OLPCは名前を変えないと

1月 23, 2012

このブログでもときどき取り上げているOLPC(One Laptop Per Child)。“100ドルPC”プロジェクトとして知っている方も多いかと思いますが、最新モデルはLaptop PCじゃなくて、タブレットになりました。ラスベガスで開催された「2012 Internationl CES」でというイベントで発表されたこのモデル、なかなかカッコイイなぁ。ウルグアイとニカラグアのOLPCプロジェクトからすでに7万5千台を受注済みとのことです。

ICTWorksブログにこの最新のOLPCについての記事“Is the OLPC XO-3.0 the Right Education Tablet for Schools in Africa?”がありました。
「途上国支援に関わる人達がラスベガスの「2012 Internationl CES」にどんだけ来るのだろうか?」という皮肉や、「アフリカでの携帯電話通信網の広がりを考慮すれば、3G対応していれば家でも使えてもっと良かったなぁ」という意見が述べられていて面白い。また、その記事の最後に、アフリカでのOLPC成功のための5つの提案があった。

  1. 携帯電話キャリアと連携すべし:Safaricomが35万台のスマートフォンを6ヶ月で販売したように、3G対応にして携帯電話キャリアと組めば、OLPC普及ももっと促進出来るだろう。
  2. 現地NGOや政府と連携してコンテンツ開発・配信に注力すべし:対応コンテンツを充実させるために地元NGOや途上国政府(教育省など)と協力してソフトウェア技術者のコンテンツ開発能力を強化すれば、ニーズにあったコンテンツが豊富になる。
  3. 小さく初めて大きく育てるべし:アマゾンのKindleがそうであったように、小さく実験的に初めて見て、ニーズがあることが分かってから本格的に。
  4. OPLCという名前を変えるべし:←これは説明不要でしょう。もうPCじゃないからね。
  5. ソーシャル・ビジネスに変えるべし:ハードウェアビジネスとしてチャリティーでやっていくのは困難。

いずれもなるほど感のある提案である。特に自分が賛同出来る点は、1番目と2番目の点。タブレットになったということは、文書を作成したりという入力機能よりも、閲覧機能重視の使い方に向かっていると思う。そして、タブレットは結局閲覧するための端末の位置づけなので、その裏にあるコンテンツがより重要性を増す。iPadの裏にAppStore、Androidの裏にAndroid Market、Kindleの裏にAmazon.comがあるように、OLPCの裏にも豊富なコンテンツを簡単に提供する仕組みが必要である。

インドの35ドルタブレットとか、最近生産が開始された25ドルPCとか、途上国向けの格安ハードがどんどん出現してきましたが、OLPCがそいうった他のハードと差別化出来て成功するかは、その裏にある仕組みが構築出来るかにかかっているのかもしれない。それとも、ハードやOSの壁を超える“途上国向け教育クラウトド”的なプラットフォームが出現するのが先でしょうか。と、こんなことを考えていたら自分もタブレットが欲しくなってきた。iPadかAndroid端末かどちらにしようか・・・。スティーブ・ジョブズを失ってもAppStoreは今後も期待出来るのか、それとも、途上国市場も視野に入れて活動しているGoogleのAndroid Marketが今後の勝ち馬か?悩ましいなぁ。

(参考:過去のOLPC関連投稿)
One Laptop Per Child
OLPCは失敗例の見本なのか
エチオピアのOLPC調査結果
エチオピアのOLPC


IT×途上国の講演会を終えて

1月 19, 2012

こちらで以前投稿した「IT×途上国、フィジープロジェクト紹介」の講演会が本日ありました。

なんとか無事に終了し、プレゼンの最後にこのブログの紹介もしたので、何人か講演会参加者が訪問してくれるでしょうか。
ITと途上国支援ということで、マニアックな方しか来ないのかと思い込んでましたが、ツールとしてのITという理解は私の思った以上に浸透していて、IT技術者でない方などにも幅広く来ていただけたようです。

来ていただいた方、お寒い中ありがとうございました。
私の話はさておき、フィジーのプロジェクト紹介など、楽しめましたでしょうか。
今回の講演で、JICAの活動やプロジェクトについて、少しでも理解を深めていただけたらうれしいです。

さて、 終了後に個別で質問等をいただいた中で多かったのは、「今あるITの技術を途上国支援に生かすにはどうしたらいいか」「ITと途上国のテーマで研究をしている」などでした。

私の知ってるところ、思ったところを共有したいと思います。

①ITと途上国支援の情報がある所
開発機関の中でも、世界銀行、UNDP(国連開発計画)は比較的IT活用に力を入れている印象です。ご興味ある方は↓のHPなど覗いてみてください。(ブログで取り上げるネタなどは、これらのHPから取ってくることも多いです。)
世界銀行(World Bank)のIT分野情報のHP
InfoDev (こちらも世界銀行関連)
ICT Works

②ITと途上国支援での仕事
日本国内というと、JICA関係(コンサルタント含む)の仕事があることはありますが、枠はあまり大きくないのが現状です。
一方、講演後に一緒に飲んでいた国際機関の方曰く、「世界銀行など国際機関も各地にIT関連の人材募集があったりするが、IT経験と途上国経験のある人はあまり多くないようで、応募者はさほど多くないようだ。」 とのことで、意外と需要はありそうです。
あとは、Twitterで@ictdevや@ICT_Worksなどをフォローすると、よく(海外の)求人情報が出ていたりします。

また今年も色々と情報提供していけたらと思っておりますので、よろしくお願いいたします。


途上国オフショア拠点の位置づけが変わっていく可能性

1月 15, 2012

先月の日経コンピュータにちょっと気になる記事があった。「IBMがオフショア拠点でコンサル開始 新興国市場への参加を一元的に支援」というもの。

これまでオフショア拠点といえば、安価な人件費を背景に比較的単純な作業のアウトソース先としての位置づけだったと思う。例えば、インドのシステム開発会社に単純なプログラミングや単純な運用作業をアウトソースするなど。しかし、IBMはインドや中国などの新興国においては、現地拠点でシステム開発に取り掛かる前のコンサルティングサービス(市場分析や戦略策定など)から提供していくという。これにより、システム開発の上流から下流までのサービスをオフショア拠点でワンストップで提供出来る体制となる。

BOPビジネスなどを含めて企業の途上国進出が進むと、このようにIT産業分野もそれに付随して現地での体制やサービスを拡充していくことになる。これまでの単純作業のアウトソース先としての途上国IT産業から、その位置づけが変わっていく可能性を感じた。途上国のIT産業振興を考えたときに、ITだけでなくその他の産業における先進国からの企業進出や企業誘致がIT産業を刺激するという視点も大切。前回のKanotの投稿「バングラデシュのIT産業の可能性」との関連でいけば、ユニクロやワタミといったIT企業意外の日系企業がバングラに進出することで、日系IT企業にとってのバングラ市場の見方が変わってくるのだろう。途上国のIT産業振興を考えるうえでは広い視野が必要だと改めて感じた。(とはいえ、BOPやCSRより、むしろこっちの視点のほうが、IT企業の途上国進出の一般的な理由だろうなぁ)

話は変わりますが、このICT4Dブログもこの1月で開始してから丸3年となりました。軽い気持ちで始めたものの、3年間も続けてこれたのはコメントを寄せてくれる皆様のおかげだと感謝しています。どうも有難う御座います。更新頻度は相変わらず不定期ですが、これからも宜しくお願いします!


バングラデシュのIT産業の可能性

12月 23, 2011
先日バングラに出張し、IT産業関連の出張をしてきましたので、問題ない範囲で共有したいと思います。

皆さんバングラとITってイメージありますでしょうか?
中国、インド、ベトナムと来てその次のオフショア先を探している皆さん、ダークホースかもしれませんよ。

まず、非常に親日。大学生にとった好きな国アンケートでは、日本が過半数を取りダントツ1位だったそうです(意外ですよね)。そして人口は1億5千万人と世界第7位。ソフトウェアの企業団体の登録社数だけで500社。毎年5千人以上がIT系の学校を卒業するそうで、急拡大しています。もちろん大国インドにはまだまだ及びませんが、民間企業もいくつか見せていただいたところ、とても可能性を感じさせるものでした(そういう所を見た、という言い方もできるかもしれませんが)。

参考までにそのうち2社だけ紹介します。

1. BJIT (Bangladesh Japan Information Technology)
 http://www.bjitgroup.com/jp/index.html
 バングラのIT企業で数少ない日本にも拠点を構えている会社です(ということで、日本語でオフショア出せます)。創業者のアクバル社長(http://www.sailing-master.com/?p=470)は日本での駐在経験が長く、日本語堪能。バングラ人だけでインドのInfosysのような企業を作るのが夢だ、と語っており、例え多少遠回りとなろうとも、現地で採用したバングラ人を日本市場で活躍できるレベルまで育成しようとしていると語るその目は非常にキラキラしていました。日本にもよくいらしてるようですので、ご興味あればご紹介します。

2. Graphic People / Software People
 http://www.graphicpeoplestudio.com/
 ソフトウェア企業というよりは、Webデザインなどを中心に業務を行う会社ですが、驚いたのはオフィス環境。「Googleか?ここは?」と見間違うような先進的なレイアウト・内装(ちなみにビルの外見は普通のバングラのビル)、とてもバングラにいるとは思えない空間を作っていました。社長は留学経験がない中このような先進性をどう身につけたのか、興味は深まるばかりでした。日本語ができないのが残念ですが、ご興味あれば紹介することは可能です。

いい企業もある、規模もある、じゃあ一気に日本のオフショアが伸びるか?というと、そう簡単には見通せない状況です。ネックはずばり、日本語とインフラ、でしょう。

まず、日本語については、これができないとオフショア先の検討はできない、と考える日本の企業は多いでしょう。ベトナムがフィリピンに比べ伸びているのはこの日本語への親和性があるものと思います。逆に英語だけでいいのであれば、現在のバングラのIT取引の過半数はアメリカですし、すぐにも投資は可能と思います。
次に、インフラについては、遠い日本と仕事をするのであれば、ブロードバンドは必須ですが、まだまだですし、停電も頻発しているようで、IT企業のスタッフの机にはほとんどUPSが設置されていました。

バングラへの日本企業の進出としては、IT企業以外ですがUNIQLOが進出し、先日は和民も出店を発表しました。
勢いがあるのは間違いなく、今後の発展が楽しみな国です。

<おまけ1>
バングラに赴任している青年海外協力隊のコンピュータ技術隊員が、日本のIT資格制度である「基本情報処理技術者試験」のコンテストをバングラで実施しました。
先方政府の大臣、日本大使館からは大使も駆けつけ、非常に盛り上がったようです。
この資格制度を本格的に取り入れたら、日本企業が進出する一つのきっかけになるでしょうか??
ITEEコンテストに関するコンピュータ隊員のブログです。
http://worldreporter.jica.go.jp/j21-3ohara/cat1/000310.php

<おまけ2>
SOFT EXPOという大きなイベントをやるので、日本からの投資を考えている会社があったらぜひ来てほしい!と業界団体(BASIS)の代表が言っていましたので、宣伝しておきます。来年の2月だそうです。場所はダッカです。
http://www.softexpo.com.bd/

IT×途上国支援をテーマに講演をします

12月 15, 2011

宣伝ですみません。
1月18日にJICA地球ひろばにてICT4D関連の講演を、フィジーに派遣中の専門家とともにすることになりました。

テーマは「ITを使って途上国支援!?―南太平洋の島々に広がる遠隔教育プロジェクト」です。

http://www.jica.go.jp/hiroba/event/201201.html#a01-118-01

この業界に興味を持っている若者・初心者向けにするつもりですので、IT×途上国支援に興味ありそうな人いたら情報共有いただけたらと思います。 

さて、何を話そうかな・・・(現在ノープラン)

私の話はともかく、もう一人の専門家が派遣中のフィジーの案件は、高等教育機関の持てない南太平洋の小国に対し、衛星を使って遠隔教育を実施しているというプロジェクトで、とても興味深いプロジェクトです。


ICT4Dでの支援情報システムの可能性

12月 3, 2011

先日、このブログに「日本のICT4D関係者に会いたいのですが・・・」というコメントを残してくれたミシガン大学助教授(Joyojeet氏)の方と会いしまいた。どんな方で何をしている方なのか、分からぬことが多く会って何を話すかちょっと不安だったのですが、会ってみたら色々と面白い話が出来ました。

「Text Speech Engine (PC上のテキストを読上げる機能)について、・・・」とJoyojeetさんが話出したときに、技術面のテーマが研究対象なのかな?とおもいきや、その応用についての話で面白かった。
テキスト読み上げツールを使った視覚障害者向けの支援や、読み書きが出来ない貧困層もテキスト読み上げツールを活用することで情報へアクセス可能となる可能性、さらに、より使いやすいPCがあれば障害者や非識字者も職を手に入れることが出来る可能性などを探るための研究・活動をしてるとのこと。シエラレオネ、リベリア、インド等多くの途上国での経験もあり、インドではバンガロールのマイクロソフトリサーチでKentaro Toyama氏と一緒に複数マウス(Multiple mice)の研究に取り組んでいた方でした(←偶然ですが、自分が大学院の研修旅行でバンガロールのマイクロソフトリサーチを訪れたときに、耳にしたプロジェクトでした)。

ICTを活用した障害者支援(支援情報システムというらしい)については、東京大学先端科学技術研究センターが研究しており、その関係者との会合で来日したとのとこ。テキスト読み上げツールの対応言語は限られているので、今後、色々なマイナー言語も含めてテキスト読み上げツール開発のニーズはありそうだし、さらに支援情報システムの進歩は、これまで職を手にすることが困難だった視覚障害者や非識字者への雇用機会増加にも繋がるという有望な分野であると聞いて、勉強になった。そういえば、エチオピアにいたときに、盲学校への支援としてテキスト読み上げツールとPC機材&点字印刷機材を供与する草の根プロジェクトがあった。このようなICT4D分野も興味深い。

また、ミシガン大学でもICT4D関連の勉強が出来るということなので、ICT4D分野の進学を考えている方は、ミシガン大学も要チェックかも。来年2月に再び来日予定とのことなので、そのときに、「支援情報システムの途上国での活用」といったテーマで話をお聞かせ願える場を設けてみようかと思います。


SamsungのソーラーパワーPC 使用レビュー報告

11月 20, 2011

先日tomonaritが取り上げていた「SamsongのソーラーパワーPC」だが、偶然知人がアフリカ出張にて購入した物を使わせてもらえる機会があったので、その感想を書いてみることとする。
「これ知ってますか?」と見せてもらったのだが、見た瞬間に思わず「あっ、これってあのソーラーのやつですよね!?」と興奮してしまった。

1.OS
BOP向けの格安PCということで、LinuxやAndroidかと思いきや、Windows7 starterというOSが入っていた。
ネットブック専用のOSのようであるので、このPCもノートPCというよりはネットブックの位置づけなのであろう。

2.ボディー
 いわゆるネットブックサイズであるが、1.3kgあり、これがまた体感的にやたらと重い。私の持っているLet’s noteが12.1インチ画面で1.2kgなので、それより重いことになる。
 おそらく太陽光パネルの重さというよりは、全体的に頑丈な印象を受けるので、そのせいではないかと思う。
例えば太陽光で充電するためには外に置く必要があり、スコールのような雨を防ぐ必要があり、そういった防水に重きを置いているからであろうか。

 

 3. その他スペック
・電池は9時間
・Norton体験版がプリインストール
・HDDは80GBと128GBが入っている。
・CPUはIntel Atom 1.66Ghz
・メモリは1GB

といったところであるが、実際に使ってみたところ、どうも全体的に遅い。

スペックが低いにも関わらずNortonが入っていることでいちいちアラートが出る。
これでは初めてPCを使う人が楽しむにはちと難しいと感じる。

そしてこの液晶背面のソーラーパネル、最大の弱点を発見。
パソコン使用中は液晶背面は地面を向いているため、ここに太陽光を当てることができない。
つまり、太陽光で充電しながら使用するということはできないということである。

ソーラーパネルといういいアイディアだけに、ここはやや残念。

とはいえ、日本のメーカーでは思いつかない発想でBOPに挑戦するSumsong、さすがです。
日本のメーカーも現地のニーズにあった商品を開発してもらいたいものである。


エチオピアの大学教育におけるITカリキュラム改定について

11月 3, 2011

よくこのブログの元ネタにしているHeeks教授のICT4Dブログに、途上国の大学におけるIT教育のカリキュラム改定に関する投稿「Evaluating Computer Science Curriculum Change in African Universities」があった。IEEEやACMが作成したIT教育のカリキュラムが途上国でも採用されつつある。確かにIEEEなどの国際的に認められている機関が作ったカリキュラムならお墨付きだし、途上国の大学がそれを採用するもの自然な流れだろう。しかしながら、いわゆる欧米(特にアメリカ)の大学教育を想定して作成されたカリキュラムを途上国で適用するには、それなりに障壁も。そんな訳で、欧米発のITカリキュラムを適用しているエチオピアの複数の大学を対象とした調査研究結果が紹介されていた。

調査はエチオピアの複数の大学を対象に、OPTIMISMというフレームワークに沿って、新カリキュラム導入に期待していた点と現実のギャップを明らかにするというもの。OPTIMISMは、以下の視点の頭文字をとったもの。

Bass and Heeks (2011)

調査結果としては、”Technology”と”Staffing and Skill”の2つの分野でもっとも大きな理想と現実のギャップがあることが報告されている。キーワードが抽象的で分かりにくいので、元の論文もちょっと見てみた。具体的には、コンピュータ室の設備や機材が足りていない点(Technology)、教える教員のスキル・経験不足(Staffing and Skill)という2点のことだった。

コンピュータサイエンス等を教えるための機材(ハード、ソフト)不足は、単純によくわかる。大学もお金がないから整備が困難。一方、教員のスキル・経験不足については、問題が根深い。そもそもエチオピア国内でInformation Technology専攻の修士コースがないなど、ICT分野の修士コースが限られている(アジスアベバ大学でも年20名)。このため、教員となれる人材リソースが少ない。この結果、教授レベルでもICT分野のPhDを持っていないという大学もあるという現状。

この調査研究では、OPTIMISMというフレームワークを、ITカリキュラム改定の課題を探るために利用することで、広い視点から今後改善(投資)が必要な分野を明らかに出来たという結論になっている。そして、コンピュータ室の機材不足や教員のスキル不足といった問題の解決を中心に、カリキュラム改定を浸透させるめの提案がなされてる。提案は技術に詳しい有識者グループを結成して教材レベルを上げるとか、ICT分野の修士コースを増やすとか、資金を投入するとか、政府がイニシアチブをって継続的にカリキュラム改定をフォローするとか、確かにその通りだけど、ちょっと物足りなさを感じた。

個人的には、ICT産業振興と絡めないと教員のスキル不足は解消しないと思う。卒業してもICT分野の仕事がないと、ICTを専攻する学生は増えず、学生ニーズがなければ大学もコースを設けず、それがICT人材不足に繋がり、結果的にICT産業も盛り上がらないという負のスパイラルがある。エチオピアでIT教師をしていたときに感じたことだ。ITの勉強をしても仕事がないのだ。ICT産業が限られた国で、経験豊富な教員を獲得するのは困難だろう。IT教育のカリキュラム改定・改善は、どうしてもICT産業振興とセットでないと威力を発揮しずらいと思う。この研究は、そもそも学術研究なので、改善提案よりもフレームワークを使った分析が目的なのだろうけど、このように提案部分についてはもっと広い視点からの提案があってもよかったかと、物足りなさも。でも、「先進国発のカリキュラムを使うのではなく、途上国用のカリキュラムを作成するのは、危険。ワールドスタンダードに満たない学位をとってもメリットがない」という指摘には同感。

Reference: Bass, J. and Heeks, R. (2011) “Changing Computing Curricula in African Universities: Evaluating Progress and Challenges via Design-Reality Gap Analysis”, The Electronic Journal on Information Systems in Developing Countries, 48, 5, pp.1-39


Did you know?

10月 29, 2011

先日、ある研修に参加したのですが、その研修の初っ端に魅せられた動画「Did you know?」が面白かったのでご紹介。既に知っている方もいるかと思いましたが、自分は知らなかったので、結構刺激的でした。そして、ICT4Dの分野がこれからより一層重要になってくる気がなんとなくしました。

まずは研修で魅せられた動画「Did you know? 3.0」。音楽の効果もあり見たときに結構グッときた。ちょっと大げさですが、なんともエキサイティングな時代に自分は生きているのだなぁ〜、と。

上記よりも新しいバージョン「Did you know? 4.0」もあったので、あわせてご紹介。

3.0では、情報の量がものすごいスピードで増加していることが強調されているのに対し、4.0はソーシャルメディアの利用方法にフォーカスされている点が印象的。

両方ともアメリカ中心で表現されている感があるけど、アフリカ目線とか途上国目線でこんな動画があったら面白そうだなぁ。

 


世界銀行が提供するマイクロファイナンスの遠隔研修

10月 23, 2011

もう結構前(2000年)に世界銀行のイニシアチブとして始まったグローバル・デベロップメント・ラーニング・ネットワーク(GDLN)というのがある。世界中(120以上の拠点)をテレビ会議でつなげて効果的な研修とか援助関係機関の情報交換などを実施ている。そのなかでアジア太平洋地域の中心拠点は日本にある(東京開発ラーニングセンター(TDLC))。

このGDLNを活用したマイクロファイナンスの研修コースがあるのでご紹介。TDLCの方に聞いた話では、途上国からの本研修の参加者は、このCertificateを武器に結構出世したりするケースもあるらしい。ICTを活用した遠隔教育・遠隔協力の好事例とも言えますね。日本でも受講出来るのでご興味ある方は申し込んでみてはいかがでしょうか。11月12日まで受付中とのこと。以下、TDLCのWebサイトのコピペです。

マイクロファイナンス・トレーナー・コース 8 (MFTOT 8) 受講登録受付開始

ビデオ会議、オンライン指導など組み合わせ学習

2011年12月 – 2012年4月

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アジア開発銀行研究所(ADBI)、東京開発ラーニングセンター(TDLC)、そして新しいパートナーの中国国家開発銀行(CDB)のコラボレーション・プログラム、第8回マイクロファイナンス・トレーナー・コースが平成23年12月~平成24年4月に開催されます。

2005年2月に始まったマイクロファイナンス・トレーナーズ・コース (MFTOT) は、マイクロファイナンスの実務家の研修を通じて、アジア大洋州地域のマイクロファイナンス機関の能力強化を目指すユニークなプログラムで, 過去7回で総計51カ国から694人のトレーナー資格認定者を生み出しました。 本コースでは国連資本開発基金(UNCDF)が開発した教材(CD-ROM、テキスト)を使用し、学習管理ソフトの Moodle上でトレーナーとして認定されたチューターによるオンライン指導と共に、国際的なマイクロファイナンスの専門家によるビデオ会議での講義を組み合わせたブレンデッド・ラーニング手法を取り入れた効果的な学習方法で、 UNCDFが開発した学習教材Microfinance Distance Learning (MFDL) Courseのトレーナーを育成します。

このコースは、学習管理ソフトの Moodleを活用し、以下の媒体を組み合わせて実施いたします。

MFDL テキスト、CD-ROMによる自習
UNCDFが開発した教材で、マイクロファイナンス事業の成長、低所得層に対する持続可能な融資の手法などについて解説しています。アジア、南米、アフリカで成功した事業者を例に、最適な運営方法についても学びます。

チュターによるオンライン指導とウェブを介したディスカッション
本コースでトレーナーとして認定されたチューターが、コースの期間中オンラインで個別指導にあたります。

国際的な講師陣のビデオ会議による講義
ビデオ会議による3時間の講義が計4回行われます。会場はコース参加各国のGDLN センターです。 講師は国際的なマイクロファイナンスの専門家で、最近の動向を交えた実務的な内容に焦点をあてます。また、当日の模様はウェブキャストでもご視聴いただけます。

コース終了時には、受講する目的や課題の成績に見合ったトレーナーの資格認定書、またはコース完了認定書が受講者に授与されます。

コース内容、参加対象者、参加費、スケジュール、登録方法などの詳細は、TDLCウェブサイト上にある MFTOT 8英文プログラムページおよび Moodleコースウェブページ(英文)をご覧ください。

11月12日までオンライン参加登録受付中です。


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