスウォーターハウスクーパーズ・インディアがレポートをまとめた。このレポートもディスカッションのときに紹介されるそうだ。

主な議題は次の通り。

  • 南アジアの教育システムは大規模なICT利用に向いているのか?
  • もし、そうだとしたら、ICT利用を成功に導く為の組織面・資金面での前提条件は?
  • 教育システム、教育現場、その監理においてどんな変化が必要か?
  • どのように成功を評価するのか?
  • 今後の参考となるグッドプラクティスは?

ディスカッションの最初と最後に観客が「学校へのICT投資のほとんどは無駄?」に対してYes、Noを投票する仕組み。どんなディスカッションになるのだろうか?面白いかも。
しかしながら、この手のディスカッションは、結局お決まりの結論になるのではないかという予感も。つまり、「ICT導入そのものが問題解決でない!それをどう使うか、ITリテラシー、教師のスキル・モチベーション向上、インフラ環境、政府の教育ポリシー、といった諸々の諸事情を考慮して、ホリスティック(総合的・全体的)な対策を取ることで、ICTは教育の質・量の向上に大幅に貢献する」みたいな結論。2~3年前から、ICT for Education関連のジャーナル記事や国際機関のレポートを見ているが、正直、上記のような結論から進歩があまりない気がする。実際、自分も2年前に修士論文で同じようなことを書いたけど、それから自分のなかでICT4Eについてのアイデアに進歩もないわけで・・・。今回のディスカッションでは、新たしい意見が出てくるだろうか。

GISを利用したMDGモニタリング

InfoDevがGISを利用した新しいプロジェクトを開始するらしい。infoDev launches new project on Spatial Data Infrastructure for Monitoring the MDGsというタイトルで記事が掲載されていました。

GISをMDGs(Millennium Development Goals)達成やモニタリングに活用していくプロジェクト。主に、以下3つの事業が実施予定となっている。

  1. 好事例(ブラジルと韓国)の分析
  2. ヨルダンとウガンダでのGISを活用したプロジェクトの実施(1の分析からのグッドプラクティスの実践を試みる)
  3. プロジェクトを通じての教訓を、今後に使える資料としてまとめる

GISを利用したICT4Dプロジェクトというと、タンザニアやエチオピアでJICAがスクールマッピングというのをやっている。地域の学校の地理情報や生徒数などの必要な情報をGISに取り込んで、次に新しい教室を建てるとしたら、どの学校にするのが効果的か?や新しい学校を建てるならどの地域がベストか?などをGISを使って検討出来るようにしている。限られた予算を効果的に使うためには、GISのようなツールが役立つ。

また、水のプロジェクトでも、既存井戸の位置、水脈、人口分布などの情報をGISで一元管理して、新しい井戸を掘るならどこが良いかを検討するスキルを水資源局職員に技術移転するような試みもあった。

今回のInfoDevのプロジェクトについては、あまり詳しい情報がないけれど、モニタリングにGISを利用する点が、面白いと思う。実際に、ヨルダンやウガンダでどんなプロジェクトを実施するのか興味が沸く。

一方、このプロジェクトの出資元が韓国政府である点にも目がいった。Korean Trust Fundがこのプロジェクトに資金を提供している。Korean Trust FundはICT4Dプロジェクトを支援するためのFundであることから、韓国がこの分野への進出に力を入れてきているのだと感じる。エチオピアに居たときには、「日本から来た」というと、「テクノロジー、SONY、ジャパン!」と良く言われたけれど、もしや最近のエチオピア人は「テクノロジー、サムソン、コーリア!」っていうのかなぁ。。。

Nokia、フィンランド、infoDevのパートナーシップ

 久しぶりの投稿のTomonariです。引越しやら仕事が変わるやらで、ドタバタしてました。。。
 InfoDevのWebサイトに、ノキアとフィンランド政府と共に、11,900,000ユーロ(約14.5億円)のプログラムが開始されるという記事がありました。この3者のパートナーシップは、携帯電話を途上国(アフリカ、アジア、欧州・中央アジアの3地域)の開発に活用していくということをテーマにして発足。主な計画は以下の通り。

  • 3地域に携帯電話アプリケーション開発の研究所を設立し、各研究所で10個のアプリを開発する
  • 3地域に、携帯電話、起業、各種産業の情報交換の場としてのソーシャル・ネットワークを構築する
  • モザンビーク、タンザニア、ベトナム、カンボジア等の国々で、農業とICT分野における小規模ビジネスの育成促進、技術的支援を行う
  • ベトナム、カンボジアにおける女性企業家の市場競争力の強化を支援する
  • 欧州・中央アジアにおいて、国境を跨いだインフラ整備や民官連携を促進させる
  • 第四回InfoDevグローバルフォーラム(2011年)の開催
  • 農業や村落開発におけるICT活用のための資料やツールを作成する

 盛り沢山な内容ですね。携帯電話と途上国開発を見事にビジネスとしているノキア。そして、それをサポートするフィンランド政府。以前、このブログでも紹介した、中国の通信業者ZTEと資源外交でアフリカに進出する中国政府をふと思い出しました。途上国開発、BOP、民官連携ってのは、切っても切れない関係になって来た感がありますが、特にICT4D分野では顕著な傾向になってますね。

Information and Communication for Development Report (IC4D 2009)

最近、改めてInfoDevのWebサイトを見ている。2年前、マンチェスター大学でICT4Dを専攻していた当時、プレゼンやエッセイといった課題に取り組むときには、まずInfoDevのWebサイトをチェックして関連する記事やレポートに目を通していた。そんなこともあり、大学院卒業後は、なんとなく掲載されている記事を知っていたこともあり、あまり見るとことがなかった。

で、最近改めて見てみると新しい記事ばかりで面白い。
そんな中で、Information and Communication for Development Report (IC4D 2009)というレポートが紹介されていた。2009年7月作成のレポートなので全然タイムリーじゃないのですが。。。
このレポートのサマリーで、高速インターネット普及率が10%向上すると、経済成長率が1.3%向上するということが書かれていた(中身を読んでないので、どういう数字なのかの詳細はわからないが、とりあえずそういうことらしい)。そのほかのハイライトとしては、以下の点が挙げられていた。

  • インターネット普及(低所得層への普及)のために、政府は民間と協力するべきである
  • 情報社会は特に若者に仕事の機会を与える
  • 電子政府は効率、透明性、信頼性の点で(電子政府じゃない政府よりも)優れている

全てが「その通り」と思える一方で、「ほんとに?」というちょっと穿った見方も出来そう。特に、電子政府については色々と問題がありそうな・・・。
と、興味をそそられたので、頑張って少しづつ読んでみようかと思います。

ITビジネスインキュベーションin ガーナ


InfoDev
のWebサイトをなにげなく見ていたら、YouTubeへのリンクで「Business Incuvation in Africa: Busy Internet Ghana」(上記映像)というのを見た。

ガーナでビジネスオフィスのレンタルサービスを提供している会社の話だ。
PC、インターネット、プリントアウトといった機材・場所&サービスを提供する貸しオフィス業に加えて、ビジネスコンサル的なサービスも提供しているBusy Internetという会社。ガーナで起業しようと思っても、パソコンやプリンタといった機材は一般人には高価であるし、常時接続のネット環境を確保するのも、停電が頻発する途上国では容易ではない。でも、初期投資が比較的少なくて済むといわれるITビジネスにおいても、上記の設備や環境は欠かせない。そこに、Busy Internetのサービスに対するニーズがある。Busy Internetは、必要なオフィス環境(←PC等の機材やジェネレーター設備付きの24時間ネット接続環境が整った貸しオフィス。通常オフィスをレンタルする場合は大家との年間契約が要求されるが、Busy Internetの場合は月単位の契約といった利便性もある。)を提供することで、ガーナのビジネス発展に貢献している。

そして、使用料でBusy Internet自体も儲かるという仕組み。やはり儲かるのは田舎のテレセンターではなく、都会のビジネスセンターってことなんだろう。上記映像で、Busy Internetの創設者が、「援助には頼りたくない。次年度も確保出来るかわからない不安定な資金を当てに出来ない。市場に通用するサービスを提供する方が持続性を確保出来る。」ということを話している点に共感できる。また、Busy Internetが提供しているのは、場所・機材・環境といった起業やビジネスに必要最低限の環境のみで、成功するかどうかは頑張った者次第といった姿勢にも共感出来た。やりすぎでなく(手厚く援助するのではなく)、シンプルなBusy Internetの取り組みがなんだか新鮮に感じた。