イノベーションはもはやmeaningless??

こんにちは、Kanotです。前回の投稿で「イノベーションてなに?日本語のイノベーションと英語のInnovationってホントに同じなの?」と書いたところ、色々な方がリアクションしてくれて非常に興味深かったので、1. 理論、2. 読者コメント、3. 米国の教授コメントとしてまとめてみました。

  1. イノベーション理論
    まず、アカデミックな世界での言葉の定義ですが、イノベーションという言葉は経済学者シュンペーターによって1911年に以下のように定義づけられたものが最初のようです。(Wikipediaより

    * 新しい財貨すなわち消費者の間でまだ知られていない財貨、あるいは新しい品質の財貨の生産
    * 新しい生産方法の導入
    * 新しい販路の開拓
    * 原料あるいは半製品の新しい供給源の獲得
    * 新しい組織の実現

    これだけ読むと、定義は非常に広く、新しい考え方を伴うものはなんでもイノベーションと呼べそうです。この後、クリステンセンによる「破壊的イノベーション」などの定義により、より斬新なものが現在のイノベーションのイメージに近づいてきている可能性もあります。

  2. 読者コメント

    T1氏:イノベーションのキモは「発想の転換」。イノベーションは破壊を伴うものであり、最適化であるKAIZENとは異なるもの。KAIZENは大企業に相性が良く、イノベーションは挑戦的な企業に向いている。

    O氏:イノベーションを軽く口にする人は特許や実用新案を期待してると思われる。また、出したその時に評価を得ているとは限らない。

    T2氏:イノベーションはKAIZENとは異なるすごいことという印象がある。欧米人でもイノベーションを凄いことと考えてる人たちはいるはず。

    T3氏:イノベーションとは、「革新的」より「非連続」、という印象。

    K氏:大洋州の孤島の村外れの共同トイレ(大きな穴)が、雨後は足下がぬかるんで危ないので、捕まって用を足せる杭を立てたら村人達に喜ばれたと聞いた。これがイノベーションの例と思う。

    皆さんコメントありがとうございました。皆認識が合ってるような、少しずつ違うような・・・。やはりイノベーションという言葉には「凄いこと」「破壊的なこと」というニュアンスが強く出ているように感じます。K氏の例はKAIZENの考え方に近いかもしれません。

  3. 米国の教授コメント
    また、せっかくなので英語話者の意見も、と思い、アメリカの情報科学の教授に同じ質問をしてみました。

    Innovationという言葉は、nov(語源としてnewの意味)が含まれてることもあり、新しい変化の事を指し、非常に広い意味を持っている。Invention >= Innovation >= KAIZENといったところか。一方、最近のbuzzwordとしてのinnovationは、any positive change(どんな前向きな変化)もinnovationと呼ぶフシがあり、はっきりいってmeaningless(意味のない言葉になりつつある)だ

  4. まとめ
    教授コメント後半の、「どんな前向きな変化もイノベーションと呼ぶフシがあり、もはや意味のない言葉になりつつある」という点は、私の違和感に対して非常に合点のいくものでした。つまり、日本と外国で使っているInnovationの定義(そもそもの意味ではなくbuzzwordとしての定義)が違う可能性があるという私の予想はある程度正しいのだと思います。ということで、私からのメッセージは、我々が国際社会で生きていく中で、buzzwordであるinnovationに出会った際は、「ムムム、さすが海外の人はすごい事いっている!やはり教育の差なのかなぁ。」などといったリアクションではなく、「はいはい。any positive changeのinnovationね。そんくらいなら俺もわかるよ。」と冷静に見ることが大事なんだと思います。

イノベーションってなに?

こんにちは、Kanotです。イノベーションって何ですか?なんか凄い事、天才たちの所業だと思ってませんか?少なくとも私はそう思ってました。(そう思ってなかった人は続きは読まなくて大丈夫です)。今回の投稿は、日本人のイノベーションに対する誤解がイノベーションの芽をつんでいるのでは、という話です。

最近よく聞くバズワードの一つに「イノベーション」があります。国連の開発目標であるSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)にもイノベーションが「Industry, Innovation and Infrastructure(産業と技術革新の基盤を作ろう)」として加わるなど、国際開発業界でも注目度が上がっています。

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JICAや世界銀行などドナー界隈でもSTI(Science, Technology and Innovation)というキーワードを聞く機会が増えて来て、これまでマイノリティであったICT4Dにも、にわかに脚光が当たりつつあると感じています。

その一方で、いつも素朴な疑問として感じていたのが、「イノベーションってなんだろう?」ということです。職場で「イノベーティブなアイディア求む!」って言われても「ヒエェェ、そんな画期的な発想は凡人の俺にはできないよー。」と思うことも多く、ちょっと調べて見ました。

まずは国語辞書(Mac内蔵)で引いてみると、「イノベーション=技術革新」とあります。まずこの言葉がよくわからない。なにそれ?エジソン的なこと??そんなの僕には無理です。

次に英英辞典(Mac内蔵)。「Innovation = The action or process of innovating.」はぁ、そうですか、全く答えになってないです。

じゃあ、とinnovateを調べてみると、「make changes in something established」が最初に出て来ます。あれ、なんか随分ハードル下がったな。既にある物を変えることもイノベーションなのか

この私の誤解が確信に変わったのが、世界的イノベーション・カンパニーの1つである3Mのセミナーに参加した時です。3Mの方が、イノベーションの例として以下のようポストイットが開発された手順を説明していました(細かいところは違ってるかもしれません)。

1969年に強力な接着剤を研究していた3Mですが、うまくいかず、めっちゃ弱いノリができてしまい、失敗作としてお蔵入りしていました。そして5年後、他の研究員が「あの失敗作の弱い接着剤、ノリのついた紙として使えるんじゃ??」と閃き、それを元に開発され、1980年に大ヒットしたののが、粘着力が弱いけど貼り剥がししやすいポストイットです。

なるほど、これがイノベーションなのか。天才的なアイディアではなくとも、既存のものの見方や使い方を変えるだけで生まれる新しい発想、それも立派なイノベーションなのか、と妙に胸にストンと落ちました。

ここでやや気になったのが、日本人ってイノベーションを過大評価しているのでは?という点です。もし私と同様の誤解を多くの日本人がしていて、その中で日本人と外国人で同じ「イノベーション」という単語を使っているのだとしたら、結構危険なことだと感じます。なぜなら、ただでさえ自尊心が低い日本人、「イノベーティブなアイディア出せ」と指示されたとき、求められるのは「新しい見方・使い方」であるにも関わらず、「革新的な発想」と勘違いしていては、アイディアは出せず、イノベーションの芽を自ら摘んでしまっているのかもしれません。

私自身も、「イノベーション=革新的な発想」という考え方だけでなく、「イノベーション=既存のものの新しい見方や使い方」と理解し、自信持って「イノベーション」という言葉を使って行きたいと思います。このような誤解をしてる日本人が私だけであることを祈ります。

一歩先を見越したICT活用:WFPのmVAM

 

mVAM

Source: http://vam.wfp.org/sites/mvam_monitoring/#

ども、Tomonaritです。国連WFPが食糧不足などの状況をリサーチするためにとして携帯電話を使っているという話を聞いたので紹介します。

その名はMobile Vulnerability Analysis and Mapping (mVAM) 。上記の地図の青い国、約30カ国で使われている。仕組みとしては、音声通話とSMSを使って簡単な質問(商人に対して食糧の価格を質問したり、一般家庭に対して食糧確保や栄養状況など)をして、得た回答をデータベースにまとまるというもの。mVAMの仕組みを紹介する動画がYouTubeにあがっているけど、以下の動画(レソトの例)がとても現場感があって分かりやすい。「なんか凄いイノベーディブな取り組みなのか!?」と期待して動画を見ると、超地味に電話オベレーターが質問をしている感じに拍子抜けする。

この動画を見ても一体、どういう情報をとって、どいうアウトプットになるのかというイメージがわかない。でも、一例としてマラウイのレポートナイジェリアのレポートを見てみたら、とてもイメージがわいた。例えば、ナイジェリアでは食糧価格の動きを調査するために、特定の州の商人を対象に電話調査を行った話が書いてある。まず、2016年6〜7月に490名の商人に電話をかけて食糧価格を聞き取り、次に2016年12月に同じ商人(490名中416名)に再度電話をかけて食糧価格を聞き取り、再度、そのうちの378名にインタビューを実施している。結構、泥臭い作業だけども、思いのほか同じ商人にリーチ出来ている(378名/490=77%)のは凄いもんだ。日本と違って住所とかちゃんとしてないだろうに。

最初にどうやって電話番号を取得しているのか?という点については、商人についてはFace to Faceの調査で得た情報、一般家庭については携帯電話会社から得た情報を使っている。携帯電話のSIMカードを買う時に氏名や住所を登録しているので、ターゲットにしている地域の住民の番号はある程度取れるのだろう。勿論、SIMカードが転売されたり友達に使われたりということがあるので、登録情報が正しくないとこもあるが、おそらく携帯電話の位置情報でどこからのコールかは分るので、対象地域意外からの不要な回答は除外出来るのだろう。

電話を受けた人が質問に回答するインセンティブは?という点については、回答者には小額の謝金(50セント位)を払うケースもあるという。これは携帯電話の通話クレジットとして供与される仕組みだ。金を貰えるなら質問に答える気にもなる。

正直、自分の第一印象は「イノベーションって言うよりはテレアポ的な泥臭い手法だなぁ」というものだったが、「いやいや、ちょっと違うぞ」とすぐ思い直した。これまでは民間のコールセンター等を使ってオベレーターが電話をしているが、近い将来AIチャットボットを使って人じゃなくてコンピュータが電話調査をしてくれるようになる。そして収集したデータの分析もAIの力を借りてより簡単に出来るようになる。これは凄く簡単且つチープに調査が出来るようになるということ。そう考えると、現時点で人が電話調査を行い、ターゲット地域の人達に「電話調査ってこういうもんがあるのね」ということを認識させ、慣れさせておくことの意味はとても大きい。

mVAMの効果を考えると、「食糧不足とか栄養失調とかで困っている人達が住んでいるようなエリアには、携帯電話ネットワーク網が行き届いてないのでは?」とか「そういう人達って、そもそも携帯持ってないのでは?」というツッコミはある。しかしながら、mVANの効果は、現時点での利便性どうこうで善し悪しを判断するのではなく、今はいわばユーザへの啓発活動とも言える(電話調査ってもんを理解してもらう)準備期間なんじゃないか、と思った。

Uberによってタクシー運転手とのコミュニケーションは不要になり、Uberは無人タクシー導入の下地を作っていると言われる。同様に、今後のICT4Dは、課題解決のために今有るテクノロジーでどう対処するか?ということを考えるだけでなく、一歩先の将来により一層の効果を発揮出来るにはどう対処するか?ということも同時に考える必要があるのだと思ったのでした。

AI時代に大切なのは?

SDG4

東洋経済オンラインで、AIを使った学習塾「Qubena(キュビナ)アカデミー」が取り上げられていました。先日、エチオピアのアジスアベバでもAIを取り入れた学習用タブレットの試行がなされていると紹介しましたが、日本でもかなり進んでいるようです。

Qubenaアカデミーでは、生徒は塾に来てタブレットを使って勉強をするスタイル。その問題の出し方はAIが考えており、生徒が問題を間違えると、その間違え方をAIが分析し、つまづいたところが分るようになる問題が続々と出題され、それを解いていくと最初に間違えた問題も出来るようになるというもの。一方、間違えない子はどんどん難しい問題へステップアップできる。なんと「学習スピードを7〜10倍にまで高められる」らしい!(超ざっくりな説明なので、詳細は上記リンクから元の記事を見てもらうと、もっと「スゲぇーなー…」という感じが伝わると思います)。

特に自分が面白いと感じたのは、この会社の社長さんが塾という形態に拘っている点。このやりかたなら「先生いらないじゃん?」と思うのですが、社長さん曰く、講師は生徒のやる気を出したり、メンタル面をサポートする「コーチング」の為に生徒の傍らに寄り添う必要あるという。確かに科目を教えるという「ティーチング」は AIに任せられるが、「コーチング」は生身の人間が必要だろう。

いきなり生活感溢れる話題になりますが、我が娘(小学校1年生)もおだてないと宿題をしないです。そして、漢字が分らないうちの奥さん(←エチオピア人なんでね)が傍らで「へー、こんな難しい漢字も書けるんだね。すごいねぇ!ママは読めないよ〜」とおだてる役をやってそれなりに上手く娘の気分をノセてます。

「モチベーションを上げる」という点で最近読んだ尾原和啓氏の「モチベーション革命」という本の記載を思い出しました。以下、引用です。

“AIによって世の中はいかに変わるのか。作業的に、効率的に、合理的に仕事を進めるうえでは、人間はもうロボットには勝てないでしょう。しかし、世界を変えるような新しいサービスや画期的なイノベーションは、1人の人間の偏愛によってしか生まれません。
これからは、この偏愛こそが人間の価値になる時代です。好きなことをやり続けることこそが最大の競争力になるのです。”(第2章「偏愛こそが人間の価値になる」より)

合理的、作業的なことは人間はAIには勝てないが、「なぜか自分だけが頑張る意味が持てる」という偏愛によるモチベーションは、人間にしかなく、それが人間の強みだという話が書かれています。

最初の話に戻ると、今後、先生に求められるスキルは、教え方のスキルじゃなくて、子供の関心をどんどん延ばして、色んなことにチャレンジするモチベーションを上げるというコーチングになっていくのだと言う点はとても納得(これまでもコーチングは先生のOne of themのスキルだったはずだし)。

「詰め込み教育」から「ゆとり教育」に変わり、その反動でまた最近は「詰め込み教育」の傾向にあるけれど、AIが学習スピードを早めるくれるなら、「詰め込み」の学習量で知識を高め、且つ、「ゆとり」が目指した「生きる力」を育む時間もとれるようになるのではないか、とAIによるポジティブな影響に期待したい。

AIによって職を奪われるというネガティブ論もあるけれど、教育分野に限らず、やらないといけないけど面倒な仕事はAIにお任せし、やりたい仕事に集中出来るようなるというのが、理想的なAIの活用方法だと思う。ただ、そのためには自分のなかで「やりたい仕事」が明確にあるのが前提条件なので、「偏愛によるモチベーション」を大切にしなければ・・・!と思う訳です(←自分自身への自戒も含めて)。

ソーラーパネルを背負って避難する難民たち

こんにちは、Kanotです。最近世界で大きな問題になっているロヒンギャ難民問題、皆さんもニュース等でご覧になって、気になっている方も多いのではないでしょうか?簡単に説明すると、ミャンマーのラカイン地域に住むイスラム教徒が、ミャンマー軍から迫害を受けてバングラデシュに逃げて来て難民化しているという問題です。この問題についてもっと詳しく知りたい方はこちら

さて、今回の難民たちが家から逃げる時に持って来たものは何でしょうか?

手持ちのお金、最低限の服・・・などがあるかと思いますが、タイトルと絵からご察しの通り、ソーラーパネルを運んでいる人が多数いた、というのが今回の話です。(画像は、めけお氏作)。着の身着のままでソーラーパネルだけを担いで逃げて来た家族もいるとのこと。なぜ彼らは衣食などの生活必需品よりも重くて大きいソーラーパネルを選んだのでしょうか?

ソーラーパネルを運びながら逃げて来た人は、「このソーラーパネルが私の命を救った」と言っています。ミャンマー軍を避けながら逃げるのに一番大事だったのは「情報」で、安全なルートを見つけ出すには携帯電話からの情報が欠かせず、その携帯電話をチャージするのにソーラーパネルが必要だったとのことです。

驚くべきポイントは、ソーラーパネルが夜の懐中電灯やジャングルでの寝泊まりに役立ったというのはありつつも、一番の目的が、携帯電話をチャージするのに役になったという点です。もはや携帯電話が、貧富の差や情報リテラシーの壁を超えて、コミュニケーションツール、そして情報取得ツールとして使われているということです。

では、彼らはわざわざこの退避のためだけにソーラーパネルを手に入れたのかというと、もちろんそういうことではなさそうです。そもそも、彼らの住んでいるエリアは電気の普及率が高くなく、ソーラーパネルを日常の電気確保に使っていたようです。ミャンマーではソーラーパネルが安く、20ワットのパネルが約$15で買えるため、比較的普及しています。バングラデシュで同じものを買うと8-12倍の値段がするそうで、その事が情報として入っていたため、このような行動に至ったとのことです。

また、難民キャンプまでたどり着いた後も、ソーラーパネルがキャンプ生活に役立っているそうです。まずは安全確保上の問題です。難民キャンプには電気が来てないケースが多く、夜の盗難やレイプなどから身を守るためにもライトが必要とのこと。また、電気があれば浄水することもできるとのこと。もちろん携帯電話の充電もできます。

英語の原文を読みたい方はこちらです。
ロイター通信:Feeling Rohingya carry one key asset: solar panels

ここからは記事の感想ですが、まさか難民キャンプに逃げてくるような人がソーラーパネルを背負ってくる時代が来るとは思っていたなかったので驚きました。一方、これを一般の生活に置き換えてみると、テクノロジーが進むことによって、逆に原始的な生活ができるようになる(火は簡単に起こせる。電気もソーラーで得れる。その電気で水も浄化できる。食べ物も簡易に作れるようになる(はず))。そんな未来もあるのかもしれません。これも立派なイノベーションだと感じます。日本でも大震災に備えて携帯用ソーラーパネルを買っておいた方がいいかも???

ダボス会議2018 ブロードバンド普及についての2025年目標

1月22〜26日に開催されたダボス会議2018で、ICT4Dチックな話題があったので紹介。

23日、Broadband Commission for Sustainable Developmentという組織が以下をトピックとしたSpecial Programを開催したそうです。

  • How to increase the efforts put towards connecting the 52% remaining people to the internet?
  • How to fight the increasing cyber-crime and cyber-bullying?
  • How to ensure that the fourth industrial revolution technologies don’t create a digital divide?
  • How to ensure that the issue of growing gender digital divide is addressed?

そもそも、「ん?なんだ、Broadband Commission for Sustainable Developmentって?」。これはITUとUNESCOが「MDG達成にはブローバンドが大事だろっ!」ということで2010年に設立した組織。当初の名称はBroadband Commission for Digital Developmentだったのが、その後、MDGがSDGに変わったのをうけてネーミングを変更。おなじみのマイクロソフト、インテルや中国のHUAWEI、ミャンマー等にも進出しているカタールの携帯会社Ooredooなどがパートナーになっている。

この23日のディスカションの内容詳細が記載されているWebサイトはまだ探せてないのですが、Broadband Commission for Sustainable Developmentのプレスリリースによると、2025年をターゲットに以下7つのゴールが設定されたとのこと。

  1. By 2025, all countries should have a funded national broadband plan or strategy, or include broadband in their universal access and services definition.
  2. By 2025, entry-level broadband services should be made affordable in developing countries, at less than 2% of monthly gross national income per capita.
  3. By 2025 broadband / Internet user penetration should reach: 75% worldwide, 65% in developing countries, and 35% in least developed countries.
  4. By 2025, 60% of youth and adults should have achieved at least a minimum level of proficiency in sustainable digital skills.
  5. By 2025, 40% of the world’s population should be using digital financial services.
  6. By 2025, unconnectedness of Micro-, Small- and Medium-sized Enterprises should be reduced by 50%, by sector.
  7. By 2025, gender equality should be achieved across all targets.

ターゲットの年数が2025年なのは、2020年まではすでに一定の予測をしたレポートをITUが出しているからだろうか・・・?2030年はSGDの目標年だから間を取って2025年かな?

個人的にはダボス会議とか大きな国際会議で掲げられる公約や目標設定は、ホントに意味があるのかな?と疑問に感じたり、大きな会議やる費用を途上国に回せば良いのに・・・と思ったりしています。会議にかかるコストとそのベネフィットって、どうやって測っているだろうか・・・。でも、ゴールを設定することによって、「国際的に決められてるゴールなら!」と、お金が集まってくるというメリットは間違いなくあるのでしょう。

それはさておき、この手のゴールにはかなりアンビシャスな「無理ゲー」的ゴールが設定されたりしますが、昨今のテクノロジーの進歩を考慮すると、今回のゴールは比較的達成可能なゴールなのかと思います。「Sustainable Digital Skill」って具体的になんだろう・・・?と思ったりもしますが・・・。

ICT4D分野は、この先10年位が一番面白いかも

先週、「大企業のBOPビジネス卒業式~BOPビジネスの幻想とSDGsへのバトン~」という勉強会に参加しました。インドで苺栽培に取り組むNEC、マラリア予防の蚊帳(オリセットネット)を展開する住友化学、インドでビジネス創出のプラットフォーム構築に取り組むリコー、クロスフィールドの留職プログラムも使いつつ途上国でのビジネスに取り組むパナソニック、といった大企業の方々が、「BOPビジネスに取り組んだ結果、どうだったの?ホントに儲かってんの・・・?」という疑問に答えてくれるような内容でした。

この疑問に対する答えは、「やっぱり儲かんない」という感じのもの。オリセットネットはドナーが大量購入しておりちゃんと儲かっている点ではビジネスとしては成功。でも、途上国の貧困層をターゲットとしたB to CのBOPビジネスとしては、やはり成功とまでは言えない感じ。他の3社については、大企業が取り組むビジネスとして採算が取れるレベルでは儲かっていないというのが実情。残念だけど、これが現実、という点は納得感がある。

グループディスカッションの場もあり、他の参加者の方々とも色々と意見交換することが出来た。その中で、「やっぱBOPビジネスは儲からない」、「CSRとして企業イメージアップのためにやるのが限界」、「現地を知らず、コストの高い日本人が汗かいてやるより、現地企業を買収したほうが早い」、といった意見も。残念だけど、いずれも納得感がある。

それでも、バングラデシュのグラミンフォンとかケニアのM-PESAとか、数少ないサクセスストーリーの響きは良く、この分野に興味・期待を持っている人は少なくないと思う。実際、この勉強会は参加費が2000円だったものの、100名位が参加していた。

正月早々の日経新聞に途上国ビジネスの特集が掲載されていた。その記事ではケニアのM-PESAの利用者は3千万人を超えたが、一方、世界で金融サービスを利用出来ない成人は20億人。同様に安全な水にアクセス出来ない人は21億人、清潔なトイレにアクセス出来ない人は45億人、ネットを使えない人は40億人など、まだまだ満たされないニーズは山ほどあるというような事が書かれていた。さらに、シンガポールの大手商社オラム・インターナショナル社がガボンの農園でドローンを飛ばし、農作物の育成状況を監視し、ビッグデータを使って肥料散布のアドバイスをするサービスを展開している事例などが紹介されていた。

今、SDGsの背景からも途上国ビジネスへの注目が高まっているが、これだけ途上国ビジネスが注目を浴びている背景には、やはりテクノロジーの発達が大きいと思う。以前からニーズはあったもののビジネスを展開出来る術がほとんとなかった状況が、今はテクノロジーのお陰で「出来るかも?」というふうに変わっている。そして今後さらにテクノロジーの発展により社会が大きく変わって今は想像出来ないサービスが生まれるので、「イノベーションが起きれば実現可能!」と期待感も高まる。最近、やたらめったら耳にするイノベーションって言葉には違和感(そんな誰でも起こせないからイノベーションなのに、とても普通に使われている感が否めない)を感じるものの、「ニーズ・課題が沢山あって、それを解決出来そうなツールもある」という今の時代に生きているというのは結構恵まれていると思う。

最近、「現代の魔法使い」落合陽一氏の「これから世界をつくる仲間たちへ」という本を読んだら、以下のようなくだりがあった。

“たぶん、2030年代ぐらいの近未来の若者たちは、2010年代という過去を羨ましがるに違いありません。『20年前は、まだコンピュータで解決されていない問題があったらいいよなぁ』というわけです。”

こんなふうに思うと、「BOPビジネスは儲かんない」とか、このブログでも良く取り上げるように「ICT4Dプロジェクトは失敗に終わる…」と悲観的にならずに、諦めずにテクノロジーを駆使して成功させる道筋を考えられるのは今だけのような気もしてくる。

冒頭の勉強会でオリセットネットについてプレゼンをした住友化学の山口くん(←自分のエチオピアの青年海外協力隊の追後輩でもある)が、「今後はどうしたらマラリアを撲滅させる事が出来るかAIを活用して対策を考えるようなこともトライしたい」と言っていた。確かにそういう使い方もあるなぁ、AI。ICT4D分野は、この先10年位が一番面白いかも。時代の流れに取り残されないようにせねば・・・!

ちなみに、この話題にあまり関係ないけど、冒頭の写真はエチオピアの首都アディスアベバで行われている、タブレットを利用した人工知能プロジェクト「ヤネト(YaNetu)」。多分、YaNetuはアムハラ語で「私と一緒に」という意味かな。下の動画に出て来るアバターの先生の顔、ちょっと怖い(笑)